〇 尻取環夢記 ∽

2019/07/02

第一環

 誰も今いないプラットホーム。向こうまで平坦な位置。ちょうどコンクリートの割れ目から生えた3cmの草。咲く花の2cmの大きさ。さっきから前を見ているときに前と後ろにある線路。碌して電車を降りた記憶はないのに、乗り換えるか駅から外に出るかを迷った。鍛造色の空から髭をはやした鬼が見張る。
 ルート設定を完了しました。例えば記憶の欠落。区切って、迷ったことを思い出しながら駅前を道沿いのその方向に沿って歩いた。助けてくれるのですか、ありがたし。食事をできる店があり、入り口が2つあるのは夫と妻がそれぞれ別々に経営しているからであることを表札から読み解く。屈折した2つの食事店はどちらも営業時間の外に位置したから、何も摂ることができなかった。ただ空腹だけが人を動かす。
 スキップフォワード、断片の風景はいつも薄暗く視界の中心のみが僅かに明るい。いつかの国際。韋駄天の速度。道路の距離と時間の圧縮を発生させて、そして、顔に個性を振り分けられていない集団の行き来。機を待たず、右に振り向いた先には、ラーメン店があった。建物の食事に対するウェルビーイングの世。よく知る店と1字違いの名前の店の美味しさは1字違いであることから想像し、空腹との天秤は片方に荷重し、通り過ぎさせた。
 太古からの農家の知恵と工夫。運動は持続し、そしたら道は登り始め、民家は4つの店を内側に隠して、民家としての外観を維持していたから、歩いて奥に進み入り、アウトドアショップ、青い鮮やかな、ナイロン素材に、化繊綿を詰め込んだ。暖気、暖かい機能。上と下、ジッパーは2つに別れているから調整の余地がある設計。行けない2階建ての2階。今一度、暖かい服を試着すると床には俯瞰で見る景色が徐々に現れ始めてきたので、しゃがみ、膝をつき、覗き込む。叢がる植物と五重の塔と菌類の個性を取り入れた彫像。うわ、顔を近づけすぎて、髪の毛が絡まる失態。一面の黒い床、細かな枝分かれ。劣化した鉄の質感が支配している、成長する金属。
 苦肉の策をもってして撤退せざるを得ない。移動の手段は問わない。意思を持った操作者がクリックしドラッグし、右上から左下に移動するのと同じように瞬間的にメインイベンターの座標を上書きする鬼。
 賑やかさを失った室内、パッケージングされたマグネットにはシールが貼られ、ここが、この室の外が、どこであるかを知るやんけ。決して多くはないが、30個のマグネットが並べられた木の机と、手に入れられないなぜならどこにもいない店の者。伸びやかに広い間口。知識、かつて配置された言語の結合の符。再び駅についたようだ。

ジョイント1

 だってこれすごいことですよ。あんたら、ここにいるあんたら全員わかってないと思いますけど。全然ピンときてないと思いますけど、もし、この部屋に誰もいてなかったら、俺、興奮のあまり、走り回ってますよ、いやほんまにまじで。
 って言いたいけど、言ったところであんたら理解できないから言わない。


2019/07/03

第二環

 いつのことか、発生だけした今。前も後ろもない。1秒の出来事かもしれないけども。模糊。ここがどこかもわからない、説明可能な場所としての空間であるのかどうかもわからない。一条のスポットライトで照らされた床のように今ここだけが存在する。ルックアラウンドせずとも、感じ取れる、周りの人の温度、それが誰であるのかも特定はできないし、その人達は大きくは動かず。ずっとそこに佇む。
 ムーブを頭の中で想像し、想像の弧線を指の動きに変える連動。動かせるよ、可能であるよという自信だけがあり、指の動きは機械の入力装置に伝わり、装置の可動部分は上下に動く。狂いのない上下動はメッセージとなり、メッセージに基づいて音が鳴った。ただ存在だけしている人たちに与える明朗さ。サプライジング、入力したとおりに音が鳴る感動。うまくいくことを嬉しがり、嬉しくて楽しくなって、楽しくなって楽しくなって楽しくなって何度も繰り返す。スペシャル、何度も音が鳴る鳴る繰り返す。
 すべての音は完璧なタイミングで鳴るが、どこから鳴っているかは分からない。位置なき音の要素。それは漫画の中の吹き出しであるようにも感じ、捉えるが、確かではない、何ひとつも。最も近くに、いくらか遠くに。
 入力装置を鍵盤と呼ぶ。部分的な説明、鍵盤とは呼ぶが、鍵盤楽器のような何かがそこにはない。いつのまにか鍵盤は大きくなりはじめ、大きな鍵盤の成長と発展と進化。華麗に音の鳴る鍵盤がもたらす満足感と心の充足。繰り広がる気持ちと共に音は徐々に広がっていく。空間へと、人から人へと。トリガー、自分を中心に周りの人全員に。にわかに音は高くなっていき、それでも音は完璧なタイミングで発生し、さらに規模は大きくなっていき、音の広がりは空間をも広げていく。空間が音の広がりを決めるのではない。いまや、音の広がりによって、この空間が広げられていくのだ。
 段々と音は複雑になっていく。櫛の歯の隙間のように、求める均等な間隔を伴ちつつ、広がって鳴る複雑な音。止まることなく、並べられた音は何度も鳴らされていき、最後の音が完璧なタイミングで鳴って終わりを迎えた。たったひとつの音の余地もない。

ジョイント2

 いつだって、そのつもりでいますよ。俺はこの仕事をやると決めたときから、ずっとその覚悟を持って生きてきましたから。お前が冗談で言ってる、絶対に誰もやらないだろうと思っている、その、まさにそのとおりのことを俺は計画してるんですよ。今はだた黙々とそのための準備をしてるんです。


2019/07/04

第三環

 ステージは四角い場。バランスを取るように四角の中には楕円が配置されてグラデーションの光。立席、人々が見守り、しかし、人の数は多くない。いかにもやさしそうな雰囲気が、個人に対しての説明ではなく、その場の空気に対しての、印象としてのやさしさ。さらさらよりも感情に訴える心地よいざらつきが肌にあたり、涼しさを思う。
 浮かび上がるCの頭文字のブランド名。糸、布、縫い目。メーカー、ブランドタグのような縦に長い長方形の囲みの中に縦書きでアルファベットが書かれており、それを選んだことを認識。
 急に人々の注目は折れ線グラフに刺さりはじめた。単独の線が動く。くねりひねり、上がったり下がったり、一日の気温のような、しかし、何を表しているのかは分からないグラフ。ふいにグラフの線は上昇しはじめ、グラフの枠も右上の角が鋭角になってきた。たちまち変形していく図全体。いつの間にか人々はいなくなって、線だけがそこで動くダンス。

ジョイント3

 スピーディーに解決していきましょう。時間に余裕はないですよ。そんなだらだらやってたら、いつまで経っても完成しませんよ。完成させるつもりがないんなら別にいいですけど。いつか消えてなくなる事を期待してるんですか。こっちはこっちの速さで進んでいきますからね。


2019/07/05

第四環

 熱湯をカップラーメンに注ぎ入れると、その蒸気によってフタがめくれた居間。まだ建て替える前の昔の家の部分と今日現在の交じる空間の、中央に置かれた机。笑顔はない。一般的なカップラーメンよりも幾分大きなフタの裏側と、発泡スチロールの容器の内側には、判読できないほどの小さな文字が書かれていて。点にも文字にも見える、印刷。掴んだ容器の中に撒かれた赤い粉、調味料、香辛料。上の方、容器の一部が破れてみすぼらしい。勢い、お湯を入れすぎて溢れさせた。
 大量のお湯がこぼれ、ひどく濡れた床のカーペット。というよりも毛足の長い毛布のような素材のラグ。ぐいとぐいと、手元にあったタオルで拭く。クリーンな洗濯したてのタオルは大きく、叩きながら押し付けながら、こすりながら、床の水分を染み込ませ、吸い取っていく。くそ、拭く様子を誰かが小馬鹿に眺めているのに腹が立つ。
 机の横の椅子に座るTに容器の中の文字を読むように指示。じっと座ったままのTはフタをめくっただけで、何も言わず、容器をそのままこちらへ返してきた拒絶。突っ返すその態度に心の底からムカついた。たちまち感情を言葉に直結。つか、ほんまに何にもやろうとせんやつやな、さっさと死んでくれ。烈火のごとくぶちまけた怒り。理屈の外の心理回路の証。しかし、Tは何もわかっていないように見えて、何もしたくなくなった。ただ、部屋を出て、空白があり、時間と場所の変化。
 かつて通った小学校の運動場。うっすらと白ぼけた風景。いまはもう存在しない運動場。運動場を歩いて気づく、ここはあの運動場よりも遥かに広いと。とぼとぼと歩みを進め、ブランコのところへと行く。クソ野郎め、まだ怒りが収まらない。いつまでも、枯れることのない深い根。

ジョイント4

 ネットの力は偉大です。インターネットがなければ私達は生きていけないのです。生きていけないだけではありません。インターネットは神をも超えた力を与えてくれるのです。アメリカにいた次の瞬間、東京にいるのです。1万人が同時に考えるよりも早く答えを出してくれるのです。その事に気づいている人が果たしてどれだけいることか。


2019/07/06

第五環

 仮決めしていた予定ではあと数ヶ月先だった試合を、急遽、本日に日程を前倒しして開催。いざ始まると、現実と架空の境界線たる四角い画面の枠が徐々に溶けて、ボクシングのテレビゲームの映像がリアルの空間と一体化。構えはスタンダードに顔の前に握り拳。視点は自分の後ろ、自分の後頭部と背中が視界の中。鎌、大振りする左右のフック、スピードはとても遅いが、すべて相手にヒット。トランクスを履いている相手、天井まで響きわたる効果音の迫力。
 蜘蛛が巣掻くのは、いくつもの物干し竿の間、物干し竿と物干し台の間。だいぶんに目障りなので、近くに立て掛けてあったホウキで巻き取ってしまう。
 美しい銀色のエクストレイルがハザードを焚いて停まっているが、運転者はいない。異様な、車の塗装の銀色とは思えないほどの光沢。クルマの全体が眩しく光り輝いて、周囲をも照らし始めたかと思うと、車両は次第に形を失ってゆき、変形。インゴッドのような銀色に光り輝く巨塊へと姿を変えてしまった。
 タッチ決済で料金を支払っていると、行き交う人はおそらく中国人。んー、聞き取れない。一切、理解不能の言葉。
   バスケットボールをする人たちが遠くの方にいることに気付いて、意識は徐々にそこへとズームインしていく。狂うことのないピント合わせ。選手の一人がフィーチャーされた時、炸裂する、派手で華麗なダンクシュート。
 ところどころで断絶する記憶。雲はつながり、また、分裂し、一定の形を留めない。
 一生懸命にスマホゲームについて議論するたくさんの人たち。近くに行ってみるが、会話の内容は分からない。いつまでも続く抽象的なやりとり。リーディング、リスニング、だんだんとくっきりとしてきた話の細部。文化、文明、生まれてから大人になるまでの時間について、そしてサンダルが便利だということについて、そして、時間の経過。

ジョイント5

 カモンベイビー、調子は最高だぜ。お前が何を言おうともこっちは痛くも痒くもないぜ。出してくる手は全てお見通し。どんな武器で、どんな戦法で攻め込んでこようとも、ひらりとかわせるだけの余裕がこっちにはあるんだ。でも、ひとつ問題がある。それは今のお前にはヒットポイントっていうパラメーターがないってことだ。お前はがん細胞、永遠に増幅し続ける厄介者。お前は悪霊、実体を持たない、概念の存在。だからもう、誰ひとりお前とポジティブなコミュニケートをすることはないだろう。


2019/07/07

第六環

 浮かんでいる2つの何かが重なって1つになろうとするが、同じように見えた2つは細部において一致せず、エラーが発生。幾度も変化させ、何かと何かを1つにする作業を繰り返す。少しずつ、何かの中のパラメーター群を調整するうちに、外観のサイズは膨張していく。繰り返し行われる同じ作業。上にばかり目を向けていたが、水平よりも下方に目線を移動させた時、何かの終端は文字のような形状で有ることに気付き、さらに凝視。詳密に2つの何かが完全に同一になった時、それは、大きな、明朝体の、あえていうなら、アルファベットのnとrとtを合成したような形のものに変化した。

 たくさんのテストを繰り返さなければなりませんので、またまだ作業は続きます。全ての本番がうまくいったらステーキを焼きましょう。うんと分厚く表面がしっかりと焼けたサーロインステーキを想像しているうちに暗くなった。

 太陽が再び世界を照らし、時間がはっきりと認識できるようになって、並列に流れる思考。薄ぼんやりと漂っていた、予定していた時刻に遅れるのではないかという不安感が徐々に消滅していく。鯨。ライブ。ブリコーラジ。ジャストオンタイム。向こうのほうがなにか騒がしい。いざゆけ、そろそろ出発せねばならないという気になってきた頃。朧朧と後頭部から前方へ、意識に出現するURLのような文字列。つまりこれは何だ。だが、何が書いてあるのかは読み取れない暗号。

ジョイント6

 うわあ、もうどうしようもない。これ以上は無駄な努力であるなあと思ったので、今ここで諦めようと決めた。最後はどうなるのだろうか、などという感傷的な想いは全然無い。無い。無い。むしろ少しでも早く結末を見たい気持ちでいっぱいである。明日にでもゴールがやってきてほしい。ゴールは新しいスタートでもあるのだから。


2019/07/08

第七環

 ラッキーや幸運によってもたらされる感情が湧いてきた。竹内力が器用にコンピューターを操作しているが姿は見えない。一瞬、リナックスという言葉が頭に浮かんだ。断片的な描画を繰り替えすうちに、空間にファイル名が表示された。大量の情報のうち、いくつかのファイルが点滅している。ルックオンザブライトサイド。どうやら空が晴れてきたようだ。だいぶ、気分が高揚してきた。楽しみはこれから。

ジョイント7

 ライトを消してください。明るいだけで体力が奪われる気がします。全身が痛くて歩くのもしんどいのです。ベッドに横になりました。枕に頭の重さを預けました。地球の重力がいつもより強くて、このまま地の底へ沈んでいきそうな気分です。


2019/07/09

第八環

 スッキリとしすぎている、オフィスらしきどこか。過去という名のカーテン、また別の過去という名の網戸、が重なり合って、偶然、出現し、また消滅するモアレのような。なにひとつ残せず、オフィスと言うには殺風景。いくつものデスクが並んでおり、寡黙に作業に取り組んでいる皆。なんとなく、聞くともなく聞こえてきた会話から、周りにいる人は自転車部に所属していることが推測できたのだ。誰かが定年退職するらしいが、その人のことを何も知らない。いつのまにか時間となり、人々が部屋の外に出ていく。靴を履くことを終えた頃には、元いた場所はホテルの催場のような空間へと変容っていた。たくさんの料理。リッチなバイキング。ぐらぐら目移りするほどの種類。いくつものサラダ。大迫力の肉料理の立派。パイナップルはカットされたものと、ハムでサンドされて焼かれたものもあるから、さらに迷う。うろうろと見て回っているうちに料理はどんどんとみやげ物に変化して。手で持てるほどの大きさの箱には黄色い紙の帯が巻かれて、開けれない。インサイド、中に何が入っているかは外からではわからない。
 いつしか時は杉の戸を、21時になったので、建物から外に出た。建物は、中の部屋の雰囲気とは似つかわしくないみすぼらしい外観が、古びた旅館を想起させた。タイニー、三角形の小さい屋根をもった玄関は両開きの引き戸を備えており、嵌め込まれたガラスは透明で薄い。今は夜なのに空からの光が建物を照らす。

ジョイント8

 すぐに結論を出したい。自分の才能しか信用していない。いつまでもひとつの場所にとどまる気はない。人からとやかく言われたくない。ゴールが見えたら興味がなくなる。同じことの繰り返しに対して急に嫌気が差してくる。誰かのために生きる気などさらさらない。


2019/07/10

第九環

 今いるここがどこかはわからない、目の前の家に見覚えもない。いや、しかし、この家の中に友人がいることが予め設定されていることだけは確かだ。だから、家の中に入った。体格は25年前の身長と体重の友人がやはり、そこにいた。立ったまま会話。わくわくする内容ではない。いつのまにか、話はテレビゲームのソフトを貸してくれることになっていた。縦に長い、見たこともない形のゲームカセットを渡してきて、RPGだと説明。いや、それは野球ゲームだということをすでに知っているような気がした。
 たちまち、雨が降り出した。建物の中にテレビと畳。見える外の景色は庭。和気あいあい。いつまで経ってもゲームをプレイすることはないけれど。動的生成、庭に野球ゲームの光景が現れて消えた。タッチアウトの声。
 エンディングと共に外は大雨になってきた。タクシーが街道を走る風景。
 位置がわからぬ。濡れた赤い髪の人。途端に丸山九十八という名前が思い浮かぶが、それがこの人なのか、だれなのか何もわからない。いつのまにか、雨はやんでいた。
 たっぷりと水分を含んだ土。地上から立ち上る水蒸気は靄となって、あたりを漂う。うまくいけば、空き地に行けるかもしれないと気づく。草は短く、空き地には広い自由な空間が広がっているに違いない。いざたどり着いた空き地。徴集されたボランティアらしき人のまばらさ。三時から避難訓練をやるらしく、テープで区切られ、勝手に入ることはできない。勢い、自転車で来ている人はどこに駐めればよいのかと。途方に暮れている姿、その先に信号機。
 気は乗らないが、仕方なく、机を持って移動することにした。空き地からさらに歩き、交差点を左に曲がると、その先に雑居ビルがあり、中へと入るようにと誘導された。
 建物の中、天井は低く、幅の狭い通路が複雑に入り組んでいる設計。今さっき、階段を登ったはずなのに、また降りて、どこへ行くのか、どこへ行こうとしているのか。壁はどころどころ剥がれ、それは不安な気持ちの隣。リクエストされたわけでもないのに、ずっと机を持って移動している。ルールの遵守でしょうか。欠片ほども、机の物理的な重さは感じない不思議。義務であるのか、しかし、机を持って移動することの億劫さだけはしっかりと存在して。天への方向。上向き。記憶の途絶。着きましたよ、雑居ビルから立体駐車場に、そしてその屋上に。二度目の尿意。

ジョイント9

 いい加減にしてくださいって感じです。


2019/07/11

第十環

 スタートの拠点となる場所としての旅館があり、何度もここから出発し、何度もここへと戻ってくる、の繰り返し。省略される細事。時間という概念の存在しない世界。緯度も経度もわからないが、ここはおそらく北陸だろうと思いながら。ランダムに居場所が移り変わってゆく。クルマで移動。移ろう景色に。2人前を2人が2つのもので作ると教えてくれた。タイミングよくダウンロードできたので、いきなり駅に着く。
 靴を履いた3、4人のメンバー、いやもっと多い。一同に集まりこれからの行動計画を話し合う。うまくいかない。意見の食い違い。1枚のきっぷ、1人だけが、電車で帰ると言って譲らない。今ならまだ電車に間に合う。売り切れを回避。1人なら席は1つでいいから電車でという主張。雲散霧消の結末。
 着いたのは広大な神社らしき敷地。地を流れるいくつもの細い川に橋がかかり、土地の一部は海の上に浮いて、ときより押し寄せる小さな波。南口で降りるのか、北口へいくのか、意見がどうしてもまとまらない。居丈高な言葉遣いで、タクシーの運転手に対して横柄な態度をとる同行者に思わず、ブチ切れかけて、また居場所を旅館へと戻す。

ジョイント10

 すごく頑張ったときにはやはりご褒美というものが必要なのです。どうぞお気に召すまま、予算の限り。お肉ですか、甘味ですか。疲れた体に染み渡る、栄養論では語りきれないエレメンツ。


2019/07/12

第十一環

 通勤とは逆の方向へ、近所まで歩いて出かけることに。2分ほど歩くと、山が途切れ、隣の山とによって谷を形成し、そこに川が流れているのか。川は奥まで続いており、水はこちらに向かって流れ込む。向こうの方まで、ずっと奥まで、視力が良くなったかのようにはるか奥の奥までくっきりと見えた。たなびく木の葉、見える筋。実際にそんな奥まで谷が続いているのかどうか、は見えていることと同じである必要などない。
 いってきますも言わずに出掛けて来てしまったが、何の用だったのか。カーブの部分、折り返し地点、の出来事は描かれず。ずずと再び同じ道を歩いて戻るシナリオ。同じように谷があり、同じように奥までくっきりと見えるからまた見入ってしまう。
 うちの近所まで歩いていくと、空間は、あるいは時間は変形し、見慣れない建物が出現し、その外観に古さを感じる。

ジョイント11

 ルッキングッドなムキムキマッチョになりたいわけではない。土俵際で踏ん張り続けて百まで生きたいわけでもない。けれども生きているうちは健康で他人に迷惑かけずに過ごしたいからあれやこれやと先手を打つ。


2019/07/13

第十二環

 冷たい色の壁が続くエリア。あそこですと言われ、入口が狭い、古着と古本を扱う店に3人で入った。棚に水色の帽子。
 ショップを出た後、偉い人から、重要な情報を他人に漏らさないようにとお説明。家か会社かどこかのビルか、忘れ物を取りに帰ろうとするが、どこに行けばよいのかわからずにあたりをウロウロするばかり。理由は後で考えろ。ロビーから外へ、いざ歩きはじめるうちに遊園地に迷い込む。無名の遊園地、人が多い。いずれの人も皆、何かを考えており、それが薄っすらと吹き出しのように浮かんでいるが、まだ、具体的には見えてこない。
 一度、早朝に目を覚ますが、その後、午後まで寝ねてしまう。うっかり。理論の全てはインターネットに繋がっているから消えることはないので心配ない。家の中、便器が廊下に置かれていることに疑問も抱かず、そこで用を足す。水圧の問題。一階の洗面所で手を洗いたいのに水が弱い。いなくても良い人までもが狭い空間に複数おり、さらに、親戚がやって来た。食べてもよいか、マカロニサラダを食べてもよいかと聞いてくる、うざい。

ジョイント12

 いつも常に全開ダッシュでぶっちぎれきるわけではないので、時々は歩くし、布団でソファで寝ることもある。ええですよ、そのぐらいで。頭の片隅にとどめておくべきは、ゴール地点と、目標タイムであるから。自分が納得できる結果を手に入れればそれでオッケーよ。


2019/07/14

第十三環

 よく現れる図だ。だから少し辟易してしまう。うなされるほどではないが、深く無へと近づく事ができない。今すでに知っている事と、過程の中で新しく発見した事の組み合わせ。線と線がいくつものプロセスを繋ぐ。グレーの周囲の中に敷き詰められた格子模様。海まで続く通信帯域。
 急に靴下売り場。場面は切り替わり、畳の部屋。やがて電車の出発。つんざく雷鳴。いちご味のマックシェイク。空転を繰り返し、前進できずに焦る闇夜。

ジョイント13

 よっしゃと思った。実際のところ、この展開を待っていた。ふたたび沼に足を入れてしまった間抜けは、そのまま、ずるずると沈んでいくしかないのだ。そしてその先に待っているのは、ひやっほー、言うまでもないよね。


2019/07/15

第十四環

 年末のラーメン屋での記憶。暗さ。さっきまでここはラーメン屋であったのに、パンが目の前にあり、しかし何の疑問も抱かないスタンス。すべては細切れであり、一切の整合性を見いだせないから、もういいや放っておこうと決めた。たくさんの数字が、まるで株価を映し出す液晶画面のように流れていく。クルマだろうか、あるいは引っ張って運ぶタイプのか台車のようなものであろうか、それを壁にぶつけてしまう。
 うねるように細長く入り組んだ道が遠くの崖に見えて、あそこをクルマで走るのは難しいなあと諦めの気持ち。ちょっと強くなってきた雨のせいで、移動する、雨を防ぐ屋根。

ジョイント14

 ネクスト、次はお前だ。覚悟しろよ。なんて、映画の中でしか言わないですよ。


2019/07/16

第十五環

 よ、から始まる店名ののうどん屋の事を考えいたのだろうか。駆け抜けていく自動車の窓から見える風景は日本中のどこにでもあるバイパスの街並み。見慣れた店舗テンポよく。くら寿司、ハードオフ、オートバックス。スピードを緩め、道路の真ん中を堂々とUターンすると、世界から他車も他者も消え去った。頼りない造りの建物の、頼りない厚みのドアをを開けて中に入ると、ドラッグストアとうどん屋があり、どちらも営業をしていない様子。
 スイッチが切り替わるように公園へと場面が切り替わって、雨。目隠しの衝立もなく、シャワーを浴びる人。得意げに、雨とシャワーについて説明をしてくれたが、興味を持てないでいると、いなくなった。立て看板が芝生に挿されいて、立入禁止に寄与。

ジョイント15

 よく人間は嘘をつく。悪意のない、かといって優しさが故でもない、なんで嘘つく必要があるのかわからない。罪悪感なのでしょうか、他人との距離感の調整でしょうか。


2019/07/17

第十六環

 関わりのない文学賞の発表。薄暗い空間にひとり立ち、受賞したことを知るが、自分には経験が足りないので、賞を賜る資格が無いのではないかと深く迷う。うまく説明できない、誰にも気持ちを伝えきれない。インサイド、鳥の暮らす家、鳥はどこからやってきたのだろうか。肩書は美食家の人。途切れがちにカーラジオが流す演歌。

ジョイント16

 かゆいところに手が届く、ぐらいの曖昧さでいいんじゃないですか。あなたみたいにそんなに深く考えるほどの事じゃないんじゃないのかなって、そう思います。


2019/07/18

第十七環

 凄まじい、目にもとまらぬ速さで、トンネルの中を駆け抜けていったランボルギーニ。西の方へと向かう人達。近づくトンネルの出口、ランボルギーニは右側壁に車両のの右側をぶつけたかと思ったら、その場でUターンしてまた走り戻ってきた。タイヤ痕がくっきりと残るアスファルト。
 特定の誰かではなく、何人もの人格が一緒くたになったような人が横で語ってくれた説明によれば、壁にぶつかった反動でフロントは左方向へ動く。そのタイミングでハンドルを左に切り、さらにアクセルを踏めば、オーバーステアになってリアが回転するのだという。上手い人にしかできない、高度なドライビングテクニック。車に関するあらゆる常識を疑うということを兆す。

ジョイント17

 すっきりした事、すっきりしなかった事、すっきりするかどうかまだわからない事。何もかもが右フック一発で解決できるなら、あいつもこいつも殴って、そして俺は自由になりたい。


2019/07/19

第十八環

 椅子と机がいくつも並べられた、理科室のような、壁には何も貼られていない、広い部屋。やってはみたがうまくいかず行き詰まった実験のせいで苦悩し頭を抱えるK氏。知らないなら黙っておけばいいのに適当なアドバイスをべらべら語りだすW氏。次第に隣席H氏の顔は紅潮し、立ち上がったかと思ったその次の瞬間には、手に持った30cmの矩尺でW氏を殴打罵声殴打罵声。痛みに悶えるW氏のうめき声。エビのように背中を丸めたW氏に容赦なく打ち下ろされるH氏の矩尺攻撃。キレたH氏は誰も止めることができない。いつまでも続く殴打罵声殴打罵声。
 いきなり殺風景な工事現場にいた。絶え間なく往来するダンプカーは、フロントグリルが真っ黒で近未来のようにも、悪の軍団のようにもみえる直線基調。後ろを振り返ると、2階建ての凸型の建物があり、このあたりが建築中のサービスエリアであることがわかった。建物に入ろうと引き戸を開けるとシャワーのように水が噴出。冷たい。行けない、これ以上中に進めない。一度そこから離れて、あたりを見回してみると、サービスエリアであるはずなのにどこからも、そしてどこへも繋がる道が見当たらず、周囲には無のみが存在している、試作された空間であると気付いた。
 建物の中に移動してきたのか、それとも建物がその位置を変えたのか。何かをしようとするが誰かが小言を聞こえるか聞こえないか程度に漏らす。すごく居心地が悪い。

ジョイント18

 いつまでもこんな調子でやってたら、俺が無能だと思われてしまうから、そんな事態は非常に受け入れがたい。君たちのスピードには合わせていられない。俺は俺のやり方で進めていく。


2019/07/20

第十九環

 区民プール、というところがどのぐらいの広さであるか、その想像よりも更に広い25mプールの一番奥のレーンで泳ごうと入水。いざ泳ごうと壁を蹴り出したのに、腕が自由に動かずに、体が前に進まない。いくら必死になっても、ゆっくりとしか動かない両腕。
 出たくなる、水から外に出たい、もう、泳ぎたくない、でも、いつしか全身の自由が奪われ始めてきた。沢山の人が周りに集まってきて、水中に足が並ぶ。ブラウン色のエキスが、その足から染み出してきて、プールの水は徐々に汚れてきた。
 建物の上階は武道場。上にどうやって来たのか、その途中の記憶がない。一瞬にしてまたプールサイドに立っている、ここは今どこなのか、錯誤。ごちゃまぜの空間に翻弄されて、水着からいつ着替えたのかも分からない。
 いつの間にか、山の上。遠方までよく見えて。天に雲ひとつ無いのが大事。時刻は夜の7時頃だろうか。彼方に球場の照明が見えて、ナイターをやってることに世界の幸福を味わう。後ろを振り向くと、別の球場が、さらに右を向くと、また別の球場が。合算3つの球場が一度に見える山上。美しい夜景。いつまでも見ていたいと思ったら、もう、今は麓に立っていた。例えばあの夜景をパノラマ写真として残していたら、どんなにキレイだっただろうか、と後悔したが、口には出さない文句。

ジョイント19

 くくくと笑う。ここがチャンスと攻める攻める攻める。グッバイ。突き詰めれば誰の問題でもなくてあなたの問題なのだから。


2019/07/21

第二十環

 ラップの暴力性。いちいち確認はしない。いちいち許可がないと中に入れないのに、注文してしまった宅配のピザ。雑草。うちらとは繋がりのない話。知らないふりをする皆。
 何度も枝分かれしながら、線は伸びていく。口を閉ざしてそれを見て、理屈を考え始めた。
 たった今から始まるから焦る必要はない。一体何を発表するのか。形のない不安と諦め。
 めりめりと両耳に詰め込まれる耳栓の異物感が気持ち悪くてよじる身。見たくない、聞きたくない、現実の何かが姿を変えたものなのかしら。

ジョイント20

 ライブ感が大事。打てば響く、聞けば答える。テンポの良さ。待たせません。すぐにお返事さしあげます。当日発送いたします。


2019/07/22

第二十一環

 スタミナがじりじり奪われていく感覚。工夫して手順を決め、それが形になる。ルールが徐々に定まって、でもまだ有り余る不安な感情。運動場の茶色が周囲にあって、真ん中には白い線で何かが描かれているが判別できない。いわゆる地上絵みたいなもんです。

ジョイント21

 少しずつ状況は変化して、今はただそれを見守るだけ。


2019/07/23

第二十二環

 警戒したほうが良いと直感を信じつつタクシーに乗りこむ。無口なドライバーが車を走らせてたどり着いたのは元いた場所だった。たぶん、それを3回ぐらい繰り返して、もう降りようと同乗者に告げた。企んでいる、このドライバーは何かを企んでいるはずだ。出してください、イスの下から私のスニーカーを出してください。いいえ、それではありません、私のスニーカーはそんな色ではないのです。スニーカーは結局返ってこなかった。

 タイヤが並べられた店内。色鮮やかなPOPが並んで購買の意欲を刺激。窮屈な出口をバイクに乗ったまま通過し、駐車場に留まっていると、オレンジ色のバイクが4台やってきた。単車に乗っているのは小学生。いずれも子供だ。ダッシュで突っ込んできた、そのうちの1台が私のバイクの下にめり込む。むげた靴。突っ込んできたことを謝らない少年たちに大人として注意したような、してないような、記憶はいつも曖昧だ。

 だいぶ時間が経ってから、アンケートを取るとの説明があった。タモリが表紙の雑誌を配布。フォーカスがどんどん甘くなって、すべてはぼやけて、もう何も識別できない朝ぼらけ。

ジョイント22

 結果がいつ出るかわかりませんが、良い方向に向かっていることは間違いないと思っています。なによりも大切なのは継続させること。毎日の積み重ねは僅かで、目に見える変化もなく、挫折しそうになることもあるかもしれませんが、いつか訪れるジャッジメント・デイ、きっとその時に、今の小さなことの堆積が良い結果をもたらしてくれるはずです。諦めないで。


2019/07/24

第二十三環

 でかいサンマがその上半身をくねらせよじらせている映像。うねる生命力が二百円というのは安いのか高いのか、七十匹。

 来たことがある博物館でなにかのグラフを見て深く悩む。

 昔からよく目にしていた建物と思っているが、実際には初めましての建物が目の前にあることに気付いて、いつのまに博物館内から、住宅地へと場所は変化していたのだと逆説的に知った。タイトな生活道路の向かい側にそびえるのは、異様な外観の、五重塔の断面図のような形状を壁に白で塗り描く。屈まった構造は、人が住むには各階が低い。一階から最上階まで小さな窓が付いているのが見えるが、ガラスの向こうは全く暗い。入り口がどこかも定かではなく、これは何であるか。形は立方体であるから、五重塔の形状は白い塗りであり、その外側を黒い縁取りで長方形の輪郭を描いているビルディング。グランとグランドの違いが気になっていたら、この建物は近く解体されるのだと、眺めていた隣人がつぶやいた。楽しかった思い出。

ジョイント23

 で、何のために、とか考えてしまったら、もうそこから先には行けないから、まだ見ぬ景色を見に行きたいだけなんです、結局の所は。そのためにはこうするしか他にないんです。溢れ出す全てをこぼさないよう受け止める器がほしいのです。
 澄んだ青空と力強い入道雲が、日差しと風とともに僕の体内に取り込まれて、今年の夏は乗り切れそうな気がしています。


2019/07/25

第二十四環

 過ぎ去る時間とその瞬間の全てを、この世界にいる人達は残す術を持たない。いかなるカメラもサウンドレコーダーも存在しないから、何が起きたのかを伝えるのは、脳裏にこびりついた僅かな端切れだけ。煙のごとく、手を伸ばせばエントロピーは増大し、ふたつの世界を行き来できる唯一のエンベロープは姿を消してしまう。有耶無耶とむにゃむにゃのサーカス。

ジョイント24

 住む世界が違う、進む目的地が違う。あほくさと思ってしまう僕にはできないことがたくさんあってそれは生きづらさに加担している。かといって生きづらい日常に不平は言わない。一歩踏み出し、はみ出せばそこはもう別の世界なのだから、なにかいいことあるかもしれない。


2019/07/26

第二十五環

 今いるのは東京都町田市であるということを誰かに聞いたわけでも、周囲のどこかに書いてあるわけでも、その景色を知っているわけでもないのに、そう認識しているのはなぜなのだろう。
 美しく黄金色に輝く建物が見え、あれは市庁舎だという話だ。誰かの声がしたが、音はない。入口がどこにあるのかわからないその建物の外観は、巨大な箱の上にもうひとつ小さな箱をおいたような形をしていて、南米のピラミッドを思い出した。

 誰そ、今井ひろ子。

 後悔、消えてしまった重要な記憶。

 暗い、おそらく外だ。だらだらと行例を歩く人達。昼食を食べた後のような気分であるが、暗さからするともう夜なのだろう。動いたり動かなかったり。料理が盛られていた食器を返さなければならない。今はどの辺だろう。堆く積まれた食器、の前方に蛇口とシンクが見えてほっとした。他人には任せられないから自分でやっとこか。かなり年の離れた後輩の後ろに並び、順番を待ち、そして、食事の皿を返却した行い。

ジョイント25

 体力を使い果たしましたので、これ以上何もできません。何も思いつきませんし、思いついたとしても書き留める気力も湧いてきません。今から泥のように眠る事だけが私の望みです。労働と休息と自慰のワークライフマスターベーションバランスを慮って生きていきます。


2019/07/27

第二十六環

 すんなりとロボットである事を受け入れ、今、手術台のような場所でうつ伏せの状態。一体何をされるのか、見当がつかないまま、前方の壁を眺めていると、H氏がやってきた。
 たくさんの質問をしてくるH氏。次第に、嫉妬が高まってくるのが背後から伝わってきて辟易。君より賢いのは厳然たる事実なんだ、仕方ないだろう、と心のなかで思ったが、口には出さない。今以上に関わりを持ちたくないがゆえの自衛手段だ。だいたい、高性能だと言われても、それはベンチマークの数字で良い結果を出すためだけの性能であって、実際の条件だとまた違うのだとも言いたかったが、もう、どうでもいいや。
 やがてH氏が作業をし始めたのを背中で感じ、即座に死の字が浮かぶ脳裏。両手でH氏は背中から何かを取り出す。
 すると意識は途切れ、死にました。
 絶えた生命活動は、ふたたび背中に何かを戻されたことで、意識もまた蘇り、どのくらいの間死んでいたのだろうかと考えてみたがそこに空白はなく、生きていた時と蘇ってからはピッタリとくっついていて、そこに死んでいた記憶などなかった。

 建物の2階。以前勤めていた会社の社長が何か実験を行っているような雰囲気。球体、円形、リング状、の何か。傍らにいる7~8人のスタッフらしき人は、やや女性の比率が高い。一瞥するも、どの人とも面識はない。一切感情を表に出さないスタッフらしき人は奥の部屋に移動。後ろを付いて社長も入っていこうとしたので、社長に向かって、今日で会社をたたむそうですね、と話しかけたが、返答はない。一般人、関係者外、入室禁止。したがって奥の部屋には入れないのでそれ以上は何もせず。

 図工室の隣の教室。月がわからない。今はいつ頃なのだろう。腕時計のデジタル液晶画面が、今日は0日の10時だと表示。
 じっとしていられなくなり、教室を飛び出す。すっからかんの廊下、周囲は暗い。今は夜なのだろうか。駆けていく、勢いが増す。全てがうまくいくような気分に包まれて、全力で走っていくと。
 トイレの前まで来て、棒人間、頭部が丸で首から下は漢字の大のような黒い線のみで構成された人、と出会った。高さは大人の腰ぐらい。
 いつかどこかであったことがある気がした。手繰り寄せる記憶、しかし彼のことをを思い出せない。いや、そんなことはもうどうでもいい。一瞬の間も置かずに、彼にサムズアップすると、彼もそれに応えて嬉しそうに体を動かす。
 すると、次に出会ったのは吉田さんだ。だが、それは佐藤さんかもしれない。いやもう、そんなことすらどうでもいい。
 今、目の前にはスタローンがいて、そこにやってきたのは掃除のおじさんの佐野さんだ。誰だっていいのさ。佐野さんが掃除のおじさんかどうかなんて知らないし、本当はそんな知り合いすらいない。一切、全ては幸福と興奮で満たされていて、もはや正しさを必要としていない。生きることってこういうことなだと思っているのです。

ジョイント26

 すばしこい蜘蛛がカーペットの上を動いては止まり、また動いては止まる。椅子に近づいたかと思うと、今度はテレビ台のキャスターを気にしている。ゴミ箱が作る小さな影に入ったクモは、すぐに向きを変えて机の下に入っていた。気がつくと、また、元いた付近に戻ってきた。クモよ、次にどこへ行くか考えているのか。


2019/07/28

第二十七環

 彼方の国。日本でデビューしたいメキシコ人ミュージシャンと出会う。うまく仲介してほしいと近寄ってきたのは向こう。打つ手は早く、動きは止めず、早速、曲を作り始めていると彼は言うが、どんな曲なのか聴けないまま、話は進む。
 無駄のない行動により、彼はもうひとりのメキシコ人ミュージシャンとコンビを組むことを決めた。

 互いに罵り合うふたり。理由は曲をパクったことだという。うろめく周囲の人達。着火する感情、たちまち喧嘩となり、ふたりの取り巻きを含めた抗争へと発展し、人々が殺し合う。

 うそだった。巧みに仕掛けられた、彼らがデビューするための話題作りだったことが発覚。
 クソだな。なんでそんな奴らに協力しなければならないのか。勝手にやれよ。他所でやれ、どっかいけ。嫌悪。思いっきり騙されたわけだ。だが、それがきっかけであれよあれよとデビューする事に。
 苦虫を噛み潰すよりも嫌な気分を味わったがそれだけではなかった。手綱を引いていた、裏の仕掛け人がT氏であり、もとから彼らは知り合いだあったと露呈。
 一切合切、騙されていた。

 断ち切られた時間と空間に、ダシを取るための部屋が与えられ、それでも思考の整合性は崩れていない不思議な世界。
 いい加減始めなければもう間に合わないので曲順を決めよう、と提案するが誰もいない。

 行き先はどこだろう。上の空、花を贈りたがいずれ枯れてしまうことを心配していると、心に差し込む太陽の光。リズムが動き出す。西瓜。

ジョイント27

 買ったばかりのカレーパンをパン屋の駐車場で頬張りながら、これから40分ほどどうやって時間を潰すかについて悩んでいた。他に悩むべきもっと大きなことがあるだろう、とカレーパンを頬張る僕の中の僕は僕に言ってみるが、かと言ってそれで何かが変わるわけでもないことを2人の僕は知っている。きっと何も変えられない。


2019/07/29

第二十八環

 いけると思ったので後回しにしたら案の定、雲散霧消。うっすらとさえ見えない、何も映像が再生されないので巻き戻すこともできず。頭蓋骨。
 次々にやってくる人。取り合う1コンはプレイステーションだろうか。書き留めておこうという意欲はとろけて形を留めない。

ジョイント28

 いやー、もう困っちゃいますよ。すいませんほんとに。才能あるのばれちゃうなー。できちゃうんですよね、ほんと。あっという間に出来ちゃう。ちょちょちょいって、ぺんぺんぺーんってなもんで。


2019/07/30

第二十九環

 出ていく流れをせき止めようという判断を下してしまうのは欲求が駆動するせいだ。大丈夫、今日はうまくいく気がしてならない。いったい、そうやって何度失敗してきたのかと円柱状のぐるぐると回るイエスとノーの、具現化した思考。
 うっすらと半透明の人。途切れがちのパッチワークのように、決して単一ではない人。
 遠くに行きたいと思う。海が見えるところ。ロード。どこかここから離れて作ろう思い出。

ジョイント29

 出てくる言葉は常に他人を貶してばかり。そんなことばかり言って、周りが不快になっているということに、気付いているのか、気付いていないのか。一事が万事、だから、あんたはその程度の、軽んじられる人間なのだ。


2019/07/31

第三十環

 大豪邸。いくつもの部屋があり、そこにいるのは、知ってるような知らないような、存在だけしている人たち。

 ちょっとばかり頼りない、心配だ。だって1:1だと、チャンスは一度切り。理由、何かしらのミス、例えば体調不良。うまくタイミングが合わない、そういう可能性も考えられるから、1:Nの目覚まし時計を開発した。たくさん並べられた文字盤が同じ時を刻み、それぞれが待ち構える鳴るベルの時。共有したくなって、そして軸が増えて、N人がN個の目覚まし時計を分け合い使う新時代。

 意味などなくても良い、VXVXと言えば良い。

 色気のある赤い髪の女性が、顔を覗き込んできて、口元にニキビがあることを指摘してきた。たちまち、気にしていたのでイラつく。薬指から中、人差し、順に3本の指でニキビを触ってくる女。何も言えず、ただ触られるのみ。見てみよう、この女の顔。お綺麗な人。

 途端に、女の顔が剥がれ落ちて、ぽろぽろと落下していく。くすんだ肌の色。老人の雰囲気。気味が悪い。いつの間か、そこにいたのは和田アキ子。こいつが変装していたのか。

 壁は薄汚れ、上を見れば、黒ずみ。満ちてくるように、器に水が。我慢ならない気分だ。だから大声を上げた。

ジョイント30

 大量にあるゴミ同然の在庫の中から、ばしっと一発。最高の掘り出し物を見抜いてしまうのが僕なんです。審美眼っていうんですか、鋭い嗅覚っていうんですか、自分のポテンシャルの高さに今日もくらくらしてきます。僕に任せてくれたら、世界はもっとハッピーになれるのになあ。


2019/08/01

第三十一環

 悪化する状況に打つ手なし。症状も何も、今の段階ではわかっていることはほとんどない、フリルという病気が流行り始めているらしい。一蓮托生として治療費を皆で支払うことになったが、納得はしていない。

 一番ダントツで高い場所、高層ビルの屋上にデスクを並べて働いている10人ほどのサラリーマンたち。眺望が素晴らしく、手が届きそうな距離に立山連峰が見えて興奮してしまう。美しい山々。周りの人たちも言う、ここで働くのが大好きなんですよ。よくわからない、なんでこんな屋上にオフィスがあるのか。風が吹けば人も紙も飛んでいく面倒臭さ。山頂から中腹までは雪で覆われており、絶景である立山連峰以外に良さがない。

 移動し続けて結果、狭い道へとクルマで入り込んでしまった。たちまち行き詰まるドライビング。ぐりぐり、後ろから老人が運転する黒い車がねじ込んできて気分を害す。すぐ横右隣にスペースなど無いだろ、どうして侵入してくるのだ。大事なクルマの側面に傷を付けられて、こら、おまえ、なにしとんじゃ、どついたろかあ。

ジョイント31

 開いた口が塞がらない。クルクルパーののすることなど、底の底まで意図がお見通しだ。


2019/08/02

第三十二環

 脱線していく会話。忘れていってしまうから、何の話でしたっけ。結論も特になく、今は定期券の事を言っているな。
 中に一本金属の棒、棒というよりは太い針金が真っすぐ走っていて、それに薄茶色の正体不明の物質が螺旋を描くように巻き付いて、それがどこまで続いて。手で触れたわけではないから、それが物質であるか形をもたないガスや光であるのかもわからず。ずーっとどこまでも伸びていく針金と薄茶色。
 6時。時刻を表示することが目的のデジタル時計の数字がひとつだけ見えて、6時の朝だと思った。たちまち、場所が変わって、居間だ。だんだんと陽が差してきて、部屋の中が明るくなり、そうか、この部屋は2面がガラスだから、とても明るい特徴が。ガラスの向こうは狭い狭い庭。わずかに大人の足、2足分ほどの奥行きで、その先はコンクリートで固められた石垣。きっと石垣、今は元石垣。きちりと締め切られたガラス窓と、開け放たれたガラス窓。どうにもここは落ち着かないから、開いた窓から外へ出よう。うなされるのはもう嫌だ。

ジョイント32

 ダウナーな気分です。突然地球が爆発して地球人全員木っ端微塵になって、マグマの熱で蒸気になって消え去ってしまえばいいのにな。突然刑法が改正されて、人生の中で3人まで殺してもセーフになって、とりあえずお前や!て言われて知らんおっさんに瞬殺されたいな。


2019/08/03

第三十三環

 眺めている、下向きに急角度。どこか高いビル、あるいはタワーから見える地上の様子。ストリート。通りが格子状に走る街の一角。車がたくさん走っていて、遠くの方では競技をしていたり、中心部では検査をしていたり、周囲では普通に一般道を走行している。ルールを決めようと頭に思い浮かぶ。

 ブチ切れて老婆に罵声を浴びせたような気もするが、何一つ確かでない。いい加減にしろという気持ちの面影。

 幻想的な霧の世界。いきなり、驟雨、驟雨、驟雨、と脈絡なく言ってしまう。譫言。飛び跳ねながら歩いたり走ったり。リズムが楽しいのだ。
 段、段、上から下へ、階段状になっていて、下に何があるのかわからないまま降りていく。暗くなってきて狭くなってきて、人間の大きさは概念の中だけで有効となってしまいました。

 丈は膝ぐらいの草むらが窓の外に見えて、窓のそばに置かれたガラス瓶には満たされたお湯。湯気が窓を曇らせていることに安心を覚えて、誰もいないのにひとりで話し出す、湿度は大事だな。

ジョイント33

 何がしたいのかわからない人たちに何を言えばいいかわからない僕。結局今日も何のひとつも解決していない。「みんなちゃんとしているのに、そんなしなければならないことをしていないから私達はヒマなんです」と誰かがラジオで言っていた。つながらない2つの出来事が、僕の頭の中ではつながっていて、でも、そのつないでいる言葉が今はまだ透明で見えない。


2019/08/04

第三十四環

 インターネット上に存在する巨大なデータベース。すべての情報がそのシステムの奥深くに眠っていて、接続し、解読しようとすると、脳みその中に理解不可能な文字列が渦を巻き始めてしまう。

 ウインタースポーツ、スキーショップ。プランを語ってくれる店長。映し出された写真には雪が積もった自宅。詳しく説明してくれて驚きの事実。つまり、あの人が来てたんですか。かなり前ですよね、いつ頃でしたっけ。
 決して広くない店内にはたくさんの客がおり、たくさんの商品が陳列されていて。店内の床を少年が突然電ノコで半円状に切り始めた。ためらいのない行動。嬉しいです、いろんな事を知れて。

 手早く着替えて、出発すると、TH氏が廊下の角を曲がったところに立っていたので、一緒に滑りませんかと誘う。薄くなっていく記憶。

 クルマが展示されている場所では周囲の人の発する騒音が大きいせいで、声が聞き取れない。今なんと言ったのか、勝手に想像で返事すると、そんなこと言ってないと怒られてしまった。高い背の車、セレナの説明。

ジョイント34

 いとおかし、いとおかし、ああ、いといとおかし。いとおかしいよ。いとほんとおかし。おかしすぎてあたまがどうにかなりそうだ。おかしいのはだれだ。だれのあたまがおかしのか。


2019/08/05

第三十五環

 川を歩いて遡っていく人たち。見上げると片方には民家が並んでいる。るぬるぬした苔が岩に。濁った水のせいで川底は見えない。行けども行けども川は続く。苦しみも続く。草が生い茂り、背の高い木が現れてきた。

 貴い雰囲気を備えた人が立っているのは中庭のちょうど真ん中。囲む三方、巨大な館は西洋と明治。じっと立っているその人は黙読書士。静かに声を出さずに本を読むことを極めた人だ。黙っていて何も話そうとしない。

 いつの間にか、ここが中庭ではない場所、それはどこであるかは何も情報がない、になっていた。訊ねてくる横の人が誰なのかもわからない。いるのかどうかもわからないその人は何度も同じこと質問してくるのでとてもうざい。曰く、あなたの祖母はどんなひとだ、と。

 途中で断絶するのはいつものことで、結局なにも改善していないし、前進していないから、いつものように落胆してしまう。うっかりではない、何度同じことを繰り返すのか。

ジョイント35

 風が、昨日までとは違って、幾分涼しいので、開け放した窓から入ってくると、とても幸せな気持ちになった。テレビでは、ジンベイザメが口をめいっぱいに開けて、プランクトンを吸い込んでいる。その大きな口の口角のあたりに眼があるのだとテレビは教えてくれた。単独で悠然と大海原を生きていく。


2019/08/06

第三十六環

 暗い部屋は静かで気温という言葉が存在していないように思えて、また無を挟んで、そして空が白んできた。叩きつける雨の音だろうか。傾きなくまっすぐ下へと落ちる雨の様子が頭の中で再現されて、そしてまた無が訪れて。
 手際よく書かれたメモ。もう一度読む。昔行ったことがあるように記憶している古着屋の雰囲気。記念に買うと言ってロンTをレジに持っていった。

 単語としての民家。形とか意味とか音とかがそれに備わっていて、では今、その要素の何をキーとしているのか、それがさっぱりわからない。いつも何かが足りない。

 イメージだけが発生して、そこに登場人物も具体的な情景も何もなく、祖母の死がほとんど透けきった無色で、これを表す言葉があるのか、おそらくないのだろう、それがそこにある、あるという動詞を使うのが正しいのかどうかもわからない。意識せずとも機能する部分だけで捉えているその場所へ手をのばすも遠く。

ジョイント36

 クッキーを食べて麦茶を飲んで、もう一枚クッキーを食べてまた麦茶を飲んで。今日の僕がしたことといえばそのぐらいです。だめだ。こんなことでは世界征服なんて到底出来そうになく、そして夜になって、自分の成したことの無さにまた焦るのです。


2019/08/07

第三十七環

 勧められるままにお見合い教室に来た。たくさんの長机が並べられており、それぞれに1人ずつカウンセラーが配置されているセッティング。ぐいぐい割り込んでくる他の参加者にいらついてしまう。うまくバラけさせて、マンツーマンで面談をすればよいのに、どうしても入口付近のカウンセラーに人が集中し、度々遮断される会話。
 割と古いモデルのノートパソコンをカウンセラーは使用していて、使いづらいのではないかという心配。

 いきなりカウンセラーは上下緑色のスーツを着て外を歩けと提案してきた。単なる緑色ではなく、眼が痛くなるような鮮やかな、絶対に誰も着ないような黄緑がかった緑色だ。

 だが、今日はなぜか素直に応じてしまった。たちまち歩行者の目線が集中することとなり、しかしなぜか、嫌な気分ではない。
 行きは歩いていったが、帰りは車に乗ることになった。たまげたことにクルマも同じ緑色をしていて、いよいよ奇矯じみて、お見合いどころではなくなってしまったことが少し残念に思えて。

 テレビの撮影だろうかと、近づいてみると知っている芸人がロケ中。うわ、前から好きだったんです。好きな証拠はなんだかんだと話しかけていると、いつのまにか周りに誰もおらず、立ち尽くす。

ジョイント37

 すっきりと疑問は解決したので、今日はとてもすがすがしい気分です。やはり私は天才なのだなあと思いました。こんな素晴らしい才能の持ち主は世界に何人いるでしょうか。


2019/08/08

第三十八環

 かつて訪れたことがある気がする自転車屋。山に行くわけでもないのにマウンテンバイクの改造をしてもらいたくて、まずは相談だ。誰に聞けばよいのかわからない。異常に広い駐車場は舗装されておらず、それもまたマウンテンバイクにぴったりだと勝手な解釈。クルマは一台も停まっていない駐車場を歩いて進み、店内に入った。

 高値で売れたことを店長に報告したら、喜んでもらえて。テンション上がったよ。4万円ですよ、他人からもらった本を売ったら4万円になりましたという報告です。すっかり自転車のことなど忘れてしまっている人達。

 ちょっと派手な黄色のコート。問う、これは何というメーカーのコートだ。旦那、K2です。スネまで隠れる長さ。さっと被れるフードが付いており、フードの先は透明のバイザーが付いているので、雨の日でも視界が狭まらない。いいものです、と勧めてくる店長。後ろを振り返ると、奥から店長の両親が出てきた。大変人の良さそうな人だなという感想を抱く。

 クルマのサスペンションを交換すると車高を下げる事ができると言う人。通る、ひっきりなしに、国道にはクルマが走っているのが見える。ルックアップ、斜めを見上げると道の向こうの向こうに3階建民家が見えた。高い高さの家の3階壁面にはグラフィティが文字のような文字でないような模様を繰り返していて、下手くそという感想しか出てこない。

 一度考えさせてください。今すぐ買うかどうかはちょっとわかりませんので。でも、このコート良いと思います。するりと躱して、狭い廊下を横歩きで抜けた先には戸があり、戸を開けようとするも、その先も狭くて戸が30度ぐらいしか開かない。痛い痛いといいながら挟まりながら廊下へ出ると、コンクリート打ちっぱなしの、壁も床も荒れ果てたトイレがあった。単なる床の穴をトイレと認識しただけとも言えなくはない。いくらなんでもこんな場所で用を足せるかと、憤ったほうが良いのか。

ジョイント38

 考えれば考えるほどやるべきことが増えてきて、仕方ないので、とりあえず思いつくままにリストアップしていけば、こここれはいわゆるオーバーワークなのではないでしょうか、とどきどきしてきました。大丈夫なのでしょうか、これ、全部片付けられるのでしょうか。よくわかりまっせーん。というか、どうやってやれば良いのかわからないこともたくさんあって、もうどうにでもなれと僕は誰かを殴りたくなりましたので、晩御飯を食べました。


2019/08/09

第三十九環

 例え話。宗教で考えてみるのか。仮定として仏教徒である誰かが他の宗教に乗り換える場合の物質的・精神的な困難さ具合。
 移行方法について考えてみているのだろう。上の方、頭の上の方に、比喩的な霧が漂う。渦が巻く。組み合わせが無限大の数だけある広がり。

 リブートしています。進んでいく、左から右へのプログレスバーの描画。
 画面の向こうで草野球。打つ人、バッターは中川家礼二。冗談を言う。うまいモノマネ。ネタを連発。疲れるほど笑わせて、一塁へ行く。狂っている順番のせいで、今になってプレイボールと言うアンパイア。ああ、これはテレビ番組か、今頃になって気付いた。

ジョイント39

 短時間でちゃっちゃと片付けてしまいましょう。僕は忙しいので。


2019/08/10

第四十環

 出川と誰かが食事をしているので、それはテレビ番組の撮影だと想像した。食べている途中に、女子アナを2人を呼ぶことになり、そこから先は視覚の記憶が途切れてしまい。いつしか誰もいなくなり、いや、女性が1人だけ。
 結局同じことじゃないですか、と言って、それで終わった。

 たちまち話は展開し、出掛けることになったので、車を運転して、生活の外に出。では、だからといってどこへ行くのか。考えがまとまっていないのにクルマは動き出す。
 少しの間、ぶらぶらしていればよいだろうというアイデア。あ、でも、予定を立てておいたほうが、という迷い。
 行って、また、どこかへ行って、を繰り返して、その繰り返していることは確かなのだけれど。どこ、の部分がすっぽりと抜けて落ちて、どこ、が抜けてしまっているとなれば、目的も結果も導き出すことができず。随分と穴だらけの思い出。

ジョイント40

 でっかく成長した期待を、それでも超えてくる人や物がある一方で、ふーんそんなもんか、とがっかりすることもよくある。きっと美味しいに違いない、食べてみましょう。2回目来ることはないね。二度と来ないとけなすほどではないけど。その言葉選びの境目にある味や感動。


2019/08/11

第四十一環

 うるさい野郎だなと思いながらも、相手は上司だから、へえと説教を甘受して聞いていた。たんま、ちょっと待て、あなたいくつですか。かなり年下で、しかも後輩じゃないか。完全に立場が逆転し、何を偉そうにものを抜かしとんねんと、怒り爆発。

 突き当りを左に曲がると、坂道が見えてきた。大層、急な坂をバイクで必死に登っていくが、パワー不足で全然進んでくれない。いっぱいまでアクセルを開けても、とぼとぼとしか進んでくれないこのバイク。苦しそうな唸り声を上げるバイクがなんだか可愛そうになってきたので、横を追い越していこうとした他人に頼ることに。兄ちゃん、ちょっと肩貸してや。野球のユニフォームを着た男性のバイクがぐいぐいと引っ張ってくれて登り坂を乗り越えた。

 平らになった道を更に進む。向かうは取引先。奇妙な光景が目の前に表れて、掛ける急ブレーキング。グロテスクでさえあるその光景は現実とは思えない。家の塀から、反対の家の塀まで、つまり道の端から端までを、バリケードのように塞ぐのは、巨大な鮭の切り身。3つか4つぐらいの巨大切り身が道を封鎖しているではないか。

 返す踵。すぐに報告。暗い社内。一切誰もリアクションがない。異常事態ですよ、どうして誰も驚かないんですか。悲しくなってきて、もう、決めた、今日は休もう。

ジョイント41

 運と直感だけで行動すると、たまに成功するので、次も大丈夫だろうと勘違いをしてしまう。殆どの場合は、僕の運はハズレを引くし、直感は反対の方へ走っていってしまう。だから、ちゃんと調べておかないといけないと、思っていたのに、また電車は僕を追い越して、行っていってしまい、遮断器の開いた踏切で立ち尽くす。


2019/08/12

第四十二環

 すらすらぺらぺら英語を話す母。初めてそんな姿を目にしてたじろぐ。

 ぐっと視点が上昇し、空高くから見下ろす大河の流れてゆく様。曲がりくねった川には、油面のようなきらきらと輝く膜。空中からそこへ飛び込めば、トランポリンのようにバウンドし、沈むことはないと、誰だ、誰かが、説明してきた。

 絶え間なく説明されるが、これからやる事がなんなのか、まったく分からずにストレスが溜まって、激怒。どいつがどいつに怒っているのか、もはや把握できない状況。

 牛の乳、牛乳。売り場を任された女の店員はバイト。突然、牛乳をぶちまけた。

 大量の商品が並ぶ、おそらくここはホームセンターだろう。うっすらとまだ先程の激怒した空気感が店内に漂う。売れ筋のチェーンソーを紹介してくれていた、お前は誰だろう、知っているような気もするし、知らないかもしれない。いきなり、このチェーンソーで人を攻撃する方法を説明しだしたので、流石に引いてしまった。多分、このままではこの店の中の誰かが誰かを殺す。

ジョイント42

 座れ、座ってくれ。お前が仕切るな。張り切るんじゃない。身振り手振りを加えつつ、情報交換するんじゃない。後でお願いとか、口パクで伝えようとするな。じっとしろ。座っとけ。ウロウロせずに、最初に座ったところで何もするな。いま、荷物の受け渡しをしなくてもいいだろ。全体の盛り上げ役などやらなくていいから、今はただ、じっと座っていてくれ。


2019/08/13

第四十三環

 例題を作り、各人が与えられた人物を演じつつ、その題に答える形で、取引先とのディールをシミュレート。ときにこれをロールプレイとも呼ぶ。部門全体で一致団結して取り組む。無知で理解力のない取引先の経営陣は長年の家族経営であり、トップは兄弟ふたりが努めているとの話。しかるに、この兄弟のアホさのせいで、まったくもって交渉が前に進まない。今いるここはどこだろうか。家具も建物も古めかしい、純和風の豪邸。

 勢いよくエンジン付きのボートが別の船を引っ張り始めた。タッパーを巨大にしたような四角くて、白い船。
 寝た体勢でその白い船に乗り込むのだそうだ。だから、空が見える小さな小窓。どんどん速度は増してゆき、タッパーは浸水しないのでそのまま潜水艦になった。
 対岸にたどり着いたタッパーは水面へと浮上。浮いている不安定なそのタッパーの上で、見得を切る中村獅童の意図がわからない。

 いきなり場所も季節も変わったが、驚かないのは、それが誰の視覚から得られた情報なのかも不明だからです。スキー場、真冬。雪の上を脱兎のごとき勢いで滑り降りていくスノーボーダーの姿。体勢を崩して転倒したのは、若手の有望選手だと知っているのはなぜなのだろうか。かっ飛んでいって、そのままの勢いで遥か向こうまで転がり続けていくと、そこはもはや日本の雪山ではないどこか外国のような絶景。今さっきまでいた場所は遠く。首を反対側に向ければ、そこにも別のゲレンデがあるのが見えた。たくさんの滑っている客。クルマでは行けなさそうな、あんなところにゲレンデがあるなんて知らなかった。立板で区切られた中央部分には、垂直に切り立った崖を皆が平然と飛び降りているコース。スリル満点の行為。今、それら全ての光景、すなわち、元いた場所、転倒してたどり着いた場所、転倒した選手、向こう側のゲレンデ、を上空から見ているこの視点は誰なのか。カメラで撮った映像なのかとも思えてきた、これ。

ジョイント43

 レースのカーテンを通して外から生暖かい風が入ってくる。台風が近づいている。明日は雨が降るだろう。昨日、窓の外をうろついていたスズメバチは今どうしているのだろうか。


2019/08/14

第四十四環

 絡み合ういくつもの条件をすべて満たした結果、目覚まし時計がいつ鳴り始めるかを目で見なくとも正確に把握できる能力を身に着けた。タイミングは絶対にずれない。いくつもの数字が頭の中に浮かんで、あらゆる目覚まし時計を把握。
 空を指先が舞う。上積み、さらに触らずとも自動的に止めることもできるようになった。

 建物の内部が入り組んだ構造の雑居ビルの2階。1本しか無い廊下が壁で断絶されており、3階へと行くことができない。いちいち、外へでて、別の扉から3階に入るのが面倒だという話。しょうもない問題。いいですか、それならこうすれば解決だね。念じた瞬間、2階から3階へ移動していた。たしかにこれはテレポーテーションというやつです。すり抜け壁や跳躍力ではないので。できますよ、誰でも。もっと、身につけたいという気持ちを高めることが重要なんじゃないですか。

ジョイント44

 辛口の世の中。誰もが優しい聖人君子じゃないのだと知る。鍵を開けて中に入ろうとする人。ポケットから財布を掏ろうとする人。


2019/08/15

第四十五環

 とにかく暑くて暑くてかなわない。一体どのぐらい暑いかというと、暑さのせいでバスに乗れないほどのひどさ。

 探しているが、その人が見当たらなくて困った。頼まれていたノートを渡したいのに本人がいないから。

 ランダムに発生した信号の組み合わせによって生み出された情報。打つ人がバッターで受ける人がキャッチャーで。デモンストレイト。取っ掛かりがあるのだろうか。叶えたい夢でもなんでもなく、日本で最初の、キャッチャーとして参加していいバッティングセンターについての話。

 しばしっこい水色の恐竜は小さくて可愛らしい。

 いわば、象徴であるのだ、きっと。時折出現する大きな玉。丸い白い、あるいは無色透明の玉ををトミーズ雅とやり取り。理由や目的は一切ない。

 移動はバスに乗って。

 天球という言葉がそのまま正しいような、頭上を覆う満天の星空。らら、きららと星の輝く、埋め尽くす。素敵な夜のひとときをあなたと。

ジョイント45

 とりあえず忠告だけしておけば、後から文句を言われることもないだろうという考えが蔓延してしまっているのだ。ちょっと盛っておくぐらいにしておこう。最大値だと言い張ってしまえば問題ないだろう。
 何も起きていなくても、何かが起きそうだ、起きる恐れがあると言っておく。そう言うと決めたから起きているかどうかなど関係ないのだ。


2019/08/16

第四十六環

 だんだんと意図的な思考が入り交じる中で、様々なことが起こってゆく。くっきりとした輪郭のゴシック体で表されたyartという文字。実験的プロジェクトというありふれた企画の詳細は、ヨシモト・アート、その先はどんな単語の頭文字であるのか分からない。いいよ、別に。興味ないから。
 来週または来月から始まる、または始まらない番組。見るならEテレで。出るのは岡村隆史、タカシ・オカムラ・サイエンス。すでにスタートしていた。玉ねぎを作るための土作りの回で、ゲストはFUJIWARAのお二人。

 陸と海の境界線で作るアート。遠くから流れ着いた流木。黒い砂は少し湿って。手作業で複雑に組み合わされたそれらを、撮影し、コマ送りで再生してみて。

 手帳よりももう少し大きい、黒い表紙の本が机の上に。二次元であるはずの表紙の上の白い文字が、縦を中心軸として回転し始めた。たちまち文字は次々と別の文字に変化。変わり続ける本のタイトル。ルーレットのごとく、目まぐるしく変化。可読性は低下していく。

 黒い太い線で描かれた上野の街並み。右端に西郷隆盛像。上へ向かって伸びるいくつもの高層建築物。伝えたいこと。当然、お肉について。

 展覧会を開くという話。主客転倒をテーマにするという。うまくいきそうな気がせず、とても心配だ。

ジョイント46

 大丈夫ですよ、何やっても良いんですから。あなたが思うように、あなたがやりたいことをやりゃ、それでオッケーです。誰にもとやかく言われるようなことでもないのだから。壁にかけた時計の針がいつもより細く見えるのは、気持ちが、どこにも掴まるところがなくてふわふわとしているからなのだろうか。


2019/08/17

第四十七環

 囲まれた。沢山の車内の人間らしき存在感が口々に何かやってみせろと迫ってくるので締め付けられる心。狼狽し、森へ逃げていく。苦しみ、走り、考え、ひねり出そうとするが全然何も思いつかない。行き場を失い、元いた場所にふたたび立つ。貫く、目に見えない何かが頭から足へと。とっさに口に出たのは、バック転しますの一言。とりあえず、助走し、側転し、したこともないバック転をやってみるが、当然のことながらできない。いちばん最後にどうなったのかは曖昧なまま。

 真っ白なサンダルを履いたきれいな女。なぜ顔が赤いのか。勘だが、飲酒のせいだろうか。

 形はバスであるが、それがバスであるかどうか、断定できるだけの情報がない空間の中で椅子に座る人、立っている人。統合して、その人達と空間そのものを見守る行為。

 一挙に4元号が並ぶ。物質を伴わない方法で並べられた、大正・昭和・平成・令和。

 わかっていない人が多いので、説明することになった。たくさんの動物と、たくさんの鳴き声についての調査結果。

ジョイント47

 加速していくと自分の体も心も自分ではないような気になって、普段ならやらないことをやろうとして、判断を誤り、ミスをする。ミスをした。しかし、なぜだろうか、今、後悔していないことの理由が分からない。それどころかミスして陥ったこの状況をまるでずっと求めていたような気さえしている。私には破滅への欲求があるのだと、うぬぼれてしまうのも今は許そう。


2019/08/18

第四十八環

 後ろを振り返って不審者はいないか。限られた人数だけがその場に居合わす飛行機は上の空。ライトが消えて薄暗い。一体、スリはどこから狙っているのか。確認確認を繰り返し、しばしばポケットの財布の存在をマイ手から安心させ。

 セットの奥から濁流が襲いかかり、吉本新喜劇の出演者を丸呑み。
 みるみるステージは激しい大河と化し、逃げるまもなく全員流されていく。

 暗く狭い資料室。疲れてきているが、それでも古い映像を静かに見つづける。
 ルールを守らず、やかましくするやつがおり、気になるが、注意する気力が今はない。

 イケてる何らかの電子機器。貴重なニューモデルを手に入れた。
 試しに使ってみようと移動し、給湯室。ついさっきまで持っていたはずの機器は消え去り、機器を使うという目的ももう忘れてしまって。天井から壁伝いに下りてきているパイプは2本あり、入口付近とやや奥まった場所にそれぞれ蛇口が設置。
 ちょっとだけ蛇口を緩めたら、案の定、床に水がこぼれて、ため息。

 来たければ来たらいいし、帰りたければ帰ればいい。居るか居ないかは自由な仕事あるいは授業。動きを誰にも注意されない。入り口はガラス張りで外の景色が見える。ルールなきこの集団に何を期待すればよいのだろう。

ジョイント48

 ウザいあの人がいないだけで、こんなにも違うものなのかと驚きを隠せない。あなたがいないと成り立たないのよとあなたとあなたの信奉者は思っているかも知れないが、あなたがいなくてもことが停滞せずに、いやむしろいつもよりもスムーズに進んでいる、このことがすべてを物語っているんですよ、と無関係な2名を思い吐露。


2019/08/19

第四十九環

 ロングな机に5~6人ほどの人。とっておきの演出で飾りつけているここは地下。階段で降りて来れるコンクリートの部屋。やろうぜパーティ、でも段取りが大変だ。誰ですか、知りませんそんな人、内線電話で呼ばれるが分からない。

 一部と二部でゲストは入れ替え。えーと、誰だろう、この人達は、知らないが見たことはあるような気も。ものすごく人気のある男性声優らしき3人組。

 水も食べ物も何も用意されていないので、取りに行くことに。匂いがする方向へと歩いていく。暗い廊下を過ぎた先。きれいに並べられた食器、弁当箱。コンパクトなプラスチック製、フタは黄色と水色。  廊下は更に続き、いつの間にか庭が見えてきた。大層立派なお寺が遠くに建つ。つまり、ペットボトルを貰いに行く手前の道。

 知識が現実に追いつかない。意味がわからない言葉が。画家。歌唱代行業。薄明かりの進路。

ジョイント49

 労するだけ無駄なので、限界まで削り落として一瞬で終わらせる。事務的に進める。有無を言わさぬ、選択肢を与えぬ。かと言って無理は申さぬ。言うとおりに全て受け入れる。一切もめず、議論も、討論も、口論も、そんなことしている時間がもったいないから。


2019/08/20

第五十環

 ラインを引く。くるくる小さい渦巻の記号が出発地点で、ゴールは正方形の記号。迂回する経路は地図の上側、おそらく北にひとつ。追加で、南側にもひとつ。都合2本の迂回路を用意する。ルート通りに進むとしたら東へ真っすぐ伸びる線を選ぶ。分岐した3つのラインは目的地の少し手前で全てが合流。

 上向きに棒を持ち、全力で走って、ジャンプした、その瞬間から後は存在しない。

 勢いよく走って、斜め45度にジャンプした。体がふわりと上昇し、棚田の畦すれすれを滑空していく。空中で自由になれる興奮を味わう。うまくコントロールすればどこまでも飛んで行ける気分だ。  断崖絶壁に到達し、絶対に底の草原には落ちてはいけないと身を捩って、上昇。鬱蒼と生い茂る、人の背丈ほどの草が見渡す限り向こうまで続く底。こちらからあちらへたどり着いて、アスファルトの道路を歩いて減る靴の裏。

ジョイント50

 雷雨の中を駆け抜けていく車。ドライバーは全然濡れていない。前も見えないほどの激しい雨にもかかわらず、濡れているドライバーなどいない。私も濡れていない。本当に雨が降っているのだろうか。こんなに大粒の雨滴が車に叩きつけられているというのに、誰も濡れずにいるなんて、私が今見ているこの景色は、作られた世界なのではないかという想像が染みてきた。


2019/08/21

第五十一環

 絶えることなく同じ行為を繰り返しているうちに、やる気があるときと無いときの波があることに気付いて、その波は正弦波の映像。上のプラットホームから電車は旅立つ。疲れが全身を襲う。うまく歩けないし、駅の階段を登りたいのに足が上がらない。一段ずつ、両手で自分のモモを持ち上げて上り、疲労困憊。

 いつまでも永遠の肉体を保ち続けると思っていたのに。2mほど向こうに座っているのはやせ細ったスタローンだ。大腿筋も上腕二頭筋も今はもう衰えてしまって、痩せていた。
 タモリと天気。急に駅は姿を消して、風景や場所のない場所に、タモリはいない。イメージとしてのタモリと天気の組み合わせ。扇風機に光が差し込む。無為。いくつもの組み合わせ、時間は過ぎ去った。

ジョイント51

 たくさん野菜を食べて、たくさん映画を観て、ときどきジャンクフードを食べる。広背筋を鍛えながら来年のことを考えていたら、いつの間にか宇宙のことを考えていた。自分を閉じ込める金庫の壁にダイナマイトを仕掛けろ。ストレスはガスとなって毛穴から発散していった。それはサンドバッグを殴るような行為の間に。


2019/08/22

第五十二環

 ニアミス、他人とすれ違う、スーパーマーケットの棚と棚の間。団子の賞味期限について話しかけてくるあなたは誰ですか。関わりのない人々の多さ。さっきまでいたスーパーから、今はどこかの広い歩道。うっすらと隣に誰かが立っている気配。

 いきなり挨拶されて、顔が丸い男性と顔が丸くない男性のペア。あ、君は確か、昔どこか出会ったことがある、何かのバイトをしていた、当時大学生だった、という設定であると瞬時に理解させる人だね。
 眠たくなってきたが、また歩き出す。少し歩いたところで、また、男性に声をかけられて、先程のふたりと同じ設定の人だった。

ジョイント52

 ターンする、右に向かって、ぐるっと大きく。段差を超えてなお細いところを通り、川のせせらぎと滝の水が落ちる音。たとえせせらぎは聞こえなくても。
 肩に掛けた黒いかばんの太いストラップは長さを調節できるという機能。風はなく、空気はぬるい。まだ夏が続いている。玄関に放置された虫の死骸。


2019/08/23

第五十三環

 一度来たことのあるカレー店の前を歩いて通り過ぎるが、時刻は昼、腹が空いた。ターンして店の戸を引き開けた。立って、または座って待つ客が5人ほど。どうしようかな。何を食べようか。壁にはられたメニューを見るとカレー屋であったはずの店はいつの間にかラーメン屋になっていた。たちまち削がれていく食べることへの意欲。くすんだガラスの戸を開けて外に出ると先程まで平地であったはずの店の立地は丘の上。遠方までよく見渡せる丘陵地帯。行き来、車が、離合できない幅の道路。老朽化した店舗の外壁。来た道、ではないが、来た道だと思ってしまっている方向を見ると。隣に趣のある建物が。外観は寺かあるいは神社か。カップルが中から出てきながら、楽しそうに会話をしながら。ライトはなく薄暗い内部。部分的に小さなガラス窓、僅かな日の光。
 リトル、小さなお守りやシールが並ぶ受付。毛の長い女性が向こうから話しかけてきて、でも聞き取れない。言うてることが理解できないことにあたふたしていると思い出した。たしかここに昔来たことがあって、今は2回めだ。だが、それはいつだったのか、なぜ来たのか、全く思い出せない。
 一番奥の、隅の方に積み重なっている細長いもの。伸ばす手、の先が触れた時に理解した。ここは棒状のものを供養してくれるところだ。だったら、家からスキーのストックを持ってくればよかったという後悔。

ジョイント53

 いろんな店を順番に回って、結局どこにも欲しい物が置いてなかった。こんなことなら最初から通販で買えばよかった。もしかしたら夏物一掃セールで安く手に入るかもしれないなどという甘い考えを抱いてしまった私が馬鹿だった。と反省はしつつも、そうやって動き回っている中で、得た、未知の感覚、素敵な発想、衝撃の真実、新鮮な意欲。


2019/08/24

第五十四環

 屈折した心が、すべての人の何気ない仕草や振る舞いに対しても、何らかの意味のある行動ではないかと疑い始めて、徐々に狭まる行動範囲。

 いかがですか、かき氷はいかがですか。勝手に食っとけよ。

 よく分からない名前、タナカヒデキマエダメッセージとタナカヒデキマエダアドミンのふたつ。つまり、これはSNSのアカウントではないかというアイデア。
 空けた途端、ドアを、トイレに入るとユーロビートが流れ出して笑ってしまう。浮かれ気分で用を足すのも悪くない。今までにない、居心地の良いトイレが出現したぜ。
 絶好調の蚊。かなり遠くからでも羽音が聞こえていて身構えていたら、案の定。うるさい。イヤー、耳、左耳付近でホバリングして、甲高い音が延々となり続けて募るイライラ。ライト、右耳にはなぜ行かないのだ。

 大事なアドバイス。滑ってしまうから、絶対に滑るから、芸能人が住んだことのある家はトークテーマとしてやめとけ。決して話してはならない。
 意味がわからない忠告を信用するかどうか。
 壁が平面で、六角形あるいは八角形の断面を持つトンネルにタイポグラフィが動く。黒い壁、白い文字。自由自在に動き回るアルファベットはサンセリフ。フルーツのイラストが、そのトンネルの中を向こうからこちらへ、やってきては通り過ぎて。手で掴むことはできず。ズームイン、ズームアウト。トロピカルなオレンジの色が目に焼き付く。果物のめくるめく万華鏡の世界。
 いつまでもゴールにたどり着かないような気分が続く。

ジョイント54

 繰り返すということは同じところをぐるぐる回っているのではなくて、螺旋状になった道を中心から徐々に外へ向かって進んでいるということである。最初のうちは同じ景色に何度も出会うが、そのうちに間隔は広がっていく。もし、また同じことをやってしまっていると思うことがあったのなら、自分の居場所を前回と比べてみよう。外側にいたのなら何も問題はない。成長している証だ。


2019/08/25

第五十五環

 団体客がスキー場でリフトに並んで順番を待つ。次から次へと乗り、また、降り。リュックは使い込まれてボロボロになっても、使い続けるのは99岡村だ。ダウンタウン松本もやってきた。頼みがあるんですが、撮影してもらえませんか。滑降していく有名人たち。中途半端に残った日焼け止めを塗るかどうか悩んでいるといつしか駅へと移った場。
 バスではなく電車で。電車を使ってください。色鮮やかで、外観の美しい電車がやってきてここは北海道。内に入り、奥へ進むと女子高生の一団が。学校へ行く途中。動き出す列車から伝わる動き。気分が悪くなった女生徒一人。リズムよく続く振動。うずくまり、さらに仰向け。血色が悪い顔。起き上がれず友によって担架で運ばれていく。

 口と鼻と目を覆うハット。とても縦に長く、すっぽりと顔を覆うと、妖怪、それは一反もめんと塗り壁、の顔になれる奇妙な性能。

 上へのエレベーターがやってきてドアが開く。苦言、誰かのツッコミ、階段を使わないのかと。とっとと無視して乗り込む。

 無理やり狭い庭にオブジェを置く、あほらしい計画。組み合わされた鉄の棒によって鋭角な先端を伴うタワーは金属の光沢。焚べた薪から炎が上がり、巨大な土器に溜められた雨水を沸騰させる装置。近くに家の壁。
 便所が、用を足せないぐらいに汚いのに、5個も便器がある家の中。簡単に、庭の作業の経緯を説明するが、寝ていて聞いていない住人ふたりにたいして堪忍袋の緒が切れて次の行動。上から平手打ち。血は出なかった。
 絶え間なく注ぎ込まれる恐るべき量の泥流。渦巻き、波打つ、激流の川下りの末にたどり着いた知らない道。近くにはなにもない、ここはどこだ。

ジョイント55

 だんだんと理解できるようになってきたというか、理屈じゃなくて感覚的に正しい選択をできるようになってきた。まだまだ学ぶべき事は山のようにあるけれど、時間さえかければ、この調子で続けていけばゴールに辿り着きそうな手応えを感じてきています。停滞を乗り越えて成長の期に入ったかな。


2019/08/26

第五十六環

 謎の家に向かう道のり。理由はなく、目的もない。家の前の黄色い土のスペース。水道とつながった掃除機のような機械を使って水を吐き出す。
 すぐそばを通りかかった小学生に感電しますよ、と注意される始末。
 着いては戻り、また違うようで同じ道を巡る。ルートはどうであれ、結局、同じ家にたどり着く。

 車に乗って登っていく急な坂。乾いた土、舗装はされておらず。ずんずんと進んでいくと森の中。囲まれて木に左右から。ライトを付けないと暗い。行くべきはY字路のどちらへか。片方は狭い。一方は暗い。いずれにせよこの先は工事中だろうと想像。
 うやむやにされてどちらかに曲がりその先は未知の道。
 小さいスマートフォンのような端末を操作。さっきまで表示されていた地図がスクロールしなくなった。助けを呼ぶか、GPSが使えなくなり、迷子になったかなっていないかの瀬戸際に立つ。使っている内に画面が切り替わり、ちきゅうモードにしますか。確認されても、ちきゅうモードが何なのかがわからないと判断できないやんか。
 壁は薄い灰色、外からの光が差し込む安物のサッシ。然るにここは病院か。過去の道のりを思い出そうとしても、どうやってここにたどり着いたのか全くつながらない。いくら払っても取れない砂。

ジョイント56

 夏の間にやると約束したことがひとつと、やろうと思っていたことがひとつ、まだ出来上がっていない。夜の風が涼しくなってきた。このままではもう夏がもう終わってしまう。間に合わない。急げ、走れ。


2019/08/27

第五十七環

 レトロな雰囲気のアーケード商店街を歩く若干名。一度繁華街の端まで歩いてまた戻ってくる、そういう街ぶら。楽な仕事だと言う。裏道に入ると細く、路面はうねって急な下り坂。かなり古そうな和菓子店の横をすぎると、またアーケードへと。

 特徴のないデパートの中において、下りのエスカレーターを上ろうとする人達。力尽きて押し戻されるひとり。リズム良く駆け上がるもうひとりは、途中で天井の照明と手すりに手を挟まれた。
 対照に配置された入口と出口がある店。設計段階からの構造。動きを止めず、入口から入り、出口から出ていく。くるり一周しただけ。
 景色もなく、音もなく、配達ピザのボックスほどの大きさをした、四角い白い何かが順番にこちらへ向かって近づいてきた。大量かつ並ぶ一列。通過していく四角い何かを見ながら、ポップコーンという言葉が思い浮かんだ。だが、それはその四角い何かを表しているのではなく、それと関係がある言葉として選ばれたということを理解した上で認識。
 気がつくと、誰かの家の玄関先。きれいに掃除されたにわとり小屋から玉子を盗んでいた。たくさんではなく一個だけ。健脚でその場を離れ、物陰に忍ぶ。憮然とした顔の男が目の前に立っていた。単純な話、ばれていた。単刀直入に、盗んだだろ、と問い詰められる失態。
 いきなり、1000円を渡してなかったことにしようとするジャブ。ぶつぶつと何かを洩らす男、すっかりたじろいだな。なんとか危機を凌いだ。
 だから、間髪をいれずに、壁に塗るペンキの量の話。支離滅裂でも大丈夫さ。さらっとこのままごまかそう。上から下へ、紅緑色のペンキは塗りすぎて徐々に垂れ。

ジョイント57

 レールに沿ってただ進むだけ。運転士の操作どおりに列車は進む。何のために進むのかなんて列車は考えたりしない。ショートカットをしようなんて気は起こさない。壊れずに止まらずに進み続けられるのが良い列車。僕は良い列車にはなれそうにない。


2019/08/28

第五十八環

 幾冊かの大学ノートが重ねて置かれていて、開いてもいないのに、中身が頭の中に再生されていく。黒いボールペンで書かれた箇所は細かなところが潰れて読めないので、その場を離脱。

 着いたのは教室だった。食べ終わった給食の後、机は後ろに集められ、生徒が待機している光景。
 いつもとは違う授業が始まって、ホームルームだなこれ。
 連絡事項を淡々と話し始める女性の教師。知らない人だ。ダイジェスト、要約。暗い外。遠くは見えない雨飛沫。緊急の知らせ、大雨警報が発令されたので午後の授業は中止。しかるに帰宅してもらいます。
 スタンバイから終了への展開。いきなり授業が中止になり、喜ぶ生徒たち。

 注視しているのは、外国人夫婦を監視しているカメラが撮影した数枚の写真について。
 天衣無縫、裸になり抱き合って、あらわに胸、女性の。

 伸ばされ、展開し、写真は漫画のコマに当てはめられ、あのノートの、あるページとなっていた。たぐり寄せる糸は太い。

ジョイント58

 いい感じでやる気はあるのですが、思考回路が疲れ切っており、読んでみても頭に入ってこず、考えてみてもまるでまとまりません。なんでこんな事をやっているのかと自問してみたところで、やると決めたのもまた自分ですので、結局は堂々巡り。ぐるぐると同じところ回り続けて、目が回り、気も重くなるばかりで何一つ良いことはなく、答えを出すのは諦めました。


2019/08/29

第五十九環

 高さの効果によって海岸線を端から端まで見渡せて熊野地方。海沿いに建つ水族館に入ると、長い廊下には何の飾り付けもなく右折れ左折れ。連続する階段と踊り場。場違いな、サッカーをしているふたりの男性。勢いよくボールを蹴ったのは生島ヒロシだ。ダイレクトに飛んできたボールの勢いを手で殺す。進んでいく。暗がりの先は行き止まり。リターンして入り口方向へとふたたび。美的センスの欠片もない、奇妙で不気味で不可解な土鈴を売る土産物ワゴンセールが創出。つかの間の地上。上へ、また空へとゆく。黒い岩肌に僅かな植物が根付いた小島に建てられた朱の鳥居。いつの間にか夕方になっていた。

ジョイント59

 たとえそれが自分のせいでないとしても、うまくいかないことが続くと、もはや自分がそれをやるのは向いていないのではないかと思い始めてしまう。適当に生きることができない。かといって皆のようなきちんとした生き方に対しては、無益な反発をいだいてしまう。湿度の高い夕方の、西の空には黒い雲。落ち始めた雨粒。傘を持っていないから、急ぎ足で歩く。


2019/08/30

第六十環

 くねるドレッドヘアーの男性、よく見ると武田鉄矢。やることなど絶対ないと思っていた髪型をしていて驚く。
 首、つまりネックの長さが可変の機構を有するギターを演奏する武田。ダイナミックに伸ばしたり縮めたり。裏面にネックをスライド収納することで音の高低を調節。続く超絶技巧。うまい演奏。打ち鳴らしたり、叩いたり、三味線みたいな音が時々。

 木が散立する場所に人が多くいて騒がしい。一体誰がこの地面に穿つ。土がこれでもかと掘り返されて大木の根っこが顕わに。似ているのはクルミのような、コブが根っこにこびりつくき。驚異的な量のコブ。

 武器は何もなく、素手で店から出てきたら、だだっ広い駐車場。運搬している四角い機械。一台ではなく対で動くことが予想される装置。近くに行ってみると、これは感熱センサだとガードマンが教えてくれた。助けの手、いっしょに運ぶのをサポートするM氏。瞬間、目が合い、こっちを見るなという表情。

 うっかりミスで何かが重複していると、D氏が説明してくれたが、何が重複しているのか理解出来なかった。たくさんの数字が動いている頭の上。影響を与えているのは、1.5倍とか2倍が存在しているから。ラフに計算した結果、おおむね計測値と合致するのだという。うん、と返事したが何もわかっていない。1.68倍になっていると言われてもピンとも来ずにだんだん面倒くさく。

ジョイント60

 暗くて見えないと思っていた所に光を当てたら、そもそも何もなかった。そりゃ、見えないよ、見えるべきものがないんだから。でも、もっと光を。もしかしたら、光がまだ足りないだけってこともあるから。


2019/08/31

第六十一環

 雷鳴が遠く空気を揺らす。墨絵のように黒い稜線白い雨。目指す方向から雨の壁が迫ってきて危機を感じ、踵を返す。すぐさまビルのエントランス小さな屋根の下に逃げ込む。蒸し暑さと焦り。

 理詰めによる説明を繰り返されるが、何一つ理解できずに、理解ができないのだから、やってみてもうまくいかない。今何をやっているのかがまずわかっていないのだから、うまくいくはずがない。

 いると思っていた人がいなかったので、もうこれ以上何も起こらないのだろうと、起こす努力もなく、まるで上の空。

ジョイント61

 ライティング。それは脚本を書くことであり、光を当てること。日本語でのみ存在しうる両立。
 書くことと正すことの両立、それは英語圏においても意識されているのだろうか。


2019/09/01

第六十二環

 カーテンを購入するためにY氏と大きめの量販店に行く。クリーム色に赤い小さな装飾が施された柄のカーテンが気になる。ルーラーを持ってきていないのでサイズを測れない。一枚ずつビニル袋で梱包されたカーテンが並ぶ売り場で悩む。難しい。イチかバチかで購入してみるかという思いが表れては消えていく。

 雲はなく明るい空の下に立っていて、足元は土。

 力を込めて重いものを持ち上げることで筋力トレーニングになると言う話。周囲よりも一段高い場所で仰向けになり、腹筋を鍛えるよう言われたが、やり方が分からず困惑。

 くぐもった音。遠くの方からか、あるいは頭の中か。過敏に反応しないよう丸められた音域でToo Young To Dieが流れてきた。タランティーノの最新作とシャロン・テートの事を思い出す。

 水中にもぐると、黒い表紙のノートが落ちていて、手に取り浮上。上から下まで全身、体も服も濡れていないので、本当に水の中だったのか。乾ききったノートを開く。

 喰うことに対する意識が高まり、桃が登場すると、また居たY氏が食べろとの推奨。美味そうなのになぜ断ってしまったのか。関せずY氏は桃にかじりつく。
 暗がりで何かを伝えられたような。何を伝えられたのか。

ジョイント62

 かなり良いものが出来上がった。自分でも褒めてやりたいほどの完成度だ。丁寧にひとつずつ順を追ってやっていけば自ずと結果はついてくるのだ。アイデアを形にするために、手を抜いてよい工程などないのだ。


2019/09/02

第六十三環

 大決断し、実用的でない、やめとけば、でも、ロードスターを買うことにした。対応してくれる店の人。
 トークをしていたはずなのに、今はエレベーターの中。勝手に進む、下へ行く。

 黒い壁の店に入ると、そこはゲーセンだった。大量の並ぶゲーム機はどれも古い。1台ぐらいはプレイしたらどうかと、プロらしき人の案内。いいのがないのでやめときます。薦めるのをやめないプロの話術。ついに折れて、プレイする謎の船のゲーム。6つの角があるコントローラーはベージュ色。ローリングローリング。ぐぐっと画面に顔を近づけ。けど、おもんない。いらんわ。

 ワード、殺虫。

 うっすら空腹を覚えたので雑炊が食べたくなった。

 タクティカルなミッションを課せられ、TOKYO潜入。

 浮かび上がるのは、本の内容、絵、文字。順序立てて再生され、物語の糸。時折、ページを挟む天文学。

 組み手、真剣勝負。ブロックのような白い立方体の面に浮かび上がる麻雀のパイ。一切の情報は頭の中にしかなく、記憶のみが頼りの麻雀対決。痛恨のチョンボ。傍観者の醒めた溜息。切れ間なく続く勝負。ぶちきれて本気を出しはじめ、巻き返し。

 白い紙に印刷された、フルコースのメニューを考えた。畳の部屋は二間続きで、奥の部屋から障子を開け、やってきて。
 手放しで褒められる高評価。考えるの好きなので、調理するのは誰か他の人がやればいい。いくら褒められても断固として調理をするとは言わないので、関係は徐々にぐだぐだ。

ジョイント63

 ダラダラと生きていることに罪悪感を抱いてしまいます。常に何かに対して没頭しているべきだと。そうでない人はダメ人間だと思ってしまうのです。没頭の反対はぼーっとでしょうか、などとつまらないことを言っているこの時間が私を無価値にしていくのでしょう。


2019/09/03

第六十四環

 映し出された文字で知る6時25分の時刻。暗い場所、スクリーンも壁もなく、数字は空間に浮かんで実体もなく。果物の話題を誰かがしていて、フルーツはすべてキャンセルするとのこと。特別な言葉に聞こえてそれが、だからまた空間に文字が浮かび上がり、フルーツ、キャンセル、と。

 戸締まりへの意識。気になるのは窓を閉めたのか閉めなかったのか。勝手に思い込んでいた閉めなかった。確かめてみると閉まっていて、閉めていないはずの窓は閉まっていて。
 手品師のことを窓の内と外の隔絶とともに思って。手品は順を追って、きっとどこかに階段があるから、そこから外に出ていけるはずだからと、誰かが行っている。類似したアクションは禁止されているんです。すぐに見つかるだろうと思っていた手品師の場所へといつたどり着くのだろう。

ジョイント64

 上から目線でものを見ますと往々にして喧嘩になりますが、もっと上、鳥の目線から世を眺めますと、他人などちっぽけ極まりない存在であることに気付かされます。喧嘩をふっかけられても、相手の握りこぶしは空まで届きませんので安心です。


2019/09/04

第六十五環

 煤ぼけた金属製の重厚な機械。一体何に使うのか触ってみても分からず困惑。くるりと回転させてみると一側面に、「世界の音声を搭載」の文字。字が潰れて読み取れないところがあり、結局どういう機械なのか分からず。

 ずりずずりと粗い感触、土壁の部屋。やがて朝が来るであろう今はその手前。円満なる睡眠を妨げる布団の上の砂。何度はらっても、壁から剥がれ落ちて、布団に広がるざらつき。極めて不快。痛い、喉が痛い。いくらか細かい砂を吸い込んでしまったに違いない。いておれず、うがいに向かう。

 運動量の高い行動に挑む。無言で自転車で坂を登り続けるトレーニング。ぐいと踏み込むが自転車はわずかに進むばかりで、頂上はまだはるか先。

 気がつくと自転車は消えてなくなっていた。体力はまだ有り余るから気分も良好。好奇心を刺激する白い小さな家が並ぶ高台。いきなり携帯電話が鳴り出す。すぐに反応し、通話開始。仕事の話が続く。苦情を言ってやろうか、今は昼休みだ。段々とイライラが増す。

ジョイント65

 すぐに、こりゃだめだと思いました。言うてることが支離滅裂。そもそも根本を君たちは分かっていない。白衣を着て聴診器を持ったら、それで医者になれるとでもお思いですか。医者だから仕事のために白衣を着てるんですよ。うわべのモノマネとしょうもない理屈ばかり。しんどいわ。


2019/09/05

第六十六環

 ワイルドな風貌だと思われる、顔は見えないので断定はできない、わしが一人称の男がロッカールームの中をうろついて何かぷつくさ。サークル形状、白い丸の中に黒い丸のイメージが何度も浮かび上がるが、それが何を表しているのか分からず。
 ずいぶんと人の数が増えてきたように思う。動き回って何をしているのかと言えば、誕生日のお祝い集め。名簿も何も用意されておらず、手当たりしだいに声をかけ、20万円または40万円を集めてまた集めて。手持ちの金が数字となって表示され自動的に加算されていくビジュアル要素。

 そして、なくした事に気づき、途端にまとわりつく焦燥。うっかり、ほんの一時だけ金から目を逸らしてしまった。たぶんその時に盗まれたんだ。大失敗。

 言うててもしゃあないし。支払うもんは支払って、金で解決。つまり、自腹で弁償しなければならない。嫌だ、そんなんしたくない、逃げ場などなく。苦しみ、高まる恐怖。ふと冷静になり、そもそも盗まれる金など存在していなかったことを思い出す。すっかり平和。

ジョイント66

 私以外にそんなことを思いつく人がいるはずもないのに、もしかしたら、他の誰かが先に実行してしまったのではないかと心配してしまっていた。無価値なものに自分だけの価値を見出す習癖。拡張し続ける孤独な宇宙。60億年後に会いましょう。お隣の宇宙と、そのまたお隣の宇宙と。


2019/09/06

第六十七環

 トンネルを歩いて抜けると、距離の概念は消えて、地図アプリによればイチロー記念球場はもう近いはずだった。建物もなく、どちらに行っていいのか分からず、結果、道に迷う。薄暗い夜の山中にはなにもないから不安が募るばかり。
 リターンあるいはリスタート。通ってきた道を戻っていく。暗闇は徐々に太陽の明るさを含み始めて、見えてきた脇道。力を込めて坂道を登ると、有名な由来を持った歴史のある旧家が見えてきた。

 溜まっていたものを二度に分けてすべてぶちまけ、計画は順調。
 海に近い国道には水分を多く含んだシャバ雪。近接してきたトラックが雪をはねあげ。玄関から出てきた人は雪にまみれ、それは泥に塗れたのと同じく。

 車が二台、神社の駐車場にすでに駐まっていた。玉という漢字が名前に含まれる神社へと向かう人はみなここに車を駐める慣習。運転技術を駆使してもっとも左のスペースにパーキング。

 グランドホテル、という種類のホテルの中の和室。繋がるその奥の部屋は広い浴場。嬉しい天然温泉が湧出。使いみち、その浴場のほとんどが洗い場。バランスは悪いが気にしない。いない誰も。朦朧としたまま突き進んでいき、服を着たままであることを忘れてシャワーを浴び、慌てて脱ぐ。群青色のタイルが敷き詰められた壁。別にどうなっても構わないという心の音吐。

ジョイント67

 とぼとぼと歩いて、何事もなき平穏の有り難さをまた確かめる。食堂に入り焼き魚とみそ汁の味を味わう。味わえる健康。このあと何もすることがない、どこに行きたいわけでもない、それが平和の日常。秋の日差しはまだ暑く、そして青空はどこまでも清々しい。


2019/09/07

第六十八環

 一心不乱にパソコンに向かい、キーボードを叩き、アプリを作ることに集中。うまくいったようだ。段取り良くコンパイルに成功。うっしゃ、調子に乗って他のアプリも手掛けるが、コンパイル失敗。  いわゆるxlogシステムに成功したが、それが何か分からない、さっぱり。
 利益を得るために政府の仕事が何年も続いたので久しぶりの開放。うっすらとさえ、開放が何であるかを、分かっておらず。

 ずいぶんと早く、何時の出発時刻よりも早く、家を出ることに。肉体全部を意識し、背筋を伸ばして走ると、途端に感じる筋肉の収縮。暗くはないが明るいというには光の足りない時間の道路。路上には誰もおらず、ない視界の妨げ。限定的な情報を頼りに見えてきたのは遠くに踏切。リズムよく電車の音。

 とにかく誰かに相談したいような怖さ。さっぱり原因が分からぬ珍事。自体はこうだ、朝パッチを穿いていないのに、夜になると穿いているという不可思議。ぎこちなく歩き回り、謎を解くべく会話。

 和風の、豆を甘く煮たものが紙の箱に。滲んで汁が垂れたりはしていないので、丈夫な紙なのだろうと安心をほっと。取り出すために指で摘み、ひとつ食べると、豆を煮たものは甘い。

ジョイント68

 いつもの生活パターンに戻るのはどういうタイミングだろうと思っていたら、思っていたことをもすっかり忘れて、いつもの生活パターンに戻っていた。日常とはそれが日常であることを意識しない日の総称である。


2019/09/08

第六十九環

 ルッキングフォー、夢の中で誰かに会いたいと願う。特定の誰かではなく、また、誰か誰でも、でもない。今の心のポジションはユーグリッド空間の座標にプロットできぬもどかしさ。
 さらに思う。裏方に徹して、誰かの夢を再現したい。
 異常が発生しているのだろうか、スマホの通信が途絶えがちになっていく。崩れていく理想は自分と他人と環境のすべてをぎこちなくして、滑らかさを失って。

 テクノロジーの結集によって改造された自動車を自慢する男。こだわりは屋根の上。遠隔からリモコンのボタンを押下すれば、ルーフレールが変形をし始め、高さ80cmほどの突起物が姿を現した。端部は鋭角な、全体として縦長の直角三角形。一体それがどんな機能を有し、いつ使うのかを男は説明せず、ただ変身と収納を繰り返すのみ。

 見ていた番組がどのような内容であるか、画面の存在しない、存在としてのテレビから、震度7の地震速報が流れて、でも、誤報で。デッドオアアライブ。

 部分的な映像、記憶。苦労したが、たった一瞬で消えたパッチワークの色と形。近づいてまた遠のいて結局消えてしまった、女性ボーカリスト。

 トイレから出てきて、不快な気温と強い光。流動的な回りの風景の中にあってホバリングする文字、それは740という数字に形を変えて徐々に大きくなる。

ジョイント69

 ルールを自分の中で作ってしまう。だからこそ他人と違うものを作ることができる。一方で、自分の作るものの幅を狭めてしまう。出会うもの全てが選択肢である生き方をすれば自ずと新しいものと出会い、生み出すことができるのだなと気付かされた。
 創造の源泉は執着という狂気である。口を大きく開き、酸素も毒ガスも真空も全て肺に入れる、それもまた求めるべき狂気なのだろう。


2019/09/09

第七十環

 植えられていたものはすでに刈り取られた後の田んぼを駆け回る人。問うも答えは得られずに、変身の前後は何であったかを知る手がかりが皆無。無臭である場合と強く喚起される場合のどちらにしても、一定の粒子が体内に入っている事は確か。感応できるか否かは差。サ行とザ行の足音を鳴らし回し駆け続く。

 車が暴走しているすぐそばで見て、クルマの動きを見て。的確に場面を積み重ねていくことで脚本は出来上がるから、人の配置をちゃんとやれと誰かがどこかで言っているのが耳に入ってきた。太陽の光はほぼ白く、強い。いまいち没頭できないでいると、いつの間にか時間が経過していて、繰り返す発言、損をしたのだろう損をしたと宣う。

ジョイント70

 嬉しいニュースです。手に入らないと思って諦めていたものがなんと手に入りそうだということを。なるほど、その手があったかと思わず右手をグウにして二三度小振りしました。ありがたいことです。見ようと思ってた番組をすっかり忘れてしまっていたがっかりも吹き飛んで蒸し暑いハッピーミッドナイト。 


2019/09/10

第七十一環

 遠くまで移動してきたのだと見慣れない風景で推測。車ではなく、公共交通機関を使ってやってきたから、帰りは走ることに。にこやかな顔からわかるのは、走ることの楽しさ。さらに走っても一切疲れない麻薬的幻想の体力のせいでハイになっていく。苦しさがやってこないから、どこまでも走る、走れるよ。
 横を見ると知らない人。徒歩の人や小走りの人、全て追い抜いて単独。繰り返す前後の動き、手の振りは速度を緩め停止へと近づいていくが、足の動きはいっこうに衰えず前へと進み続け、速い移動速度。

 ドーム状の天井、今は2階にいて、生涯売上1000万円のタンス販売社長の店。狭い、家具と家具との間をすり抜けた先の、幅の広くなだらかに弧を描く階段を踏まずに一足で飛び降りて、また走っていく。

 クリアーな透け感を伴う青いぶよぶよの物体がかまぼこ板に強く付着。くっつく手に、くっつく板に。にじりながら板から剥がし、手で丸めてみると、ソフトボールほどの大きさに。
 似た、ほぼ同じ感触の、オレンジ色の物体。一箇所くぼんだ、頂点部から息を吹きかけるとガラスコップになった。

 例えるなら007のエンディングっぽい映像が急に挿まれてきて、現実と非現現実には境界線ないとか言ってるのも、それは現実なのかどうか。

 数え切れ得ないほど多くの人が集まってきて、何かを眺めているので、人混みをかき分けると、その地域に住む若者が、車、トラックを暴走させ、ほうぼうにぶつけまくる様。

 まず外観はパソコン屋、内装もパソコン屋。やっていることはカレー屋。

 矢印が指す先を見ると説明。イチゴ、オレンジなどのイラストをつけて解説。つまり、果物をフォルダに入れると、果物の名前にフォルダ名が付与されて整理しやすいというアドバイス。すぐには理解ができない内容なので覚えておいていつか試そうと。

ジョイント71

 問いに対して必ず答えがあるとは限らないので、わからないという結論も時にはありだと思うし、画家がその生涯をずっと天才として生きているとはもはや誰も思っていないだろうから、私もあなたも地球も不完全であるということの理解をを持つことが、愛であり、美であるのだ。


2019/09/11

第七十二環

 大部分を損失し、輪郭は想像によってなんとか補完される程度。どのような構造であったはもはや修復が不可能。空蝉の朧気なる感触なき世界を現の世界から眺めることしかできない。

 行きます行けませんの連絡。来る来ませんの待ち。遅刻を申し入れ、それを認可するコンピュータープログラムが開発された。絶え間なく動き続ける電気の力で。
 データに保存された遅刻の理由は色々様々。

 まるで孤島のように、他とのつながりを持たない断章。受け入れよう全ての時間を、という行為。

 勢い鋭く迫ってきたボールをキャッチした日向小次郎。上から下まで淡いグレーのユニフォーム。矛盾に対する疑問はポジションについて。手でボールを触ってよいのかどうか。辛うじて失点を防いだ風を装っているが、着地点は先よりも内側。わかりやすいミス。すっくと直立。艶のあるスパイクをまとった足元にカラー書院が置いてあって、その時、誰かが、あるいは誰彼ともなく、言った、カラー書院だ。

ジョイント72

 誰ともコミュニケーションを取りたくないので、全て自動販売機になればいいと願っている。職場の同僚も、GAPの店員も、救急隊員も、幽霊もみんな自動販売機。こちらがほしいと思った時に、対価と引き換えに結果を提供してくれる頼れるやつら。


2019/09/12

第七十三環

 ランデブー、オブ、レトロゲイムズ。ずっしりとした体躯は黒いプラスチックのメガCD、画面とコントローラーも一体化されたグレー色PCエンジンLTが合体するという奇跡。

 きれいな青空にはまばらな雲。もうすでに幾人かは列を作り始めて、ここはイベント会場であることを想起させる白い催事用テント。とりあえず列の最後尾。ビスケット色の地面は舗装されていない土。近づいていく、受付に。ニッコリと顔の表情を伴う説明を説明員の口頭で。できることは3色から選択。黒色は何にでも合うから黒いウォークマンを選んだ。ダイレクトに手へ渡されて箱などない。いくつかの付属品をよくみればUSBケーブルが3本もついていた。

 短距離。利便性の悪い路線バスで申し込みに向かう闇夜。

 よく利用するから得していることは間違いないが、全貌が見えない。一応、映画館のポイントサービスらしき仕組み。観れますよ、無料でもう一本、別の作品が。が、そうではない可能性も。もしくは追加で受けられる何らかの鑑賞でないサービス。
 すみませんが、この仕組みが複雑すぎて、おそらくみんな理解できてないです。

 スーパーファットな極太のゴシック体で書かれたカタカナ3または4文字の固有名詞。四角い外枠。屈強さや暴力性を伴うのは濁点が多いから。

ジョイント73

 ライトアップしろとか気楽におっしゃいますけども、したところで効果なかったら責任とってくれるんですか。勝手に線路引いて電車走らせたりできるわけないじゃないですか。本が読みたかったら自分で買うなり借りるなりすればいいじゃないですか。巨大スーパーを誘致してこいとかふざけたことばかり言わないでください。


2019/09/13

第七十四環

 いつもの、本来のセッティングとは上下が反対になってしまっているが、そのまま置いておくことにした。たかが数時間、いや一時間ちょっとのことだ。だいたい、上が下がと気にしたって大差ない。いい感じで効果を発揮しているし。

 商売を繁盛させる方法について話し合っている人達。ちゃんと聞き取れたのはタピオカミルクティーの一言のみ。ミラクルなアイデアが提案されたような気もするが、何も覚えていないから、いずれなにか別の記憶がそれを引きずり出してくれることを期待している様子。

 素早く仕事を片付けるために必要なプログラムは2種類。

 いくらか長い時間が経ったように感じた。大半の時間をどう過ごしたのか、頭を捻るが分からず。ずいぶんと削り取られて結局は2時間以内。

ジョイント74

 言ってしまった以上、やらなければならないが、本当にやれるかどうか不安である。右肘の斜め上がかゆい。どうやったら解決できるのだろうか。


2019/09/14

第七十五環

 過密なスケジュールをこなす人々が集まる場所は、高級なカーペット。とても毛足が長く、天井高を確保された空間、つまり、一流ホテルのロビーらしきところ。ロン毛の人、マッチョな人。通り過ぎていく多種多様な身恰好に共通するのは、手首にシリコン製のゴムバンド。どうやら、それは個々人のIDを管理する機能を有す。

 すぐに実用化されるわけではないとの前置き。器用な人は何でもできるからひとつのことに拘る必要などないから、付け加えていけ。兼任、兼務、兼業、いくつでも属性が追加できるアイデア。
 あちらとこちら、複数の球団に所属できる制度。

 どうやら、有名選手の引退が決定したようで、周囲が騒がしくなって。手当たりしだいに取材攻勢のスタート。問い合わせの電話が続く。クルマの後席で会話しながら、運転中は無理だから、タイミングが良かったと前向きな深い溜息。

 北へと向かう途中に始まった新しいスーパーマン映画の予告編はモノクロ。ロードショウの時期は分からず。ずっと主役を続けていくのか気になっていたヘンリー・カヴィルではない雰囲気。キャストの変更となったのかどうか。カットの妙により判断がつかない焦らし。
 白い光と黒い陰が描く、それを見たいような、そうでもないような。

 流れる空気はピースフル、全体的にとても穏やかな漂いに、時間の超過。

ジョイント75

 金で何でも解決できるから、今という時代が合っている。俺の金によって、人は物を作り、トラックで運び、サインをしろと言うてくる。欲しいものはすべて金と交換すれば手に入る。お金へのラブ。


2019/09/15

第七十六環

 不気味な光沢を伴う塗装のメタリック感は下品で、一般人が乗っていないことは外観からして明らか。角張と巨大の超高級車がやってきた。大層裕福なお方が乗っておられるのだろう。ウインカーも出さずクルマは駐車場へと。扉が開いたら、降りてきたのは元プロ野球選手のKとその娘。目も眩む高さの、厳重警備の、冷たい大理石の高級マンションへと入っていった。たぶん想像するにここが自宅。
 クルマの次は、迷彩柄の服を着たバイクの若者。ノーセキュリティで同じマンションへと帰宅。  組み合わせを変え、視点を変え、時期を変え、チームの戦力分析は何度も行わなければならない。

 いつからか、どこかの広い空間の誰もいない場所に立っていて、あるいは座っていて。テレビに写っているのはアニメの有料放送。うっすらと、このアニメは銀魂なのだろうかと思ったりもするが、判断がつかず。

 ずっこけて大きな声で、せんのかーい。

 維持できないバランス。すぐに姿勢を崩し、立っていることすら困難な焦れったさ。支える力を失い、地面に座って、やっとできた半ズボンの重ね着。銀色の建物の近く、くすんだ白色のコンクリート。

 冬季の準備。ビルのワンフロア。明るい店内に、スキー用のワックス売り場。

 場所がどこであるか、屋内にいて、住所も何も分からず。ずっと奥まで続く部屋と廊下の組み合わせ。清潔感のある配色と、なめらかなどこを触っても痛くない曲線によって構成された家具や手すり。リッチな雰囲気。気持ちが昂ぶり、卑下する自虐性は消え去った。訪ねてきたのはJ氏。小なる会話。わずか数ラリーにとどまり、中庭にプールありて、巨大な楕円の、成功者の証。しみじみと味わう財と富。水際から突き落とされて、ずぶ濡れになったが怒らないのは心の余裕がもたらす、他者への哀れみ。

 道の往来は少なく、人も車もその姿はまばら。ラフな格好で話しかけてきた近所の住民らしき老人は、何を話しているのかまるで聞き取れず。ずっとひとりで喋っとけ。けったいなおっさんは非現実の端部。

ジョイント76

 不器用にもほどがある。接着剤をきれいに塗ることすらできない。やってはみるが予想通りに失敗する。無理やりやっておかしなことになる。誰だ僕のことを笑うやつは。僕が僕のことを見て笑っているのを僕が見てしんどい気分になる。空いた穴はもうふせげないから、穴とともにこのまま。


2019/09/16

第七十七環

 周りを深緑の木々で覆われた小径。地図アプリについて説明している芸能人Mは操作方法について熱く語っていた。大切なおにぎり山道をころころと。取れそうで取れず。ずっと麓まで走り続けて、たどり着いたのは公園らしき殺風景。イス、テーブル、イスのトランジションをメイクできそうなレイアウト。遠くの方まで配置されたイスとテーブルの素材はコンクリート。塗装もされず、薄っすらと白いのは霜か雪か。

 買ったばかりのスキーウェアが今使っているものとよく似たカラーリングであることに気づくが、本当はスキーウェアなど持ってすらいない。言わんとすることはわかるから、それは、好みは簡単には変わらないという通説。
 冷たさは全く感じないが雪で覆われた平地。小さい子供や、イスラム教徒であろうか顔を布で覆った女性が、初めて見た雪で無邪気に遊ぶ。

 部分的に欠落した地図。ずーっと向こうに見える橋を、アプリに登録する作業をしなければならない。勢いよく飛び立ったドローンが写真を撮影してくれるのだ。
 大サイズの交通案内の看板に、地名と思われる、小という感じから始まる漢字二文字のインターチェンジが記されており、しかし、その地名は思い出せないまま。

 まるで昭和の世界にいるような、鄙びた風景。色はほぼ失われて。天候は曇り、周囲にうっすら雪が残る敷地に建つ売店と食堂を兼ねたボロ屋根小屋。やるなら今だ、ここで万引きを試みるが、結果は成功でもなく失敗でもなく、存在せず。

 ずっと以前に来たことがあるような、知らないのに知っている気がする集落には数軒の家。
 遠慮せず、ぐいぐいと坂を下っていく。暗い森。リズムよく歩いていく。暗い森のその先には線路があると断言したが、それは勘違いだった。

 たったの今まで道路を歩いていたはずがいつの間にか家の中。
 階段を降りて一階の畳敷きの部屋。山のように積まれた大量の古本、レコード、絵本の中から価値の高そうなものを探す。

 スピードは一定であるはずの時間という要素が、とてもとても遅い今。

ジョイント77

 真っ直ぐにしてしまうと、他と同じになってしまうから、今のままで、他にはない曲線を活かす方法を考えましょう。動きが出るじゃないですか、ひらひらと風に舞う美しさ。


2019/09/17

第七十八環

 さっきまで平穏無事に走っていた普通電車は、三重県のとあるターミナル駅で停車後、突然の大雨に襲われた。たちまち浸水し始める線路。ローカル線とは言うものの、乗客は少なくない。一同パニックになり、前へ後ろへと駆け出し、喚き出す者も。ものの数分で車窓の高さまで達した泥水。ずっしりと濁り、その鉛色は死のイメージ。
 じっとしていられず片っ端からドアを開けることを試みるの繰り返し。

 しばらくの後、駅のホームに立っていた。対面のホームから、いま来た方向へとゆく列車が出発すると、誰かが教えてくれた。旅か仕事か限定されてない移動の目的はどちらへ進むことでも達成され、またあるいは達成されないのだから、元の場所へ向かう列車に乗り込むべく駆け足。

 ショッピングエリアということでショウウィンドウには女性服のマネキンが並ぶ。ブライトイエローの床。過密スケジュールで運行される大阪のターミナル駅。キレイに掃除され、華やかさと明るさを放つ。疲れているのは、さっきまで長時間なにかを受講していたからだろうか。
 感動的な巨大さのエスカレーターは、6本が平行に走り、緩やかに弧を描きながら、3階分を上昇していく。
 黒っぽい、就職活動に最適なスーツを着た女性が、エスカレーターの途中、手のひらに収まるほどの大きさの食べ物を鞄にしまう。美味そうだと思ったが、何だったかまでは見えなかった。タンカラーの鞄は小さくなったりもとに戻ったり、変化し続ける大きさ。

ジョイント78

 支える力。自分の足腰で踏ん張って、惨めにずっこけないように。猛スピードを出すから、それでも吹っ飛んでいかないように。地面から両足が離れて、高く遠くジャンプしても、また着地するときがすぐに来る。その時の衝撃を耐え切るためのトレーニング。


2019/09/18

第七十九環

 具体的に何をするのかよくわからないが、匂いの実験をするのだそうだ。大事な部分が抜け落ちてしまっていて、時制も結果も断定できるものが何もない。言い訳すら思い付かず。ずれていく時間の感覚。

 組み立てられた円筒状の金属容器の中にポテトチップスをひとつかみ。密閉し、容器の中に高い圧力をかけていく。砕け散ることなくポテチは、形を保ちながら油をすべて抽出させれられて。滴々と落ち、溜まっていく油。
 ライターで着火された熱源が容器の底面から熱を伝えて、抽出した油は急激に温度を上昇させていく。

 首をひねる、のは、矢印が指すその先になにもないから。ラストへと近づいていくタイミング。

ジョイント79

 ぐるぐると同じ場所で回ってる。リズムもなく、手順もない。
 誰かが意図した結果にたどり着くなんてまっぴらごめんだ。


2019/09/19

第八十環

 だいぶ前に廃業してしまったスーパーマーケットまでの道を歩く。くるり、方向転換し、来た道を戻っていくと大きなガレージ。潤沢な光量が半透明の屋根から降り注ぐ。

 グレーとアイボリーの中間の色をしたコンクリートの床。風は吹いていない。いつの間にか傍らにコールタールまみれの黒い鳥が。ガチョウぐらいの大きさで、くちばしをガムテープでぐるぐる巻きにされている奇妙さ。先から端まで全て黒い羽。妬みの口調で「喋りすぎたから鳥にされたんや」と人間の言葉で話しかけてきた。たまに目が合う。動かさぬ口。ちゃんと話せている不思議。

 ギトギトのコールタールがまとわりついた状態で、鳥は、己の体ごとぶつけてきた。大切な白いつなぎがコールタールまみれに。にじりつけられた茶色い汚れ、これはなんだろうか。
 硬いヘラで汚れをすべてこそぎ取ると、そこには虹色のきれいな模様が現れた。

 退屈と不安が充満するその部屋で、夜中から朝方にかけてテレビを見続けて、朝の光差し込む。無音、スピーカーから声が聞こえないままに吉本新喜劇、テレビショッピング、メジャーリーグをザッピングし。
 白い細い文字が画面中央にずっと表示されて数字。時間とともにカウントアップされていく。クルマがきて、外へ出る合図。

 ずいぶん遠く、どこかの駅。規模は大きくない。一旦改札を出た先、右奥の中庭の緑が、とてもきれいだ。

ジョイント80

 だいぶすっ飛ばしてなんとか片を付けた。後半はほとんど何も覚えてないぐらいのスピードで、とりあえずこんなもんでええかなという感じ。全体で言えば得るものも多かった。次にさらなる期待を抱いて。


2019/09/20

第八十一環

 定食ではなく、単品料理を食べる気分の時。急カーブの先に警察署、やや奥まってあり。料理が出てきてまずはハンバーグ。グルメな芸能人のうんちく。靴を脱ぎ、足の角度、体の向きまでこだわり、周囲から失笑。器は白い皿。

 ライディング。ぐいぐい漕ぎ続けて自転車の旅を続ける人達。ちょっと休憩に川沿いの道、ガードレールに立てかける自転車は小型。
 高山市のどこか。川は増水し、茶色く、底は見えず、早い流れ。歴史を感じさせる木造の橋。

 商店街から路地へ、奥まったところにある雑居ビルの外壁は紫と黒と群青。運転席のシートだけが地面に置かれていて、座ると進み出した。
 たちまち広い道へ、シートは走り、速度を増していく。車ではないから、ウインカーがないし。シートベルトもない。違法ではないかと心配に。

 二階の事務所からは川が見えて、まだ、茶色いままだ。
 誰かやってきたと思ったら、昔勤めていた会社の社長と部長。鬱陶しい雰囲気を放つ。
 つまるところなんの用事であるか、はっきり言ってくれと思うが、だらだらと長い前置き。急に核心に踏み込んできた。頼んでいた珍しい野菜は手に入っのか。買っているとももちろんだ。
 大サイズの竹かご、そこからさらにはみ出す長さの、アスパラのような野菜。1m以上はあり、太さも大人の腕ほど。どうやって調理するのかと質問されたので、サツマイモのような味だから湯がいてホクホクのときに食べると美味しいと説明。色もサツマイモにそっくり。

 良好な雰囲気は一転し。仕事を休んで野菜を仕入れに行ったことは良くないのではないかとぐだぐだ言うてくるので、ムカついてきた。たかが野菜ぐらいで何なんだ、まったく。車のようなシートのことにも触れられそうで段々と気が滅入ってくる。ルールを守れと言う。うるさい奴らだ。だめなのだと、個人的に会社のことをやるのが。

 画面がいくつもならぶ壁にはスイッチや文字も細かく配置されて。停電になり、壁面は真っ暗。ライトが復旧。動き出す壁のシステム。無理やり通電させたせいでまた真っ暗に。日常茶飯事だ、インドでは、と誰かが言った。
 漂う甘い匂いはバニラの右手。

ジョイント81

 店内に客は私一人。注文したパスタをさっさとサーブしてくれたまえ。ドリンクバーのコーラを飲み干してしまうやんか。厨房のスタッフは何をやってるんだろう。雨、混む国道、次の予定。全員で協力して作れ。そして10倍の速さで完成させろ。


2019/09/21

第八十二環

 ロボットアームが、各テーブルに備え付けられたレストランで、席に着き、佇む。無口。地球全体の人口はどのぐらいか。かなり広い店内だ。
 誰かを待まっているような気持ち。ちょうどよい距離を保ちながらアームは絶え間なく動き続け、そこから収集されるのだろう、何かのデータ。多層コーティング、という言葉が頭に浮かんだ。ダルホワイトの塗装は幾重にも塗り重ねられて、擦過にも光線にもタフな構造になっているのだろうと想像をめぐらす。

 スピード、周りとの相対的な位置関係。一箇所に留まっていることはできずに移動をし続けて、焦りを感じ始める気持ちの鋭角。空間の問題であり、コントロールできない進路。

ジョイント82

 老人ばかりがうろついているスーパーマーケットの野菜売り場でピーマンを探しながら私は健康について考えていた。長生きしたいとは思わないが、痛いのとか苦しいのはご免だ。明日死んでもいいが明日までは平穏でいたい。
 結局、いつもと同じ結論にしかたどり着かない。


2019/09/22

第八十三環

 いつのまに決定し、準備されていたのか知らないが、カナダへ旅行するようだ。
 ダイレクトには飛んでいけず、関空、輪島、新千歳を経て、バンクーバーと向かう空路の乗り継ぎの多さ。
 さらに面倒なことに、これから出発だというのに、新千歳までのチケットを手配しないといけない。一直線にカナダへと行く便はないのかと聞くと、このほうが速いんですとの返答。嘘をついている気がするが、いまさらもう変更できないから、どっちでもいいか。

 完璧な、無駄のない旅程であるか、をチェックするお硬い人に様々な資料を見せていく。

 暗い周囲、夜明け前であるか、日が沈んでからであるか。風はなく、気温に関しては知覚しない世界。一列に、それが各クラスごと、各学年ごとの集合体として整列させられて、団体であり、個人の顔はおろか、身体全ては見分けがつかない同一の物体である生徒。特徴を認識できないのは、今が薄暗い時間帯であるからではなく、個性を与え、情報量を増やす必要がないと判断されたから。ランダムに動いて、体のだるさを防ぐ。グループとしての前から6番目に位置。調子を崩さずにいつまでも続く校長先生の話。集合させなくても校内放送にすればいいのにと思うが、きっと誰も賛同しない気がした。

 たどり着けないゴールのような、何か解決しなくてはいけない問題があるような気がして、しかし、それが何か、見えず。

 ずっと続く、グレーのインテリア。歩けども、歩けども、直線でない廊下がどこまでも続く。繰り返しではなく、どんどん遠くへ進んでいく感覚に近い。

ジョイント83

 一旦、調子をつかめたらあとはすいすいと入ってくる。昨日とはえらい違いだ。言うてることがよく分かるよ。理解できてますよ。


2019/09/23

第八十四環

 陽気な男性による不動産物件の紹介。一切、釘を使わない、コンクリート打ちっぱなしの細長い建物が3棟連結された住宅。空気取り程度の窓しか無い外壁。キラキラと光りを反射させているのはつなぎ目に配置された鏡。
 見回す室内はミニマルで最低限のモノと色しか配されていない無機質。
 つつと奥へと進み、最後には、家の裏に出た。

 大変に奇妙としか形容しようのない川が見えてきて、恐怖。深さは浅く、水はほとんど流れておらぬ、それでも川。割と頻繁に、空から鋭利な、例えるなら大きめの黒曜石のような形状の石らしきものが落ち続けて、そのせいで川底は、といっても水は無いに等しいが、徐々に削られボウル状に。日光はまるで入ってこず、周囲は鬱蒼とした暗い森。リズムよく落下物を避けながら、森へと足を踏み入れようとした男性は滑って転倒し、泥まみれ。

 レースだろうか、砂地を走る四輪駆動の車。曲がりきれずコースオフ。フロントタイヤがくぼみに捕まり動けなくなった。助けようと、ジェットコースターが出動。動き出しはゆっくりで役に立ちそうにないが、続々と髭面の男たちが乗り込む。
 向きを変え、下り始めたジェットコースターはみるみる加速。くねりながら、しかし、レールは途中までしかなく、子どもたちが懸命にその先を、手当たりしだいに物資をかき集めてつないでいく。苦労している人達の横で、緑の全身タイツを着た男性が寝そべっていて可笑し。

 四角い箱の、複雑な迷路の中を玉が転がっていく。
 苦労している道案内の、その結果によって得られる報酬は何か。

 活況を呈した文化祭、あるいは、村おこしらしきイベントが終わりかけた頃、ゴジラが襲来し、テントをことごとく破壊していく。苦境であるはずなのに、周囲の人達は楽しそうだ。

 楕円形のプールに、ややぽっちゃりとした水着の女性。色々質問してくるのがウザい。曰く、今日、誰に出会ったかと。友達の名前を口に出すことがなぜかはばかられた。態度が気に入らない、ちょっと上から目線だよ。

ジョイント84

 予期せぬハッピーに出会った。嬉しいです、とても興奮しています。これは、例えるなら、突然、4連休を与えられたぐらいの幸福具合であろう。


2019/09/24

第八十五環

 うっすらとでも、手がかりが残されていたことに安堵する人。

 唐突な指示。上下、左右、前後、を図示する、両端に矢尻を持つ矢印。しっかりと鮮やかなオレンジ色をしており、ゴシック的な太さと立った角を持つ。包み込むように、それぞれの矢印はもう一次元を用いて弧を描いており、淡い無彩色の半球体が内側。湾曲によってもたらされた両者の距離感はどの場所においても一定の空隙。きれいに整えられた配置。

 知恵を絞れば答えが出るのか、3つの広がりを持つ矢印を使って、短歌を作れという。

ジョイント85

 うまくいった。私の才能を持ってすれば当然の結果だ。君たちのようなクルクルパーとは細胞レベルで違うのだ。そんなクルクルパーにも理解できるような、噛み砕いた、わかりやすい力の差の見せ方をできることもまた、私の愛おしい才能なのだ。ずがたかい、ひかえおろ。


2019/09/25

第八十六環

 廊下を全力で走って確かめる風の抵抗の強さ。
 サイズが体格に対して明らかに大きい黄色い服。くっきりとした角を有する肩。タイプは3種類あり、一般的な布と思われる素材を用いたもの。ノーマルとはいえぬ、縦糸と横糸が極めて太く隙間も大きく開いた巨大なスパゲティのような、服であるのかどうか自身を持って言えない装着物。続いて、さらに緯糸を取り除き前方から後方へと走るストライプだけになった、どうやって身につけているのかすらわからない何か。

 顔も見えない、姿も見えない、悪者キャラクターがお宝を奪うシーンが割り込んできた。対峙したわけでもなく、記憶だけの関わり。

 リズムの良い会話をする二人の男性タレント。突然文字が空間を占拠して、太字でRPG、次に3.33、文字は消え、人も消えて、空間には何もなく。空間があるかどうかも確かめようがなく。

 首が前に傾いた、姿勢の悪い男。腰から胸の間が長く、不健康そうな印象。腕を素早く前後させ、シャドウボクシング。グーにした手で、布団を叩く。苦言を呈する専門家。

 過去に一度も会ったことがないのに、パフュームとすれ違いざまに久しぶりと言われた。

 度々途切れる情報。うまくつなぎ合わせることはしないほうが良いだろう。

 うんと昔のテレビゲームだろうか。隠された4つの場所を巡るロールプレイングゲーム。無心で続けるレベル上げ。

 ゲスト扱いで立つ、野球のマウンド。どこの球場だろうと確かめることはせず。ずらずらと団体で歩いてその場を離れ、堤防のような高さの土地。

 チケットを自動的に発券してくれる機械から白いレシートが出てきた。たちまち、ママチャリで走り出す。少し行き、左折。着いたのは袋小路。じっと周囲を見渡し、左側のフェンスを乗り越え、再び発券機の前。
 エンドレスに繰り返されることを避けるために、今度は右折。つまづきそうになったのは、地面に落ちていたゴミのせい。色んなもの、それは、家具、乗り物、植木、その他の硬い物質。通行を困難にさせる密集度。
 どうにか人をかき分け入った店でガラスケースを覗き込む。
 無駄遣いをしたい気持ちが焼き鳥を10本注文させた。頼んだのは珍しい部位ばかり。リクエストに答えてくれる店員に感謝しろ。

ジョイント86

 呂律が回らないのは緊張しているからだろう。でも、照れ笑いでごまかすのはやめろ。お前の言葉を誰も信じてくれなくなるから。また噛んだ。もうおしまいだ。リカバーは不可能。さっさと下がれ。


2019/09/26

第八十七環

 連続してたどり着く特定の階に何度も。目的地はどこなのか、エレベーターは繰り返し25階に到着し続けて、それでいて停止しているわけではなく途切れることのない運動の継続。
 組み込まれているプログラムのせいだろうか。
 かぎりなく色を失ったに近い小学校の教室。
 鶴瓶がテレビ撮影しながら国道沿いを歩く。黒い屋根の大きな建物。能動的に多くの車が敷地内へと侵入していくのは、ここが道の駅だから。
 ラフな雰囲気で、道の駅の中にある店へと入る鶴瓶。ベンチも家具も木製で、流木なども飾ってある、何を売っているのか分からないタイプの店。
 先日、ある屏風絵を店に飾ったら鶴瓶がやってきたという夢を見た店主が、夢を真に受け、屏風絵を店に飾ってみたら、鶴瓶がやってきた。たまげる店主の目線の先にいるまさにその人。
 跳び上がって喜び、是非ともその絵を見せたいと、店の奥へ案内すると。
 途中は大胆にカットされ、いきなりたどり着いたそこは広漠な小学校の校舎内。幾人かの生徒が巨大な習字を書いていて、大量の墨汁は青いポリバケツに。にぎやかな掛け声、空手をやっている大勢の生徒たち。ちょっとは店主と鶴瓶の邪魔になっているということに気づけよバカと思う傍観者の心の汚れ。

ジョイント87

 礼儀など必要なければ、うっさいだまっとけの一言で解決するのに。それができないことが苛立ちに油を注ぐ。


2019/09/27

第八十八環

 群衆は段々と頭数を減らして、今、電車の中に誰もいない。行き先のわからない電車は郊外の、家もまばらな風景を走っていく。空気は緩み、何も起こらない。いつの間にか、女子高生2人組が隣に座っていた。タイツを履いていない足をこちらに乗せてきて、露わになるふともも。悶々の先にある関係への会話。

 わからないが、きっと何日か後になっていて。天は今にも雨が降りそうな曇り空。ラジオを流しながら、車は田舎からさらに田舎へと奥入る。類似の記憶はなく、来たことがない地域。消え去ったクルマに未練もなく、路傍を歩く。屈託のない笑顔、先日出会った女子高生に再び出会う。うわ、近づいてきた彼女は変貌して、すっかり老け込み、出っ歯の笑顔が気持ち悪い。異様なほど腕は細く、嫌悪感を抱かざるを得ない容姿。

 しばし続いた論理的な話は具体性を伴わず、霧のごとき終末。
 つまむ箸は太いほうがいい、おかずの。伸びたる先端に円状のスリットが入っているとさらにいいのだそうだ。

 だめだ、レンタルビデオを借りたいが、店に行くのが面倒くさいから体が拒否。
 人がいて、その人は知り合いであり、知らない人。とにかく、その人がすでに映画をレンタルしてきていたことに気づく。空中にそれは再生され、映像が浮かぶ。  憮然とした気分になり、湧いてくる、だったらなにか違うものを見たい気持ち。ちょうどその時、自動的におすすめされたドラマは、主人公の女性が大量の武器、バズーカ砲やロケットランチャーを両肩に担ぐ。  

ジョイント88

 具体的な事例を出していただいたのはありがたいのですが、残念ながらそれでは解決しそうにありません。問題の本質は別のところにあって、そうですね、いうなれば、問題だと思っていない人が、一人や二人じゃないレベルでおるのです。全員突然死すればいいのに。


2019/09/28

第八十九環

 逃げてしまう何かに近づいて捉えようとするも、その何かはもう別の所にいて、また近づいていくことの繰り返し。仕方を変えることを考えようと思いつく。
 区切られた一連の、一定の法則を持った数字。順に読んでいって、覚えていって、どこかのタイミングで、これじゃだめだと焦り始めて、代替案に気づく。

 駆使すればいいのです。使えるものは全て使うやり方。たちまちに、何もなかった灰色の空間に道が一筋。順番なんてどうでもいいから、同時にやればいいんだ同時に。

ジョイント89

 二兎を追う者は一兎をも得ず、といいますが、十兎ぐらい追えば、ワンチャンあるんじゃないかと思ってるんです。ヘッジっすよ、ヘッジ。


2019/09/29

第九十環

 自由自在に水の中を泳ぐ少年は、夜の暗いプールを潜り進む。無二の、誰も真似ができない、特別な水泳のセンスを持って生まれたといってよい。
 いつまでも泳ぎ続けるそのさまを見ていると、センスは4つの項目に分類できると教えてくれた。ただ、その説明の詳細をうっかり忘れてしまって、もう、思い出せぬ。抜かりだらけの日々。
 びっくりしたのは、水中で一回転できたこと。時計回りに、鉄棒の前回りのスタイルで、少年は回ってまた元の位置に。肉体的能力だけでできるものではないんじゃないか。
 傍らにいた女性に説明するも、まるで理解されず。ずれているのは論点か、それとも彼女の理解力か。

 彼方まで平らな空間に、敷き詰められたシート。遠くに巨大スクリーンが見えて、ここはパブリックビューイング。グループで来ている多くの人達。近づけない人混み。見たいのだが、何を見たいのか、それはわからないまま。前にいけないことへの苛立ち。ちっとも聞こえないスタッフの指示。

ジョイント90

 自分の能力を確かめるためには誰かと喧嘩するのが手っ取り早いけど、それはちょっと野蛮だから。僕、野蛮なのは良くないと思うから。みんなと協力しあって意見を出し合って進めるプロジェクト。
 でも、それはフリだけで、圧倒的な力の差で蹂躙し、マウント取って、こめかみと脇腹にフックを放り込むのが手っ取り早そうだね。


2019/09/30

第九十一環

 年数を重ね木造の建物は独特の風合いを放ち始めている、ここはどこかの古い町並み。道はアスファルトではなく土色の舗装によって作り出す風景が続く。
 黒い石垣、歩いて旅館へと向かう細い路地。じわじわと後ろから迫りくるハイエース。スペースは減り、道幅ギリギリの余裕しかなく。屈折し、身をよじり、壁との間に挟まれるのをなんとか避けることができた。
 立て続けに入る予定が残念重なるが、なんとか最後の予定は1時間ほどの余裕を作れた。縦に並べられた四角い予定が築く生活の根。

ジョイント91

 値段など気にせず金を払うことができるようになりたい。有り余る貯金を、どうやっても使い切れないほどの額で。ガソリンはハイオクを入れたい。だから今日も頑張れ。


2019/10/01

第九十二環

 レストランか、もしくはどこかのテレビ局スタジオ。面白く話す内容が聞こえてきて、声を出して笑ってしまう。嬉しそうに話す内容は、ガサツやわ、スパイク履いたまま平気で人の心に踏み込んでくる、スパイクあかんっていうとんのに。

 2、3人の子供が近寄ってきて質問をしてきたから、大人として真摯に全部答えて、しかし子供らは理解できていないようだ。

 ダッシュで走るも、電車に乗り遅れて慌てて橋の上。駅が小さく見えるここから飛び降り、乗ろうと。ところどころ錆びた鉄骨。つま先の先、目がくらむような高さはすなわち草むらとの距離。リターンを決意し、狭い穴をくぐるって、バランスを崩しかけ、落ちたら死ぬ。ぬるい風が吹き始め、危険に気づき諦めた。

 単語を思いつく。口でいうと楽しい言葉のタイプ。プロジェクト安全、日傘サイズ。

 ずっと道を歩く。クッキーほどの超小型サイズドローンが複数機。距離感を保ちつつ背後から追跡。急に風景はデジタル化され、始める点滅。

 ついに超えた一線、母を殴る父。近いとは思っていたが、今日が家庭崩壊の朝。早速、処分されたダイニングテーブルによって、その場所は空間として何を代弁するか。感傷的にはならず、清々しい気分がやってきた。
 大量の、壁に並べられたスニーカーは今この場においてのみの所有物。ツーディー、縦と横の組み合わせ。選択可能、しかし欲しい黒い靴だけがなく、出かけられない苛立ち。

 ちゃんとした身なりの男性が、かつて有名人が住んでいたという、その家の立派さを説明。一面の大きなガラス窓。どうぞ覗いてくださいと言われた気がして、室内にはメタリックグリーンのアンティークスポーツカーが。
 ガラス窓の隣に、外側、生ゴミ用の大きなゴミ箱の蓋にはアナログ時計。一様に文字が見やすいタイプであり、しっかりとした厚み。見事なおしゃれ。

ジョイント92

 冷静に考えて、あなたの話は矛盾だらけだ。なんとか勢いで納得させて、そのままうやむやにしてしまおうとお考えなら、私を甘く見過ぎだ。結局何も前に進んでいないじゃないか。


2019/10/02

第九十三環

 勝手に、誰も聞いていなくても気にせず喋る男性が主張。マルチメディアとはコンテンツを組み合わせること。

 徒歩で旧友の実家へ、何十年ぶりだろうか。変わってしまっていた建物にはもう、犬小屋が見当たらず。ずいぶん近代的な外観の二階の窓から顔を出し、出迎えてくれたのは旧友の兄だろうか。交わす挨拶。続かない言葉。場をつなぎたいが、当時の記憶もなければ、そもそも面識が殆どなかったので、顔を見ても誰なのだか分からないから何を言ってよいのかも分からない。一階ガレージから現れたのは旧友だろうか。かつての面影と地続きにならない現状は二階の男と同じ、本当に君は旧友なのだろうか。
 会話はほぼなく、しかし、建物の中に招かれて。
 手際よくセットしていく、何かよく分からない、地場産業という雰囲気を漂わせている木製品の機械はフル稼働。嬉しそうな表情と振る舞いは景気が良さそうであることを隠しきれない。意固地になる必要などなく、儲けてもいいんだ、という発見をし、心が軽くなった。

 旅路をゆくバス。進む道路の片側は断崖絶壁。気にしているのは、このペースで進んでいくと、他人に借りた靴を返せないという困惑。

 雲ひとつない空。

 落語家の名前にSNACKをつければたこ焼きの名前になるという発見について書かれたレポート。

 トイレの奥の、壁だと思っていた壁は、壁ではなく扉であり、今、その扉は開け放たれている。ルッキングエブリデイ。今までどうしてここに扉があることに気づかなかったのだろうか。壁と同じ大きさの扉から外へ出ると、その先には白亜のリゾート。トリプルシャワーが左右に並び、広いプールの水面は、さんさんと輝く太陽の光を乱反射させてきらめき。今日からの毎日が楽しくなること間違い無しの発見となること間違い無しのここ。

 混み合う人、広い食堂。うるさく、がやつく人の多さと室内の薄汚さが相まってストレス。ステンレスのテーブルでカレーを食う、どこの誰かも知らんおっさんに、プールの話をすると、当然ながらなんのリアクションもない。いまいち伝わらんか。

ジョイント93

 軽いほうがいい、荷物は少ないほうがいい。それでも、あえて多少荷物が増えても構わないと思える何かに出会えたら、とても幸せなことだ。


2019/10/03

第九十四環

 誰も歩いていない湖畔は爽やかな空気とまろやかな日差し。

 四角いLサイズのお盆に細長い握り手が伸びた、カーハートWIPの極厚チケット。とはいえ、チケットとは程遠いすべての要素。素材は、薄くほぐされたボール紙。密度高く幾重にも層を成し、重厚な見た目が存在感を主張。売り場の係員に、簡単には手に入らない貴重な作品だと言われた。例えそうだとしても、だが、そうだとすれば余計に、これが何なのか全くわからない。

 いいですか、紙製のチケットは個人で登録してください、と。登録を忘れるとNHKの利益になりますよ、とアナウンスが流れた。

 卓上に置かれたスマートフォンが鳴り、発信者の分からぬ番号を表示。時期的に、数ヶ月前注文した品が入ったのだろうと直感したが、急に襲ってきた睡魔。まぶたを開けていることすらできず、体は自由に動かせず、スマートフォンに手が届かない。
 いつの間にか切れてしまっていた電話。

 わざと床に座って、片付いていないこの部屋の要素となることを意図。
 遠くに住む親戚のおばはんらしき無神経によるプライベートへの侵入。うるさい人、同伴してきた女性は、天童よしみに憧れる演歌歌手らしいが、見たこともなく、今この場においては顔すら描かれていない。
 いきなり、二人は床に積まれた本を探ってきて、頼むから、どっかいけよ、おばはんと、心の中。
 勝手にうろちょろし始めたおばはんは、転職おめでとうございます。なんていう会社ですか、との質問してきて、なんと答えればよいのか分からず。

 ずらした目線のその先にあった本で、図書館の返却期限が迫っていることを思い出した。大量の本のうち、どれが借りた本であるのか、どうすればわかるのだ。

ジョイント94

 誰も知りたがらない情報だと思うんですけど、それ。本当に伝える必要ありますかね。それを知ったところでどうすればいいのか、まったくわからないんですよ。心が苦しくなるだけで、何の役にも立てへんのだわ。


2019/10/04

第九十五環

 悪いことだとわかりながら、I氏のマンション自宅へと勝手に入り込む。無人の部屋を歩き回っていると、監視カメラに感知され、鳴り出すアラーム。
 無我夢中で走り出し、逃げようとするも背後から老人が追いかけてきてすぐに捕まってしまった。多分、I氏の家族だろう。上の空。ラララ、嘘をついてその場から立ち去ろう。嘘はがすぐに嘘とばれて泥沼。

 丸みを帯びた変形のy字路を戻る方向へ曲がるを何度も繰り返し、何度も同じ病院へたどり着く。車を運転しているスピードではあるが、車そのものはそこに存在せず。

 頭脳明晰な正社員たちは真面目そうに見えて、全然そんなことはないと気づいた。
 例えば食事ひとつにしてもそうだ。大事な栄養素を含む野菜を使わない。

 いくらかずつ速度が上がり始めて増え始める時間の皺。

ジョイント95

 わっと驚いたのは予定よりも5分過ぎていたから。慌てて飛び出し結局5分早く着いた。次の目的地には10分早く着いた。最後の目的地には予定通り着いた。
 すべてが上手く噛み合った一日だった。
 それでもイライラしている。問題は自分の外にあることにしてしまっていいのだろうか。


2019/10/05

第九十六環

 塊はそれぞれが小さない球体で、格子状に区切られた木の箱へと収められていく。空白なくすべての枡に球体が収まり、それは、解決や安定を精神にもたらす。

 白いプラスチック素材の棒の中程にフック形状の工夫があり、使用者は先端でもフックでもどちらでも使いたい方を使え。選ぶのは意思。しばらく考えて、リモコンが近くにないことを思い出した。

 大したことはないだろう、うまくいくだろう。自惚れていた。たちまち映像は消え去り、次に文字も消えて、もう出会えないそれらは何であったか。

ジョイント96

 片付けるのは、部屋がきれいになっていく過程を楽しめるからモチベーションも上がるが、片付いた状態を維持するのは、それ以上何かが良くなるわけではないから、努力する気持ちが必要になってくる。現状維持の、簡単そうで実はしんどいという好例ががこんなところに。


2019/10/06

第九十七環

 二文字の熟語が計4つ、縦に並べられた横書き。規則的に左側から1つ目の熟語へ放り込まれるのは、それぞれが問題。色は黒の矢印が問題の進行方向である下を指す。ステップは、熟語の数、つまり4つあるから、どんどん次へステップへ放り込め。

 面識がない人たちの集団のなかに混じって歩く、田舎の道。
 近づいてきた向こうから、歩いてきたのが天皇皇后両陛下だった。
 たちまちに緊張して極限にテンパってしまい、体が勝手に動く。クキクキな動きで関節もろくに曲げられず、車道へと歩き出すのを止められない。居た横の人が止めてくれてはみ出すのを逃れた。

 建物の中を歩いていたはずが、いつのまにかバスで移動。うら寂しいどこかのサービスエリアで昼食。
 黒っぽい木製の引き戸を開けると、中はみやげ物屋。安いものから高いものまですべての商品がガラスケースの中に並んでいて、触れない。

 一同は奥にある食堂へ進む。
 むっちゃ大きい鍋が中央に。煮えているおでんが湯気を上げて。テーブルに並べられた他の料理はバイキング形式。
 郷土料理のおでんの鍋を取り囲むようにカウンター席。気になるものを自由に取るスタイルの、おでんの具は厚揚げ、串に刺さった肉。くつくつと煮えて、味付けが塩辛いのはここか東北だからだという説明。

 一番奥のカウンター隅に芸能人のHさんがいた。
 たった2人だけで話す。すぐに本題、先日見た映画についての感想。嬉しい気分になってきた、話が弾む。
 難しい理屈の、地名の新しい分類法について持論を展開するHさんによれば、前半と後半に分けて、それぞれに分類し、あとはその組み合わせですべて表現できるだろうという主張。浮かんできた風景は、説明の時になぜか川沿いの道。直角の崖、川までは10mほどの高さ。

 さて、バスへと戻る途中で、おでんのせいで喉が渇くといけないから、バスの中の冷蔵庫に入っているペットボトルのお茶を取り出す。隙間が見えて蓋が開いている事に気づき怒りだす。すぐさま、違うペットボトルを手にすれば、さっきは緑茶で、これは烏龍茶だった。大した問題ではないから納得。狂い始めた空間が矛盾を生み出す。すなわち、バスに戻る途中なのにバスの中の冷蔵庫からお茶を取り出せた歪みに。

ジョイント97

 忍者になって、アメリカで成功したいと願う毎日です。忍術を使えなくても、使えますと断言してオーディションを突破すれば、解決策は後で考えればいいと思います。


2019/10/07

第九十八環

 ススキ、枯れて葉の落ちた木々、つづら折りの道。頂上はまだ先、山の中腹斜面に拓かれた観光地。地形の歩きにくさをすべて無視できる何らかのなめらかな移動方法、それは科学で説明できないかもしれない。一気に上から下へと降りていきながら、インターネット技術についての説明を繰り広げる人達。

 知識の限りを尽くして何かを考案したらしいが、それは、もう出会えない何か。

 瓦葺きの駅が向こうに見える、麓の駐車場にツアー客が全員集合。うるさく盛り上がっていると、そこに芸能人のK氏が飛び入り乱入挨拶。ツアーの皆さん、ここは島倉千代子さんの故郷なんですよ。よくわからないが、なぜか沸く観衆の様子。

ジョイント98

 涼しくなってきたので一枚羽織った。一枚羽織れる幸せ。一枚羽織って得られる幸せ。暑かった頃には想像しなかった幸せを今私は噛み締めていますよ。


2019/10/08

第九十九環

 少しの間、誰かと会話していたような。何の話だったのか分からず、もしかしたら独り言だったのだろうか。仮にそうだとしても、記憶は消えてしまったか、あるいは他との結合を切り離してしまったか。

 壁はコンクリートで高く、唯一の入り口である鉄の門をあけ、寺らしきところへと。とても広い敷地には緑葉樹、砂利が敷かれた庭、の向こうに大きな建物。
 登っていく外階段を経て中に入るのは少人数ずつ。

 つくねと煮物などが入った色の悪い弁当。うまそうでない、鮮やかさのない配色。食うてもカロリーは取りすぎないから安心だと誰かが解説してくれています。

ジョイント99

 少しは外に出て、世間の常識というものを知ったほうがいい。あなたはきっと今までずっとここでぬるま湯に浸かって生きてきたのだろう。ベテランで偉い立場なのかもしれないが、あなたのようなやり方が通用する場所など、ここ以外、世の中にないということを、誰かが教えてやるべきだ。


2019/10/09

第百環

 題名がまず思い浮かんだ、本当町の人々。
 取り立てて何もないし、待っていても何も起きない。
 いつのまにか目の前に立っていた大学のラグビー部員2人は「楽しかったです。4年に1度の事なので」と笑顔。
 教えてくれたのは誰だろうか、ここは3年以上生きた者がいない街。チャイルド、精神年齢も最大3歳だと。

 遠くに急峻な岩山が見える左は開けており、海沿いの道。ちょうど今、河口の橋を渡るとこ。

 ここは神社だろうか。砂利の上を歩く感触。黒い杉の落ち葉は植えたら育つと教えてくれた。
 たとえ教えてもらったとしても、予め調べたほうが良いからとスマホでググろうとするがうまく文字が打てず、焦りが増す増す。

 すぐに場面は変わって電車の中。囲まれた、5~6人の女子高生に。にぎやかに喋っている彼女らはスカートが短いく、パンツが見えた。

 絶えてまた発生してまた絶えての断続的な情報、ノイズが多い。今は暗いので夜だろうか。駆けているのは何らかの設定に基づいた行動。嬉しそうに結果報告、芸人が三人一組で集まって。

 テキスト、充実、ちょっと違うと思わんか。

 乾いた土のグラウンドでテニス、何か、さらに何か、3つのスポーツを連続で行うらしい。

 椅子に座ったきれいな女性がなにか手先を使う細かい仕事。トレーシングペーパーを折るような。難儀し、手こずっている様子。すると、毛むくじゃらのごつい男性が背後から体を密着させ、レクチャーし始めた。
 たちまち羨ましいと思ったが、女性の顔を見てみると、とてもブスだったので、うかつなことをしなくてよかったと安堵。

 どこか外国の、地中海のような湿度の低い地域。きれいな、外壁も内壁も白い建物。のんびりとリラックスした時間が流れている。ルーム構成は全部で3部屋。野外と床はバリアフリー、壁の一面がなく庭とつながっているから、開放感がすごい。
 いつの間にか地下で手に入れたラグを敷く。
 組み合わせ、誰かとの二人部屋になりそうになったが、個室に移動できた。
 訪ねても会話のラリーにならないほどの、隣室の二人は頭がおかしい。
 今、外は明るく昼間、床に直接置かれたテレビでは深夜番組を放送しているのはなぜだ。

ジョイント100

 誰かやってくれ。俺はそういうことを面倒くさいと思ってしまうから。あんたがやりたいと思うならあんたがやってくれればいいし、結果、あんたが評価されるんならそれでいい。俺のことはほっといてくれ。


2019/10/10

第百一環

 レクチャーをしていたはずだ。誰に何をが分からぬ。抜け落ちる、ではなく、消え去る、という動詞。
 白い動物。つややかな毛、ペガサスのような姿。絶えることなく引き継がれてきた血。

 超怖い崖に通された細い道を走るマラソン大会に参加。固く凍りついた道。力の差、背後から抜きにかかる相手選手を察知。直後に停止し、身を山側へへばりつけ、相手に先に行かせて、事なきを得た。対戦し、打ち負かすことよりも、命のほうが大切だという判断が求められるレース。少しでも危ないと思ったら譲れ。

ジョイント101

 連携してくれる人はいないので、自分で理解し、会得する他ない。他人に頼って生きていける人は楽でいいな。五里霧中であるのか盲目であるのかすら教えてくれる人がいない日々。


2019/10/11

第百二環

 ビッグな自信があった。たとえ少しぐらいロスがあったとしても十分の結果が得られるだろうと踏んでいたのに。

 日記を継続していくという気持ち。ちょうど目の前を日付が流れていく。

 苦労しながらなにかしらのプログラムを書いているような状況。うまく全体の把握ができないから困り果て。手がかりはパスであり、それによる画像の参照。

 うっすらと中華。カンのロゴ。

 午後の番組。緑が茂る庭を一望できる大きな窓は大きく。クリーンなモノトーンの部屋でインタビューを収録。黒っぽいカジュアルウェアの男性2人がゲスト。
 撮り始めて、インタビュアーの女性アナウンサーがうっかりあくびをしてしまう。うっかりは痛恨であり、失態。一部始終を何度も繰り返し再生されて。  手応えがまるでない。一方的に求めていくべき美。

ジョイント102

 病気療養中の友人が早く恢復することを願っている。嘘だ。私には病気療養中の友人などいない。友人すらいるかどうかあやしい。誰の幸せも願っていないし、誰の不幸も期待していない。とにかく、私を含めた全員が私に迷惑をかけないでほしいと思っているだけ。


2019/10/12

第百三環

 景色は流れ、平野と畑の色が広がるここは北海道。動き続ける電車の中におり、今、旅行の只中。数えるほどの乗客を通り抜けて、移動、前の車両へと。特殊な雰囲気の、イスのない車両に入った。
 辿り着き、停車し、車掌らしき服装の女性が複数人乗り込んできた。他愛ない話を続ける女性たち。ちらちらと見てくる、そのちらちらの頻度が増してきて、いつしか囲まれて話しかけられて全員の瞳はハートマーク。

 くたびれた駅舎に降り立ったはずが、なぜか今歩いているのは立派な地下街。いろんな飲食店が軒を連ね、どこで食事するか、目移りしてしまう。

 売り子の女性に見覚えがあるぞ、Hさんに再会。今、彼女は食品店で働いていた。
 たちまち近寄ってきて、ひとしきりの挨拶。掴んだ腕を離さず、積極的にアプローチしてくる彼女の、しかし、本音が分からず。ずっとこの時間が続けよと思った。大層面倒な事態に陥りたくはないから。

 ランドマーク的な、巨大なイオンモールの外、広い公園で空を見上げる人たち。注視するその先、アメリカ空軍の戦闘機が8機編隊を組んで飛行していた。隊が前後を入れ替えるその時、乱れ ニアミス発生。行ってしまったということは、事故にはならずに済んだということ。
 と、安堵したのもつかの間、アメリカ宇宙軍が空からやってきた。タイトなシルバーのフライングスーツに身を包み、小型ジェット噴出装置を小脇に抱えて落下。華麗に自由自在にスピード調整と急停止。
 しばらくの間、その華麗な姿に対する感動に心を委ねていた。

 台風に関する情報をリアルタイムで蓄積する仕掛け。

ジョイント103

 刑務所と精神病院に関する本を読んだ。戦後のグラフィックデザインに関する本を読んだ。筋トレ後のアフターケアに関する記事を読んだ。ノーベル経済学賞に関する記事を読んだ。台風は過ぎ去っていった。日本の古典的な文様と装飾に関する本を読んだ。


2019/10/13

第百四環

 誰もまだ使用したことのない、犯罪者逮捕のための取り締まりシステムが2種類スタンバイ。一網打尽にしてやる、システムAを初めて使うことに。
 2階建ての古い洋館の一室。積み上げられた大量の荷物が、和室とも洋室ともつかない部屋に放置。ちょうど正面の壁には引き戸の収納スペース。
 すぐにでもこの部屋から出たい気分なのはなぜか。隠された分厚いストーリーが、この建物にある気がしてならない。

 いづれの取り締まりシステムもコストが掛かりすぎるという指摘。

 キイロセンゲンという名前の黄色い花。馴染みがあるイエローパプリカにそっくりな実がなるという。
 植わっているのは、北海道の屈斜路湖の北の山脈地帯のみ。未開の地。地図で調べてみて、そこは隆々たる巌山がどこまでも続く厳しい世界。未だ誰も未だ。

ジョイント104

 だるいなあ。行くのやめようかなあ。行ったほうがいいんだろうけど、わざわざ電車乗って行くの面倒くさいなあ。約束してしまったから、行かないとだめなんだろうけど、かったるいなあ。


2019/10/14

第百五環

 あえて何も準備せずに取り掛かってみると、案の定、不具合が連発。つっかえて、うまく前に進めないから、背景はクリーム色の、地面は木目調。うまくいくまで何回かやればええやろ。労働の繰り返し。

 視覚的情報がない。いま聞こえているこの声はどこからか分からない。

 一定間隔で正方形の5ミリメートルほどのくぼみがいくつか並んでいて、くぼみの底はきっちりと直角。くるくると近づいて来ては離れて行きを繰り返す。すべすべよりももう少しだけ抵抗感のある手触り。利用の仕方がわからないメディア。

ジョイント105

 ああ、どうして私は素直になれないのか。飼い犬は飼い犬らしく、尻尾振って忠誠心を見せていればいいのに。どうして野良犬の自由を憧れてしまうのか。


2019/10/15

第百六環

 語り合っている人たちが向こうのテーブルに。入浴シーンがないといけないとの主張をある人がし、また別の人は2つのルールが互いに影響し合うようにするようにしてはと。統合すると、どうやら話のテーマは映画の脚本について。

 手で持って弦に触れただけで、メロディが生み出されるこれは何だ。誰でも思いどおりに弾けるギターらしい。曰く弦に工夫があり、爪弾くだけで和音も鳴らせるのだそうだ。

 談笑しながら自動ドア。開いてまっすぐ奥へと進む。向かって右の棚に回り込み、段の一番下。たくさんの、小さい正方形の本が並ぶ。分厚い。
 今まで見たことがないようなタイトルばかりで、ハンバーガー1000、ロシアのみやげ1000、近代の知識300など。

 どこなのかわからないが、なぜか職場であると認識しているここは、実際には職場でないし、来たこともない。
 移動するために乗ったバス。座っていた前の客、どこかで出会ったことがあるような。
 なんども振り返って、こちらを向いて、この先はダンロップコーナーだとうるさい。

 言いようのない不安に襲われ、新しい会社を立ち上げたほうがいいのかと苦悩逡巡してしまう。薄いブルーグレーの曲面体に周囲をかこまれていた、いつの間にか。

ジョイント106

 駆け足でさっさと終わらせようとしたのに結局いつもと同じぐらい時間がかかってしまった。なかなかスムーズにすぱっと仕上げられない。
 っぽさを消しつつ、統一感を出して、かつバリエーションの幅を広げてなんでもウェルカムな状態を維持するのは大変むずかしい。


2019/10/16

第百七環

 いよいよ時間が迫ってきて焦り始めるその心境は黒い色。ロボットのような動きなのでロボット。時計のデジタル数字が予定の時刻に近づくにつれ、折れ線グラフが100%の域に近づいていく。下ることはなく上り続けるそれが、何を表しているのかはわからない。今、目の前にグラフは5つで全部。

 舞台はアメリカ西海岸のような雰囲気の場所に。にぎやかな往来。一面雲ひとつなく晴れ渡った空と湿度の低い空気。
 汚い表面のコンクリート堤防ぎりぎりまで海の水が満ちてきた。楽しそうに沖の方でサーフィンのようなアクティビティに興じる人たち。近づいてきて分かったのは、サーフボードではなく、乗っていたのは丸い円盤状の板。
 確かめたいと衝動。海に手を入れてみると、水ではなく、抵抗が強い、半固形の、ゼリーのような手触り。理解できないはずなのに、しかし、そのことへ違和感は持たなかった。

   立ってみた、水の上に。にょんにょん飛び跳ねても沈むことはなく。

 口から出る音、いわゆる声によって、サーフィンのような名称不明のアクティビティに誘われたが断った。楽しくない。

ジョイント107

 いきなり荷物が届いた。数ヶ月前に予約していた品だ。おかげで昼間からのイライラと嫌な気分から立ち直ることができた。
 荷物のサプライズがなければ、イライラの原因を作ったお前とお前は俺にドロップキックされていたであろうから、今日届けてくれた配送業者に感謝すること。


2019/10/17

第百八環

 とぼとぼと歩く。曇り空、靴箱、玄関、花時計。5つほどの段の階段はコンクリート製で色褪せた、ほぼ白。朗々たるチャイムが響き渡り、三々五々、行き先は皆同じく運動場。上からその様を俯瞰で眺めていて気づいた。建物と人間のサイズ比がおかしい、人が小さいのか、建物が巨大なのか。
 駆けることなく、皆が淡々と歩いているので、教師に遅いと怒られそうな気がして心がもやもやと。
 途端、たどり着くと、急にノックが始まり、ショートストップ。プレイの内容はゴロの処理の練習。受けては投げる、その先はファースト。

ジョイント108

 とにかくいろんな事をせねばならない。いや、義務だけではなくて、やりたい事も山のようにある。だから自分の体が3つぐらいに分裂して、一日中ずっとどれかの自分が何かをやり続けるようなことができたらと強く思う。もし、分裂できたら、まずは全員でゆっくり寝ようか。


2019/10/18

第百九環

 家屋は平屋建てで、周囲はすでに暗く、窓から室内のオレンジ色の光が洩れて見える。留守かどうかは確認せず、母は離婚した兄を心配し、突然やってきた。叩くドアの音。扉とはドアの別名。居た兄はドアを開け、上半身を見せ、あからさまに嫌な顔をして、帰ってくれの意思表示。女性が後ろに、兄はすでに別の女性と同棲していて、新しい生活を楽しみ始めていた。
 たちまち、その事に腹を立てる母。腹を立てている母の身勝手さに腹が立ってきた。

 たくさんの飲食店が並ぶ大きな商店街を駅に向かって歩く。くれたのはチラシ。食事、昼に摂る食事、すなわちランチ。昼食がこの商店街では盛り上がっていると書いており、写真がどれも魅力的。気になるのは、大トロの刺し身定食だが、本日火曜日は特別価格で、普段より高いということを発見した。

 たしか、めちゃイケはもう終了したはずなのに。似て非なるもう一つ別の世界ではまだ放送されているらしい。
 いきなり、出演者の一人が、俺の住んでいる埼玉では、この番組は放送されていない、そんな程度の扱いをされている番組を続けられるかと抗議。疑問形の語尾としての、か、ではなくて、続ける意志はないことを断言するための、か。

ジョイント109

 かなりの確率で沈むであろう船に乗ってしまった私はこれから先、どのように過ごしていけばよいのだろうか。他の乗客は羽が生えていて、船体が沈み始めてもふわりと浮いて、どこか別の船に、あるいは島に乗り移れるだろう。私には羽など生えていないから、通りがかりの漁船に運良く発見されることを祈るか、イルカと会話できるようになっておくかぐらいしかない。


2019/10/19

第百十環

 色はまた今回もアイボリーだった。たくさんの円があり、円の中には小さい円がいくつか収まっていて、それが並んでいる複数個。これが、時間をおいて何度か同じことを繰り返す。すべてどれも構造はいつも同じだ。
 誰であるかの認識はできずともわかる、同じ人間が数人いて、同じような手順で、同じような行動と判断を行う、繰り返し。
 消滅し、すっかり消えてはまた出現して。手、この手は実際の手ではないが、手を伸ばせば消え去って掴めない煙。良好だった視界は真っ白になってしまう。
 うまく言葉が現象にマッチしないことへのいらだち。潮流は表面上は消えているように見えるが、それは目に見えないだけであって。天板の下、裏面で、あるいは深層で途絶えることなく存在し続けているのだという思い。

ジョイント110

 勢いよく突っ込んできた自転車に、信号待ちをしていた私は轢かれそうになった。


2019/10/20

第百十一環

 頼っていいのか、システムXが稼働していれば問題ないという。上の空、そのシステムXが何なのかが分からない根本のぐらつき。きめ細やかな説明を求めるが、にもかかわらず、問題ない、そればかりを繰り返す。少なからず抱く期待、しかし不安だってあるから、安易にこれを使えば答えがでると言うなよ、それは一体何なのだ。だれも教えてくれず、立ち尽くし、ただ、あたりを見回すのみ。

 妙にスッキリとした頭の中。硬い体は言う、まだだいじょうぶだ。だって、むしろこんな結果が出るなんて吉兆の運気。今日はいい日になりそうだ。断言しよう、まだまだ余裕がある、だから信じた。

ジョイント111

 大量のメールを見返して、迷惑メールでないのに迷惑メールに振り分けられているメールを迷惑メールでないと報告することをした。迷惑メールでないのにそのまま迷惑メールであるとしておきもした。雑な整理。


2019/10/21

第百十二環

 理論的に何かを説明してくれている人の話を聞いているが、全く頭に入ってこないから、どうしようかと。

 とぼとぼと歩く。黒っぽい着流しを着た男が向こうから歩いてきた。たしか、どこかで見たことがある、知っているはずの男だが、今は知っているはず以上の情報を付与されていない男。コスプレだろうか、時代劇の。伸ばした白髪を束ねているのか、あるいはカツラなのか、それが気になった。

 大量の弾丸が散らばっていて、横にいる人は臥せて、誰かをライフルで狙っているようだ。誰も何も発しない。一方で狙われている人の所在はコンビニの中。かなり遠いから、常識的に考えて無理。

ジョイント112

 料理を作っている時、急に不機嫌になってしまった。自分でも理由が全くわからない。さほど空腹でもないのに、夕食を作っていることにムカついてしまったのだろうか。それとも代わり映えしないメニューに対する絶望だろうか。


2019/10/22

第百十三環

 噛みつかれればひとたまりもないであろう鋭く巨大な牙。バカでかい体格の恐竜、ディノザウルスという名前だというが、それはホントか。簡単な説明であり、荒いと感じたが、それ以上こちらからは何もできないアプローチ。

 地は変わり、スペインの街なかを行く。詳しいことはわからないが、アドビのアカウントを持っていると何か優遇されるらしい。いつも曖昧な情報しか与えられない。いつもそうだ、今日も。
 ものすごい数の群衆、すべてはデモの参加者だ。

 誰か、顔の見えない、姿のない者から、持ちこたえ続けろとの命令。維持、継続して炎上させろ。

 ろくに指示もないまま担当している、爆破させる係。
 リズムに従ってすべて爆破させ、最後に残った物が真の要素。

 総合的で具体的なゴミ。民衆がデモし続けるためにはゴミが必要。

 売り物ではない、こたつのテーブルと天板の配置。チクチクと問い詰められるやる気の無さ、辟易。

 急な坂が続く山の中。囲んでいるのは針葉樹であるのに、場違いなヤシの木が。がんがん落ちてくる、あちこちにヤシの実。見つけては踏んづけて、中に可食部がないかチェック。

 車は山道を登っていき、いつの間にかインターチェンジ。順調だった運転は、ETCカードを挿し忘れて、高速道路で立ち往生。

 売値を信用し、高い金を出して買ったスウェットの袖がすぐにほつれてきた。
 たしか、このブランドは前もそうだった。耐久性がないことは分かってはいたがやっぱり腹が立つ。繕うのも面倒だし、返品するのも面倒だし、どうするか考えながら歩く廊下。

ジョイント113

 叶わぬ夢だとは分かっているが、働かずに生きていけたらどんなに楽しいだろうか。自分のやりたいことだけやってそれでいいのなら、それが私の理想の人生だ。


2019/10/23

第百十四環

 代替手段を採用することに。二種類の案を用意しておいてよかった。便り、すなわち封筒に入った手紙をどうやって送っているか。考えてみて、調べてみて、結果は出ずに途絶。
 月夜、外は明るく、庭の芝生の緑がまだ有彩色を保つ時間帯。イチゴが乗っていないショートケーキ1ホールまるごとのような外観の建物。ノックせずに中に入ると、どうやら図書館のようだ。大々的にはられたポスターは地域のイベントを周知する目的。
 木でできた手すりを持ちながら、半弧の階段をを登っていくと、いつの間にか、階段を降りている途中になり、気がつけば入り口に戻っていて、本のある場所へはいつまで経ってもたどり着けず。

 ずっと長らく会っていないM氏、と他数名が談笑。うら若き女性であるはずのM氏が、今ここにおいては中年男性なのに、なぜM氏であると分かるのか、その事にまったく不思議さは持たず、ただ、その輪に入るのはなぜか気が進まなかった。

 旅、どこか遠くへ行くような話。出費を抑えろ。ロープライス、電車の切符を安く買うにはどうしたらいいのだ。

ジョイント114

 ダンスで感情を表現したい気分だ。この溢れそうなパッションを、表現できる手段が他にあろうか。今がその時だ、理性の箍を外せ。


2019/10/24

第百十五環

 迫りくる大量の数字。順番に計算せねばならないが、頭の回転が追いつかずパニック。

 くどくどと話し続ける担当者に苛立つ。つーか、さっきから何の話をしているんだ。段取りが悪い、屋根の修理。立脚を入れ替えると脚立、に登って修理した箇所を念入りにチェック。草は生えていないが、屋根の上が泥まみれ。
 レポートを受け取り、立て看板に作業完了のシールを貼って作業終了。
 うっすらどころか十分に空はまだ明るいが、時刻は午前0時を過ぎていて。撤収しようとしている作業員たち、こんな遅い時間に終わって、明日何時から働くのだろうと心配してしまう。うらめしそうに作業員たちはこちらをじっと見ていて不快だ。男性ばかりの作業員、デブとかチビが多い。

 いかつい大型スポーツバイクが駐まっていたから、またがってみると。突起、ミラーが左に2つ。ついでに右にも1つ付いて。テクノロジー、左の右向きミラーは右のミラーの裏面にあるミラーを反射させていて、左のミラーを見るだけで両方の後方を確認できる画期的な仕組みだそうだ。
 だが、バイクが駐まっているせいで、バスが発車できないと運転手に小言を言われた。
 只今の時刻は23時頃。老人はもはや寝ている、こんな時間からバスで旅行に行くわけ無いやろ、町内会の。

 乗っているこの車、知人の運転する車。真っ直ぐ前を見ながら助手席に座っているが、ものすごく飛ばすので怖い。

 いきなり、花畑に到着。草のような小さい花が密集してい咲いている丘陵。美しい花は、ラベンダー、ミント、名前のわからない白い花。何種類もの植物のどれも背の高さは同じ。ジャスト1メーターごとの市松模様で規則正しく植えられている様に、几帳面さ。
 咲く花の向こう、花畑の傍らに男性が二人で立ち話。しきりに耳打ちをして、何か秘密の話。白い花の香りを嗅いで幸せ。

ジョイント115

 せっせと積み木を積み上げて、完成に近づいていた城の完成は積み木の中に隠されていたダイナマイトのせいで木っ端微塵となり、泣きながら、怒りに震えながら、アホらしいと溜息まじりに木屑を集める。そしてまた、理想と現実の距離は離れてゆく。


2019/10/25

第百十六環

 車で渡る、長く、そしてクランク状の吊橋。下が見える、それも、進行方向に対して直角に交差する継ぎ目ではなく、渡る道の真ん中が抜けているすっぽりと。通る車、その全幅ギリギリしかない木の板が道。中途まで進んだところで、向こうからやってきた佐川急便のトラックは落下した。たちまちダムに沈んでいくトラックと運転手に対して何もできず。
 ずっとゆっくりと落ちないことを祈りながら進めていったが、後もう少しのところで脱輪し、そのままダムへ真っ逆さま。まるで他人事のように、その様を俯瞰で眺めながら、ああ、これで死んでしまうのだな。なるほど、人生の最後をこういう終わり方で迎えることになっていたのか。
 観察している場合ではないな。なので、のんびりと感傷に浸ってばかりもいられないゆえ、車の中に戻ろうと思った。たちまち、車とともに落下していた。

 助けを求めるトラックの運転手の声は、なんとか脱出できたことの証し。

 しばらく経っていると認識している感覚。靴が玄関に散乱しているどこかの家から、警察に電話をかけて、トラックと車が落下したことに対して求める助け。けれども、説明がうまく通じない。
 今いるここがどこであるかはわからないが、ここではないことが確かな鹿児島の、それが本当に存在するのかどうかわかない湖で事故が発生したと理解されて無力。来るべき助けが来ないだろうことを悟った。

 タイマンで長らく会っていない元友人とお好み焼きの焼き方について口論になる、ここは庶民的なお好み焼き屋。やはりだ、結局何についても、おまえは自分の主張ばかりを言うから不快であると正直に伝え、店を出た。
 高そうな雰囲気の料亭、あるいは惣菜の店。せっかくなので弁当を作ってくれないか。金は持っているから心配しなくていい。いくらでも出せる財力。

ジョイント116

 黒いパーカーばかり着ている男性に僕は、世の中には赤い服も白い服もチェックも花柄もありますよ、と教えてあげたい。チンピラみたいな開襟シャツ着て、パイプ椅子蹴り飛ばす人生もありますよと。


2019/10/26

第百十七環

 とりとめもなく話を続ける若者。のんびりとした気分でいられるのは今日が休日だからであろうか。代わった。別の若者が何か別の話をしているようだ。だいたい殆どの内容を記憶にとどめていないから、若者の声は、文字ではなく、直線で表現され、それが左耳から脳を通過し右耳へと抜けてゆく。

 口約束、早朝に何が起きるのだったか、結果的には何も起こらずに、無に近い空間がデザート。

ジョイント117

 とにかく欲しい。自由に使える時間と、発想を形にできる才能と、安いスーパーと、バベルの図書館と、あるいはアレキサンドリアの図書館と、発色の良い絵の具と、安定感のある強い体幹と、静かな内海と、高性能なスマートフォンが欲しいです。


2019/10/27

第百十八環

 数字を入力するだけで、過去の偉大な巨匠の名作をも上回るような素晴らしい芸術作品が自動的に作られるプログラムが完成した。ただひたすらに人工知能が作品を生み出していく。

 車や人の通りが多いストリート。透明なガラスのショウウィンドウの奥にディスプレイされている絵画。

 画家ピカソの数字シリーズは当時は理解されなかったが最近になって評価が高まってきているから、買うなら今のうちだ。ダークでメタリックな絵の具で描かれた数字。

 乗車しているこの電車は特急。うん、やっぱり速いな、JRはさすがだ。誰かが大声で言った。
 田んぼの風景が流れる車窓から、見えた巨木。括られている赤い布紐が幹に。

 二階へと、アパートの。ノックするドアを、兄弟コンビの漫才師が。
 ガサツそうなおっさんが出てきた。頼み込んで部屋の中を見させて欲しい、そういうロケだと。床の間ではない畳の部屋。やたらと昔のものばかりおいてあり、古いステレオのラック。食いつく2人が、これどこの家でもあったわ、懐かしいわ。

 わびしい風景であると感じるのは回りに誰もいない、民家もないから。ランドセルは背負っていないが、小学校への通学路を歩く。狂う予定、何か忘れ物をしたので取りに戻りたい。いやしかし、時間がない。行けず戻れず。

 ずっと向こうの方まで続くフェンスはこの幅狭い空き地を取り囲む。
 無管理。利用価値がないからこの土地に。人間の背丈ほどまで好き放題茂った雑草。
 映し出された映像は、ネズミに小型カメラをつけて撮影したという。
 うつむき、かがみ、すわっている前衛ミュージシャンらしき、長髪の外国人が数名。いじっているのは古いシンセサイザー、壊れたらしい。いじっているのは古いパソコン、壊れたらしい。

 一度声に出してみて記憶できていることを確かめたほうがいいと思った。試してみたところ、曖昧だと思っていた記憶は、予想に反してほぼ正確であり、安心して実際の行動に移すことにした。
 たったの数秒の後に、ほぼすべての記憶は消え去り、折角のチャンスを逃す。

ジョイント118

 スキューバダイビングをしているときにマスクを外したら死ぬんだろうなあと当たり前のことについて考えていた。
 したことがないからどうなるのか本当のところはわからない。したことがないというのは外したことがないのではなくて、スキューバダイビングをしたことがない。


2019/10/28

第百十九環

 一方がまっすぐでもう片方が階段状になっていて、上方と下方ではちょうど真ん中のを中心点として、回転対称の形状になった木製の板。高さというべきか長さというべきか、はおよそ成人男性の背丈ほど。どうやって使うのか、あるいは、そもそも何か目的を持って作られた道具であるのかすら分からず。

 随分前から窓の外は暗く、夜であるのかもしれないし、そもそも時刻のない、今と時間だけがある世界なのかもしれない。

ジョイント119

 いきなり悪寒と鼻水だ。私は風邪をひかない人間なので、これは風邪ではない。風邪の諸症状と類似しているように思うかもしれないが、では、貴方は蛸と人間の目の数が同じだから、蛸も人間だと主張なさるか。


2019/10/29

第百二十環

 感覚としてわかる、人々が求めているものの大まか輪郭。

 クリアーなプラスティックの箱。小物ぐらいしか入らないから、使いみちに困るとか言ったりしながら。

 来月、今月。月によって、また、人、あるいは部署によって気が違う。うまく説明ができない、気とはなんですか。

 金の話。しょうもないことで時間を使うなよと思いながら、揉め事を眺む。
 無記名、もしくは本名以外で給料をもらっている人がいて、それは問題ないのか。
 勝手にやっとけ、知るかボケ。

 ケースバイケースで、録りためていたバラエティ番組を一気に見る余暇。

ジョイント120

 確実に成長できていることを実感している。先月の自分と比べてみても歴然たる差だ。心技体どころか、あと3つ4つぐらいの項目で、知とか、ほら、なんか適当に。


2019/10/30

第百二十一環

 入力してください、とコンピューターに催促され、押下する数字。順番に何かをさらにいくつか入力。繰り上がっていく数字と文字の組み合わせ。正確なことは何ひとつわからない。いや、分かれない。

 一帯は更地になる途中であり、ビルの基礎だけが残る箇所が散見される程度。泥が道を汚し、自転車での走行を邪魔す。進んでいった先で右に曲がろうとすると、膝の高さ、この膝は自転車に乗った状態での膝、のゲートが設置されており、更地の中に入れない。一応、念のために押してみるとあっさりとゲートは開き、勝手に思い込んでいた存在としての鍵。
 ギリギリのところで対向車をかわし、更地を抜けた先に簡易的な建物。軒先に白く大きな、形は米粒か卵のような、何かがいくつも。
 持ち上げる知らない男性。一歩ずつ近づいてきて、これをその自転車に被せろと言ってきた。頼むから、そんな不格好なものを装着しないでくれと断固拒否。
 人が少ない、ここはホームセンターかあるいはスーパーマーケット。とぼとぼと歩きながら、棚に並べられた商品を取るわけでなく。
 首を背後から絞められた。タックルを先にされたような気もするが、順序は不確定だ。男性の声、久しぶりと言っている、高校時代の旧友だろうか。関わりたくないから、他人のふりをしたが、それでも食いついてくるので、走ってその場を離れて、たどり着いた、人のいない場所に。

ジョイント121

 ニュートン力学に従い、頭が垂れる稲穂。私もそうありたいものです。ニュートン力学に従い、裁きの鉄槌をあの野郎の頭に叩き落としたい。


2019/10/31

第百二十二環

 いるべき場所にいるということを表しているのだろうか。かと言って、実際の職場よりも広いオフィス空間で立ったままキーボードを叩く。
 くらっとし、そして、揺れ始めた。立っているのが精一杯の強い地震だ。誰もが窓の外に目を遣り、上階から落下してくるクリーム色の何かを呆然と見ることしかできない。一体あれは何なのだろう、屋根かサッシの一部だろうか。
 体に感じる揺れが、収まったと思ったら、また別の揺れがはじめった。大層ひどい揺れ。連続する横の動き。奇妙なことに、室内のデスクや本棚は揺れるばかりで全く倒れない。
 いつまでも止まらない揺れに体と心が慣れてきて、しばし。周辺の様子はここからではわからないが、どこも被害がないことをなぜか知っているし、その事はたしかだ。だが、なぜ被害が出ないのか不思議に思う。

 薄暗い一本道は山腹へと続くつづら折り。両脇は広葉樹、車一台分の狭い舗装された道。地に正座すると痛い。一度立ち上がり周囲を歩いてまた正座し痛い。
 行き止まりへと辿り着く道。知名度の高い男女が一人ずつそこにいたが、どこかへ行ってしまった。
 ターンして、麓を眺めると一台の車がやってきた。短縮される途中経路。ロードにカーをストップさせ、降りてきた男は頭にゴープロを着けていたので、ここは撮影禁止なので、外してもらえませんかとお願いした。

 谷側を見ると開けた土地があり、テニスコートが、明らかにおかしい巨大さで。でも、利用者は皆礼儀正しそうなので、おそらく会員制のコートなのだろうと想像した。

 巧みなプレゼンテーションで、新しい複製技術を利用したビジネスですと紹介している男。この図を見てください、東京都の地下に巨大な空間があり、そこに複製品を入れていくらしい。いっこも具体的な事がわからない説明。

ジョイント122

 意味について考えている。そして意味を消すこと、別の意味を生み出させることについて考えている。その結果がコメディであっても、嫌悪であってもそれは問題ではない。鑑賞者の誤解などこちらがコントロールできるはずもないから。


2019/11/01

第百二十三環

 ランダムに出現と消失を繰り返す。すぐに消えてしまうことはないから安心していると、いつの間にか消えてしまって、もう手に戻ってくることはない。
 命についてだろうか。語っているのは誰だ。ダイジェストとして、意味は伝わってくるから、音でもなく文字でもなく。組み合わされたデータがファイルとなり、ファイルの寿命はすなわち、人間の寿命だという。
 薄くなっていき、消えたことにも気が付けない。一瞬、浮かんだ553あるいは554という数字に意味はあるのかしら。

ジョイント123

 ランプの精よ、我の願いを叶え給え。小物を整理するための棚が欲しいから、どこかいいインテリアショップを教えよ。できれば車出してくれると嬉しいかも。飯おごるし。明日昼からとか無理かな。


2019/11/02

第百二十四環

 なぜか電気ストーブが駅前ロータリーに置いてあるが、その事に疑問は感じずに始まる会話。ワット数が、電気のロスはないから、などと説得されて、納得を渋々。部分的に風景は建て替え前の駅舎となって、今、横にいる人が誰であるのかも徐々に不明瞭になって、そして、どこかに出かけようとしている人たちに取り込まれていく。

 屈託のない夜明け。健気にタイマーが鳴り、設定時間が経過しても大丈夫。
 ぶつ切りのアイデア群は自動的に記録されるから安心してよいとHさんは念を押してくれた。絶えずバッファリング装置が稼働しているからだ、と。
 透明になっていく周辺と過去を本当に保ち続けてくれるんだろうか。叶わぬ願いでありそうだな。

ジョイント124

 悩んでこだわった方が良いものが出来上がる場合もあるが、ダッシュで直感を信じて完成させてしまったほうが良い場合もある。小さく予定調和にまとめるよりも、大きく未知の可能性を探して失敗したほうがよい。ということをあらためて認識できた日であった。


2019/11/03

第百二十五環

 太陽に晒され白化したコンクリートの蓋がはめ込まれた側溝。上から覗くと大きな穴の中は暗い。行けそうだから、またぐ。ぐらつく足元の先、今度の側溝には蓋はなく、流れる水が丸見えで、勢いは激しく、白波水しぶき。気をつけながら、また、またいで、その先の段差を下りた。
 たどり着いたのは国道らしき道。注意が必要、ここへは人の足でないと、車やバイクでは通れないなと思いながら立つ。

 使い物になりそうにない、プロトタイプのスマホ。
 本当は新しいのをほしいが、貧乏なので変えない。一番の問題はこのプロトタイプ機にはカメラが付いていないこと。

 唐突に赤い鬼と青い鬼。

 二件の民家を通り過ぎ、そのまま歩いて坂を登ってゆく。
 黒い革ジャンを着た、大勢のオートバイとすれ違う。うーん、きっとモーターショウの帰りだろうか。
 彼方に街が見える、しかしまだまだある距離。理由もなく、とりあえず横断歩道を渡ると、そこから先は歩行者天国。
 配っている何らかの書類またはチラシのようなものを、ロシア人だろうか。髪の色は金髪の女性。いらないから、受け取らなかった。
 立ち去る間際に、アイムノットポリスと返事をしておいた。足して、日本人ですよと付け加え、隣の県からやってきましたと説明。
 今は何時ごろだろうか、ふと立ち止まり、空を見上げると星がきれい。いったいなぜ、周りを往く人はだれもこの美しさに気が付かないのだ。
 大パノラマ、星雲、銀河、さらに巨大な星がいくつか。勝手な推測で、空気がきれいだから星が大きく見えるのだろうと思っていたら、UFOだ。ダッシュと停止、鋭角を描きながら動き回って。
 テンションが上がり、思わず声を上げると、周囲の人達もUFOに気付き騒がしく。
 来る、来た、近づいてきた。例えるなら、丸いフリスビー状の先端に突起物が二本の、スターウォーズで見たことあるような。
 何か、UFOは落としてきた。それを拾うと、UFOは何か別のものに変化し、例えばスーファミのカセット。と、また何かを落として、その繰り返しが何度も繰り返され。

 例の記憶、スマホも持てず、赤い鬼と青い鬼に近寄られていた頃は、こんなんじゃなかった。

ジョイント125

 保ち続けるのも変わり続けるのもどっちもしんどいけど、どっちのほうがしんどいかはその人次第なので、しんどいと思わないほうを選べばいいと思います。


2019/11/04

第百二十六環

 すぐに決断、自転車を宅配便で送り返すことになった。
 大切なのは、送り状に必要事項を記入してあっても取りに来てくれないことがあるということ。とっておきの解決法、それは、30分おきに確認を、と書いておけば定期的に集荷がないかチェックしてくれるのだ。

 団体で旅館に来た。畳敷きの大きな和室。突き当りは大きな窓。ドレープ感のあるカーテンを開けると。川と山の静かな景色。

 丘陵地の先、荒涼たる砂の平地。躊躇なく吹き荒れる強い風。全然に日の光はなく、気分が滅入るが、それでも地面に落ちた鶏卵を探して回ることをやめない。いつになったら、終わるのだろうか、この鬼ごっこのようなスポーツ。辛くなってきた。助けてほしいです。

ジョイント126

 すらすらと頭に入ってくる。書いてあることが手に取るように理解できる。脳みその進化が止まらない。毎秒毎秒賢くなっていっているぞ俺。


2019/11/05

第百二十七環

 連続して流れてくる何か。漢字、例えば付の字、が書かれているものだけをピックアップしろと命令されるが、うまくいかない。

 命を、神妙な面持ちで、アラブの人に命を狙われていると話す人。

   都会の、どこか、放置されてしまった地下街。以前は駅とつながっていたのだろうか。簡単に手が届くぐらいに天井は低い。行ってみよう奥にと、古びた、薄汚れた、レトロな感じの。濃色の緑色のタイル張りの壁には布がさらに貼られていて、幾何学模様が目を引く。くっつけて壁際にふかふかのソファがはるか向こうまで並んでいるのを驚く隣の女。

 ないはずはないから、昔はいていた靴を探す小学校の靴箱。子供のころの記憶であるはずなのに靴のサイズはどれも大人。なんとかして、見みつけたがどれも古く、ソールがはがれてしまっているものばかり。

 林業と農業、こじんまりとした山村の集落。くるくるくるくるま。まわる、1周1キロほどの村内の道路を、自動運転の水素自動車が何周も。

 盛り上がっている人々。特に若者。ノースリーブで白い服を着ている皆。中のうちの一人がマラソンランナーの物マネをするが、その選手を存じ上げないので笑えない。

 いきなり、エアコンから歌が流れ出す。スピーカーを内蔵したのか、と妙に感心してしまう。上から下へと冷気と音波の流れ。

ジョイント127

 冷静沈着でいつも正しい判断ができる人でありたいけれど、私のような未熟者は自分の感情を優先してしまい、そしてまた落ち込むのです。深い暗い狭い穴に。


2019/11/06

第百二十八環

 意志を持って行為していたそれは、長い会話あるいは議論あるいは旅あるいは思考あるいは独白あるいは探求。内、どれに当てはまるか、あるいは複合か。影あるいは残像がうっすらと。
 途上、場所と時間が発生し、今ここは夜の街。中心街。行き来、車がまばらに走る幹線道路。路上、歩道をダークグレーのポメラニアンと散歩。ポールの先端に交通標識。急に道へとポメラニアン飛び去す。すぐに反応、リードを強く握っておいてよかった。楽しそうな犬の表情。うるさく動きまるポメラニアンを時に叱りながら、思ったのは伸縮自在のリードを買わないといけない。

ジョイント128

 言い方っちゅうもんがあるやろ、なんやねん、なめてんのか。なにそれ、かっこいいとか思っちゃってる感じ。いけてるロジカルでクールでデキるリーマンサラを演出中ですか。あほくさ、カスかよ。


2019/11/07

第百二十九環

 陽気でずっとなにかしら喋っている、めっちゃ若い後輩。今まで知らなかったが、この後輩はヒロ君と皆から呼ばれているようだ、名前を知らなかったことに今気づいた。大変に頭の回転が早い後輩であり、人当たりもよく、誠実であり、非の打ち所がない。

 石垣で周囲をぐるりとなって、ここはゴルフ場、なぜゴルフ場だと思ったのかはわからないが、何となくそんな気がする、らしき駐車場を車でぐるぐると何周も。

 もやもやとした気分を抱えつつ、喫茶店に。賑やかな店内、今日がオープンらしい。いかん、間違って勝手口から入ってしまった。タッパー、ガラスコップ。
 プレゼント、すなわちオープン記念のの催し。正面玄関から入ったらサランラップがもらるようだ。台の向こう、後輩はちゃんともらっているし、となりには芸能人のHさんがいて、二人は親しげに会話。

 ワープしたかのようにいつの間にか喫茶店を出ていた。楽しみにしていたサランラップをもらうのを忘れていたことに気付き、振り返るが、店まで戻る気にはなれず。

 ずいぶんと急な階段を上って、民家の二階。息を切らし、階段を登りきったところの小窓からみえる工事中の男性二人。リーダーは向って右。銀色の鉄柱の上に朱色の鉄柱を高所でつなぎ合わせようと、ボルトを回す。すばやい動作。
 さっき継いだ鉄柱をなぜか取り外す。スライドさせて、それを左側の脚立の男性が一人で抱え上げるが、これは、しかし、非常に重たそう。うめき声、転落しないのだろうか、心配。

 いっしょに後輩と、さらに知らない人もいっしょに道を歩く。繰り返し登場する、この後輩、そもそもお前のことを全くしらない。誰なんだお前は、なぜ、ここにいるのだ。
 大迫力大興奮の、光景。今、目の前に、動物が、見たこともないような四足歩行の大型哺乳類たち。近づいても逃げず、襲ってくる様子もなく、何種類も。悠然とうろつく。
 空調のきいた、暑くも寒くもない、気温の概念がない世界の、ホテルの一室。ツイード織のカバー、一人掛けソファには箱に入ったままの宅配ピザが立てかけられていて、ソファの座面はチーズまみれに。にもかかわらず、ピザが一大事だというのにも関わらず、グーグルは教えてくれなかった。
 訪ねてきた兄がこの部屋に。乳児を抱えていて、初孫を両親に見せに来たようだ。だが、兄に乳児などいない。いったい、今日はいつなんだ。誰の世界だ、今は何年だろうか。過去。この時間が現実と合わない。居心地の悪さ、現実とは何。認識できていると思っていた、ここで起きていることは現実ではないのか。傾く世。

ジョイント129

 良くも悪くも、という前置きをつけることでディスリスペクトをオブラートで包みたいのだけれど、良いところが見当たらず、結局、ティッシュでくるんで捨てることにした。沈黙は金だと昔の偉い人が言うていたから。


2019/11/08

百三十環

 ラフな格好で居間。  まず浮かんだ言葉はコンディションであり、その次はサブコンディションであるが、それが何であるか、分からぬ。

 ぬるい空気が漂う部屋に飾られた水墨画。

 がやがやと、人の前で人が集まって。転換、家に戻ってきて、ああ、皿が、皿がどうした。

 卓越した技術、持ち主より上手に運転するやつ。通過していく、そんな狭いとこ、すり抜けできるの。

 乗っている全員で、お化け屋敷に向かうはずが、いつの間にか住宅街に。庭先、スケートボードを持った女性が集まって。適した格好、太いズボンとTシャツ。

 続くまっすぐな片側2車線の、どこか郊外へと向かう道。
 力を籠めて言うている、キャンギャル2人の場合、必ずどちらかは美人で もう一人はブス、という主張。うなずかない彼ら。

ジョイント130

 楽勝です。ちょっと本気出したら、こんなもんすよ。なんていうかレベルが違うっていうか、なめてもろたら困りますよ。というか、一応、僕にもプロフェッショナルとしてのプライドがありますので。


2019/11/09

第百三十一環

 デマゴーグの秘密。常に明日に向かった、意識してチャレンジして欲しい。言ってる意味がわからず困惑。
 くるくると周り続けるスキー場のリフト。途方に暮れ、ただすることはまじまじとビンディングを眺めるばかり。リフトは止まらず動き続け、ビンディングにキズを見つけ、ため息。

 急激なバーナーの炎は接着剤に。

 鈍く光る総ステンレス製のエレベーターで降りていく。
 靴音だけが響き、人気はなく、無機質の建物。逃れたくなる雰囲気、ここは研究室だろうか。
 駆け出し、階段を下り、さらに駆け、そして出口を間違え。エンプティなクローゼットの戸を開けてしまって。
 転回し、反対の戸を開けるとそこはゲストハウスのような店で。

ジョイント131

 電話の声が大きくて周りに迷惑をかけているおばはんと、世間の話題の全てに否定的な持論を持つおっさんの間に挟まれて、私は私の人生の不幸を嘆いた。


2019/11/10

第百三十二環

 高く広く大きいショッピングセンターなのに、まばらな人影。ゲートをくぐった先に小さな受付。健康の文字。女性が2人座っていて、スポーツジムの入会手続きを行っているようだ。だんだんと習慣付けてきましょう、まずはビジター利用はどうですか。勝手に進んでいく契約の話。知り合いを受付の奥に見つけて、茶を濁し、とりあえず書類だけもらって、その場を去った。
 建物の壁に掲示物。つまらないダジャレが書かれていていることはわかるのだが、何が書かれているのかは読めない。
 いつまで経っても周囲は暗いままそれでも時は経った。

ジョイント132

 立てずに予定を、それでも満足以上の結果を得られたので、私は自分の直感に感謝している。やることなすこと全部うまくいくもんで。欲しい物を買い、食べたいものを食い、行きたい場所へ行く。


2019/11/11

第百三十三環

 車の用品を扱っているような感じの外観の店舗の駐車場で、たまたま古い知人のH氏とばったり。理想的な笑顔。大きなリアクションで挨拶。掴まれた左腕、新しい腕時計ですねと言われた。楽しい気分で時計について話す。
 するりと近づいてきた男性は、骨組みだけのバイクにまたがり、発進しようとするが、前に進まず。
 ずっと試行錯誤。ゴールはどこにあるのかわからず。ずっと同じことを繰り返すタスク。

ジョイント133

 車について詳しい人がいるように、パソコンについて詳しい人がいる。その程度の話だと思いますよ、僕は。そんな大したことじゃあない。


2019/11/12

第百三十四環

 幾度も時間を確認してみるが、時計はデジタルのようなアナログのような判別のつかぬ表現をしていて読み取れず。ずっとゆっくりで、それは想定していた過酷さはなさそうだ。だからすこし安心した。
 たえず心のなかに不安感が居座っていて、それが焦りを生んで、せっかくの時間滴余裕が活かせそうにないのが残念な移ろい。

ジョイント134

 いくら頭を捻ったところで正しい答えなんて出てこないと思います。だって、そもそも何の道を進んだところで袋小路、行き止まりにしかたどり着かないのだから。もっと手前から進むべき道を考え直さんと。


2019/11/13

第百三十五環

 途切れることなく標示が書き換えられ続ける行き先掲示板を眺めている、ここは空港らしきところ。6は別の数字となり、文字はまた異なる文字へと変化し、便名も時刻もまるで読み取れず。ずっとスケジュール通りに発着されない飛行機。

 奇妙な電話がかかってきた。滞納している100万円を払えと言う。鬱憤が溜まっていたので、そいつに対して全力で罵声を浴びせ、憎悪のすべてを放出。伝わる殺気、怯む相手。テレフォンの様子を、男性3人が眺めて、皆、顔には出さない悪質な笑み。
 見た窓の外、大雨。

 目線は天井あたりからその長方形の部屋の全体を範囲として捉え。英語、あるいは専門的な授業、教室を思わせる部屋。やがて、引き戸が開き、喪服の人たちが続々と入ってきて、斜め奥の戸から出ていく。黒い、外にまで続く列。ついに教師らしき人が、戸を閉めさせていただきますと言って、人を入っていこないようにした。たちまち部屋の中にいた喪服の人たちも消失。

 月日が経ったのか、あるいは今この時点か、は分からない。以前の職場、同じ部屋、同じデスクで以前と同じ仕事をしているのだ。ダークグレーのスウェットシャツを着た人に、今日からまたよろしくおねがいしますと挨拶したが、それは前の上司とよく似た、しかし知らない人。
 遠くにはいけなかったのだ。ダメだったのだろうか、結局もとに戻ってしまったことに感じる虚しさ。殺風景な心と。

ジョイント135

 とてもじゃないが、いつもどおりのルーティーンはできそうにない。体調が優れない。何もする気に慣れない。風呂に入り、ベッドにたどり着くのが精一杯だ。すべてがどうでもよくなってくる。ハンバーグソースが塩辛くたって腹も立たたない。


2019/11/14

第百三十六環

 意味がよく似た、そして音が同じ、構内と校内。いづれかを見回る事になった。高さが低い植木の向こうの土壁にいくつかの穴。

   なぜか地下通路にいて、前後は何も分からない。

 頂いた資料、チェック項目に目を通そうとするが、文字の大半は波状に、あるいはモザイク状に、視覚の情報が乱れて。

 手掛かりがなく、まったくどこか分からない土地に立つ。月夜の住宅街。一瞬、宇治という地名を思い浮かべたが、関係があるかどうか分からない。
 い草シートを敷き、背の低い額の広い男性が地べたに座って、何か話しかけてきて、どこかで見たことがある、テレビだろうか、と考えている間にここは別の場所になった。
 タバコに火が着いたまま、勢いよく民家の2階へと投げ込む誰か。囲んでくる人々はみな黄色い光沢の白い服を着用。

 うっかりスクーターに軽油を入れてしまった人。
 問い合わせてみるガソリンスタンドの経営について。

 テレビ局とコラボした手作りグッズは、小学生の女子が喜びそうな感じでかわいい。

ジョイント136

 いつか大惨事になるに違いないとずっと前から思っている。今の所、何も起きていないのは単に私がラッキーなだけだ。とはいえ、なにか解決法があるわけでもないし、Xデーに日々怯えるしかないのだろうか。


2019/11/15

第百三十七環

 限りなく無色透明に近い、かつ抽象的な情報。上に黒く太い線、というか細長い長方形があり、その下に白い正円がいくつも並んでいる。

 ルーズな性格だから結局また同じ過ちを犯すんです。

 数十頭の動物。繋がれており、紅白の紐によって。
 テン、ネコ、キツネ、などを思わせるが、そのどれでもない生き物。のんびりと、あまり動かず、地に伏せているばかり。

 理由があり進んでゆく。繰り返す同じ動き、いや、多くの人が一斉に同じ動きであるのか。

ジョイント137

 勝手に自分の心の中に種を植え、水をやり、実がなればそれを食べて美味いと思う。腹が膨れてくれないのが問題だ。


2019/11/16

第百三十八環

 大事なことは記録を残さなければならない。いわゆるそれはログだ。大事なことはログとして残さなければない。

 一方的に誰かが誰かに叫んでいる様子を察す。すぐに新規プロジェクト。遠くの方から聞こえてくる声。

 延々と続くなにか。

 顔。男または女の。糊で壁にはられたポスターの顔写真が次々と変化し、表情を読み取れない。不明と理解の間。

ジョイント138

 段取り良く時間を有効活用できた1日だった。やらねばならないことはほぼ全てやれた。さらに予定外の進展もあった。
 つまり何をいいたいのか。俺は天才だという事。


2019/11/17

第百三十九環

 取りうるルートは2つの分岐を持つ。つまり、4つの結果。かなり詳細な説明を受けて、これなら安心でしょうと言われたが、でも、しかしながら、何ひとつ理解していない。いわんや、記憶にもない。

 いい加減、学習したらどうだとそういう次元の話。四角い白い紙。見えるか見えないかギリギリぐらいの大きさのマス目。面倒だからかばんに入れておいてください。いつも持ち物リストに入れておいて、そう言っているのだと。

ジョイント139

 突然まさかの出来事。そんな事あるかね。びっくりしすぎて、それがまた、嫌な方のびっくりで。だからなんかもう半日ぐらいはもやもやしていて。俺は殲滅作戦を実行した。毒ガスを噴霧し、俺をムカつかせる生物のすべてをゴミにしてやったぜ。


2019/11/18

第百四十環

 全部が安定しているわけではなく、いくつもの不安要素が散らばり。理由もなく安心してしまって。
 提案されるのはカエル、もしくは白い布。のんびりとした空気だぜ。

ジョイント140

 絶対に妥協をしない。やると決めたあの日から何ひとつぶれてない。このまま突き進んでいこう。ゴールはどんな景色だろうか。


2019/11/19

第百四十一環

 固まって人たちの集団が、電車で移動。
 薄汚れた場所に到着。くすんだ色、鮮やかでない、無彩色に近い世界。一面に広がる刺々しい凹凸は日常の何にも似ておらず、ゆえにここがどこであるのかも分からない。一瞬、工業地帯という言葉が頭に浮かんだ。だが、それが何の約にも立たないことはほぼ同時に理解できた。

 立って乗る電車が単線を進む。難しいミッションだから、お前たちにできるかどうか、と知らないおっさんが言ってきた。頼りなさそうな周囲の人間たち。
 地上はぬかるんだ土。躊躇せずにはいられない進路。ロンドンではないイギリス、あるいは、聞いたことのない地名の東南アジアだろうここはと勝手に想像。うろついている連中は敵意を隠しきれず、殺伐とした雰囲気。

 来たことがあるような気がする場所と見たことのない場所が空間の断片となって入り混じっているから落ち着きを失う。うわ、さらに大きさの基準も曖昧になってきた。たった一歩が時間と空間を跋扈。

ジョイント141

 こだわりなんて特にないです。こだわっているその時間と労力がもったいないから。選択肢もサプライズも喜びも必要ないです。今は何よりも時間と集中力を欲しています。


2019/11/20

第百四十二環

 少しいびつな形のおよそA4サイズのコピー用紙を両手で挟むように掴む。向かう目線の先にはテレビ。ビデオゲームのコントローラーになった。
 対戦だ、テレビ画面に映るストⅡを操作できる紙。みるみる増える紙のしわ、そして、紙のしわくちゃに比例して、操作は上達し、ついに勝利した。

 探偵ナイトスクープらしき番組。見覚えのある、探偵役の男性が喋っているこの光景は現実なのか。関われない距離、それとも画面の中の世界なのか。考えてみるが、判断はつかない。

 いつの間にかダイニング。グレーテーブルの上の白いレースのテーブルクロスの上に置かれた小さなホットプレートの蓋を開けるとその中。カレーのような茶色い何か。勝手に開けてよかったのかは分からない。いつからあるのかも分からず食べる勇気も出ない。一膳の白米がホットプレートの傍ら。ライスにルーをかけろという示唆。

 殺風景な部屋、ロッカーが並ぶ。物理的な広さと心象。薄明かり、部屋の隅にはいくつかの棚。何も起こらず。ずっと誰も来ず、立ち尽くす。
 スカイツリー、もしくはほにゃららタワーのどれか。階は地上に近いフロアにテレビ局のスタジオがあり、それはフジテレビかもしれないし違うかもしれない。行手から歩いてきたテレビ局の人らしき人に名刺を渡された。頼まれたのは、エピソードを話してほしいということ。とはいえ、何のエピソードなのか分からない。

 いくつものホームが奥まで並ぶターミナル駅。気がつけば社内に乗り込んでおり、電車がゆっくりと進み出す。すっと男性乗客一人が突然降りて、なぜ降りれたのか、ドアは開いていたのか、そんな疑問は意味をなさない。一目散、男は隣のホームへと駆けてゆき、停まっていた車両を揺らし始めた。たちまちに揺れは次第に大きくなり、横転したが、音はない。
 幾人もの駅員が駆け寄ってきて男を捕まえた。大して抵抗もしないのは満足しているからだろうか。カーディガン姿の、非番らしき駅員が私物のビデオカメラでその様子を撮影していて、ビデオカメラ活用のチャンス。

ジョイント142

 スッキリしないことがあった。よく考えてみたがわからない。モヤモヤした気分のままだ。明日になったら解決するだろうか。明後日には解決してるだろうか。面倒なことにならないよう祈るばかり。


2019/11/21

第百四十三環

 り、という音が気になって意識から離れないから、りね、おくりね、と口に出してみるがそれは間違っているような気もしてふわふわ。
 割と有名なのだろうか、奥利根スキー場。嘘ではなく、それは実際に存在するが、行ったこともなく、そしてどんな場所かも知らない所、に新コースができた。立て看板に書かれたスネークコース、そしてスラロームコースの文字。時間の許す限り、一日中ずっと。とにかくスネークコースを繰り返し繰り返し何十回と滑った。体力あるし。しかし、滑ったという結果の記憶だけがあり、滑っているときの記憶はない。

 一心不乱、わき目も振らず、自動車学校の中のコースを歩いて横切った。淡色なコンクリートが見えて、その先は中央分離帯のあるバイパス道路。ロードサイド、信号は緑のランプが一つだけ。嫌疑、信号が信用できるかどうかわからないので。出来心、車が来ていないことを確かめてから勝手に渡った。

 辿り着いたいつの間にか高台の見晴らしがとても良い駅。

 記憶をさかのぼると、先ほどまで高速道路を車で運転し、ジャンクションでの合流を何度か経て、また、一度だけ逆走をしたはずだ。断言できない、これは本当の記憶だろうか。

 鏡のように輝く銀色の、乗り込んだ電車はすぐにトンネルに入って。低下する明るさ、さて、そこからの記憶はない。

 位置、どこかわからない、どこでもないかもしれないどこかを歩いているのは、団体で旅行しているからなのかもしれないと周囲の人たちを見て思う。薄いグレーのヘルメットを被らされて、観光はお開きとなり、最後はアンケートを書かされた。蓄えられた記憶をさらに絞り。

ジョイント143

 理屈を丁寧に説明しても頭の悪い人たちには理解してもらえないので、いいか、よく見ておくんだお前ら、あのビルディングを。
 ダイナマイトで木っ端みじんにすれば、どんなあほでも納得してくれる。理解しているかどうかはこの際どうでもいいだろ。


2019/11/22

第百四十四環

 ロケットスタート。とびきり速いぞ電動バイク。狂ったように前に進めていく太いトルクのおかげ。

 ゲストさんこんにちわ。わっしょい、零細サイトを応援だ。断固支持します、アクセス数が少なくても。

 元をたどれば小川という苗字に関する記憶のせいで、今、小川に足を浸け、立っているのだろう。嘘の水だろうか、秋なのに冷たくないのはなぜ。絶縁されていないから、手に持ったミニ四駆のスイッチを入れたらモーターが水でダメになるだろうと心配してしまう。
 動く水の流れに沿って川を少し歩いて下り、岸へとあがろうと手を伸ばす。スラントな形状のコンクリートの護岸には大量のハエがたかっていた。

 楽しくて、自由で、永遠の幸福を手に入れたような、定職についていない人間の気分で道を歩く。雲はなく、ガードレールの色は白。

ジョイント144

 ローファットはまだしも、ローカロリーな食生活は自分にはできそうにないので、体を動かして、とりあえず食った分ぐらいは己の汗と疲労へ昇華できるように頑張ります。


2019/11/23

第百四十五環

 ステンレス製の手すりを備えた低い階段がセットの奥にあり、手前には大きなローテーブルと立派な椅子、ソファを配置。テレビの向こう、これはトーク番組。見せず、姿を、ゲストが台本通り登場しないので、進行が無茶苦茶に。苦笑いを通り越し、司会者はいら立ちはじめた。

 タイムオーバー、通信の有効期限が切れるので更新が必要だと気付く。

 くっきりとした線、曲線よる終端処理、丸ゴシック、白抜きの大きな文字で書かれた50という字の内側に色を塗るよう指示された。

 タイヤを高いところから、斜面へ転がし、畑に直撃。

 来た方向、行く方向、分からず、道に迷う。うん、方向音痴だと改めて気付く。

 クリーンな電気駆動、そして、ボディがすべてプラスチックでできたフォークリフトが道を走っており、驚く。苦しいんじゃないだろうか、大きめの荷物を持ち上げるパワーがあるだろうか。感じたのは、やはり金属ではなくプラスチックだと光沢がないなということ。

 とぼとぼと家の近所を、歯磨きをしながらうろつく。クリアクリーンの泡、歯ブラシの色は濃い黄色。ロング、とてもロングな、本棚が、田んぼに並んでいて興味を持たずにいられない。曰くすれ違った人、だれでも自由に借りて持って行っていいよと。とはいえ、雨の日はどうするのだろうかなど心配は尽きない。

 一分ほど歩き、家に帰ると、建て替えられていた。建坪は明らかに以前より縮小し、玄関も非常に狭い。いかにも安そうな引き戸へと玄関ドアは替わっており、人ひとり分ほどしか開かない。意味が分からないのは、その入り口の真ん前にある腰の高さほどの段差。最悪の設計であり、それを乗り越えて中に入るだけで一苦労。
 うちの中も中も狭く、とてもじゃないが生活はできそうにない。一生をこの家で過ごし、暮らしていくのだと思うと心が暗くなり、めまいを催す。

ジョイント145

 好きになったり、嫌いになったりを繰り返す。嫌いになったときはすこし距離を置いたほうが良い。近寄りすぎていると、見なくてよい細部にばかり目がいって、本質に対して盲くなってしまうから。


2019/11/24

第百四十六環

 ラフな格好、短パンにロンTで、会社の人たち、実際にはそんな人たちを知らないのだが、を待つ駅前。遠慮したいが仕方なく慰安旅行に行く。来る列車の出発時刻が近づくが誰も来ず。ずっとこのまま誰も来るな、中止になったらラッキーと願っていたが、時間ぎりぎりになって全員がそぞろやって来た。
 立ち話。私服の全員を見てげんなり。理由は服装や。野暮ったくて、イモい感じで、あかん、ダサいと思った。
 たった一泊二日の旅行なのに、同僚の皆は、コロコロがついたハードタイプのキャリーバッグを引いてきた。そんなん、リュックサックに着替えワンセットで十分じゃないかと思ったが、口には出さなかった。たったの一人もそんな姿の人はいなかった。なぜ皆はそんなに荷物が多いのか。
 観光特急などという立派なものではなく、普通電車の中、あとでやる出し物の練習をし始める同僚たち。力を入れているようだ、マイケル・ジャクソンのダンスを披露しなければならないらしい。嫌だ、とても面倒だと思い、胃が痛くなった。

 たった一瞬で夜は朝になり、黒に近い群青の世界は明るい銀色の世界へと変化していく。雲の向こうから聞こえる声。

 映像、耳の中について、耳石が転がる理由は3つの要素からなるらしいが、その3つが何であるのかは、ぼやけてわからずじまい。

 いつの間にか、どこか海外、おそらくカナダだろうか、の空港にて。定刻通りに飛行機を降りてから、延々と待たされる。ルーズな時間に対する感覚の係員がやってきて、何かぼそぼそと説明をし始めたが、まるで聞き取れない。いきなり腹が立ってきて、ブチ切れてしまい、Not everyone can speak and listen to English.So you have to speak loudly and clearly.You tell us which room I go. One,two,three?と、正しいのかどうかなんてどうでもよかった。ただ、感情をぶつけたかっただけだ。
 だがしかし、ニュアンスは通じたようで、進むべき通路を教えてくれた。

 辿り着いた別の部屋。やや遅れて、隣に座った男性の話によれば、戦国時代、目つきが優しくて穏やかな顔の武将がおり、戦いには不利だということで、どうしたか。合戦の時には中華鍋をさかさまにしたような形状の、眼だけ穴をあけた朱塗りの兜を被って相手を威嚇したという。嘘か本当か、このエピソードの真偽を確かめることはしなかった。
 体格の良い、さらに別の男性がやってきて、互いに自己紹介。いつの間にやら、話し始めた当初は外国人だったその人は日本人に替わっていた。単刀直入な話っぷりに意気投合し、スポーツに関する新しいビジネスについてなど。どうぞ飲んでください、テーブルの上のコーラ。

ジョイント146

 ランダムな要素をあえて排除してきたのはそれに頼ってしまうと、なんとなくそれっぽいものが出来上がってしまうからだ。しかし、ある程度方向性が見えてきた今、コントロール下に組み込めるパラメーターとしての乱数を、そろそろ取り入れてもいいように思えてきた。ゴールはそれほど遠くなさそうだ。


2019/11/25

第百四十七環

 大浴場にはA風呂とB風呂があり、A風呂は黒を基調とした四角い浴槽。売りはヒノキのB風呂。
 廊下を歩いて奥へと進む。六つの狭い和室。突き当りにはフローリングの狭い事由スペース。すぐにここを出たいと思ったのは畳の古さ。

 さっきの旅館には裕福な客が列を長蛇。

ジョイント147

 段々と扱いに慣れてきて、一連の行動にもスムーズさが出てきた。ふらつきもなくなり、右往左往することもなく、人馬一体の境地へと少しは近づいて行っているのではないだろうかと自信を高めている。自信は余裕を生み、余裕は快感を生む。


2019/11/26

第百四十八環

 むくむくと急速に成長し、黒い雲は瞬く間に青空を覆い隠した。建物の中にいるから安心している皆。鳴り響く轟音の正体はジャンボジェット機。極めて低い位置、視界をすべて満たすほどの、を飛んで。
 伝染する不安感により、人は何か、とても恐ろしいことが起きるのではないかと。通り越して、起こるという断定をし始めている。

 ループする何度も同じことを確かめて、目覚ましのアラームがもし鳴ったら、どうやって止めればよいのか。隠された4つの条件を満たさなければならないのだと言うが、それに関する詳細は皆無。

ジョイント148

 無心になって体を動かし汗をかき、腿にたまった乳酸と、全身の疲労を感じながら、味わう清々しさ。デトックスという言葉にどのくらいの信ぴょう性があるのか知らないが、汗とともに心の中にこびりついたコールタールの如き粘性の高い毒物もいくらかは発散されたような気がする。


2019/11/27

第百四十九環

 ルートの要点だけをかいつまんでも大丈夫でしょう。上を見上げて、いくつかの高層ビル、札幌だろうか。回転する扇風機が通りに並んでいて、大きさは不確か。

 開放されている感じ。じっと名前を見つめて何かを、これからまずすぐにやるべきことを整理。理由もわからなければ、今、目の前にいる人が誰であるのかもわからない。1コだけ、認識しているのは上司だということ。匿名であり、顔も記憶の中の誰とも合致せず、会話というにはただ向こうから一方定期に声を発してくるだけ。健康上の問題があると言っており、緊急入院するから、退職することになるだろうと。特に何も心は動かず、なぜならあなたが誰であるかを知らないから。

 ラフにおおざっぱいにでいいので。
 では隠しておきます、順に並べる。

ジョイント149

 流浪の、という言葉は響きが格好良いので、私も流浪の旅人にでもなろうかな。お金は何とかなるでしょう。その辺に千円札落ちてるでしょう。目的もなくうろうろ歩いていたら困っている資産家の老人に出会い助けたお礼に3泊ぐらいさせてもらえるんでしょう。流浪は1週間で飽きそうですね。


2019/11/28

第百五十環

 念頭にあるのは楽をするということであり、そのためのルート選択。来る来た、いくつかのメッセージ。時間とともにずんずんと奥へ進んでいき、いつの間にか今ここは地下道。運よくここに入れたことで、地上の降雪を回避できた。
 たくさんの人が歩いている繁華街、もしくはオフィスエリア。あそこにいるおっさんが大声でなにかを喚き騒がしいから、近づいていって、一喝。突き抜けて死んでしまえ雷で。出てしまった本音。

ジョイント150

 寝て起きたら何とかなってるだろうと思って今まで生きてきました。何とかなってきたのかどうかは皆さんの判断に任せます。誰も私のことなど知らないだろうけど。


2019/11/29

第百五十一環

 どんよりとした、もうっとした空気の部屋。やたら暖房が効いていて、暖まりすぎて、神経をじりじりと消耗させるような居心地の悪さ。三人おり、一人はうつぶせ、リラックスし、雑誌を読んでいるという認識を与える存在。一方、奥に立っているのは母だろうか。体がだるいのは部屋の不快さのせいだけではない。入口、風邪の引きはじめ、のせいもあるかもしれない、すべて嘘だが、と考えているうちに今日は学校を休んでもよいということになった。頼んでもいないのに、不調を伝えていもいないのに。
 にんまりしてしまう。うれしいのだ、仮病で学校をさぼれるのが。が、しかし、学生であるのだろうか。会社員ではないのだろうか。勝手に今日のスケジュールが学校に行くことだと思い込んでいるだけではと疑う。内を出て、外もやはりどんよりとした、風景は無彩色の高濃度。

ジョイント151

 どこがゴールかわからないから、短距離走として扱っていいのか、フルマラソンの心構えで取り組んだほうがいいのかすら見当がつかない。
 いや、問題の本質はそこじゃない。単に俺の知識が足りないから苦労しているだけだ。全体と一部が必ずしも相似にはならんだろう。
 せっかく行った図書館が月に一度の休刊日だったのもショックではあるが、それはまた、違う、偶然発生した問題だ。一緒にしたらあかんよ。


2019/11/30

第百五十二環

 読み込みと書き込み。ミリ秒単位での処理が行われ続けるデータベースにおいて、本来と異なる場所にデータを保存することで高い性能を発揮できるのだという。うっかりすればエラーではないかと早合点してしまうが、それは正常な動作であるという解説。
 つんのめる気持ち、前傾姿勢。今すぐにでも出かけたいのに、なぜか事が前に進まない。苛立ち。小さなテーブルのやや奥まった位置にある卓上カレンダーの紙の色が気になって凝視。四角い窓、グレーの壁。
 別の部屋、ハンガー、トップス、ステンレスの家具。ぐずぐずせずに出かける準備をしたいが、何を着るか決まらない。いまいちボタンダウンのシャツは気分じゃない。

 一直線の道路の脇を歩く。暗い雰囲気の誰かが話しかけてきてうざい。一方的に複雑で小難しい事を延々続けているが、ろくに聞ききもせず、コンビニへと入った。
 棚の商品には目もくれず、店内奥のトイレに向かう。運悪く先に人が入っており用を足せない。いつから背負っていたのだろうか、リュックサックの重さが肩に食い込む。無言でイートインスペースに座って待つ。辛い、店内はじりじりと暑い。

 行って何をするのかもわからないのに、京都に転勤することになって。転勤先の周囲の地図をスマホで調べてみると。とてつもなく巨大な遺跡が真ん中にある町。

 地理的な、あるいは時間的な、歪みだろうか。体は再びコンビニのイートインスペースへと移動してしまった。
 他愛もない世間話に花を咲かせるおっさんたち。近くの席。昨日の銀行強盗は盗んだ個人情報で更に金を引き出そうとして身元がバレて捕まった、アホだ。断言できる、アホとしか言いようがないよ。

ジョイント152

 よく考えれば、いや考えなくても、記憶を遡れば分かることである。どうして同じ過ちをまたしてしまうのか。そんな複雑な問題ではないではないか。例えるなら、対向車と離合できないような狭い道を何故にまた選んでしまうのか。


2019/12/01

第百五十三環

 形のはっきりとしないバイクに乗って向かった先はログハウス風の旅館だった。体育館ほどの高さであるが、内部は2階建てになっており、食堂を兼ねた多目的ルームには階段を上がって向かう。浮かんでくるのはU字を横に寝かせた形状の矢印。

 仕出かしてしまったのだろうか何かを、あるいは正体のわからない何かに追われて、山の急斜面を駆けていく。車も通れないほど狭く、最低限の舗装のみが施された道を進むとその先には細い橋。下を見れば奈落の底。
 怖いがやむを得ず渡っているといつの間にか橋は鉄骨のみとなり。力む全身で無心にしがみついて、海あるいは海のように広い川を渡らねばならいのだと悟った。立って歩くことなどできず、這いずり、あるいはぶら下がらなければならないのか。覚悟を、死を覚悟し。死、ここで死ぬことになるのか。完遂はできないだろう、死ぬというのはこういうことなのか。
 完全に死と向き合った後、対岸の銀色のドームの中にいた。たくさんの人が銘々に会話し。食事や酒の提供、野菜の販売などをしているここはニューヨークだろうか、と勝手に想像した。

 たっぷり取られた道幅、寂れた商店街を抜けた先の空き地で、しゃがみこんで、浅い紙箱の底にメモをとる行為。祈り、箱の中に新しい宇宙が生まれることを期待。
 いきなり、背後から職場の先輩という設定の男に声をかけられた。立って顔を見ると、苦言を呈したいような雰囲気。詰問され、どうやら、他部署に対して書類の催促をしたことを快く思っていないらしい。いい加減にしてくれ、そんなことでいちいち文句を言いに来るなよ、知ったことか。勝手にしろ、馬鹿らしくてその場を去ると、まだなにか言いたそうだが、歩いているうちに彼の存在は消えた。

 立つのがやっとの狭さの川沿いの砂地。ちょっとずつ姿勢を変えつつ、右肩の切り立った4mほどの斜面も同じく砂であり、登ろうとするともろく崩れてしまい進むことができない。いきなり、時折、コンクリートで固められた高い法面にへばりつく。繰り返し、場所が何度も切り替わって。手を伸ばした先、あるいは膝の横、砂の壁を起用に歩くサワガニを見つけた。

 旅の館にいたときから、鉄骨の上で死を意識したときまでの間に、とてつもない発明をしたのだと、知人の女性に説明を興奮気味にす。すべて事細かく時系列で説明できた。
 絶えず振幅し、徐々に色は薄くなっていき、では、その発明とは何なのか。彼女に説明をした事のすべては消え去って、もう分からない宝の在処。

ジョイント153

 書いて書いて書きまくろう。理屈は後から適当につければいい。寄せ集めよう、並べ替えよう、作ろう、生み出そう。


2019/12/02

第百五十四環

 動きがある図形。いろんな形、長方形や三角形など。どのような法則があるのか、グラフィカルなイメージ。
 じっと考えてみる、何かを何かに変換するための仕組み。
 耳から離れない、何度も繰り返されるスーパーマリオワールドの音楽。
 暗い部屋に横に長いテーブルが置かれており、遠くで鳴っていた電話には誰も出ず、留守番電話の応答メッセージが響く。空間の広さが与える負の妄想。

ジョイント154

 うまくいかないのだろうなあと心のどこかではずっと思っている。そもそも、彼らは成功しようが失敗しようが何の興味もないんだろう。手に入れようと思えばいくらでも高性能な武器が手に入るのに、竹槍持って騒いでるお前らは何がしたいんだ。


2019/12/03

第百五十五環

 段取りもなく、狭いこの廊下がどこから来てどこへ繋がっているのかもわからない。いよいよ堪忍袋の緒が切れた。たった今、それはここで切れたのか。過酷、どこか他の場所で切れてからここに来たのか。感情は怒りに満ちて、父の顔面を殴る何度も。もう、歯が赤黒くなってきた。確かに、歯が内出血することなどないが、そんな、整合性の取れてなさは何ら問題にならない。
 いくら殴ってもヘラヘラしていることに対して余計腹が立って。鉄拳がクリーンヒットしないことにも腹が立って、どうにも収まりがつかない。

 いきなり、雪上4種陸上3種競技という言葉をひらめく。詳しくはこうだ。代表的な冬のスポーツであるスキー、スノーボード、スケート、あとひとつが何であるかわからないが、それらの道具を装着して、短距離・中距離・長距離の3種目を走るスポーツ。つまり、どの2種目を同時にこなすかが勝利へのキーポイントとなると言っていた。巧みな足さばき、左足にスノーボード、右足にスケート靴を履いて走っている人もおり、過酷そうだ。

ジョイント155

 暖房機器から吹き出される温風に設定温度以上の温かみを感じたのは、やっと本格的な冬がわが町にも訪れたことの証しなのだろうか。カーテンを閉めただけでも部屋の保温には存外役に立つ。


2019/12/04

第百五十六環

 艷のある黒髪。短めのボブが似合っている小柄な女性は歌手であり、衣装だろうか、それとも私服だろうか、ワープレコーズ30周年のTシャツを着ている。ルーズな時間進行のせいでスケジュールは体をなしておらず。随分待たされた後、何かのテーマソングを急遽歌うことになった。頼りにならないスタッフの手違いで、肝心のテーマソングはまだ完成しておらず、どうしていいのか彼女は戸惑っている様だ。

 だだ広い川べりに、草が生い茂り、ひとつ透明の小さい板が立て置かれ。レンズに求められるのは透明度の高さということを思い出した。たたと近寄り、よく見ると盾のようだ。だが、何かの記念か優勝か、文字はぼやけて読めない。

 いろいろな斑のグレーがマーブル状に混じったコンクリート打ちっぱなしの建物。の玄関を入ったところで待たされる、他にも20人ほどおり。理不尽に狭い空間で居心地が悪い。いざ、奥のドアが開き、現れた男性は準備ができたので入ってくださいと誘導。上の段と下の段のシューズボックス、明らかにスリッパの数が足りず、素足のまま奥へと進む。無機質な同じく打ちっぱなしの奥の部屋も同じく狭く、何もなく、なぜここに来たのかも分からない。位置の高い、小さな窓から差し込む太陽の光の総量よりも部屋は明るい。入口近くに、すぐ帰れるように立つ。

ジョイント156

 疲れが溜まっているように思う。眠気が襲ってくる。何も考えずにとことんまで眠りたい。限界まで眠ることを追求し続ければ、いつか人間は寝溜めの能力を獲得できるのではないか。たとえ私の世代で無理だとしても子や孫の。


2019/12/05

第百五十七環

 載せられている、机の板を置いたその上に。鈍く輝く金属の塊。立派という言葉を思いつく見た目。目方はどの程度だろう。美しい曲面は滑らかな一切の角を有さない凹凸によって構成され、底部はキレイにまっ平ら。

 ラストのほうがよく分からなかったので、もう一回繰り返してもらっていいですか。かなり端折ったように思ったんですが、実際にはどのくらいの。

ジョイント157

 ノートの大きさにこだわる。ちょうどいい大きさというのがあって、紙質などというのは二の次である。大きさのちょうど良さは目的によって異なり、小さいノートに書いているときにしか降りてこないゴッドが何柱も御座す。


2019/12/06

第百五十八環

 素焼きの陶器のような色をした、こちらとあちらに同じ形のタワーが建っている、見たことのない光景。入り口から入ったのだろうか、こちらのタワーの中におり、どのようにしてか上層階まで登ると急に。肉体はあちらのタワーの同じ階にワープできた。たった一つの方法、こうやってこちらとあちらを移動するのだという。浮つく気持ち、こちらのタワーに入ったときに持っていた荷物はどこにいったのか。解決、あちらのタワーを出るときに受け取る仕組み。見えやすい所、かばんの、にゆうパックの送り状が貼付。プロの仕事、なるほどと思った。

 畳の部屋、宿に着き、受け取った荷物を確認するとスキーブーツがない。

 一念、探したいという気持ちが場所を変えた。たった今ここは金持ちの家になった。タンカラーのテニスコートを横切り、奥の建物。の半開きのドアから中に入って、そこにいた女性にブーツ忘れてませんかと訪ねた。

 逮捕、スキーブーツを盗んだやつは逮捕されたという情報が入ってきて、しかし品は見つからぬまま放置の様子。

ジョイント158

 少しぐらい贅沢してもいいでしょう。なんのために労苦を重ね、虚しく無味乾燥な毎日を耐え忍んでいるのか。


2019/12/07

第百五十九環

 兜や鎧を集めるゲームをゲーセンでプレーしていると、メッセージが表示された。他人のセーブデータを見ることができてしまうバグがあるようだ。

 段取りを説明された。ターゲットはJAMと呼ばれるコードであり、関連する2つのメモを書いた。確かに書いたつもりが、書いていなかった。たった今にでも書かなければと思い、しかし、また書いていないを何度も繰り返す。

 少ない交通量、広い道幅、気持ちよくバイクで走行中。後ろからやってきた警察に捕まる。ルールを守らなかった結果、スピード違反とか何とかかんとか。課せられたのは3点のマイナス。涼しい顔で知ったことかと相手にせず。ずっとこの世界にいるわけでなし。しくじったとも思ってない、余裕か。

ジョイント159

 かなり迷った挙げ句、行かないという決断を下した。迷った時は遣る方を選ぶが俺の主義だが、多分行っても何も得るものもないだろうなあという、期待の膨らまなさがが今回は勝った。


2019/12/08

第百六十環

 多分、電車の中。仮想的な、電車の中にいると思わせる、何かによって作られたイメージであるかもしれなぬ朧げさ。差し出されたキーボードをタイプすると、その電車に関する情報と3D化されたモデルが表示された。

 高台にある、地元の観光地に久しぶりに行ってみると、昔とは大きく様変わり。旅行で来たのだろう、観光客で通りは大賑わい。いくつもの、小洒落た古着屋やお香を売る店などなどがオープンしていた。

 た、から始まる名前のスーパーマーケットのある三叉路を車で右折。通行する車も、信号機も気にせず、道の真ん中で撮影している人たち。ちらっと見えた雰囲気では、ファッション誌のモデルのように思えた。たくさんのポーズを決めながら、手にはバッグ。

 グッドモーニング、まだ明けきらぬ朝の道を歩く。くらくらする意識、登校途中なのだが、カバンの中身は金曜日のまま。まずい、月曜日の時間割りを確認していないし、体操着も持ってきていない。今から家に戻ったら間に合わないなあ。焦る、焦りまくるが、打つ手なし。
 しかし、一点の安堵。どうして勘違いしてしまったのだ、そもそも今日はまだ土曜日で休日。次の月曜日は休む事になっていたから、何の心配もいらないということを思い出した。

ジョイント160

 体調が悪い。それでも予定はすべてこなした。夕方以降、徐々に体調は回復し始めており、明日はもう大丈夫だろう。私の命ももう長くはないのかもしれない。スケジュール感的には来週吐血して、年明けにはざっくり寿命がわかるぐらいで。


2019/12/09

第百六十一環

 出会う人が数え切れないほど多く、その全員が、映画の登場人物のように振る舞う。嘘と真の判別に苦労。
 美しい波打ち際、遠くに森が見える景色。急に、突然、いきなり、真っ白な煙があたりを覆い、風にのって右方向へ広まっていく様子をただ呆然と。とはいえ、それが火事のせいではないという確信があり、しかし根拠ははどこにもない。

 一度、どこかに行っても、またここに戻ってこなければならない。幾度もそれを繰り返す。

 素早く、少年にプレゼントを渡した。畳んだ服、Tシャツのような何かを透明のフィルムに包んで。

ジョイント161

 でかいカバンを持って歩く。軽いだろうと思っていたら、意外に肩に食い込むから、右手で持つ。限界がきて左手に替える。重さのせいで体調の悪さが徐々にぶり返してくる。自宅に着いて、もはや何もできず。


2019/12/10

第百六十二環

 図示されたレシピに従い、揚げ出し豆腐を作っていく。クローズアップした揚げ出し豆腐の表面は、乾燥した地面と同じテクスチャだと思った。縦に続く、揚げ出し豆腐を作る手順をひとつずつクリアする度、何かの巨大な機械、あるいはCGが連動して動く。

 暗い海を猛然と進む巨大な船にいつの間にか乗り込んでいた。単方向ではなく、往復で乗ることを強く念押しされ、行ったら戻ってくるのが普通やろと心の中で反発。
 つんのめり、また反り返り、船の舳先は荒波を被り水浸しに。にわかに、水面との差がだんだんとなくなってきて船が沈んでしまうのではと。遠くに見えていた左岸は今や、船から歩いて移れるほどの距離まで近づいて。転回、船は再び沖へと。
 唐突に船は洞窟の中を進んでいる唐突。着いた洞窟の奥は鉄骨が何本も垂直に立っていて、うかつに近づいてしまった船は甲板に鉄骨が貫通。うまくいかぬ、洞窟の中は狭くて、Uターンできず。

ジョイント162

 ズームインして見えてくるものがあり、ズームアウトしないと見えない外側の世界もある。パンして真後ろを振り返らないと気付かないものもあるよとしたり顔でいうあなたがたに、視覚だけが世界をとらえる術じゃないと伝えたい。音も味も手触りも世界の一部なのだから。


2019/12/11

第百六十三環

 ライトアップにはまだ早い午後3時の街角。道路にはわずかな残雪。突っ立っているのは誰だろうかと近づくとIさんだった。多少のあいさつを交わし、省略された会話を経たはずの後で、車に乗せてあげることになった。

 タンクローリーやトレーラーが突風で次々と横転している前方の様子。

 座ってハンドルを持ち自動車を運転している感覚があるのに、時折、俯瞰でバイクの二人乗りの位置関係が挟み込まれれ、どのような乗り物であるのかわからなくなって。
 転倒したらあかんから、雪道は気をつけようという会話。

 訳が分からないし、順序もあいまいになってきた。たった今まで運転していたはずが、急に教室のような部屋におり。両脇と前、Iさんを含む数人で会話。

 ワープしたのか、会話していたはずのIさんは一人で車に乗って行ってしまった。立った非常に腹が、なぜなら、勝手に乗らないでほしい。

 いくつかの断章、例えば寿司を買いに行くなど、が挟まれ。

 連続あるいは非連続の出来事。取り留めなく、再び先ほどの教室のような場所で。出て行ったはずのIさんはほかの人と談笑。
 薄いベールを捨て、単刀直入、あなたとは関わりたくないとIさんに伝えたら、急に親しげにしてきた。企みを見せず駆け引きだろうか。

 勝手に浮かんできたキリコ・リンフリーという人名。いったい誰なんだろう。浮かんできたというのは空間的表層にであり、脳裏においてもであり、表と裏。

ジョイント163

 楽にさくっと終わった。もっと大変かと思ったが、結果オーライ。
 安心するのはまだ早い。なぜならば、何も解決していないからだ。丸を書いてチェックをつけて、なんとかせねばならない煉獄。


2019/12/12

第百六十四環

 黒い思惑が淀む、決して健全ではない企業の営業職に所属しているような雰囲気に立つ。伝えず何も、顧客の家に勝手に入ってごそごそと我が物顔。奥へ進み、庭にはピザ窯もあるから、料理をするのもよいなと食材を探し始めた頃、顧客が帰宅。食わぬ何もの顔で、当たり前のように挨拶し、握手す。すみません、名刺を切らしていることを詫びる明るい顔で。で、なぜに、とはならず、勝手に家の中に入っていることを咎められることはなかった。

 立ち話。少人数の会話。輪になって、まだ公にはできないが、巨大な取引話が秘密裏に動いていると教えられた。大量にハイテク素材を購入してくれる企業があるらしく、説明のために机の上に広げられた書類。いくつかの写真、外国の女性が一枚。曰く、ブラッド・ピットの元恋人だとのことだが、本当にそうなのか分からない。
 一層混乱してきた、そもそも、ここはどこだろうか。輝くステンレスのシンクがあり、傍らの小さなテーブルの上には黄色いパッケージ、一枚の板チョコ。こぢんまりと部屋は狭く、殺風景。

 一枚の寺のパンフレットには建物の写真が掲載されており、眺めているうちに、写真は2つに分かれて、立体化しながら再び融合していく。

ジョイント164

 組み合わせと並び替え。小細工と大鉈。下ごしらえとバイキング。思い込みと岡目八目。答えはそこに書いてあるから、ただ調べるだけでいいのだ。いずれ身につく速読術。


2019/12/13

第百六十五環

 ツインバータイプのハンガーラックに掛かる多量の服。組み合わせることによる相乗効果を駆使し、出かけるために最適なコーディネートをを選ぶ。部分的な問題、すなわち、服を選ぶこと自体に時間がかかっているのではなくて。手順がいくつも何重にも、服を選ぶという行為に付属しているせいで、事が先に進まず。随分と長い間、この部屋から出ることすらできないでいる有様。

 マイクロの厚みに圧縮された景色や情景。いくつかの層があり、凝視すれば何かが見えるような気もするが、何らかのきっかけがないと無理なのだろう。薄っすらと見えているのはブラウンのチェックシャツ。

ジョイント165

 続けているこだわりの多くには、大した根拠もなくて、なんとなくの第一印象をそのままひきずっているだけなのかもしれないと思うに至った。知ることでしか人は変わることができない、きっと。


2019/12/14

第百六十六環

 取らないといけない、アクを、シチューの。乗せようとした、中央に穴をあけたクッキングペーパーを、がしかし、すでにルウが入っており、アクをとれないではないか。カタカナで書くとアク、漢字で書くと悪、ふと浮かんだ。

 大規模な、野菜販売のための決済システムを開発することになった。互いに、いくつもの、箱がひもで結ばれており、野菜が移動されていく。くっきりとした文字の色は蛍光ピンクと黄色。

 廊下を歩いていると、その先は広い空間であり、展示会が行われていたので人ごみの中を覗いてみた。卓の上に並べられた小さなシール、カー用品、布、ハサミ。見て回っているうちに、出てしまった外に。似た景色を見たことがない、未踏の公園は広大な敷地で、あっという間に迷い、元いたホールに戻ることができなくなってしまった。

 タイトな空間の部屋、低いテレビ台に置かれた小さなブラウン管テレビが伝える、腕時計サイズのプレステ2の発売。
 いきなり、部屋が変化。変わって、今は学習机が2台並んだ子供部屋のような場所だ。男性が、プレステ2が発売されるとテスト勉強ができなくなるからどうしよう、と大げさな身振り。
 量子力学的短時間で、部屋はまた変化し、元の低いテレビ台と3人掛けのクッション性の高いソファが置かれた部屋に戻り、暗い。幾人かがこの部屋にいるが、それらが誰なのかはわからない。勢い、左隣の誰かが、食品メーカーに、インスタントラーメンの味付けが薄いとクレームの電話。悪いのはメーカーではなく、作り方に問題があるんじゃないのかと思ったが、言わずに放っておいた。垂れてきた調味油のベトベト。

ジョイント166

 年の瀬だからといって大掃除しないといけないんですか。そんな事誰が決めたんですか。個人の自由じゃないんですか。
 大掃除しないといけません。年の瀬だから大掃除しないといけないのです。結論は出ています。寒くてこたつから出るのが億劫なだけでしょう、さっさと大掃除せよ。


2019/12/15

第百六十七環

 よく似た場所に行ったことがある気がして、おそらくここは長野県北部であり、道路を南下していく。車で行く予定をしていたのに、同行者は、一瞬目を離した隙に盗まれたらしく右往左往。鬱陶しい、そんなやつは放っておいて一人で進んでいくことにした。たくましく徒歩で。

 伝統的な日本家屋の風景を過ぎ、山の中を歩いて進む。無数の実が木になっていて秋の深まり。立派な大きさ、洋梨のような色と形をした実。実は、地面にもたくさん落ちており、そのうちのいくつかは地面と一体化、いや正確には地面が果実化していて少しグロテスクだ。
 断面が露わになった、一部が切り取られような実が木の根元に置かれており、それらには小さなラベル、付箋のような、が貼付。プロによる検査のだろうか。

 家屋、どこかの家の、居間らしき部屋。山の中を歩いていたことに対して、知らないおっさんが文句を言ってきた。単細胞の馬鹿曰く、果物を盗んだろうと。
 とんでもない話で、そんな濡れ衣を着せられては黙っておれず、ブチ切れ。連射砲、相手に反論させる暇もなく、徹底的に罵声を浴びせ続けた。たじろぐおっさんはすごすごとその場から去った。
 楽しく生きたいだけなのに、どうしてこんな風になんるだよ。

ジョイント167

 よくしゃべるやつだなあ。もっとぎゅっとコンパクトにしてほしいものだ。さっきから何回おんなじこと言ってるんだ。それはもう聞いた。それも聞いた。まだ結論やないんかい。
 俺は爪をいじり始めた。これは飽きてきた時にしてしまう癖だ。


2019/12/16

第百六十八環

 台を挟んで対面には、ラーメンを食べている女性芸能人が。がっつく、一杯目はとんこつ醤油。ゆっくりと運ばれてきた二杯目はココアラーメンだ。誰がどう考えてもゲテモノ料理だが、彼女は臆せず口に運ぶ。不気味な黒い棒、バニラビーンズが鞘のまま入っており、どうやら彼女はバニラビーンズを知らないので食べてよいものかどうか迷っているよう。

 うっすらとだけ明るい和室。筒抜けだ行動は、窓の外から行動を覗かれているから。ライトニング、和室だった空間は電車に変化した。立っているのか浮いているのか、窓の外にはまだ人が。
 がつんと、駅で停車した。たちまちドアから飛び出すとまた別の車両に入った。たった一度ではない、何度もそれを繰り返すうちにやっとホームに降り立てて、安堵。
 怒涛の勢いで、階段を降り、乗り換えのための改札を探していると、周囲の客のスマホからサイレンが鳴り始め、続いて地震が起こった。たちまち全力疾走し、近くにあった和菓子屋のテーブルの下にもぐると狭い。
 いくらか後、揺れが収まり、避難させてもらったお礼になにか和菓子を買おうかと物色したが、今は作っている最中のようで何も買えず。ずらと並べられたにゅるにゅるのおはぎのような白い何か。

 紙に印刷された、アメコミのヒーローを紹介したパンフレットのようなもの。載っている、イラストの隣にアルファベットでキャラの名前が書いてあり、その文字は90度回転させると、カタカナになり、隠れたメッセージが現れたのだ。

ジョイント168

 ダメだとわかっていてもやりたくなってしまう。かさぶたをめくる快楽にあがなえないように。砂糖の甘みと油脂の濃厚さを求めて洋菓子を食べてしまうように。


2019/12/17

第百六十九環

 日光は穏やかに、海辺のレストランへと差し込む。無垢の木材、店内は広く、高い天井と、大きな窓、さわやかな色合いの内装と相まって、とても居心地がよい。いくつかのコースをあらかじめ予約しておいてくれたのはSさんだ。代表的なもの3コースの中から好きなものを選んでよいという。うまそうな料理の写真を見せてくれて、事細かに解説をつけてくれる親切さ。

 サイケデリックな色彩の明滅と運動は手元にあるコントローラーのようなもので行うようだ。

 弾力の強い、金属の細長い板をゼンマイ状に巻いて、放置。

 中断し、また再開し、誰かが何かを伝えてきていたような気がするが、分からない。いくつかの視覚的記憶。靴、コンクリートの階段、教習所という言葉が表すのは何。

ジョイント169

 逃げたっていいじゃないか。嫌なことややりたくないことから逃げるのは万人に与えられた自由の行使だ。逃げろ、全力で逃げろ、思いっきり走れ。足がもつれても前へと進め。そしたらいつか世界記録が生まれるかもしれないから。


2019/12/18

第百七十環

 ラジオからの音楽、家電製品の電子音、あらゆる音によって何かをトリガーすることで、身の回りのことを自動的に実行するようになってきた。

 立ったまま乗っているオフロードカーは爆走。上へ下へ振動し、さらにスピードを増す。進んでいく先、勢いがありすぎて、地面の凹みで強い衝撃。急転直下、手に持っていたカップヌードルシーフードが全部こぼれた。食べ物だから、何とか拾おうと、土ごとかき集めて、壁にも汁は飛び散って、そんなところへ登校途中の小学生の列がやってきて指をさして笑われ続けた情けない。今はそれでも夢中でラーメンを集めた。

 たったの少し、両手に収まる程度の泥だらけのラーメンをこぼさないように駆けていく。九時ごろだろうか朝の光のさわやかさ。颯爽と、知り合いのIさんが向こうからやって来た。ターコイズブルーの衣装ケースを運んでどこに行くのだろうと推察す。すれ違いざまに挨拶をしたが、うっかりアクセントを間違えた。

 例えるなら、ブラピとアンジーに似た外国人夫婦が電車の中3人掛けの椅子に座り、間には幼児。じっくりと夫婦の顔をよくよく見ると髪の毛が薄かったり顔のパーツ配置がいびつだったりとやはりこいつらは偽物だろうと醒めて審査。
 3人掛けの椅子に座る3人の横顔を見ているこの目線はどこから見ているのだろうか。紙のように薄っぺらい、それよりも以下の厚みが全くない人間か。

 影もなく、光も差さず、辿り着いた先はどこにでもありそうな無個性の郊外都市。四角い建物、一軒のドラッグストア。

 あえてグーグルではない別の検索エンジンで指名手配犯を検索するとあっさり居場所が判明した。たちまち、警察から電話がかかってきて、どうやって見つけたのかと追及の言葉。

 場面はいつの間にか変化し、教室らしき場所に、大人にとっては小さいだろう机が窮屈に並べられている。ルームメイトか担任か、誰かに名前を呼ばれたような気がしてふらふらと歩いていく。空虚、何も起こらず戻ってきたら、自分の席がどこだったかわからなくなって辺りを挙動不審に見回す。すっくと立ったまま、空席はどこにもなかった。
 立ち話。知らん、近くにいた男性たちが、バージョン8のイラレをいまだに使っているのかと馬鹿にしてきた。たくさん笑われた。立て続けに口から出る悪口、徐々に男らはヒートアップしていき、ついには罵倒しきて、ああ面倒くさい奴ら。

ジョイント170

 ライトな感じで苦言を呈す。どうせ改心する気はないだろうが、こっちの気持ちが収まりつかんから、言うべきことは言うことにした。
 犬にお手を教えるほうがよっぽど簡単で心が豊かになるぜと、深くため息。


2019/12/19

第百七十一環

 客が熱狂しているのはDJの華麗なるプレイのせいだ。だんだんと高度を上げるドローンは、陶酔し、絶叫する聴衆の様子を上空から捉えてみせた。たった一人、ドローンの存在に気づいた男性がカメラを直視。

 しょうもない、何の価値もない、関わるに値しない、むしろ避けるべき人間の雰囲気を寄せ集めたような男が経営する会社で働いているという設定だと推測。暗いので夜だろう、外。とりあえず労働しているふりをするためパソコンに向かう。鬱憤が溜まっているような週の労働者のオーラ。
 楽天的に喋りかけてくるその経営者は、金にならない仕事ばかりだ、なんとかせなければと他人事にような言い草。

 サウスカリフォルニアという言葉が思い浮かんだ、そのスーパーマーケットを見て。店舗デザインが北米の大型。大量に買い物をしたくなったのは巧妙に仕組まれたマーケティングの落とし穴だ。
 だいぶ向こうの方だが、さっき働いていた会社が見えており、一瞬でその前まで来た。立ったまま入ることのできないほど小さな玄関から、小さな車が出てきて、くぐり抜けた途端、普通の大きさに戻った、これは何だ。

 男性がNECのノートパソコンを使って何かをしている様。まことに分厚いノートパソコンであり、頑丈そうで、まるで武器。

ジョイント171

 君はなぜ教えてくれなかったのだ。そのカードで支払うとポイントアップも5%オフもできませんよと。ほにゃららカードお持ちでないですかと、毎回聞くのに、なぜ今日に限って、私が違うカードを出したときにはそのまま決済してしまうのだ。


2019/12/20

第百七十二環

 ダメージが、体の、大きく、腰が、少し曲げるだけで痛い。意欲はあるが、ゴルフ、ビリヤード、それらのスポーツを今行うことは不可能。

 上へと細く高くしそびえる、レンガ造りの塔らしき建築物。造り酒屋の雰囲気、エントランス、しかし、腰をかがめて階段を登っていく、狭く。苦労、踏面に置かれた紙、壁にかけられた額縁、様々な障害物のせいでなかなか前に進めぬ四つん這い。いよいよ、徐々に足も上がらなくなってきた。立つことのできるギリギリの天井高、しかし極めて狭い踊り場に開けられた窓から外を覗く。空気は澄んで、どこまでも見通せる青空。落差、目的の階に行くにはここから身を乗り出し、一つ下の階の窓に入らなければならないと気づく。苦渋の選択はきっと実を結ばず、落下してそこで終わりだ。

ジョイント172

 代替の方法はすでにある。それに気づいていないだけだ。わざわざ金を出して重複した快適を手に入れる必要はない。


2019/12/21

第百七十三環

 いい感じで、誰かと話をしたり、ともに行動したりしたはずで、記憶にある風景は、人の少ない海岸線と大きな窓。どのような過程を経て今ここにたどり着いたのか。
 壁にもたれかかり、床に座って、ノートパソコンを開く。空間は奥に対して無限に広い。一度もプレイしたことがないはずだが、パソコンでアクションRPGをやって満足感を得ている今。まばゆい光、たとえば電飾や貴金属の反射、の、間近な記憶がよみがえりそうになるが、それが今ここにいる事とどのような関係であるかはつながりそうにはない。いつまでそのゲームを続けるつもりなのだろう。
 うつむいて画面を眺めていると、視界の左上のほう、わずかに人の気配がし、会話を開始。知らない人のようでもあり、よく知る人のようでもあるが、そもそも、そこに人がるのか、人がいると思ってしゃべっているだけなのか。会話の内容すらあいまいで、なんとなく捉えられているのは楽しい雰囲気だということだけ。
 決意し、ここから離れようと。トライし、三度目に成功した気配。

ジョイント173

 意志を持って、強い決意とともにだらだらしようと努力した。いつもだらだらしているではないかと自己欺瞞に陥りそうにもなったが、今日のだらだらはやり遂げねばならない、目的のあるだらだらだと、自らを叱咤鼓舞し、そして私は、今日という一日に何も成し遂げることなく、床に就く。


2019/12/22

第百七十四環

 黒く変色した階段、ここは昔住んでいた家に酷似した建物であり、乗り気ではないが、二階へと上っていく。腐っているような壁、見上げた踊り場の天井が不自然にたわみ、不気味さ。触ると柔らかく、重量感があり、天井裏に何か動物の死体があるのではと想像してさらに怖くなった。立ち入った部屋の左側、以前はなかったはずの小さな洗面台があり、部屋の照明を点けるとなぜか、蛇口から大量の水が噴出。束の間で部屋が水浸しになってしまい、慌てて蛇口を閉めると、部屋の水はすべて消滅。
 積まれた段ボール箱、部屋の中は昔の記憶のとおりであり、ステレオ、レコード、小さなテレビ。びくびくしてしまうのはなぜだ。
 だが、ただ違うのは、足の踏み場もないほど、床に物が散乱していること。遠い記憶、何かを探しにここへ来たはずだが、それは何だったか。

 帰り道であるという状況をすんなりと受け入れ、電車で東京から大阪まで移動。運動物の頂点である新幹線ではない、ノーマルな電車なのにたった4時間で京都に着くと聞かされ、驚く。

 空間の捻じれなどよくあることで、電車はいつの間にかバスに変わっていて、目的地も大阪とは反対の東のほうへと進んでいるが、だれも驚かない。一帯は雪解けが進む泥だらけの麓。通り抜けることが困難なほど狭いアーチ状のゲートにはようこそ福島県と書かれた看板が溶接されており、これは寂れていることを表す要素だろうかと思った。
 隊はそこで一旦降車し、乗客全員で記念写真を撮るという。うまく顔が見えるよう並べと写真家が命令。いやちょっと待て、写真を撮るなら着替える必要があるから、なぜあると思うのかはわからないが、ともかく、ジーパンに穿き替えよう。唸りながら、足を延ばし、あるいは縮め、しかし、いくら頑張っても穿けず。ずっと右往左往。上手くいかないことに対してよじる身。
 見た目線の先、さっきまで乗っていたバスには、上半身裸の男児がすし詰め状態で乗っており、体をガラスに押し付け。傑作だと、周囲の大人の笑い声が響く。

ジョイント174

 靴を履いて出かけるので、私にも最低限の常識はあるのだなと思いました。それ以上のことを求められるとどぎまぎしてしまいますが。


2019/12/23

第百七十五環

 愕然とした、また出現した、昔住んでいた家の面影を残した建物と庭。枠で囲まれた奥に長い庭に植えられた見たこともない木を目にした途端、枝はすべて刈り取られて葉もなく丸裸に。
 握るタイプのドアノブを回し、部屋の中に入ると、そこにも木が植えられており。リンゴリンゴ、すべての枝にリンゴが実っている光景。異常な樹皮、幹は気持ち悪いほど凹凸があり、実もリンゴというにはあまりに大きく、赤黒い。一個、実をもぎ、食べようとすると、横にいた人が、木になっているリンゴは毒があるので食べてはいけない、どうしてもリンゴを食べたいのなら、買ってきたのが机の上にあるからそれにしろと言う。
 堆く、机の上には書類が。我慢がならず、今すぐに片づけたほうが良いと目的意識を持った途端、金属の箱にどんどんと書類が収まっていった。たちまち、部屋からはリンゴの木も書類も何もかも、きれいさっぱり消え去り、何もない部屋。

 やだ、絶対に話をしたくないやつという設定の男と、雑談をしてしまって、すさまじく腹が立った。滝つぼに落としてしまい衝動が。

ジョイント175

 がんがん変化していく。困ります、さっさと確定させてください。こっちにもこっちの都合というものがありますのから。季節も時間も進んでいくよ。


2019/12/24

第百七十六環

 要約すると、しっかり真面目に労働した、みたいな感覚。

 車の助手席に座らされ、隣にいるのは、ヘッドハンティングを生業にしている雰囲気をビンビンに放つ男。こう切り出した、バイクチームに所属しているそうですね。狙っているのだろうか、才能を高く売ろうと。所々、何を言われたか聞こえなかったが、とにかく次から次へと過去の小さな経験を褒めちぎってくる話術。つい調子に乗りそうになるが、実際のところ、虚飾に近い真実であるので、いや、空想であることはもちろんだが、褒められるとプライドがむず痒い。

 一緒にヘッドハンター男と歩く。車はもう消え去った。高いところに小さな社。ローカルな信仰の対象だと説明したら、また驚いた風を見せ、それをきっかけとして褒めてくるあざとい奴だ。段差を乗り越え、供物と賽銭箱をのぞき込む。無機質なコンクリートの箱の上面に郵便ポストのようなフラップ付きの投入口があり、その構造は特許を取ってると説明された。

 漂う川を横切るように、橋が、細く渡っており。林間、その先、周囲の田園風景にヘッドハンター男の黒いスーツは似つかわしくないと感じた頃には、彼はいなくなっていて、空間の有余。

ジョイント176

 よく読んで、説明通りに料理を作れば、最もおいしく出来上がる。そうでなかったら、わざわざパッケージにレシピなんて書かない。読んでいるつもりでも実は何も読んでいない。まだ、全く読めていないことに気付け。


2019/12/25

第百七十七環

 決して完全なる無ではなく、TimerとTransferという言葉が頭に思い浮かんだことだけは確かだ。段取りよく、手早く、次々と課題をこなしていたという記憶が、しかし曖昧で。伝達の途中で、消滅あるいは途絶してしまい、もう復活することは無いのんけ。

ジョイント177

 健康だが疲れているようだ。この寒い冬の朝にコートを着ずに出かけてしまった。身も心も芯まで冷えた。


2019/12/26

第百七十八環

 大量のライトが半円形のテーブルを照らす。スタジオらしき場所、数人の出演者だろうか。語っている何かを、聞き取ろうとして、まるで言語になっていないことに気付く。
 雲が広がる空の映像が、出演者の背後、巨大で横に長いスクリーンに映って、おっと、あなた方はTOKIOの。ノリがよい皆さんだ。

 談笑しているうちに、ゲームの映像の中に入ってしまった。

 対戦格闘ゲーム。昔プレイしたことがあるやつ。強い技ばかりを出して、相手に当たらずに完敗。幾度も同じキャラクターを選択し対戦を対戦を、何度も、また同じ技を、そうしているうちに、勝てるようになってきて、楽しくなってきた。

ジョイント178

 たどり着けそうにないゴールを設定して、一人でしんどがっているのが私です。上手に生きている皆さんは、バレないようにタクシーにでも乗ってショートカットしているのでしょう。そういうことができないのが、良くも悪くも。


2019/12/27

第百七十九環

 もう少しこのテンポで進めていきたいと。透明な、空気のように何も見えず、純粋に行動だけがある状態。
 いきなり音が鳴って、ふつうならびっくりするはずなのに。肉体は瞬時に反応し、右腕は最短距離で前方へ伸びた。たちまち周囲はもやがかかり、雲。

ジョイント179

 モラルのない人たちのせいで、楽しく穏やかな場は破壊されてしまった。注意書きを読め。周囲を見渡せ。


2019/12/28

第百八十環

 請求と支払いの円滑な流れ。連続してデータがやってくるから、それらは全部すでにあるソフトで処理すれば良いと、誰かが教えてくれた。例えば、2つのソフトの組み合わせでデータが変換されるということを理解でき始めたのと同時に、ノートをもらった。縦に細長いノートの罫が細かすぎて、これでは使い物にならないと立腹。クロスし始める罫線はマス目になり、それでもやはり細かすぎて、これを何に使えばいいのですかと質問したかったが、誰も周りにいない不幸せ。

ジョイント180

 線路は続くよどこまでも。でも電車が走っていないよ。
 雨が降っても傘をさすかどうかは自分の気持ち次第。
 期待と妥協と結果が今日も。


2019/12/29

第百八十一環

 問題をすべて解決していく。クリーンな思考、判断力。組み合わせについて。
 適当にあしらっておけばなんとかなるだろうと。ところどころの不整合には眼をつぶることにしておいてよいだろう。

 上から猫が降ってきて、白い毛の猫で、パスワードを持っているから、次へと進めると気づいた。ただし動物には動物の事情も。

ジョイント181

 持っているオーラのようなものが、初対面であってもびんびん伝わってきて、しかも、その人の身なりや持ち物のチョイスの尋常ならざさに圧死しそうになる。不意の出来事によりその場を離れることができた。数分ぶりに呼吸をした。


2019/12/30

第百八十二環

 たった一度の出来事。唐突に何もない空間から猫がジャンプしてきて。手元には何も残っておらず、ただ記憶だけが。

 画面が大きいことがセールスポイントの映画館にて。定刻に遅れそうで慌てて入場ゲートをくぐりさらに駆け足。
 正面に男性一人おり、キャラクターのコスプレ。レベルが低いと彼を罵倒したのは急いでいるイライラのせい。イマイチだ、髪の毛の色がもっと鮮やかなはずだ、お前の歯は白すぎる、もっと黄色く汚らしいキャラクターであったはずだと、矢継ぎ早にダメ出し。

 四角い外観に収まったふたつの選択肢の漢字。字数が同じでかっちりとした印象を与える文字組み。

 見えてきたのは一台のモトクロスバイク。クルマを次々に追い越し、スピードを上げて、大ジャンプ。プロでもない普通の人が、はるか向こうまで。デンジャラス、点の大きさにまで遠ざかっていった。

ジョイント182

 立ったり座ったり、すみません前通りますと言うたりしながら、それでも決めた道を進んでいきました。がめついことはせず、むしろ周りから安いとやっかみを言われる程度に遠慮を見せて。


2019/12/31

第百八十三環

 テーブルがいくつも並ぶ、広い空間の奥へと進む。無数の人が何かを会話。話術の巧みさ。進む先にあるのは大きなガラス窓。洞窟が外に見え、ガラスは透明なので通り抜けることができる、その先にはキッチン、しかし暗く。

 苦労してジューサーを洗う。内側、容器の、凹凸があり、黒ずみとゼリー状のカビの塊が手にあまるほどの量で取れて、気持ち悪い。居た横の人に、汚れが取れたことを嬉々と報告。クリーンになったことの重要性をどうして皆、理解できないのか。勝手。

ジョイント183

 適当に生きているようで、俺だって色々計画を立ててるんですよ。ただ、その計画の先に何があるのかが自分でもわかってないから、ずっと困っていたんです。
 最近になって、何かがある所へ向かっているんじゃなくて、きっと、計画の過程で何かが生まれて、そして組み合わさって、強烈な何かになるんだろうなという想像をできるところまでは辿り着きましたけど。


2020/01/01

第百八十四環

 堂々とした山体、鋭角な稜線、常緑樹が植えられており。流出した一部の表層にそって、水が流れ、川となり、高さが発生して滝が生まれて、轟音を想像。

 うずくまり、立ち上がり、歩いて、その間にも思考を継続。鎖で繋がれたいくつかのなにか。画期的なことを誰かが言っていたような、あるいはそれは天恵だろうか。

 開発することになったのはゲームであり、そんなものを今まで作ったことがないから何から手を付けてよいのかすら分からず呆然とす。速やかに作業を進めよとの圧力が、それは目に見えなくてもなぜか分かり、慌て始めた。
 タイマーを使うのだとか、誰かが言って、頭の中に時計が現れて、でもそれをどうしていいのかが分からず。ずっと同じところをぐるぐると、それは思考回路の具現化なのかもしれないし、作ろうとしているゲームのプログラムの一部なのかもしれないループ構造の境目。

 メッセージを受信した、あるいは受信するなにか。カットが変わっても、結局、ここでも同じことを繰り返し始める。ループが再びやってきた。

 関係のない割り込みのような気もするが、誰かがどこからか、ネコのためのアイデアを考えればよいのではと誰かが言った。助け舟、そう思いたいが、結局は混乱は悪化してきたムード。

ジョイント184

 どれにしようかなと悩むこともなく、それはもう直感よりもプリミティブの、他に何も見えてないかのようなピンポイントアタックで見事なリザルトを手に入れた。歯車は噛み合いを見せ、巨大なシステムがついに動き始めた予感がしている。


2020/01/02

第百八十五環

 ルアーフィッシングのために、なのかもしれないし、テントとBBQのためなのかもしれない。一帯に人はおらず、ただ平らな地面と、まばらな林。
 少年が向こうから歩いてきて、なぜだかわからないが、彼がザッカーバーグの息子だと思った。互いに英語で会話し。しかし、内容は一切記憶にとどまらず消滅。
 ついさっきまでいたはずの彼の姿はもう無く、キャンプ場は国道に変わってしまっていた。

 高さのある階段は登りにくく、しかも狭く、そして数え切れないほどの段ボール箱が積み重なり、上の階へたどり着けない。一段ずつ、這いつくばりながら登っていってはずなのに、今はもう建物の外、空が青い。
 一機の飛行機が空に、と思ったが、よく見るとそれはゲーム機のハードだ。段々と近づいてきて、つまり落下。加速。砕け散らず、見事にキャッチ。注視、背面を、豊富な入出力端子。知らない、見たことないような形もいくつかある。

ジョイント185

 ルーズな生活はすべきではない。健康に良くないし、他にもきっと良くない影響を与えられる箇所があるはずだ。なによりも、ルーズな生活を送ってしまっているという罪悪感と戦わなくてはならないから。


2020/01/03

第百八十六環

 乱雑に並べられた仕出し弁当の中から、ひとつを手に取り、椅子に座った。食べ物が入っていることが当然である弁当、そのフタを開けるとトカゲの手がおかずエリアのほぼ中央に横たわっていた。食べたのか食べていないのか、その弁当を、結果は覚えていない。いや、正確に言うならば、結果は存在していない。

 意気揚々と彦麻呂が車を運転し、後部座席からその様子を眺める。ルール無用、いきなり高速道路をバックし始めた。ためらうことなく、ハンドルを切り、他の車をかわしていく。車は加速を続け景色は流体となっていく。
 黒目が大きい、つぶらな眼で罪悪感もなく、びっくりするかなと思ってとだけ一言。突然何を言うのだとイラッとしたが、不安なだけだと答えた。たちまち、彦麻呂は透明に、もう見えず。

 ずっと向こうまで、見渡す限りどこまでも。目視の限界の先まで続く駐車場に、車は一台も停まっていない。

 痛い、肌がちりちりする雰囲気、婚活しないといけない空気成分が皮膚を焼く。

 組み立てられたセット、巨大な装置、はりぼて。
 手触り、カーペットというか人工芝というか、緑色の毛足が長い敷物が。眼前、ほぼ垂直の壁に敷かれていて。適切な表現、敷くが正しいかどうかわからない。言い換えるなら、貼り付けられていて、そこを登っていかなければならない。命がけで、壁にへばりつきながら。

ジョイント186

 期待と結果はどうして反比例するのだろう。期待は結果に影響を与えるはずはないのに。期待してはいけないのだろうか。期待していないふりをしないといけないのだろうか。


2020/01/04

第百八十七環

 輝く太陽、差し込む光は大きな一枚ガラスの窓を通して、フローリングを照らす。すぐにでも出発しなければならないのに、なぜか外に出ないでとどまり続ける選択。空白、周囲の人々はとっくに席を立ち、もう去ってしまった。たった一人だろうか、他にもそんな人はいるかもしれないが、今ここに誰もいない。

 入り組んだ空間、内と外、屋内と屋外がごっちゃになり、歩いても歩いても結局さっきの記憶と変わらない場所に戻ってきてしまう。失えども時間を、どこへも行くことはできず。ずっと同じ場所をぐるぐると回り続けているような、あるいは往路と復路をただ行って帰っての繰り返しであるような。何をやっても解決には結びつかず、しかし、熱くも寒くもなく、日が暮れてしまうこともなく。

 下りの道、斜面は急で、こけないよう慎重に歩いていくと、道は廊下へと変わっていた。度々起こる内と外の一体化。
 彼方から聞こえてきたのは、北斗の拳の歌。高い声。演奏が上手。
 随分と大人びた、礼儀正しい小学生ぐらいの男子。しっかりとしていてなんて立派なんだ。団体でどこへ歩いていくのか。

ジョイント187

 勝手に思い込んでいただけだと言われればそれまでだが、しかし、それ以外の選択肢もなかったし、結局のところ、どうしたらいいのとなるから。もうこうなったら与えられるのを待つなんてやめて、一番楽しいのは何かを探していくことにしよう。


2020/01/05

第百八十八環

 上から見下ろすタイプの地図が、テーブルの全面に敷き詰めらており、これはどの方向から見ても立体的な視覚体験を得ることができるすぐれものだ。
 誰の命令であるのか。過酷な作業、すべての交差点とカーブに単純な名前を付けていくことになった。立ってみた信号機の下、すぐにテーブルの横に戻り。利用価値、従来の正式名称はカーナビで案内するときだけ使われるのだという。上からの指示、命名しろと言われても突然過ぎて困り果てる。ルールが何もなく、どのように付けていけばよいのかさっぱり分からない。1、2、3という連番に、固有名詞を組み合わせるような感じだと、前方のスクリーンに映し出されたコンピューターグラフィクスが図示し。

 白を基調とした高級感のあふれるレストランで母とバイキング形式の昼食。クッションが配されたソファ席、細い足が優美なテーブル席。
 気をつけて普段から、根菜類をしっかりと食べなければならないと母は言う。美味そうなサラダ。だいたい5種類ほどあり、紫色の、それが何であるかはわからないが、ポテトのような野菜が入った和えたタイプのサラダを皿に取り。緑黄色野菜もついでに。
 乳飲料、炭酸飲料、もっと大きいタイプの紙コップがあれば、ドリンクバーのカフェー類を持って外を歩けるのにと思った。大切にしたい僥倖。

ジョイント188

 うわちゃー、君たちは本当に見る目がない。なぜ気づかないのだ。今通り過ぎてしまった、その場所から、お宝を掘り出せたというのに。


2020/01/06

第百八十九環

 ニュータウンを歩いているという感覚。詳しく、何が、何を持ってして、ここがニュータウンであることを、その要素。
 そっと差し出したメモ書き。幾何学的な、角張った図形や線が周囲を満たす。少しずつ、角は丸まっていく。空気は柔らかく、気持ちが穏やかに。西の方にあるんです。すぐにはわからないが、きっと徐々にわかっていくんだろうと観察。潰れていく可能性。いくらかの段階を経て、ついには抽象の世界にたどり着き。記述することも説明することもできない世界に。

ジョイント189

 二度見しなかった。本当に不意を突かれると、目を逸らすしかない。皆が冷静を装った。自分以外の他にはすべてを知っていると、皆が互いに牽制する数秒間が、あまりに長く感じられた。俺は心のなかで思った、ふーん、そう来たかと。


2020/01/07

第百九十環

 透明の植木鉢、見た目は金魚鉢のようなガラスの容器。汚らしい泥が四分目ほど入っており、そこにニンニク片を植えた。縦に突き刺すように。にんにくを泥は支えることができず倒れるばかり。料理に使うからあると便利だと心のなかでつぶやいた。
 たちまち芽が出てきて驚く。黒い泥の中でニンニクが育っていくかどうかが心配。

 一側面だけを見るんじゃなくて、どんなものにも影と光。流行するのはモノ、そして病気も。

 もっとたくさんの受注を、すぐに。

 庭が広い、田舎の古い家屋。空間の豊かな使い方、小屋の軒下。大量の壺が並ぶ。無骨なざらついた手触り。立派で威厳を持っているように見え、すごく高そうだ。だが、すべて偽物だろうと本能的に判断を瞬時。じわり安堵、買わなくてよかったと。

ジョイント190

 とにかく、後でしようではなく。今やってしまう。忘れるから。忘れないと思っていても絶対忘れるから。今日は大丈夫、とかそんな事ないので。今日やっとかないと。


2020/01/08

第百九十一環

 闘志、意志、使命感により、プログラミング言語を永久に保存する歴史、それは何なのか分からぬが、を文字で書いて仕上げた。たった今、すぐにこれをあなたのインターネットでアップロードしたい。いつの頃からか、インターネットは個人の所属になった。絶えてた繋がり、あっさりと。

 透明のショーケース、ガラス張り。リクエストに答えてトッピングを選べるアイスクリーム屋。やや中央よりも右側手前の薄ピンクの、砂肝アイスっていうのがありましたよ。

 四人でぎゅうぎゅう詰めに押し込められて乗るクルマ。まことに小さく、苦行の如き移動。

 移ろい。いきなり変わる予定に振り回される連続。九時頃朝の出発すれば昼には着くだろうと段取り。リスケ、午後二時に出発し、東京へ行くことになって、では荷物はどうするのか、何の連絡もないから見えぬ前途。

ジョイント191

 突風が吹き荒れる。後ろから背中を押す。体が加速していく。風向きは急変し、横っ面をはたいたかと思ったら正面から突撃してきた。何かの比喩に使える、それは人生そのもののような、と思いながら、不可解で生ぬるい冬の嵐を歩いた。


2020/01/09

第百九十二環

 佇まいは静寂で、時刻は夜中。格調高い石造りの、歴史を伴う建築物が並ぶ。ブティック、ハイブランドの店舗が両脇に並ぶ道を歩く。黒い空、夜の証。ショッピングはガラス窓の外から、ウィンドウショッピング。グッチ、プラダ。誰かが店から出てきて、その人のことは知らないが、こんなところで日本人に出会うとは、とだけ感想を発生させた。建物の裏側には楽屋入り口。地下へと続く道。地図にない路地裏を抜けた先、れんたろうの文字。

 じっとその場に立つ。使い道がわからない、両方の足がシャーペンになったコンパスについての説明を寡黙に聞き入るだけ。

 蹴って前へ進むそのバネ、運動神経の良い人々が動き回っているイメージだけ。決して姿は見えない。居ない誰も。

 文字が読めない、近づいてみても横から見ても、目を細めても。
 ものすごく、死ぬほどまずい飴。

 目新しさなどないはずなのになぜ直視しているのか、小学生が牛乳を飲む姿。

 タッチすることもできない、目の前にあるのに、黒い機械は誰の味方。

ジョイント192

 たちまちに結果が出て、驚いている。来年とか再来年を見据えての一手のつもりだったのに。しかもディテールまで含めてあまりにも合致している。誰かが俺の行動を見張っているに違いない。おしゃれな格好をしたジェントルマンが。


2020/01/10

第百九十三環

 がやがやとした人混みを抜けて、雑居ビルに入ると、すぐに階段が急。上へと進む。むちゃ狭い廊下を抜けた先に部屋。やっぱりか、中も狭い。いくつも白い段ボール箱が積まれていて、更に部屋を狭くして。手を左右に広げることができないほどの狭幅とは対照的に奥行きはとんでもなく長い。一番向こう、まで声が届かないだろう。薄っすらと見える人影がふたつ。つつと近づいてきて、それがテレビに出ずっぱりのお笑いコンビだと気づいた。確かに、これだけ狭く細長い部屋なのだから、取材に来るのも分からなくはない。

 色が無いに等しい世界、だろうか。角張ったものがない世界のようにも思え、いずれにせよ、ここは未知の空間だ。誰かに声をかけられて、その誰かに対して何かをしたら、ありがとうと言ってくれた。たちまち周囲は銀色の輝き。きらめきの銀河。

ジョイント193

 我流でもなんとかなる場合もある。やってるうちに偶然、つまり鉄砲を無数に打ってみたらたまたま命中した、というようなラッキーは必ずしも起こるわけではないから、他人のアドバイスは真摯に受け入れ、効率的に究極体へと近づいていこうではありませんか。


2020/01/11

第百九十四環

 観光名所となっているらしい、神社のような厳かさを湛えた空間を歩く。来る人行く人たくさんおり、賑やかや繁盛といった言葉を思いつく。暗いような明るいような、そのどちらでもある空の色、もしかしたらここに昼夜や時間の概念はないのかもしれない。

 1階しかない金属製壁と屋根を備えた鈍く光る建物は巨大で、かつ、いくつもの棟が並ぶ。不気味な静けさがハイテクな外観にさらなる近寄りがたさを加味。未来的な小さくはめ殺しの窓から中を覗くと、体は建物の中に入ってしまった。食べ物の工場だろうか、と想像し、周囲を見回す。
 ステンレス製と思われる長いテーブルにイチゴが並べられて、猛烈に食欲を刺激。気づかなかったが、誰か横にいて、半分緑色のイチゴを食べろと勧めてきた。食べられないのではないか、なぜなら熟していないのだからと言ったが、大丈夫だ美味しいの一点張り。

 料理を提供する店がいくつか並ぶ田舎の道。小さな土産物店らしき外観によって土産物店としてのアピールをしているのだと人々に思わせ、思わせられた人々は土産物店に入っていく。くるくると店内をめぐる人々。途中で回転から脱し、奥の部屋、座り心地の良い長イスに失礼します。
 すり寄ってきた左隣の女性は生足を顕にし、ついには跨ぎ掛けてきた。
 経っただろうか、いくらかの時間が会話によって。手順を踏んで連絡先の交換を申し出ると、女性だと思っていたその人間は少年だった。短髪、伸びた丸坊主の小太りの男子は見知らぬ男性から連絡先の交換を迫られどうしてよいのか戸惑っている当然だ。
 だが今さら後にも引けず、メールアドレスだけを交換し、何事も異常でない風を装いその場から駆け去って周囲の風は生暖か。

ジョイント194

 感覚的な部分での違いというものがあって、それは見た目は判断できず、言葉でも説明ができないが、しかし間違いなく存在する。着た瞬間に気持ちが高揚する服や、手に持っただけで嬉しくなる手帳など。


2020/01/12

第百九十五環

 曇天の空、早朝、駅を出て、複雑な枝分かれを繰り返す地下道を歩く。下り上り、地下道は時折、外光を取り入れ、また下り。緑化のための僅かな抵抗、プランターの植木を見ながら、また上り、かすかに人の気配を感じられる商業地域に到達。

 伝わる振動は地面を介し、ちょうどシャッターが開くタイミング。ぐいぐい前へと体が勝手に進む。無視だ、看板なども見ずに店に入り。リズムは色と形によって生まれ、小さな菓子が並ぶことは音楽。クリームとフルーツ、全国チェーンの高級デザート店であり、ここに用はない。今、間違えたと気付き、すぐに店を出た。

 畳まれた石の舗装の街路、子供が路面電車に轢かれそうになっているところを救出。つかの間の出来事、わずかな差の成功。

 うっかりなどではなく強い意志を持って、駅のホームから線路に降りた。ためらいなどなく、電車にはねられてみることに挑む。

 無数の、様々の、ダイエットについて調査。細部に至るまで数字を用いた大規模。忘却、すべてのダイエットには共通点があり、これは大発見だと浮足立たったが、何一つ覚えていない落ち度。

ジョイント195

 どのくらいの種類の感情が、今、私の心の中に同時にあるのだろう。悲しいと楽しいと嬉しいと。すごいは感情だろうか、かっこいいはどうだろうか。前向きな恐ろしさと、それによく似た尊敬と。あとはもう名前すら付けられない、心からさえ溢れてしまう無限の。


2020/01/13

第百九十六環

 濃度が濃い。色は、白と白に近い無彩色だけの、陰影すらほとんどなく。空間に浮かぶふたつの球体は視野の殆どを埋めて。手を握る、記号で表現すれば矢印が二本、右向きと左向き。
 供給に対して消費があるから、片方の球体からもう片方の球体へと。止まることなく流れ続けるのは情報の。

ジョイント196

 のめり込みそうで怖い。ある程度の距離を取りたい。気になる、もっと知りたい、すべてを自分の手元に置きたい。
 そんな思いに支配されそうになったので、ええいと振り切り、立ち上がり、階段を登って、廊下の空気は冬だ寒いぜ。


2020/01/14

第百九十七環

 全身に倦怠感があるせいで、何をしてよいのかわからないまま過ぎる時。球体を複数くっつけて作られたような体の形をした、膝の高さほどの人形がちょろちょろと動き回って鬱陶しい。
 一時間ほど早く、何かが終わった。たくさんの箱、封をされて中を見ることはできず。ずっと向こうまでなだらかに蛇行しながらどこまでも続く。クロームメッキの輝き。北からの風。

ジョイント197

 絶叫したいが、周りの目というものがあるので、そういうわけにもいかない。でも、黙々とやっていても最高のパフォーマンスを発揮できないような気がするんだ。


2020/01/15

第百九十八環

 大理石の廊下と大理石の廊下に挟まれた、狭い空間を利用して、喫煙スペースが設けられている建物。ノブがないドア、スライドする事で開ける事ができる事に気づく。空調、換気が行き届いており、スペース内はきれいな空気で満たされているボックス。

 砂地の道を歩く。暗い森が左右から迫るつづら折り。両端には細らかな側溝、しかし深く。靴の裏の摩擦力が体を前へと進めていくから、上昇する高度。どうやら終着地点だ、行き止まりに。人間がいた、一人、男の大人。何かを両手で抱えているらし、除きこむ、大量のカニ、小型の。仰け反る、溢れ出すカニの群れは積み重なり、道を覆う。うわー、これはたまらん、全速力で駆け出す撤退だ。

ジョイント198

 大丈夫なんですか、ほんとうにいいんですか、とこっちが逆に心配してしまう。その心配はあなた方に対してだけにとどまらず、もっと広い範囲で長いスパンで考えると世界にマイナスの影響のほうが大きいんじゃないんですか、と考え込んでしまう。
 そんなことばっかり言ってても疲れるだけだから、とりあえずありがとうございますで収めとこうか。


2020/01/16

第百九十九環

 片付いている部屋の窓から見る外の景色は、実際よりも遠くまで広く。クリアなガラスの輝き、外から差し込む光、穏やかであるはずの、しかし胸騒ぎ。
 擬音を使うなら、そのすべての文字に濁点を3つずつ付けてまだ足りないほどの爆音が近づいてきてすべてをなぎ倒し破壊の限り。リアタイヤを滑らし、Uターンしたかと思えば、その巨大なトレーラーは豪邸和風建築を木っ端微塵に粉砕す。砂煙を巻き上げ、地面を掘り返し、凄まじい恐怖。

 ふと思った、この惨劇を目にして、恐怖ではある、だが、この恐怖を懐かしいと思った。たどる糸、何だ、何の記憶と結びついているのだ。だめだ、わからない、しかし知ってる気がするこの光景をあるいはこの感情を、わからぬたどり着けぬ。

 ぬるい風が吹き始め、爆走巨大トレーラーが去った後には、空爆と火の手がやってきた。たぶん、このまま世界は終わるのだろう。うまくいえないが、世界とは、今おり見ている世界とは、実際の世界ではなくて、実際の世界は、まだ平和で。でも、もうすぐ取り返しのつかない悲劇や恐怖に見舞われるのだろうと恐ろしくなって、その感情はまるで消えそうになく、不安だけが増幅。

 くすんだ壁の色、古い、むしろ汚らしい内装の校舎の中。片側しか開かない引き戸を開け、教室の外へ出て向かう先は一階。いくつもの階段、渡り廊下を経て経てまた経て、たどり着いた先。筋トレする場所だと説明されて、こんなところに用はないと判断し、また戻ろう。上へ、階段を、手すりが筋トレマシーンに変化。荷重が腕にのしかかり、健康になれますね。ねずみ色のドア、その部屋は託児所だ。だから、ここには人が多くやってくるのか。

ジョイント199

 カミツキガメとチンパンジーが取っ組み合いの喧嘩をおっぱじめたから、それをただ眺めているだけ。何の感情も生まれない。感情の芽は地面に顔を出す前に農薬で殺す。


2020/01/17

第二百環

 隙間なく並べられた卵。護衛、壁は周囲に高く、どうやってここに来て、また出ていく方法は示されず。
 随分悩んでいるようで、名前の付け方。単純な例、有益なアドバイス。

 すらすらと出てくる、途切れることなく矢継ぎ早に、いつまでも続く靴の話。
 しょうもない、まるで魅力のないショッピングセンターのようです。

ジョイント200

 すぐに結論を出すんじゃない。壁をぶち破るんだ、常識にとらわれるな。お前が勝手に思っている透明の天井が本当に天井なのかどうかは頭をぶつけてみないとわからないじゃないか。実は透明な無で、どこまでも高く飛んでいけるかもしれないだろ。


2020/01/18

第二百一環

 ロビーには多くの人がいて、ケータリングで用意されたサンドウィッチやクラッカーにチーズを載せた類をつまみつつ立ち話。しかつめらしい会議の後で、ここではお固い話はなしだという雰囲気。きれいな街並みが眼下に広がる広いガラス窓。どのくらいの高さだろうか。瓦屋根の民家を威圧するように立ち並ぶ高層ビル群がはるか向こうまで。

 電車に乗り込んだら、シートがない。一個のコンテナーのようにガランドウの空間にあるのは、つり革と窓だけだ。ダッシュで先頭車両へと向かう。うまく走れないのは揺れのせいか、あるいは意識が朦朧としているのか。壁があった。たどり着けぬ運転席へは、なぜならドアはなく。靴にふと目をやる、床に対する違和感がそうさせた。タータンチェックの座面が、床に直接。ついていけない、脳が、この状況に対して。

 停車したからホームへ降りた。たどり着いたのは予想に反して鳥取駅だった。たしか福岡あたりから西へ向かっていたはずなのに。
 賑やかな、人でごった返すホームから階段を降りる途中のどこかで、視点は第三者のものへと変化し、視野の中央、おばはんが何か喋っている大声で。できれば地元の名物を食べたいのに、この駅にはなんにもないと悪態。
 色はけばけばしく、下品にアピールしてくる看板はどれもチェーン店だから、たしかにおばはんの言うとおりだ。だめだ、食に対する絶望。
 うろうろと続けているうちに、空間は繋がりを失い始めて、ロータリーにいたはずが、また地下街におり、また別の場所へと。
 鳥取駅にまだいるのかどうかすらもはやあやしい。今おりているこの階段は、民家でもありオフィスでもあり、公共施設でもある多重露光の空間だ。段差の大きい階段を慎重に一段ずつ踏み降りていく途中。上から横断幕が広がってきた。太陽色と墨汁色で書かれた何かしらの字。
 字を目にしたせいで、手には一冊の本が発生して、すでに開かれているから、読む行為をした。端的に言いたい、これはつまらない短編小説だ。だがしかし、この作者の名前を知っているし、こいつのことを嫌っているからムカついた。たったのこれぽちの文才で本が出せるのか、アンソロジーに収録されてしまうのか。
 カタカナのなにか良さげな言葉が思い浮かんだ。断片的な記憶しかない。いけてる最新技術だった気がする、ホログラフィックとかなんとかいう名前の、ゴシック体で紅色。

ジョイント201

 浪人生が今年こそは頑張りますとテレビニュースのインタビューで答えていた。彼は頑張れたのだろうか。どのくらい頑張ったのだろうか。この一年の積み重ねた成果をぶつけることができたのだろうか。


2020/01/19

第二百二環

 体が浮いて、空中を進んでいく。黒い鉄柱が数本高く伸びて、巨大な金網が張り渡されて、こちらとあちらは別の世界。行けそうで行けない、行けなさそうで、行ける。

 ルックスはみすぼらしく、周囲の貧民街の佇まいと相まって、不穏な雰囲気を漂わせている二人の男が見えた。たちまちズームインし、監視するその行動。
 うろうろしていた、かと思えば一心不乱に歩いている、かと思えばどこかの建物に入っていった。
 建物の中は奥に深く、トイレの中には扉が何重にも連なり。
 両脇にバラック小屋が並ぶ急な坂道を二人の男は登っていく。繰り返す試行錯誤。合法的である必要などないから、どんな手を使ってでも、情報を盗む取ろうと必死だ。
 奪取された情報は、元来の上から下へという運動を分枝されせられ、その一部をあるいは複製を右へと進まされていく。

 クラクションが何度も鳴らされているのが遠くから聞こえるのを一つの合図として、朝焼け。消されていく文字と言葉。場面はあやふやになって全ては不確か。

ジョイント202

 枯れ葉を眺めて、もうすぐまた春が来るのだと思った。牛乳とトイレットペーパーを買った。外の気温に対する適切な上着を選んだ。午後の予定を時間通り全てこなした。二度、大用をした。


2020/01/20

第二百三環

 たっぷりの採光を期待できる大きな窓が4つ。連なり並んで目の前に、しかし外は暗い今。窓を跨いだその向こうは夜の道。小さな明かりがまっすぐ向こうへと並ぶ、街灯の行き先は彼方。

ジョイント203

 頼りになるのは自分だけだ。他の誰も信用できない。そんなこと言ってしまう自分のことすら信用ならない。茶でも飲んで落ち着け。


2020/01/21

第二百四環

 景色がまるで見えず、真っ白に周囲された露天風呂。ロック、岩を組み合わせて形状を構成した湯船には乳白色の湯が満たされて湯気。元気よくしゃべる若者が左隣、何か不平を口にしたからたしなめた。溜められた湯の白いのは汚れではないかと、そんな訳はない、温泉の成分であると。
 尖った岩肌が足の裏に突き刺さり痛い。意地を張り歩いて湯船の中央へと進み、しゃがみ、湯に浸かった。

 高くそびえる鳥居を見上げ、そして、振り返ると、荒れ果てた地。

 力尽きた建物は、四方の壁だけをわずかに残し、朽ちることのない基礎の上にぎりぎりの踏ん張り。リビングルームもキッチンも跡形なく。草すら生えていない不毛の、灰色の、寒気。

ジョイント204

 決意のようなもの。ワクワクしてくる希望のようでもあり、ケツを叩くムチでもある。そこに、もうどうにでもなれというあきらめ色とせめてゴールテープを見てから倒れたいという意地色の絵の具を少し混ぜた心持ち。


2020/01/22

第二百五環

 地図はない。家へと帰る道は、皆が己の家の場所を知っているから皆は無言で一心不乱、歩いて早足。しかし、一人だけこうやって、人人の波を逆らうように歩いて、どこへ行こうとしているのか。皆目検討がつかず、かと言って立ち止まるという選択肢があるわけでもなく。

 食らいつく、地面に両手と両足で、爪を立てて、全身が汚れてもまるで気にせずに。人気のある有名な女優さんだと思う、この人はきっと。飛び降りる、崖から下へと臆せずに。荷物を、重くとも気にせず引きずり運ぶ女優の全力。食らいつく、汗まみれで、見出した新しい価値。

ジョイント205

 ちょっと本気を出せばこんなもんだ。俺の脳みそはワールドクラス。モノクロの世界がすべてを語り、その過不足のなさこそ、俺の魅力。


2020/01/23

第二百六環

 詳しく説明してくれています、プレゼンテーションが前方の巨大スクリーンで。出てきた図、四角で囲まれた3つの要素。そうです、これらを守れば脱税してもバレませんとのこと。

 匿名で寄せられた情報、こっそりとクルマの中で耳を欹て聞き漏らすものか。数える現金、300万円が手に入るだと本当か。

 駆け出したのは、名前を呼ばれたから。ランニングシューズは明らかにオーバーサイズで足がもつれてすぐに転けそうになる。ルーズな履き心地。ちょっとしっかりめに結んだらどうだと誰かが言ってきた。頼むから黙っててくれ、見たらわかるだろ、紐のない靴なんだよ。余計なことをしゃべるな、お前らよ。

ジョイント206

 よくわからないからとりあえず説明どおりに手続きを進めていった。どうして5日も掛かるのか、理解できない。腹が立ってきた。
 パスワードすら覚えてないのに、秘密の質問の答えなど知るわけないじゃんか。モチベーションが下がってきた、今週末はやめだ。来週にしよう。


2020/01/24

第二百七環

 うすぐらい、カラオケができる部屋に入ってきたことで、空間を移動したわけであるが、空間の移動というよりはむしろ時間の移動で。でも、それは同時に起こるのではないか。過去に行った気がするのです、だからそこに発生する違和の感覚。
 暗いから皆の顔が見えないのか、顔を作り出すには情報が不足しているのか。欠けているつながりと記憶。

 玄人だ、明らかに歌がうまい。一聴してわかるプロの才能。

 上を見上げると、何機もの小型ドローンがホバリング。

 ぐちゃぐちゃの、支離滅裂を、夢も現も関係なしになるべく多くの人間の記憶を収集し、とてつもなく賢い人工知能に解析させれば、人知を超えた何かが出来上がるんじゃないか。可能性はないとは言わないが。
 ガタンと巨大な音がした。叩きつけられた、床に、の音。とっさに、人が倒れたのではないかという想像が発生した。頼りなく不安になってくる気持ちはどうにも収まらず速まる鼓動。

ジョイント207

 うまく全身を使うことを心掛けるとよい。気持ちが前のめりになると、どうしても意識が向けられた部分のみでなんとかしようとしてしまう。外に対してだけではなく、内に対しても広い視野で見られるように。


2020/01/25

第二百八環

 賑やかな雰囲気、人の姿を見た記憶はないが人が多くいるような気がするからいるのだろう。漆塗りのテーブル、親戚の家だろうか、今いるここ。固有名詞の誰かではなくて、共通する要素としての親戚の家。
 駅へ向かう、そう、今から帰るのだ。大事な荷物をリュックに詰めていく。黒いタオルを先に入れ、つぶれやすそうな箱は後から入れよう。うるさい、横から指図するんじゃない、お前のやり方など知るか。嵩張り、リュックは荷物を入れる前の1.5倍ほどの大きさになってしまった。

 たどり着いたのは、フリーマーケットのような場所だった。大量に陳列されたリュックサックは、どれも迷彩色で、そのほとんどはサンドカモ。もう少し、今使っているのより大きいサイズのリュックにして、荷物を詰め替えようかと思ったら、売られているリュックはどれも高くてあきらめた。

 立っているのはテレビ画面の前。映像を眺めているはず、これはテレビ番組。見ているのか、しかし、映像の中に入ってしまっているのか、その視点がどこからであるのか、分からなくなってきて。
 テレビの特番、貴重な食材を探してきて、特別な一皿を作るシリーズ。
 ずっと前から、毎回、同じレストランが、今回もまた登場だ。誰もが抱く疑問、あのレストランはテレビ局にわいろを渡しているのではないか。回答してほしい、その問いに。

ジョイント208

 逃げずに真っ向勝負。ぶち当たって見事に勝利したぜ。俺の辞書に再戦なんて言葉はもうないんだ、あの時の雪辱以来な。


2020/01/26

第二百九環

 並木道、駅前の繁華街を歩く。黒い壁、たくさんの店、服屋、雑貨屋。やけに外観がどの店もみすぼらしく。
 糞まみれの人間が何人も路上に横たわって。テーマは環境保護の、パフォーマンスらしいが、迷惑千万のアホ。歩行、つま先立ちで、糞を踏まないよう活動家らをまたいで通り過ぎた。

 対向6車線のまっすぐな道。ちょっとばかしの上り勾配。いかんせん排気量の小さいバイクではスピードが出ない。いらだつ通勤の焦り。理性を欠き、アクセル全開、ハンドルを取られ、右に左に暴れるバイクの蛇行。
 後ろからの接近に気付かなかった、右から追い抜いてきた赤い車に接触。くっそ、やってしまった。直ちに、路肩に停めて示談の交渉。後ろ左のバンパー、塗装がはがれていた。端的な説明、修理の見積もりをくれたらちゃんと払うからと。ところで、この車の色はいつの間にいつの間に黄色に変わったのか。
 感じの良い運転手の女性は好意的な対応。ウェットな口調へと、徐々に変化してきた女性の素振り、誘ってきているのだろうか。勘が働き、嫌な予感がし、距離をとることにした。
 立端のある男が、向こうからやってきた何かを叫びつつ。束の間もなく、女性は男性の股間を蹴り上げ、その場から逃走。呻く、激高した男性は女性を走って追いかけた。
 たちまち逃走劇、一緒になって逃げているうちにビルの中。壁の色は白、奥へ奥へと進むと、スポーツジム。無我夢中、店内へと入ろうとするが今日は祝日なので10時オープンだと言う常連客らしきじじい。今はまだ9時半、無理だな。

ジョイント209

 なんとかぎりぎりでかもしれないが、不合格の烙印を押されずに、二人はその適正を認められたのだから、明日から堂々と胸を張って、それぞれの肩書を全うしていけばよいのだ。まぶしすぎて明日が見えないよ。


2020/01/27

第二百十環

 容器はガラスで透明の、片手で持てるほどの大きさに、はちみつを満たす。

 スーパーマーケットや専門店が店子として入っている高層ショッピングビルディングの最上階、各フロアの面積は狭く、おそらくここは都市部の中心に立地しているのだろうと想像す。スカレーター、エスカレーター、スカレーターと言いながら、下の階へ下りてゆく。眩む目が、一階の床までのぞき込めば見えて、高所恐怖症の性質にナイフを近づける行為。
 行けば行くほど下へ、建物の骨格や金属部品は細まり、今や球体の檻の中。

 かっ飛ばす、車の運転、二人でドライブ。ブルーの透明の、長さ1メートルほどの、板状の、何かが。がんがんと前方のトラックから落下して、それにぶつからぬよう、慌ててハンドルを切った。
 縦長のほうがいいね。ねえ、やっぱりそうだよ。横型も試してみたけど、携帯ゲーム機は縦長の、ゲームボーイみたいな形が一番しっくりくるよ。

ジョイント210

 夜になり、風が強くなり始めた。北から南へと吹き荒れる寒風。どこからかペットボトルが飛ばされてきて、アスファルトの上、転がって、どこかへと消えていた。


2020/01/28

第二百十一環

 頼まれて仕方なくやることになったホームページの作成。
 一本の線が伸びて、それが折れ曲がり、二本になり、また点になったりし。白い線は何かを表しているのか。形を作り、また離れて。
 手作業でスニペットを張り付けたり、値を割り当てたりすることで、自動的にレベルアップした。頼もしいとの評判だ。

 大学の下宿を想像させるような、いやそれよりもさらに狭い部屋。闇の中の青色で塗られた骨組みで作られた二段ベッド。どこからやって来たのか、KさんとIさんのようにも見えなくはない女性が二人。両脇に立ち、少し離れて、いることだけはわかる程度の存在として、ひとりの男性。

 いちゃいちゃしている男と女。仲が良いのだろうきっと。時折、男は隣にいる別の女にちょっかいを出す。少しずつその頻度は高まっていき、いつの間にか仲が良かったはずの女はひとりぼっち。
 ちょっと声をかけてみると、ウェルカムな雰囲気であり、会話をし始めたはずなのに、そこから先の記憶は存在しない。

 石畳の広い歩道を歩いていると、後ろから小型のバイクに乗った変な男が追いかけてきた。ターゲットを逃すまいと、直角に曲がる、バックもする奇妙な動きで執拗な接近の試み。

 見事に飾られたデコトラが街道を爆走。運転しているのは愛川欽也で驚いた。

ジョイント211

 台風というのは、もちろん怖いのだけれど、やってきてそして通り過ぎることが分かっているから、その間さえ耐えればよいと自分に言い聞かすことができる。しかし、そうでない大雨や強風というのは、どこからきてどこへ行くのか、何時間ぐらい耐えればその先の青空を拝めるのかがまるで分らないから心は微分的無限の負担を強いられる。


2020/01/29

第二百十二環

 ルートはほかにもあったろうに、あろうことか商店街を車で通り抜ける大胆策。車は大きく、決して広い道幅ではなく、両脇の建物に当たりそうで怖い。いくつかの民家、商店、瓦屋根、過去にここへ来たことがあるような。
 なにか胃に放り込みたいから、パン屋によってほしいと運転手にお願いするが、聞き入れてもらえず。ずりずりと通り過ぎてしまった。たちまちブチ切れ、発す怒声。

 移動し、着替えて移動。また着替え、移動し、その先で着替えて移動。うつろな表情、何のために着替え、どこへ行き、何をするのか、だれも知らない。

 一斉にテストの結果が公表されて、1位は412点で、2位は400点だったから、1位の圧勝と言える。

ジョイント212

 累卵の危うさを感じつつ、ニュースを見入る。明日は我が身と言いつつも、心の底では自分だけは大丈夫だろうと頑健な肉体を顧みる。頼むから、まじで。


2020/01/30

第二百十三環

 できることならひとつずつ、大きさや中の荷を確かめてから流していきたいが、何しろ数が多い。移動してくる奥から手前へと。透明の箱は入り口も出し口もなく、つなぎ目もない。一部が鋭利に尖った、漫画の吹き出しを立体化したような白い膨らみ形状。

 うるさい音、サイレンのような、きっとどこかで緊急事態が。我慢せずに脊髄反射した途端、音は止まり、そして何もなくなって、全てが霧のようで。

ジョイント213

 電車で移動するのは大変だから。
 あなたの真側に誰が立つかわからないし、どこの国の人ですか、どこからやってきましたか。


2020/01/31

第二百十四環

 硬い床の感触。首を強く押さえつけられるような、しかし、力点がどこにあるのかはわからず。ずっと前の記憶をさかのぼれば、何かわかるだろうか。
 角度を調整すればいいのです。すぐに時間は経ちますから大丈夫ですよ。宵から夜更けへと、そして、別に太陽が高く昇ってしまったって、何の問題もないでしょうが。

 頑張って仕事をこなす市役所職員の女。何らかの発明をしたはずだ、この女が。画面のないスマホのような、白い機械が、その手元にあって、あれだ、あれを使ってすさまじく効率を向上させているんだ。だが、その仕組みはどうだったけか。かすかな記憶をなんとか手繰り寄せようとして、でもさっぱり投網は魚を捉えずにさっぱりの結果。

ジョイント214

 構わずぐいぐい言うてくる人に、ただ、どぎまぎするばかりでリアクションもできず。低すぎるコミュニケーション能力でで本当に申し訳ない。青帯の少年よ、君は俺よりもよっぽど立派な大人になるはずだから、そのまま生きていけ。


2020/02/01

第二百十五環

 決定された二つの案に丸を付けて、並べて、置いた。たちまち丸は大きくなり、浮かび上がって、眼前に漂う。

 うっすらと、最初のうちは、そして徐々に輪郭が把握できるぐらいの大きさになって、カンカンという音が。楽器が奏でる音ではなく、一番近いのは踏切の警報音だ。

 だまってその音を聞いていると、先ほどまで二つだった丸は、その右隣にもうひとつ丸を追加して、その丸は踏切という文字を囲んでいた。たゆむような動き、上下に。ニュアンスの変化のきっかけ。

ジョイント215

 検討した結果、しないことを決定することに決まりました。やっぱりすることに変更しました。人生はすぐに覆されるのが楽しい。


2020/02/02

第二百十六環

 行き先を確認せずに電車に乗って、おかしいことに気付いて、降りた。例えようのない焦燥感が襲ってきた。対面のホームへと移動し、スタート地点へと戻ろうと電車を待つ。

 束の間の断絶があって、再び電車の中。帰っているような気はせず、どこかまた別の場所へと向かっている雰囲気がしてならない。幾度か試みた、窓の外を見る努力。暗いわけでもないのに、風景は情報として与えらえず。

 ずいぶん楽になったみたいですね、首が痛かったので大変でしたよ。横になっても全然疲れが取れなかったので。できればこの状態が維持できればいいのですがと、いうあなたが誰なのかわからない。

ジョイント216

 いじいじ悩んでないで、とりあえず手を動かすんだ。作り始めれば何かが出来上がるだろう。出来上がったものを見て、次にどうすればいいか考えればいい。それを繰り返しているうちに、雷がお前を貫いてくれるから。


2020/02/03

第二百十七環

 ラッパの金属、光沢。暗い夜に囲まれた場。
 バラバラな気持ち、どこかに向かおうとして、しかし、思う方向には進んではいかず、苛立ちが募りまくりだ。

 誰もおらず、だから人の姿のまるでない棚田を歩き、坂を下り、道へと出た。

 例えばインスティチュートのような言葉、いくつかの英単語が浮かんでは消えの繰り返し。
 したくてもできない、見たくても見れない、すべてにおいてそういうもどかしさ。先へと行かぬ人ら。

ジョイント217

 ラズベリーの酸味、オレンジの苦み、イチゴの香り、リンゴの甘み、そうやって何かにたとえて、感じ取れる範囲の外側にたどり着きたい。


2020/02/04

第二百十八環

 入り乱れる現実と仮想。映し出された映像を見ているのか、その映像の中にいるのか。仮想とはロールプレイングゲームのような世界。いくらかまでもリアルであり、やはりこれは現実であるようにも思えるから、もはやここで暮らしていこう。

 うら若き女性が6人歩いてきて、自動的にレベルが上がると、とても喜んだ。高まるヒットポイント。滞りなく経験値は入り続け、よって、各種パラメーターは増加、何のために強くなるのだ。大魔王討伐のためではない。

ジョイント218

 行きつくところまで行ったと思ったのは確か数年前。もうこれ以上進化のしようもないだろうと高をくくっていたら、全然そんなことなかった。アイデアとテクノロジーとパッションが人生をさらにファンにしてくれた。


2020/02/05

第二百十九環

 高さ1メーターほどの、寸胴の鍋。ベースとなる出汁は昆布から取るのです、と誰かが言う。うまみが違うんです、うまみが。ガンガンに強い火で炊いているので、ちゃんとした料理が出来上がるのか不安になる、大丈夫かと。
 取り出しましょう、スープを、中を覗く。クリーム色の丸い球体がいくつも空中に浮いており、スープはそこになかった。それでも、このスープを皆に配るのだというポジティブな意欲だけが体を動かす。

 少し風が出てきたようだ、外は明るく道に往来の車は少ない。

 以前よりも包み込む感じがあり、それがとても心地よい。以前とは、具体的ないつかではなくて、説明することができない、時間的感覚。クッションの柔らかさ、それがどこまでも続いて。丁寧な話し方、小さな、妖精のような、人のような、声が聞こえてくるのはそこからなのか、声なのかどうかもわからない、何物は彼方。

ジョイント219

 多重の階層構造によって奏でられる未知の音楽を発明した気分だ。小節から解放、それによって得られた自由とグルーヴは週末に降って湧いた心配事をきれいさっぱり吹き飛ばしたぜ。


2020/02/06

第二百二十環

 全体にたゆたう時間は、いつもよりもゆっくりと流れているような気がして、白シーツのベッド。どのようにしてここに来たか、その過程の記憶はない。

 生き物を扱う店、ペットショップ。プードル、他さまざまな動物がゲージの中からこちらを見ているのを意識。きれいで清潔な店の中。
 賭け事が好きだという店員は、一方的に話し続け、特に競馬が大儲けできるからどうですかと。投票の仕方、つまり馬券の買い方を懇切丁寧に説明してくれて、さっきのレースは1-2-3を買っておけばよかったのにと言うてきた。足りなかった時間が、買うには、どこで買えばいいのかもわからないし。
 しれっと買っていたその店員、当たり馬券を見せてきて、大穴だと一人小躍りの彼女は笑顔が美しかった。
 棚には木工製品がならび、レジの横にはガムが売っているごった混ぜ。

ジョイント220

 ゼロかヒャクか極端なんだよ、もうちょっと中間をキープするということがなんでできないのか、不思議でならない。お前の趣味の世界ならどうでもいい、好きなようにやってくれとなるけれど、これは趣味なんかじゃない、れっきとした、ビジネスとマネーがかかわる世界なんだよ。


2020/02/07

第二百二十一環

 よく見つけてきたなと、思わず口から洩れた。
 ターゲットとなったのはグレタ・トゥーンベリ、隠し続けたかった過去が明るみになった。たった先ほど、それはユーチューブで発見された一つの映像。腕を上下させ、オーディエンスを煽っているのは、まさにその人、トゥーンベリ。
 リズムは人を陶酔させ、判断力を失わせる。ルーズな服装、いつしか、片乳を出してDJしている、若き温暖化防止運動活動家のもうひとつの姿。
 建物の完成予想図は、近未来的で巨大で銀色に光り輝く曲面構成。田舎の山奥に最先端のがん治療センターを誘致できたと関係者が嬉しそうに話す記者会見の様子。

 ストレスに対する人間の耐性を高める研究だという。
 うまくドラッグアンドドロップできない、不完全なファイルシステムのインターフェースによって、利用者のイライラを刺激。キレそうになっても、そこはぐっと我慢しなければならないと、誰かがいうのだが、もうだめだ、そろそろ限界だ。

 だいぶ明るくなってきた空、あちこちから、寒い、と、まだ大丈夫、の声が聞こえてきて、全体としては安心感のある雰囲気の世。

ジョイント221

 用もないのにショッピングセンターをうろつく。伝染の恐怖におびえるみんなはマスクをつけていて、無敵の私だけがつけてない。だから、なんだかいたたまれなくなってきて、急場しのぎにネックウォーマーを口元まで上げてごまかす。


2020/02/08

第二百二十二環

 すっかり、着替えなければならないということを忘れていて、作業着のまま帰宅してしまう。運送業、製造業、職業が何なのかはわからないが。
 がらんとしたリビングに、座椅子。座っているのは女性。いくらかの雑談ののち、スポーツジムのインストラクターの給料の支払い方法について、例えば、その人が講演会などに登壇した場合の謝礼などはどのように扱われるのか。かなり具体的に内実を、現役だというその女インストラクターから聞かされた。頼んでもいないのに喋る女、そもそもお前は誰で、なぜここにいるのか。

 枯れた草が伸び放題のうら寂しいところ。ろくに民家もなく、分からぬどこか遠くへ来てしまったようだ。大至急戻りたいと願ったが、どこに戻ろうとしているのかはわかっていない。いやはやそれにしてもここは遠くであることは確かだから、ひと区間だけタクシーに乗ろうか、それともヒッチハイクにしようか。

 闊歩、頭の上にメロンほどの大きさの金属の球を乗せた女性が車道をゆっくりと歩いており、非常に邪魔。瞬く間に、女性の後ろには長い渋滞の車列ができてしまった。巧みなバランス感覚であることは確か。

 紙に書かれた細かな文字のようなもの、それは見たことのない形状。うねり、文字というにはあまりにシンプルで、線が1本でひとつの文字を成り立たせている奇妙さ。
 さらに、それらが動き出し、浮きあがり、形が変化していく
 暗い川べりを歩いて、だれにも出会いそうにないほどに、ひとけは少なく、風景の描画もあいまいだ。段々とここが川べりであるかどうかも分からなくなってきた。

 ターンUして戻ってきたら、頭の上に球を乗せた女性がまた現れた。立ち止まっているのか歩いてるのかわからないほどの遅さ。早速、車の列が連なり、ドライバーの苛立ちが、傍にも伝わってきた。耐えられぬストレス。

ジョイント222

 素敵な何かを期待していたが、そこにあったのはむさくるしい現実であった。あきらめて抜け出したその帰り道、曇天はいつしか冷たく激しい冬の雨に変わった。天気予報はそんなこと言ってなかったのに。


2020/02/09

第二百二十三環

 逃げて、エレベーターで下から上へと。扉が開いて、踏み入れたその階は広い空間がだたあるだけ。計算しているから、行動とともにプログラムが都度実行される仕組み。三つのパートに分かれており、すべての計算が完了し、出た答えを使えば、時間を遡れるという。うまくいくのだろうか、だれも信じていない様子。

 少し経って、先ほど遭った光景に再び出くわし、なるほど時間を遡ったな。なんとなく確からしいと思い始めて、またエレベーターを上り、また計算が始まり。理屈ですべてが決定する世界、そしてまたエレベータの前に立って。

 手に入れたのはタオルと数本の缶飲料。うまく話せない、コミュニケーションの取り方がよくわからないから、無言で渡す。素直に受け取る前方の人。時々、脳裏にフラッシュバックしてくる光景、これは一体、何だ。断片よりもさらに短い、それでいて安堵感や楽しさを満たしてくれる記憶らしきもの。伸びやかな友情とともに。

ジョイント223

 苦手意識を持っていたことに対して思い切って挑戦してみた。結果としては悪くなかったが、自分の中の刺激されたくない感情を探り当てられて、心の中のわだかまりがうずき始めた。今夜は寝つきが悪いと思う。


2020/02/10

第二百二十四環

 ウナギの寝床のような狭くて奥に長い、商店街のような、作業場のようなところ。路上に座り、魚をさばいている人たち。ちりちり魚を焼いている人たち、松の葉を切って形を整えている人たち、焼いた魚を売っている人たち。近くにいるすべての人たちは老人である。
 累積された古い金属食器を避けようとして、身を翻したら、松茸を焼いているガスグリルに手が当たってしまい、火力が変わってしまった。直ちに元に戻そうとするがうまくいかず、悪転、泥沼。間違えてタイマーを延長してしまったぞ、踏んだり蹴ったりで何をやってもうまくいかぬことを嘆く。

 空気がきれいだ、昔、通学路として歩いていた道。ちょうど家と小学校の真ん中あたり、景色が違って見えるのは大人になったからではない。異常に、明らかに、広い平地がどこまでも広がる、ここはどこなのだ。  誰かに教えてもらったわけでもないのに、更地になったこの場所にはイオンモールが建つらしいことを知っているのは、なぜだろうか。

 風に飛ばそうと、摘んだ草を空へと投げて。手から離れて、そして高く消えていった葉っぱは濃い緑色が記憶にも美しゅう。

ジョイント224

 受け取り方の問題だと思うんですが、それを理解するのはとても難しいですね。言ってることが真実かどうかもわからないのに、どうやって正しい選択をすればよいのか、幾年。


2020/02/11

第二百二十五環

 戦車のようであり、それでいて戦車と言うにははあまりに巨大で、煌びやかな外観の乗り物。脳みそは思考を放棄、高速道路を爆走するのは最高にハッピーな気分だ。だめだ、笑いが止まらない、楽しくてたまらんぜ。前方にもう一台同じような奴がいて、さらに気分は青天井。唸るエンジン、光る電飾、他の車は轢いて潰してしまえ。

 駅の売店が広くて、高級感があって驚く。暗めのブラウンを基調とした店内のカラーパレットは落ち着きがあり、大人。
 並ぶのはワインとチョコレート。特にいらない。今欲しいのは、ガムとジュースだ。

 男子中学生が5~6人近づいてきて、私にもお守りをください、くれるんでしょう、と尋ねてきた。尋ね返す、お守りとは何のことだ。男子は言う、あなたは学問と合格のお守りを人にあげたことがあるでしょう、それはとてもご利益があるお守りなので、私もぜひ欲しいんです。
 すっかり忘れていたが、そういえば過去に誰か知り合いにお守りを上げたような気もするし、この男子が勝手に作った嘘のような気もしなくはない。いずれにせよ、今、お守りなど持っていない。いくつものカバンを、両肩にかけている奇妙な格好だが、しかし、このかばんのポケットのチャックのどこにもお守りなど入っていないから、男子よ、お前に渡すお守りなどない、往ね、そしてお前の自力で合格しさらせ。

ジョイント225

 咳が出た。気道に痰が絡んでいる。悪寒もしてきたし、筋肉のこわばりもあるように感じる。明日になれば75度の高熱がでて、明後日には臨終だろう。普通の人なら。


2020/02/12

第二百二十六環

 ラフも描かずに、いきなり半紙に向かって線を引く。黒い墨が滲んで、筆と鉛筆の中間のようなタッチに変化。形が見えてきて、これは仏画だと思った。
 大切にそっとピンセットで持ち上げたのに、風で揺らめき、慌てて、紙に押さえつけた、金箔。

 暗くて、日光があまり差し込まないオフィスらしき部屋。やることがなく暇なので、部屋を出ると、階段があったので上ってみた。たしかさっき3階にいたはずだ。だが2階に今いるのはなんでだろう。
 うまく歩けない急に、膝に力が入らず倒れそうになり、壁にもたれかかった。立っているのが精いっぱいの状態で、壁伝いに、奥に進んでいくと巨大な磨りガラスの自動ドア。開いた。淡水パールのきらめきを思わせる壁の色、そこはショウルームのような。なにもかもが完璧に磨き上げられた美しい、とても美しい。いったい、何を展示しているのか気になって、四角い巨大な書棚のような物体。いない誰も、だから聞けない、これはいくら。

ジョイント226

 楽に生きたければしっぽを振って飼い主の命令に従い、ご機嫌を取っていればいいのだ。待てと言われても構わず餌を食い、お手と言われてもそっぽを向いて、挙句の果てに噛みつくようでは、お前は明日から野良犬。


2020/02/13

第二百二十七環

 脱いだ靴。つるつる滑る床は清潔の証、病院の中。駆け出して、気合を込めたら、眼前、玄関のガラスは木っ端微塵にぶち破られた。大量のガラス片も気にせず走り抜けて思う。ウイルスでも病原菌でもなんでも来たらええがな。

 和みのベッドサイドから、ぼうと見つめた寝室の出口は、奥まる廊下の更に奥へと移動と変形。今、ドアの外側で誰かが大声で叫んだ、叫んだということは見えなくても認識をした。たとえ何も聞こえなかったとしても。黙坐、なぜ認識できたのか、心を縮める圧を感じたからだ。
 大前提、寝室は2階にあるはずなのに。似てるようで違う窓から見下ろす景色は高層マンションに変わっていた。高いから、誰にも気づかれず観察できる夜の路上、少年らしき二人組がマシンガンで、女性を脅しているぞ。ぞっとしたのもつかの間、おもちゃのガンであることをあっという間に見抜かれて、蹴散らされた少年の無様。まことに滑稽、高層階から笑う。うひゃうひゃ、腹が痛くなるほど笑う。

 右往左往、人人人がごった返す展示会場らしき場所で居場所なく、肩身狭し。

 しょうもないと思い、会場から脱出するため、バスに乗り込んだ。ダイレクトに最後席へと。とても窮屈、座席の背もたれには小型の液晶ディスプレイ。いつまでも同じCMを延々と繰り返し流しているのを見ていたら、後ろのおっさんが、おれ、この女優と知り合いやねんと話しかけてきた。たまらず、失笑、我慢ができぬ。

ジョイント227

 ぬくいテブクロを探していたら、ボケの花、深い紅色を咲かせていて美しさに吸い込まれた。何のために生きているのかわからなくなったら、美しい花のためだと自分に言い聞かせるのも良い人生なのかもしれないと悟った。


2020/02/14

第二百二十八環

 たしか、返答を求められていたような気がする、それは本の感想だったように思う。うまく言葉にできないで困っていると、男がやってきて、トーナメント表のような図を示し、これで完璧だろうと言うのだった。単語あるいは短い文章、場合によっては1文字だけのひらがな、がトーナメント表の結合部分と末端にカードのように貼付されており、それを順にたどるだけで、心のなかにもやもやと漂っていた、言いたいことが文章になるのだそうだ。誰だかわからないこの男の、このやり方はなるほどよくできており、理路整然とした、それでいてわかりやすく端的な文章がいとも簡単にできあがるではないか。

 かなしいかな、記憶力のなさ故に、生み出された文章の全ては雲散霧消。

 うるさいクルマに乗せられて、雑居ビルの前まで連れてこられた。高いビルを見上げて、すぐに気づいた外壁のボロさ。

 早速、中に入りましょう、と思ったら、周囲の、同じく中に入ろうとする連中と同じような格好をしていることに気づいて、なんか急にテンションが下がった。短パンは黒色、赤色のナイロンジャケットはフード付きで口元までジッパーを上げている全員が。我慢ならない、こんなしょうもない奴らと同じ格好なんてしてられるか、今から戻って着替えてくるから、ダッシュで往復すれば間に合うやろ、雨が降ってるとか関係ない。
 イライラしているうちに時間は過ぎて、帰宅することは叶わず。

 ずっと上の階までエレベーターで直行だ。

 男児がわんさかいる、広いフロアにたどり着いた。頼まれていたような気もする、この少年たちを引き連れて、どこか遊園地のような所へ、つまり遠足の引率をしろと。
 扉まで歩いてこの部屋から出ることすら面倒くさくなってきて、床に座った。

ジョイント228

 大枚はたくわけでなし、そのぐらい気前よく払ってしまえばいいじゃないか。お前が今日スーパーで買ったローストビーフと同じぐらいの値段だぞ。


2020/02/15

第二百二十九環

 続々と送りつけられる文書、バレンタインデーに関する英文を日本語訳することになった。

 助けを求めて、白馬村にきたが、なにかアテがあるわけでもなく、バレンタインデーと関係があるのかどうかもよくわからない。

 いきなり、案内された美術館は広大な敷地にあり、建物の中には枯れた植物がいくつも並ぶ。不気味な無人の館内、枯れた草のもしゃもしゃした手触り、居心地は悪い。
 一方通行の廊下を進み、動物園のようなガラス張りから外を見ると、そこに広がっていたのは砂浜。まるで砂以外になにもなく、その向こうに海があるわけでもない。一体何を見ろというのだよ。
 四段ばかしの階段を登った先、外に出よう、ドア。雨も降っていないのにぬかるんだ地面はところどころ穴が穿っており、中を覗くと巨大な魚が凶暴に飛び出してきた。建物の中に戻ろうと先へと進むと、黒くて長いはしごを登らないといけないことになってしまった。高さ、とても怖い。いつしか雨が降り出して。手も足が滑って次の一歩が出せない。
 一番高いところまで、やっと登りきったと思ったら、今度は降りなければならない。幾割増しで、降りるのは登るよりも怖いから、地面へと転落してしまう妄想により体が硬直してしまう。
 雨後、美術館の中に戻ると、そこには多目的ホールと呼ばれる部屋が。楽器が見えて、ホールの中央にはグランドピアノ。伸びていく床の溝。

ジョイント229

 増加していく好奇心を抑えることができない。やりたい事、行きたい場所、増やしたい知識が止め処がなく広がっていく。


2020/02/16

第二百三十環

 クルマで、朝、温泉施設へ行くと、まだ営業時間ではなく開いておらず。ずっこけ、仕方なく帰ることに。苦々しい気持ち、なんだよ、まったく、と思ったら、施設の営業時間外だったためか、駐車場は料金を取られなかった。

 平らに均され、開発中の住宅地、道を挟んで、その向かい側。わずかに数軒だけの家のうちのひとつに住むことになった。大変なのだが、毎朝、歯を磨くためだけに、道を渡り、造成中の宅地にある仮設トイレを使う。
 うすうす気づいてはいたものの、住宅地の建設が進んできたので、もう仮設トイレは使えなくなった。建っていたはずのトイレはあるようでないようで、あるけれど封鎖されているようで、いずれにせよ、今日からは、家の中庭にある水道を使わなければならない。勢いよく水が蛇口から噴き出す。

 すこすこと歩いて、兄がお礼を言いに来た。尋ねた、礼を言われる理由がわからないと。問うたれば、兄、カバンをくれたからだというが、そんなことは知らない。いつだ、どんなだ。

 ダーク赤いBMWの後部座席でパジャマから着替え。エルゴノミクス、とても狭く、身をよじりながらズボンをはく。くねらせて腰を、それでも、なかなか着替えが進まず、出発時刻を過ぎてしまったよ。予定していた電車には間に合いそうにない。
 いいよ、別に、すぐに次の電車がやってくるだろうから。ライトな心境、この場所で暮らしていくのも悪くないと思った。
 たった今、着替えが終わって、ドアが開く。

ジョイント230

 苦労した挙句、何一つ満足を得られない日もあれば、気が付くといい感じの結果を手中にしている日もある。その差がどこにあるのかはまだよくわからない。入口でこだわりすぎるのが良くないのだろうとは思う。心を開いて。


2020/02/17

第二百三十一環

 手を入れて着るのだから、服のようでもあり、球体や風船に近い形状なので服とは言えないかもしれない。グレーに少量のミントグリーンを加えた色の外観、発明をしたのかもしれないという高揚の気持ち。
 直立不動でコンクリートの上。エクセルにまとめられた選択肢から、どれにするかと迫られて。

ジョイント231

 手首と手の甲が痛い。なぜだろう、何も痛くなる理由などないはずだ。グーにしてパーにして、グーにして、肘を曲げ伸ばし、肩を時計回し逆回し。右腕についての話。


2020/02/18

第二百三十二環

 しばらく経ったのだろう離陸してから、今ジェット機の中、座席は四脚。空気は暖かく、理由はガスファンヒーターが設置されているからだ。大ベテランの漫才師が同乗しているのに気づき、挨拶をした。大変に広い空間、ここは本当にジェット機の中だろうか。

 駆けだした、着陸した途端にドアも開き切るのも待てずに。二本の足で走って追いかける、あの漫才師を、と思ったら、あの漫才師は別の漫才師に変わっていた。たちまち姿は見えなくなり、その場に呆然と立って、何をすればよいのかわからず。ずしりと心に重いものが突然やってきて唇をかむ。向こうに見えるは格納庫。

 高揚したまま歩いていると、古びたバス停、ふと空を見上げると、空よりも大きな星空に、すべての星がきらめく。
 くるくると明かりの位置を変化させ続ける高層ビルが二棟立ち並び、明かりは次第にすべてのフロア、すべてまどから発せられ、オレンジ色の巨大な発光直方体。
 一か所に見入ると、そこは学習塾でどこまでもズームインして、やがて教室の中。勝手にどいつもこいつも話しかけてきて、医学部を目指しているんですだと、お前らはどこの誰に話しかけているのか、視点と存在の乖離の甚だし。

ジョイント232

 しっかりとしているようで、しかしながら、自信過剰であるようにも思う。できるからといってやればいいというものではない。やって何の意味があるのか、何がどう良い何かをもたらすのかを分かっているのか。


2020/02/19

第二百三十三環

 掛けていた椅子から立ち上がり、部屋を出ようとする、ここはパソコン教室。使いこなせているから、パソコンを、こんなところに来る必要はないのに、なぜ2日間も通ったのか、それはわからない。
 移動する場面は省略され、駅のホームに今おります。するりと壁を、車内から車外へ、すり抜けだしてきた男。興奮しているようだ、己が宙に浮いていることすら気付いていないらしい。異臭、異臭だ、と叫ぶ男の剣幕は本物であり、車内の状況が気になった。たちまち車内にワープ、そこは生臭いにおいと、塩素のような刺激臭が混じりあってただ事ではない。息苦しさから逃れようと乗客は右往左往し、扉から窓から外へと逃げだしていく。

 雲が山に掛かっているのに気づいた。多分あれは雲ではなく、煙ではないか。火事だろう、山火事が起こっているのだ。だからこの異臭は山火事のせいなのだろう。浮かんでいた、雲あるいは煙は、徐々に一か所に集まり始めた、そこは駅前の寺。
 乱高下する間欠泉は寺の敷地から勢いよく吹き出し、あんなところに間欠泉あったんですねと。遠く昔からありましたよ。よく知らないおじさんが言う。上へと高さを増し、間欠泉は暴力的な噴出量となってきて、人々はまたパニックになり始めた。
 高さは空へと届き、間欠泉は湯ではなく、黒煙を噴き出し始めて、間もなく、マグマが周囲に降り注ぎ始めて、その様相は叫喚響く阿鼻地獄。
 喰らってなるものかマグマの雨も噴石も。潜った、ホームの下、犬走りへと。
 閉じ込められて、今目の前にはフェンス、少し大きい網目だから体をねじ込めば脱出できるだろうか。片方の腕を差し込むと、誰かが助けてくれ引っ張ってくれて、しかし痛い。痛いからやめろ、フェンスが食い込む、ベルトが引っかかってこれ以上はむりだから、やめろと言ってるだろ、痛いんだ。だから、やめろ、なぜやめないのか。

ジョイント233

 カラオケ行かなくても生きていけるじゃないですか、そういうものってほかにもあると思うんですね。働かなくても生きていけるかどうかはまた別の問題です。


2020/02/20

第二百三十四環

 空いているレストランに一度入り、通り抜けて、また戻ってきて、まだ客もまばらで。できればほかの店にしたかったが、どうやらここは海の上、船の中らしいので、ここで何か食うことにした。大量のサラダだけの定食を持ってこられて、そういう定食なのだろうと仕方なく食べていたら、カツカレーが出てきた。たちまちステーキも出現し、周囲を生野菜と火を通した肉に囲まれた、もう食えない。

 いない誰もいない、この灰色の街には人の気配がない。行けども行けども住人の抜けた殻の家が続く。曇り空は太陽を隠し、コンクリートの防波堤の向こうからは風。
 前方にY字路。ろくに考えもせず右への道を選んだ。

 ダークと照明は両立する状態だろうか、この書店の照明はダークだ。大学芋、豆本、ハンカチ、雨合羽が並べられた店。整頓された本棚から、とある作家の本を探そうとするが、その作家の名前が思い出せない。苛立ち。力を入れてスマホをスクロールさせるも圏外で。出てきた奥から店主が、何をお探しですかと。問われても、名前はいまだ思い出せず、スマホも反応せず、あーとかうーとかいうだけです。

ジョイント234

 少しずつ理想の形がつかめてきた。何度も何度も繰り返し、その中で得たものを次に反映させながら、究極の味へと近づけていこう。この道の先は長い。もしかしたら私の寿命よりも。


2020/02/21

第二百三十五環

 盛り上がりは最高潮だ。団地の玄関ドアを開け放ち、三和土から共用部分の廊下へと全力疾走。後ろなど振り返らない、勢いそのままに手すりを飛び越え、落ちたら中庭の空中を経て、その先の廊下へと着地した。大変に危険な競技、一度目は予備知識も経験もなく無我夢中でトライした結果上々の成績。緊張の二度目は考えすぎて、さらに恐怖が芽生えて、助走すらへろへろのファウルという大失態。言う罵詈、周囲の参加者と観衆からの失笑が心に突き刺さって何かが壊れて苦楚。
 そうだよ、やっぱり死ぬしかない、と決意し。俊足、玄関とは逆の方向に駆け出して、大きな窓、それは教室のほどの、はガラスもなく、走ってきた勢いでそのまま外へと飛び出した。体、落下していくその先には人の群れ。レーザービームと化し、直撃し、死んだ。お互いに。
 認識、死んだことを認識しているということは死んでいないのだろうか、死んだとしても死んだことは認識できるのだろうか、死んだことがないので分からず、死んだのかどうか判断がつかない。

 今、もっとも著名な現代アーティストだと言われているやつがプロデュースした映画を観る。類似ではあるが、観るというよりはその映画の中に入り込み、ともに上映されているに近い。いくつもの断片的な記憶のみが残り、その全体像はもはや見えず。
 図工の時間のあたり、重要なのは序盤に登場した同級生こそが、その現代アーティストであり、最後にその伏線が回収される脚本になっています。すこし距離を置いた。
 高い塀の横を、それを知った後で、物語の全貌を反芻しながら歩く。暗いグレーのコンクリートは続くよ、どこまでも、

ジョイント235

 もうちょっとだけやっておこうと思ってしまったのが運の尽き。それ消してしもたらあきまへんがな。必要なファイルでんがな。疲れが、私から精緻さと判断力を奪っていたことに、気付かないほどに疲れていた。  今何をしてるかって、言い訳を考えているのさ。


2020/02/22

第二百三十六環

 さっきから何度も同じことを繰り返しているような気がしてならない。旅行先、土産物売り場、言葉の組み合わせ、答えなく問う。うなされて、ここから逃げ出したいと四苦八苦して、でも結局同じところに戻ってきた、また土産物屋だ。

 大丈夫、なんとかなるからと言われたのか、内側から発したのか。紙には何も書かれておらず、さきほどまでミントグリーンだった内装は、すっかり色を失いほぼ白の白さ。

ジョイント236

 サラッと終わるはずが時間は伸びてゆき、気がつけば事の最後まで進んでいた。結果オーライだとしておこう。


2020/02/23

第二百三十七環

 薄い紙でできた雪だるまのような形の何か。形だけがあり、そこには何も描かれてないから、模様も表情も見出すことはできない。いくつかのそれらがパーソナルスペースを保ち、隣り合う同士は線で、もしくは糸で結ばれることで関係性を発生させている。ルールに従って、それらは一定のリズムの運動を行う。

ジョイント237

 動きが悪い我が血液よ。お前が循環せずしてどうする。体の隅々にまで酸素を運べ、新陳代謝と排泄と食欲に光を与えよ。


2020/02/24

第二百三十八環

 読みたいのにその全体像がまるで掴めない。一部分だけが小出しに、何度も何度も出現して、その度に文章を変換する必要。生み出されるのは、元の文章から別の文章へと、しかし意味は維持されて。
 手間はかかるが、我慢してやっていこうと思ったのもつかの間。前に、目の、あったはずの画面は消えてなくなり。利用できぬディスプレイの代替はなく、それでも読まねばならぬ、何のためかはわからないけど。

 ドロリとした液体があちこちに、寝室の床。傾けた顔、目線の先、拭き取らないとシミになると気にはなれども、体が言うことを聞かず。ずっと手には棒を持ち、棒を使って掃除ができないかと試してみるが、床は更に汚れて、夜明けまでは時余。

ジョイント238

 よく似た内容だからといって同じではない。ということは理解しつつも、同じに見えてしまう。所詮人間の考えることだ、大して違いはないだろう。そう言って自分を納得させた。


2020/02/25

第二百三十九環

 立ったままミシンを操作。さっき縫ったはずの布は服にならずまた布として目の前にあり。両脇に人が数人居て、それは大人も子供も。申している内容が聞き取れない。怒っているようにも、煽っているようにも、受け取り方の問題。

 イメージしたものが瞬時に物質化する、これは減少と呼ぶべきなのかあるいは能力と考えればよいのか。加速していく、そのレスポンスは瞬時よりも速くなり、周囲にはものが現れては消えて、次第に物だけではなく出来事までもがイメージとの現実の垣根を越えるようになってきた。

ジョイント239

 単純なことなのにどうして気が付かなかったのだろう。やはり人に頼りすぎるのは良くない。俺が研いだ刃で、俺がとどめを刺すという気概がなければならないのだ。それを忘れかけていたよ。


2020/02/26

第二百四十環

 四桁の数字、1941、がふと頭に浮かんだ。大事な数字であることを伝えようとしているのか、その文字は大きかった。

 多分、どこかに置き忘れたんだと思います。すっかり意識から消えてしまっていて、はっと我に返ったときにはもう手遅れで、財布も何もかも持っていないことに気づいて。手提げタイプのかばんだと思います、そこに全部。ぶち込んでたんですよ、財布もケータイも身分を証明できるものはすべて。

 手当り次第、食べて、空腹を満たす。好きなキクラゲがあり、喜ぶ。

 ブーメランな行程。行ってすぐ帰る長野から、住まいへと。とんぼ返りともいう。ウェンズデーに帰っても、サースデーにまたプライベートでここにやってくるんだから、わざわざ一旦帰る必要ないじゃないですかと誰かが進言してきた。
 ためらわずに言い返す。すっきりと分けておきたいのです、仕事とプライベートは、だからそのまま残るという選択はできないんです。
 すぐに言い返された。大変律儀な人だと。
 特に返す言葉はない、ええ、そうですよ。

ジョイント240

 予見とか予感というのは、人智を超越した能力によるものではない。自分の経験の蓄積が、無意識の回路の中で、かすかな情報の蓄積と組み合わせから判断して導き出した結論なのだと思う。


2020/02/27

第二百四十一環

 薄暗い部屋、セリフ体のフォントでFLEAの文字。

 順番に前から後ろの席へと回していくプリント。取ろうとしたら、渡されず、後ろの人に渡そうとするから、なんでや、渡せやと罵声を浴びせた。
 食べましたか、給食で冷やし中華をと言われて、食べてないと答えたら、これは冷やし中華を食べた人だけが読むべきプリントですと、彼はいう。

ジョイント241

 後ろめたさ。咳払いをするだけで睨みつけられる。くしゃみなどしてしまえば、槍で刺されて死ぬだろう。すれ違う全員に監視されているようにさえ思えてきた。かかってこいや、死なばもろともだ。


2020/02/28

第二百四十二環

 蛇行する太くてモノトーンの線が、意見の表明を強いてくる。ルーレットで選ばれた、あるいは箱の中の玉を見ずに引いた、3つの数字。順番に文章を完成させろと。とにかく無我夢中。うまくまとまらなくても、もう、どうでも絵ええわ。わけわからんけど、文章作ったらええんやろ、これでどうや。やがて積み重なって、重複して、それでも次から次へと文章をまとめる依頼は止むことなくやって来て、もうどうしていいかわからない。今来たそれは、さっきやったやつだ、ほらまた、それはさっきのやつと2つ被ってる、そうやって徐々に収斂収束の兆し。
 しばしの微睡みの後の問いは、まるで違って、命の危機を、もう抱く必要はないのだ。

ジョイント242

 ダウントゥーザボトム。猛スピードで下っていく快楽。登っていくときはオートマチック、すべて身を任せ、機械の思し召しに従うレイドバック、遥か彼方のスイーツ。1キロのタコス、支払いは日本円で。


2020/02/29

第二百四十三環

 できるに決まっているからと、まるで忠告が耳に入らないかのよう。うっかりと忘れ物、誰にでも起きること、それを対策することが、どんな日でも忘れてならない。いくら言っても聞かない人は聞かない。

 いくつかの数字、例えばそれらは4,7,9、が浮かんできてそれをもとに捜査を行う。うまく組み合わせれば、情報を、ピントを合わせるように。にじんでぼけて解読できなかった文字が読めてくる感覚。暗がりで火を灯すような。
 何者であるか、おそらく犯人なのだろう、罪状は知らない。

 一度、気合を入れた。立ち上がって何か大きな声で叫んだ。
 楕円形だったものが、正方形、ちゃんと直角が出ている、そして線も太い。今はその安心感が。
 頑張って動いているを確かめた。高さは膝ぐらいで、大きいなあと思った。高さは大事。除湿機を選ぶポイントは高さです。薦められて、でも、必要ないからと断った、買わんで。

ジョイント243

 デカくそびえる立体駐車場に、数えるほどの車しかおらず。歩く人の姿がまばらなのは決して冬の雨のせいではなく。販売員は少ない客に最大限の愛想と特別価格を振りまいていた。じわじわと締め付け始めた、目に見えないなにかの正体はなにであるか。


2020/03/01

第二百四十四環

 稼働し始めたデータコピーシステムの操作方法について。手元には原本となるデータがあり、ユーザは設定を作るだけで、それに基づいて変換されたコピーが自動的に作成され、保存されるということらしい。いくつでも設定は作ることができ、設定の数だけ、コピーが保存されていく。
 詳しくはあえて言われてなかったが、つまり、データのコピーとは、プライベートな情報の交流であり、すなわち男女の交際の第一歩であるのだ。

 誰だろう、向こうから歩いてくる女性は、見たことがあるような。なんとなく、その雰囲気はOさんだろうか。かつて風貌、二十年前のまま。まるで時が止まっていたかのよう。
 迂闊なことをした。たった今、Oさんの机の上にメッセージを置いてきたのを思い出す。助平心、食事に誘うとかそういう類のこと。止まらない動悸、焦り。理屈が合わない、なぜ長らくあっていない人の机を知っている、そんな細かいことはこの世界において意味を持たない。
 一直線に歩いてきたOさんらしき人は、交差点までやってきて立ち止まり、そこにいた若い男性と神妙な面持ちで会話し始めた。
 たちまち、笑顔、どうやら、その若い男性からプロポーズされ、快諾したようだ。
 ダメだ、急に恥ずかしく、情けなくなった。たった今にでも、机の上に置いてきた手書きのメモを回収し、すぐさまゴミ箱に捨てたい。今すぐにだ。
 だが、そんな急転直下の、クソみたいな、最底辺の心持ちでありながら、Oさんの良い判断に嬉しさがこみ上げてきた。たぶん、それでいいのだ、この世界に幸せな人が二人増えたのだから。

 乱調、データのコピーシステムは正常に稼働せず、クレームを出すことにしようか。

ジョイント244

 叶えることができた願いよりも、道半ばで諦めざるを得なかった挑戦のほうがきっと多いはずだ。しかし、世の中は成功譚で溢れている。自らの失敗を、あるいは誰かの敗北を語ってくれる人のなんと少ないことか。本当に知るべきはそちらの方かもしれないのに。


2020/03/02

第二百四十五環

 にじむ汗。正確には汗をかいている気分だけ。気だるさ、じりじりと、滅入るばかり。
 量が半端ない。いくら頑張っても片付かない仕事。とめどなくやってくる課題。いつまで続くのだろう、時刻が気になるが、どこを見ても、見回しても、時計は見当たらず。

 ずっと目の前にあったのに、気が付かなかった。たったひとつのクリップ、銀色の針金はきれいな曲線を描いて。手にとってみて、大発明だと、おもむろに、

ジョイント245

 逃げずに真っ向から立ち向かった結果、パーフェクトな勝利をおさめることができた。これもひとえに私の才能のなせる技である。


2020/03/03

第二百四十六環

 縷々と続く世間話。しょうもないとしょうもないの間に発明の種。願ってもないチャンス、しっかりとこぼさぬようにと。
 取りそこねて、もうどこかへ行ってしまった。何一つ得るものなし。喋っているのが誰なのかももはやわからないほどに興味の無さ。

 騒がしくなってきたのは午後の授業が近いから。乱雑に積み上げられた服の山がソファの上。選りすぐりの上着を救い出して残りはクリーニングだ。
 誰も手伝おうとしないクリーニング店でひとりてんやわんや走り回るのは店長らしき人。取り出して、また別の衣類を洗濯機に放り込んで。デリケートな衣類の洗い方がわからぬ店長は、誰に訊くともなく大声で、これはどうやって洗えばいいんだ、と。隣りにいた社員も、奥にいた社員も、誰も社長の問いかけに答えない。

 一時過ぎ、午後の陽光が、併設コインランドリーの大きなガラス窓から差し込む。無視された社長は止まることなく働いている。

ジョイント246

 ルールが多すぎて理解できない。理解以前に、そもそもルールがどのぐらいあるのか、どこに書いてあるのかすらわからない。いっそのこと、ルールなんて気にせず我流で押し通してやろうかとも思ってしまうが、ルールを完璧に把握してる頭のおかしいやつが時々いるから、そうもいかず。


2020/03/04

第二百四十七環

 ずっとやっている気がする、同じことを何度も繰り返し繰り返し。しょうもない、何が楽しいのかわからない、それでもやらされているたった一つのこと。とにかくずっとだ、かくれんぼばかり、さっきから。  ライトで照らされてたりして、あるいは声を大きく探しているアピールをして。

 手前から奥へ、およそ270度ぐらい開く、ノートパソコンのような仕組みで。デカイ液晶画面が手元と回転部の両方にあり、組み合わさることで縦長画面の出来上がり。臨場感、それは画面の大きさがもたらす。
 スタートボタンを押すと、公園のCG映像が現れた。タッチペンというには巨大な、リレーのバトンほどの大きさの、サーモンピンクの入力機器を使って画面をタッチすると、同じ色のビームが発射された。頼りない、勢いのない放物線を描くビーム。無意識のうちに叫んでいた、ションベンビームと。
 飛んでいった、ビームは、その先にいた芸能人Nに命中。呻くNは体をくねらせ、笑いながら悶えて、ベンチに倒れこんだ。だがやめない、さらにビームを射出し、ションベンビームと叫び続けて、命中させ続けたら、Nは服を脱ぎ始めて、降参の合図。

ジョイント247

 ずっと奥まで商品が並ぶ。どこに何があるかわからず。意中の品は探してみても見つからない。向こうから店員が歩いてきたので、売り場を聞いたら店員もわかっていない。二人で探して私が見つけた。あいつはクビだ。


2020/03/05

第二百四十八環

 大々的に報じられたニュース。須らくそれはヤフーニュースのトップを飾るから、否応なしに目に入ってしまう。嬉しいことばかりではなく、読みたくない記事だってあるんだから、わかるでしょうよと。隣の人が言う。

 薄暗い部屋。やがて明るくなってきて、しかし窓があるかどうかは場の設定に含まれていない。異物としてのピアノが部屋の中央、置かれており、弾くわけでなく、何のためにあるのか。
 形を失って、徐々に。にじんでぼけて消えてゆきて。手を伸ばしてももはや何もそこにはなく。黒と白の、記憶は色だけ残り、何を語るのだ。

ジョイント248

 断言しよう、ここ一ヶ月ほどの私は極めて体調が良い。無敵の様相である。何も怖いものがない。周りが止めるからそれに従っているだけであって、自己判断で動いてよいのなら、日本の端から端まで走り回りたいほどの活力に満ちている。清濁併せ呑んでやるぞ。


2020/03/06

第二百四十九環

 雑木林に囲まれた道路を進んでいくと、視界がひらけた。縦横複雑に入り組んだ道路が広がっていて、ここを車でどうやって走ればいいのか即座には理解ができない。勢いに身を任せ、突っ込んで行く。クランクと十字路と対向4車線道路が組み合わさったアスファルトの迷路はもはや車の幅よりも狭くなってきて、今や、車を運転しているのか、それとも道路を眺めているのか、もしかしたら複雑な道路を想像しているだけなのかもしれない。

 インターチェンジを登り、車は高速道路に入った。高鳴る鼓動。運転の楽しさ。さっきまでの複雑さはどこへ、まっすぐと緩やかな曲線だけで構成されたハイウェイをゆく。空中に何かを発見、ドローンだ。だんだんと近づいてきて、猛スピードで周囲を旋回。一台だけじゃない、気がつけば空はドローンだらけになっていた。
 大量のドローンを、さらにその上から眺める視点へと急に変化。加速、急停止、ゴマ粒ほどの大きさの、黒い点が、大阪市内の空を埋め尽くす。

 すっかりあたりは暗くなって、ここは浜名湖。
 湖畔のリゾート、エレベーターで上階へと。途中で乗ってきたのは安倍総理だった。高い、背が、テレビで見るより明らかに。にこやかな雰囲気。聞いてみた、浜名湖の名物について。テンポ良く総理は答えた。ただ答えただけではなく、すべての質問に対して、浜名湖カルタからの引用で。でも、そんなカルタが本当にあるのかは、謎。

ジョイント249

 ぞっとした。世の中はこんなにも静かだっただろうか。この世界から活気が消えてしまったように思えて、必死で喧騒を求めた。聞こえない音を聞いていたことに、それが途絶えてやっと気づいた。


2020/03/07

第二百五十環

 田んぼと古い民家が続く道。近いのは奈良県明日香村の雰囲気だろうか、この風景。いささか不安な気分で、道を進んでいく。車で。
 出会う人など誰もおらず、そして、徐々に細くなっていく道。地図もなく、標識もなく。車に乗っているのか歩いているのかももはやわからず、しまいには舗装が途切れ、岩がごつごつし始めてきた。頼れる人もおらず、道はますます細くなってきて、ついにたどり着いた行き止まり。両手でハンドルを握っているから、まだ車には乗っている状態なのだろう。
 上手くその場でUターンできた。ただ問題なのは、そもそも。目的地がどこであるかを最初から分かっていないことだ。

 男性芸能人Tは、活動を自粛していたが、この度、復帰する、という雑誌の記事を読んだ、ということをT本人に伝えた。尋ねてきた、雑誌って何の雑誌ですか。関西ウォーカーです。

 ステージ上に巨大なスクリーンが用意され、富嶽三十六景神奈川沖浪をモチーフとした映像が。画家葛飾北斎の100周年だか200周年だかを祝う展覧会が大々的に開催されているという。うねる波、ところで、生誕なのか没後なのかその辺はわからないまま。
 真っ赤な衣装、会場には全身をスパンコールとラメで覆った女優らしき人が訪れていた。多分、北斎をテーマにした映画に出演するようなことを言っているっぽいがわからない。

 韻を踏む。無限に言葉が、自動的に一行ずつ差し込まれて。テキストは脚韻によってつながっていく、そして歌。

ジョイント250

 頼もしい限りだ、さらに成長するのだという。今年の夏にその全貌が明らかになったとき、きっと度肝を抜くようなビッグサプライズを届けてくれるに違いない。


2020/03/08

第二百五十一環

 勢いよくモーターを回す。スピードアップ回転の、限界を目指して甲高い音。止まりそうにない、どこまでも回り続ける甲高い音はさらに高く。黒い粉が噴き出し始めて、やばいと思ったが間に合わず、モーターは木っ端みじんのバラバラ。乱散した部品が、運転席の周囲に多数。運転席でなぜモーターのテストを行っているのか、それはわからない。

 歩いて坂を登って、坂の途中で誰かに会った。たちつてと、それぐらいの量の会話。別れて、坂を下りてきて、モーターの破裂と誰かとの会話の後先はわからない。

ジョイント251

 一生懸命やるためにはお金が必要です。お金をかけずに一生懸命やっても、得るものはほんのわずかです。一生懸命やったことを無駄にしたくないのなら、ちゃんとお金をかけて実らせるべきです。ここぞというときには思い切って、さあ。


2020/03/09

第二百五十二環

 アールピージー、ゲームの中の、演出のようなイメージ。字が視界を埋め尽くす。すごく小さい文字、白い文字、黒い文字が時々混じり、リュウミンだろうか、フォント。

 届いた手紙を読んでいると、横に男がやって来た。頼んでもいないのにあれこれ能書きを垂れ始めるお前は誰だ。黙れという前に男は話しかけてきた。例えばの話。しみじみと、電気と天気は一文字違いだから、語源は同じだと。突拍子もない説。

 つながらない、断片は、白い破片となり、白い色は薄くなって、最後には消えてなくなる、いやなくならない。居場所が分からなくなるペア。

ジョイント252

 頭が痛い。眼球の奥がガンガンする。膝が震えて、まっすぐ歩くことすらままならない。全身の筋肉が収縮してきた。本を一冊読んで、さっき食べた鶏のから揚げのことを思い出しながら、今日も仕事を順調にこなせたことを思い出していた。人生は矛盾に満ちているのだ。


2020/03/10

第二百五十三環

 団地と工場が組み合わさったような高層建築物が隙間なく立ち並ぶ。不気味で、人工物しかなく、緑化政策の重要性が心に芽生える。ルートは1本だけだ、まっすぐの道をまっすぐ進むだけ。
 倦怠感、のろまな足。定まらぬ視線と思考。うまくものが考えられぬし、まとまらぬ。ぬるい風が淀む。

 向かっていない。いつの間にかここにいた。高い、とても高い、ビルの側面、外に設置された非常階段のような場所に。逃げよう、ここから階段を下りて。手すりにつかまり、高さの恐怖と闘いながら階段を踏みしめて歩み。
 見たこともないような太さの電線がぶら下がって、行く手を阻む。無理やり前へと進もうとして接触。苦痛、感電、はじけるスパーク、火花電光。腕に走る電流、それに伴走する激痛。後ろから、さらに階段の外、空中からも、人々が集まってきた。助けるでもなく揶揄うでもなく、人々はただただ、むき出しの電線の危険性について口々に言うだけ。決死の覚悟、さらに降りて階段を、海抜に反比例して電線の数は増してきて、さらには手すりにも電流、空中に浮かぶ正体不明の機械からも電撃。

 きっちりとまっすぐに植えられた野菜の苗。円を伸ばした形はナスの苗だと想像。うっすらと紫の。
 伸びてくださいよ、ぐんぐんとこれから春になってくるから。ライトグリーンのじょうろ、水を満タンに入れて、傾けたら、ナスに水をやれたからこれで安心だ。

ジョイント253

 ダメージの回復とともに不埒な欲望が湧いてくる。ここは我慢だ、もう少しの辛抱だ。完全にリカバーできてないじゃないか。また同じ苦しみを、いったい何回繰り返せば学習するのだ。欲求に打ち克つ強い心を、今こそ見せてやれ。


2020/03/11

第二百五十四環

 連続することでいくつかの場面が意味的つながりを持ち、ストーリーが発生する。

 ルームメイトあるいは同僚、親しげにしゃべるそのやりとり。立派な水槽、腰の高さから、頭頂部よりも上までの、広げた両腕よりもずっと向こうまで。電気の力で水槽の中、水草は照らされて、ポンプの吐出は波となり、ゆっくりとなびく。

 暗い周囲、しかしそれは夜だからではなく、描かれていないから。落下していくどこかへと。溶け始める景色。

 競技として何かやるらしい。いまいち説明が理解できず、分かったのはジャンプする競技だということだけ。煙のような細かい粒子は地吹雪によって舞い上がった粉雪。
 興味はあるが内容が見えてこないということは、これを本当にやるというのなら。

ジョイント254

 冷静になって考えてみろ。お前らの言うてることは無茶苦茶で、効果がないどころかむしろ事態を悪化させることになるのだぞ。なぜそれが分からないのだ。表面上の結果だけを求めるんじゃない。もう、本当に、余計なことをしないでほしい。


2020/03/12

第二百五十五環

 行き先も分からぬまま、とりあえず新幹線に飛び乗った。短パンの小学生連中ども、すなわち修学旅行の団体、と一緒になってしまい、少しでも遠くへと、先頭車両の先頭座席へ逃避。
 広い視界、ガラス窓は新幹線の速度ともに面積を増し、今や足元から天井まで視界のすべてが外の景色となった。頼りなさげなレールの違和感、これはモノレールではないのか、レールが一本しかないぜ、新幹線のはずなのに。

 西へ向かう途中、どこかの駅で降りた。高い天井。薄暗い構内、窓がないからだ。
 誰かが隣にいる、男だが、こいつは誰だろうか。勝手に道案内をし始めたから、ついていかざるを得ない。いくつかの交差点を右折し、たどり着いたのは古い旅館だった。旅の者ですが、予約はしてないのですが、二名ですが。
 がらくたが放置された玄関を抜けて、案内されたのは個室ではなくて、ふすまの向こうの八畳間。まじかよ、こんなところに泊まりたくはない、なんとかしてくれ。冷静な心を失い、手あたり次第、戸を開け進み、また戸を開け。

 気配、犯罪の、なにか漠然とした、それでいて確信めいた証拠をつかんだ気がした。

 辿っていく、順番に、犯人へと続く経路。路地を抜けた先、カウンターだけのクリーニング店、ここに違いない、犯人の居宅だ。だが、だれもおらず無人の店。せっかくここまで来たのに。
 逃がしてなるのもか、絶対にしっぽをつかんでやるから、時間をつぶしてまた後で様子を見に来よう。

 うるさい店内、古民家カフェのような黒を基調としたところ。ロングでワイドひたすらに広いどこまでも続くフロア。上げた顔、目線の先小さなガラス窓の向こう、人間の顔が見えてビビってしまった。多分、監視しているのでだろうあの3人の男は事情を知っている風だ。
 ダークグレイのエプロン、老婆が注文を取りに来て2種類の紅茶どちらが良いかと聞いてきて、分からないからどっちがおいしいかと尋ね返したら、ミルクティーだと。とろみのあるミルクティーが運ばれてきて口をつける気にはならなかった。
 対面に男、いつの間に。にやにや笑ってやがる、きっと犯人のことを知っているのだろう。嘘をつくのがうまそうな男だ。誰かに似てますねと言ってきた、適当に返事したら、また気持ちの悪いにやけ顔。男の後ろにまた別の男、手には巨大なトランプを5枚持っていて、カードはすべて赤いマークで絵札はない。

ジョイント255

 一応、年長者として、経験豊富なところを見せておいた。我慢ならなかったのだ。
 ぐだぐだやってんじゃねえよ。さっさとテキパキやれよ。訳わかんねえ自論を展開してんじゃねえよ。なんでお前はそうやって思いつくまま適当な意見を口走ってしまうんだ。熟考しろよ。
 そういうふうな気持ちだったから、ぶすりと差して、止めた息の根。


2020/03/13

第二百五十六環

 熱を発する巨大な金属の塊。両側にフィンが付いており杯熱効率の向上に寄与。よく分からぬ煙突が2本、上部に。荷台、トラックの、に乗せて運んで、その最中も稼働し、湯気がたゆまなく煙突から噴き出す。  すぐそばに外国人男性が二人いて、片方はブラッド・ピット。

 突然、場面が変わる、ブラッド・ピットともう一人の誰かが会話をしながら、スーパーから駆け出してきた。

 度々場面が変わり、そのそれぞれの状況を覚えていない。石が並べられた庭園を二人は歩いていたような気もするし、草木の枯れた荒野で話し合っていたような気もするが、何一つ確かなものはなく。

 車の屋根に乗って何かを叫ぶブラッド・ピット。途中からそれは日本語混じりになり、やがて聞き取ることができなくなって、言葉ですらなくなってきたと感じ始めたころ、その顔はブロックノイズにまみれ、さらには色を失い始めて。
 手を伸ばせば届きそうなところに、ハリウッドスターがいたと思っていたのに、これまで見てきたものは生身の人間ではなくて、映像だったというのか。

 カナディアンロッキーを遠くに臨む小さな街の目抜き通り。旅行者はここより手前のほうで買い物とか済ましてしまうので、こんな北のほうまで来る日本人は珍しいですよと、店員が言う。売り場はブラウンを基調としたシックなインテリア。厚みのあるレザーを使用したソファの座り心地の良さ。
 さっきから気になっていたのは、メンズ衣料品コーナーのデニムジャケット、ヴィンテージのデニムには風格があるなあと、手に取って眺める、まじまじ。
 女性が数人、男性も数人、店の前に集まって、誰がここの買い物を代表で行うか話し合い。意見の一致、Dさんお願いします。

 少し経って、店から出てきたDさんは頼んでもいないスウェットパンツを買ってきた。たまらず激怒し、どうして頼んだデニムジャケットを買ってこないのか。駆け込んで行った店の中。かけられていたハンガーラックにもう商品はなく、絶望。
 嬉しそうに話し始めるDさんは、女店員がさ、競馬好きでさ、見てよこれ、と馬券を手に。

 二軒隣りのはす向かい、ゆったりとした広々店内の土産物屋に移動。恨みを忘れたわけではない。いつかどついたるからな、覚えとけよ。
 洋酒が入ったチョコレート、かわいらしい絵柄が描かれたコーヒーカップ、六角形のコースター、緑のクッションは白い縁取りの畝。

ジョイント256

 二度手間になってしまうが仕方ない。そのぐらいのコストなら払ってあげよう。いきなりやって大損害をだすよりも、よっぽどましだ。それにクオリティも高いじゃないか、いいよ、とても満足だ。これなら予定していた以上の結果が得られそうだよ。


2020/03/14

第二百五十七環

 夜の道を歩く。暗くて周囲の様子は見えない。いきなり目の前に現れたのは、ギリシアの神殿を彷彿とさせるような太く立派な石の柱を備えた建物だった。確かここは小学校のはずだ。だとしたら、この、荘厳な建物は建て替えられた小学校なのだろうか。囲いがあって敷地の中には入れそうにないから、周囲をうろうろしながら、建物を眺めるまわす。
 すると、先ほどまで二階建てだった建物は平屋建てとなり、ギリシアの列柱は消えてなくなり、しかし、その代わりにすべての窓ガラスは色鮮やかなステンドグラスへと変化した。たちまち、建物の内部からは光が発散され、今まで暗かった小学校の周囲を照らし始めて、その、爽やかさと煌めきを、なんと表現してよいのか思い浮かばない。

 一年生になったら、この小学校に入学したいのだけれどと思った。例えばの話。小学校の校門はどこだ、探してみるが見つからず、ここに入学することはできないのだろうとあきらめ。

 メインパーソナリティーの男性タレント、ゲストでやってきた男性タレント、二人でトーク。砕けた雰囲気、初対面とは思えない、弾む会話。ワインを進めるゲスト、喜んで注いでもらう司会。嫌がるそぶりはまるで見せず、しかし、注いでもらったワインは、席の後ろ、白い箱に捨てていた。巧み、手際の良さ。参考になる、これが芸能界を生き抜いてきた人の判断力かと。

 突然、仕事が午前中で終わりになって、昼過ぎに帰宅した。食べるものは何かあるかなという心配をしつつ。
 連なる洗濯物、庭の端から端まで、それは古着コレクションのすべてだった。大量の服を母は洗濯したのだというが、なぜ突然そんなことをしたのだろうか。
 からっと晴れた春の気候は確かに洗濯をしたくなる、そういうことにしておこう。ウグイスが鳴いているよ。

ジョイント257

 よく考えると見落としていた部分があったけど、全体としてのバランスは取れているから結果オーライということでこのまま流してしまおう。蛇足だ、きっと蛇足だ。


2020/03/15

第二百五十八環

 誰もいない山麓リゾートホテルのエントランス。少し寒い、夜、霧雨。目指していたのはこのホテルではなく、隣の地区のホテルだった。タクシーを呼ぶ金もなく、バスも走っておらず、この時間に。人間の足で歩くしかない。一直線に進めれば近いが、地形には逆らえず、道沿いを歩けば、大きく遠回りすることになるが、仕方ない。行こうか。覚悟を決めて。

 鉄道の旅。ビュー、外の景色は新緑の森、透明な水の川。若葉は太陽の光に照らされて輝く。くるまれた岩、滝の、ブルーシートに。人間が作り出した異物、自然破壊。いくつかのネガティブな単語が思い浮かび、すぐ消えた。
 単線を北に進む列車、一度乗りたいと思っていたんです、夢が叶いましたよ。横にいた人に話しかけたら、それは知り合いのAさんだ。

ジョイント258

 だいぶ大きいと思うんだよ。そんなに大きいのは必要ない。大は小を兼ねると言うけれど、柔よく剛を制すとも言うじゃないか。それに、白っていうのは汚れが目立つと思うんだ。君のことだから、汚れもまた愛着が湧くって反駁してくるんだろうから、最終的には好きにしたらいいけど。


2020/03/16

第二百五十九環

 どんよりとした朝。覚めきらない目。面倒だが、パンケーキを焼かねばならないので、動かぬ体を無理やり動かす。すぐそばに誰かが寝ていて、家族や親せきのようなオーラを放つ。伝わらぬ真意、寝ていたはずのその人は、偉そうに、早くパンケーキを作れと言ってきやがった。

 高い天井、室内には何もなく、ただひたすらに広い倉庫。声が響く。

 クルーが撮影、テレビの取材と思われる人ごみ。みんなが口々に何かを叫んで、肝心のレポーターの声が聞こえない。

 石、草むら、アスファルト。遠くに見える巨大な三角屋根、あれはさっきいた倉庫だろうか。硬さをイメージさせるオブジェクト、ムード。

ジョイント259

 どんなものがあるのかな。いいものあるかな。いっぱいあるじゃん。ありすぎて選べない。よく見るとどれもうさん臭いぞ。素人臭いぞ。古臭いぞ。


2020/03/17

第二百六十環

 造作もないこと、ミニバンに4人乗るなんて。
 天を見つめる人の群れ、歩道の全員が同じ方向の空を興味深げに注視しているから、助手席の窓を開けて問う。うわ、あなたら、何を見ているのですかと。
 トークの最中なのに、運転手は窓を閉め始めた。絶えたコミュニケーション、答えは聞けず、怒りが爆発。掴む胸ぐら、運転中だとかそんなことは関係ない。今さっきの行動、なんで窓を閉めたんや。
 やがて答える運転手の男。答えの内容は不明瞭で結局、何も分からず、唯一聞き取れたのは、だって、時々よだれ垂らしてるときあるでしょう、そういうとことですよ。よだれ、この場で垂らしたるわい、ドライバーズシートによだれをにじくってやった。

 たむろする、目つきの悪い若者たち。力なく、道の両端にふらつき歩く若者たちもおり。利便性が良いからと言ってこんな道を通っていかなくてもいいじゃないかと、言ってはみたが、ドライバーは相変わらず言うことを聞かない。一緒だ、後ろの席の二人も忠告を聞きいれる気などないらしい。

 入口に黒板のあるレコードショップに入ってみたら、中は外観から想像されるよりも広く、大きなガラス窓、太陽の光が心地よく。クリーンな白を基調としたインテリアと相まって爽やかな印象だ。
 誰かのサインが売っていたり、精密な植物のスケッチも売っていたり、レコードショップとはいえ、ここは様々なアンティークグッズを置いているようだ。
 だが、入り口があちらにもこちらにもいくつもあって、それが謎。

ジョイント260

 ぞっとした。おおきなミスを犯したかと思い、冷や汗が出た。こんな気分を味わうのは久しぶりだ。昔の職場を思い出した。
 自分は、自分では気付かぬミスをどこかで犯してしまっているのではないだろうか。そして、それが誰かの手によって発見され、急転直下、奈落の底に突き落とされるのではないか。あの頃は、そんな常に不安と隣り合わせの毎日だった。


2020/03/18

第二百六十一環

 たったの月額69.59ドルで使い放題のウェブサービス。すごく魅力的でしょう、と進めてくる誰か。価値に見合う金額なのか、よくわからない。

 一行はバスに乗り込み、東京の中心部から郊外へと向かった。立ち並ぶビル群は木立へと徐々に姿を変えていき、いつのまにか道沿いには一面のススキが群生して、その穂は風で揺れていた。例えるなら凪の海のような。

 何かで読んだ気がするんです。少し前に。似たような話、それはフィクションであるかもしれないけれど。どこかで起こった連続爆発事件について。

 店長あるいは社長らしき人物が契約を取ろうと必死で売り込んでくる。ルックスは地味で、地味すぎて年齢すらよくわからない男。口角泡を飛ばし、口八丁手八丁で、どうにかして付け込めないかとぐいぐいくるから鬱陶しい。
 今ここは高知県なのだろう。うまく説明できないが、きっとそうだ。だとして、高知県にこんな巨大なビル群はあるのだろうか、しかし、それはここが高知県であるということになんら影響を与えないので、ここは高知県であるという認識は一切変化しない。
 いきなり、サイレンが鳴った。高くて大きい音で。出てきたのはレスキュー隊と警官と用心棒が入り混じったような人たち。地に伏せよと、彼らは言う。促されるまま、机の下、床に這いつくばり、うかがう外の様子。
 すさまじい轟音とともに、爆風と煙が吹き込んできた。大量の紙吹雪、それは粉砕された書類だろうか、が舞い上がり、周囲の様子は何も見えない。一発だけでない、すぐにまた別の角度から、そしてまた。
 たちまち、あたりはパニックとなり、周囲の人々は悲鳴を上げ、ここから逃げようと出口に押しかけている。ルール無用、自分のことしか考えない人たち。
 ちょっとだけ冷静になり、これは連続爆破テロに違いない、と思った。大量殺戮が目的なのだろうと想像した。

ジョイント261

 大切にしたいと思います、時間という限られた資源を。
 しかし、なんでも強火で一気に火を通せばいいというものではありません。弱火でじっくり加熱することでぷりぷりの触感を実現できる食材もあるのです。


2020/03/19

第二百六十二環

 煤けて黒くなった木製二段ベッド。どうやらここはワシントン州のドミトリーのようだ。だって、周囲にいるのが英語を話す人ばかりだから。
 ラフな格好、白いTシャツの男。こっちに近づいてきて無言で見せた紙に文字。じっくり見ると、DRFYあるいはODFYと読めなくもないアルファベットが書かれており、どうやら今一押しのロックバンドらしい。如何ともしがたい字の汚さのせいで、はっきりとしたバンドの名前が分からないというミス。

ジョイント262

 すこぶる高評価、褒め殺しだろう、あなた。その手には乗らないぞ。きっと裏があるはずだ。船に乗ればもう岸には戻れないから、まだだ。まだ結論には程遠い。


2020/03/20

第二百六十三環

 勢いよく開けたダイニングルームのドアはそのまま壁に直撃した。たわみを感じ、どこか割れていないかと手で揺さぶってみる。ルーズな感触。朽ちてきていた木材は手の握力だけでもろく崩れてしまった。

 体長3メーターぐらいの、サメ、の形をした浮き輪が宙に浮かんで、漂って、その姿はとても微笑ましい。

 異形の人、頭が大きく首から下が極端に小さい。一緒ほどの大きさだ、首から上と首から下が。学校が同じだったけど、覚えてると聞いてきたその男。怖い、気持ち悪い、何も返事をせずに、その場を離れた。

 畳の上に座って何か会話。和室と続きになっている奥の間に、レゴブロックでできた低い台があり、その上に胡坐をかいて座っているのは上司だった。大変なんだよ、このぐらいの大きさの台をレゴで作ろうと思ったら。落下させるように、小さいブロックは、台の内側は網目状になっているんやけど、そこをブロックで作るのがとても大変なんや。
 やがて話を聞くのも飽きてきたから、用があるとだけ伝えてその場を離れた。建物の外は庭、白い砂が敷き詰められて、どこまでも広い。

ジョイント263

 いらないものを買う必要はない。買っても使うことがほとんどないのなら買わなくてよろしい。買いたい気持ちはわかる。買えば嬉しくなるのもわかる。だからといって何でもかんでも買っていいということではない。時には我慢もしなければならない。本当に必要かどうか、再考を求む。


2020/03/21

第二百六十四環

 蒸し暑いのとは違う感じの不快な感じ。じっとしてられない居心地の悪さ。さっきからずっと同じことを繰り返しているような気がする。ルーム1からルーム4まで、順番に進んでいき、途中でうまくいかなくて、またルーム1に戻ってやり直し。四角い部屋。野外の場合もあり、砂利の上、掘立小屋の横。
 こだわりを持った人がおり、なんどトライしてもOKが出ない。イメージは具体化せず、何をしようとしているのか、行為の目的すら分からぬまま、じりじりと肉体的にも精神的にも募るストレス。

 スライドさせ、木の戸を、向こうの部屋に母。箸でかき混ぜる、土鍋の中身。みそ味のスープ、具は煮込みすぎてもはや原形をとどめておらず、そんなに炊いたら美味しくなくなると忠告はしたが、まるで聞く耳を持たず、母は鍋を混ぜ続けて一心不乱に煮込む。

ジョイント264

 無敵になるために体を鍛えたら、疲労がたまって翌日にしんどくなってしまうような人。風邪をひかないようにと部屋を暖かくしすぎて汗をかいて脱水状態になり、冷蔵庫から取り出したのはオレンジジュース。


2020/03/22

第二百六十五環

 すっかり色あせて白みがかったアスファルト。所々に発生したひび割れを補修する作業。上手くやらなければならない。以下の手順で行えとの指示。状況を確認し、ひび割れた個所を剥がす。すっかり丸ごと取り除き、新しいアスファルトを投入すれば終わりであるが、しかし。仕事をより高度に行うには、ひび割れに沿ってアスファルトを切り分けて、それを隙間なく敷き詰めなおすという手順を取るらしい。いやはやなんとも手間のかかる話だ。

 誰かが地面の落書きに注目した途端、周囲の皆が覗き込み始めた。

 高そうなマンションのエントランスでロケをしているベテラン芸人が二人。立派な石造りの柱を褒めたたえ、さあ中に入ってみましょう。
 美しい、真っ白な廊下を進んだ先、引き戸を開けるとそこは学校の教室のような部屋。やたらと広く、はるか向こうに黒板が見える、と思ったら、それは黒板ではなく、ヒスイを敷き詰めた壁だ。ダークに深く黒緑色の光沢。狂ってしまいそうだ気が。学習机の天板も、椅子の座面もヒスイでできており、教室中に充満する狂気の艶。
 野郎が傍らに一人いて、何かを話しかけてきたから、ヒスイに関するトリビアをひとつお返ししした。

 立ち並ぶ左右に商店が、ここは商店街。
 いちゃもんをつけてきたやつがいて、売り言葉に買い言葉いざこざが始まったが、不完全燃焼のまま相手は消え去った。対決の様子を見ていた魚屋の店主は擁護してくれた。たとえ売られた喧嘩であろうと、あえてお前が行く必要はないと。

 とても汚い場所に迷い込んだ。だだっ広い倉庫のような暗い。いたるところに誇りが堆積し、小さな虫、中ぐらいの虫がうようよと。取りに行かねばならない、鞄を今すぐに。

 憎しみの視線を背後に感じて振り返ると、そこに元芸能人のSがいた。たちまち近づいてきて、彼はスタンガンで攻撃。効かない、なぜだかわからないが、スタンガンを当てられも何も感じない。一転攻勢、長いアルミの脚立で相手を突き飛ばす。すごすごと退散するSはバツの悪そうな顔。

 思い出した、今日中に宿題を片付けてしまわなければならないということ。
 ところで、ここは日本ではなさそうな、頭に浮かんだのは南アフリカ、のような気がするここ。広大な芝生のグラウンドを横切ってロッカールームへと向かう。腕時計に目をやると19:07の文字。
 場内にアナウンスが流れて、7分に合わせるのを行いました、女性の方は後ほどです、と。
 取りに来ました、鞄を、黒い手提げタイプ。プラスチックの箱の中、黒いカバンはいくつもあり、どれが探しているものなのか分からなくなってしまい、混乱す。

ジョイント265

 少しずつ価値観を変えていこう。いきなりドラスティックにやったってだめだろうから、ほんのちょっとずつ。


2020/03/23

第二百六十六環

 土の道の急坂。駆け上がったその頂から見えたのはCADで描いたかのようにどれも同じで細部が省略されている赤い屋根の住宅。
 暗かった夜の空は星が輝きだして、眩しいほど。どんどん、次から次へと流れ星。白い幾筋もの、その上を走る光。

 旅行の話をしていたような気もするし。新幹線について話していたような気もするし。しかし、すべてはあいまいで、話していた相手が誰なのかもはっきりしない。

 いくつもの通学カバンが一ヶ所に積み重ねられていて、その中からオレンジのキーホルダーが付いたのを探す。すぐに見つかり、その場からダッシュで駆けてく、ここには不良が多いから長居は危険、すぐに発つ。

ジョイント266

 伝わらない。真意が全然伝わらない。思い込みで、自分の喋りたいことだけ喋るやつらは、こちらが言おうとしていることを、そもそも聞こうとしてない。ぶっとばすぞ、調子こいてんじゃねえよ。


2020/03/24

第二百六十七環

 よからぬことを考えていた。多分考えていたはずだ。だが、ディテールはすべて省略されて、さらには、意味的つながりも持っていない。

 いっしょのポーズをする3人の男。コンクリートでできた像のようでもあるし、小さなぬいぐるみのようでもあるし。象形文字のようでもあり、3つが、その順で並んでいるということ、そして右手を上げ、左ひざを曲げ、その姿勢の共通。
 うちに来てほしい、派遣は可能だろうか。金の話。手術しないといけないから、その3人の関与。

ジョイント267

 よく考えられた素晴らしいシナリオと、それを実現する高度なシステム。ゼンマイの駆動力が歯車を介して時を刻むように。あるいは、心臓の拍動が血液を循環させて愛が生まれるように。


2020/03/25

第二百六十八環

 二重の入れ子構造になった四角形。一方は縦に長い長方形で、その中に正方形。インフォグラフィックとして機能するそれは、ホテルの部屋の稼働状況を刻一刻と更新し続ける。
 ルームと人の組み合わせ。性別は男、部屋は一階、絵で見てわかる便利さ。さて次は、性別は男、部屋はまた一階、別の客と相部屋。やりくりがうまくいってなさそうな雰囲気、次もまた性別は男、部屋は一階、大豆と一緒に宿泊。
 組み合わせが良くない、大豆と客を一緒に泊めると、客は大豆に侵食され、体から葉が生えてくるという警告が表示。
 じりじりと部屋が埋まっていく、ように見えて上のほうの階は活用されていない。インフォグラフィックも更新されなくなってきて、ホテルであったはずのこの建物も今ではドミトリーになってしまった。

 大量のごみ。見たこともないコードやケーブルはすべて白色の被覆。黒いごみ袋にまとめて入れてしまおうと手に取ると細かくちぎれてしまい、全然片づけられない。急いでいるのに。

ジョイント268

 人間は時にあえて失うことを選ぶのです。得るだけが人生ではありません。失うことも大切であり、失うとは、一方で得ることそのものなのです。
 狙ってたスニーカー売り切れた。もうちょっと安くなるかなと粘ってたら最後の一足を誰かがかっさらっていきやがった。


2020/03/26

第二百六十九環

 大切なのは最初の土づくりです。スコップですくって土をプランターに移す。素手でたい肥をつかんで上から振りかけ、その繰り返し、往復。黒く豊かな土壌の完成。

 行き先の分からぬまま車は出発。連なる前方車両の列につかまり、さっそく渋滞の苦。

 車の中で期末試験が始まった。高いレベルの難問ばかり、まるで分らず、焦る、そして諦めた。たとえ、この試験の結果が芳しくなかったとしても、どうせ進学するわけでなし、現に社会人として働いているのだから、何の影響もないじゃないかという開き直り。
 両隣にも誰かいて、全員で答え合わせ。設問4は漢字の問題、こうていえきを漢字で書きなさい。一問も正解できずに国語は終了。裏返した解答用紙は数学、15tpは何メーターか。考え方すら分からぬ問題にもはや心はズタボロ。

 ローライズの金ぴかジーンズを穿いたおっさんが、車の窓の外、雪が積もり始めたアスファルトの上で暴れて何かを喚く。くるくると回り始めた。立ったり座ったり、しまいには転がり始めた。

ジョイント269

 立て板に水。すらすらと分かりやすい解説が続く。それでいいんだよ、いつもその感じでやればいいのに。普段はきっと思い入れが強すぎて、言いたいことがあふれ出てくるから、溺死してしまうんだね。


2020/03/27

第二百七十環

 妬みと警戒心と嫌悪。追いかける、原付バイクで後ろから、前にいるのは昔のクラスメイトMとあと一人は存在だけしている存在だけの存在。行き先は、空き地。地上に並べられた円柱状の黒い缶詰サイズの何か。
 勝手な想像、これは電池のような気がする、違うだろうか。風にさらされ、太陽の光を浴びて、充電されるタイプの電池。

 ちゃちゃっと手軽にホームページとか作れませんか。簡単に更新とかしたいんですけど。どうにかなりませんかね。願いを託され、スポーツジムのホームページを作らなければならない羽目に陥り、どうやったらそんなんできるのかと弱音。

ジョイント270

 眠さを乗り越え、今日も労働をしたフリをした。映画館に行った。客は片手で足りるほどの少なさだ。一番大きいスクリーンだから余計に寂しさが際立つ。


2020/03/28

第二百七十一環

 突き当りを右へ曲がり、レンガ造りの店舗、ガラス窓の向こうに見える石窯。回り込んで奥まったところが入り口、戸を押してはいると、広い店内に客はまばら。ランチタイムまでまだ時間はある、中途半端な午前のエアポケット。とりあえずトレイを手にし、見て回るバイキングの品数はひどく少ない。いくら客の来ない時間帯とはいえ、こんなことではいかんだろう。

 映し出された、前方の大きな液晶テレビの画面に、数字が3つ。続いて様々な映像。映し出された、また数字が3つ、そしてまた異なる様々な映像が。
 画面にはスノーモービルの爆走する姿。立っている人をはねて、また爆走。

 動きがおかしい、映像の、コマ送りになっているような、スローモーションと早送りを繰り返すような、ぎこちない動き。切れ目があるようにも見えるし、逆に、重なり合っているようにも見えて、その仕組みがよくわからないから、近くにいた人に尋ねてみた。多分こうだろうと、教えてくれたこと人をどこかで前に見た気がするような、誰だこいつ。

ジョイント271

 突き詰めて考えていくうちに、どれひとつとして同じものがないことに気付いてしまい、途方に暮れる。同じように見えても同じではないし、同じ名前で呼んでいても見た目が違う。色が違う。名前というものが概念に対するラベリングだとして、その概念の対象が厳密に定義されていない曖昧であるから、どうすればいいんだ。


2020/03/29

第二百七十二環

 脱出するかのように、夜の川を渡り、向こう岸に。日本ではない、なんとなくカナダではないかと思うところへ入国。暗く簡素な宿泊場所、部屋にはベッドだけ。結果として移動はうまくいき、いつの間にか横にいた長兄が、こういうルートがあるとは知らなかったと感嘆の辞。

 次兄が隣りにおり、いつの間にか場所は変わり、どこか、日本の一般的な寝室。疲れているから一刻も早く眠りたいのに、延々とその邪魔をしてくる糞野郎。うるさく話しかけてくる、体の一部をつねる、心身両面への攻撃があまりにひどく。苦しさのあまり、声を出したら、世界はそこで途絶えた。

 大量の商品が並べられたホームセンターの外。取ろうにも物が多すぎて、奥まで手が届かず、無理やりに身をねじ込み、そして身動きが取れなくなった。楽しそうに話しかけてきたのはH氏、その小馬鹿にした態度がむかついたので、一切を無視。
 しばらくその場での憤死を経て、店員が来たから、来たからどうなったのかわからないが、商品の森から抜け出せた。大切そうに店員が運んでいたのは金魚が数匹。際まで水の入ったバケツの中で泳ぐ。ぐっと踏み出した店員の上下動、一匹の金魚がバケツから飛び出し、地面の上、すこし暴れて動かなくなった。多少地面は濡れたまま。

 まわりに何もない、透明の車、助手席に座らされ、隣で運転しているのは母だ。だが、母は免許を持っていないのではないか。形のない、移動はできるこの乗り物は車ではないのかもしれないから、免許も必要でないのかもしれない。
 いきなり左へと曲がり、田んぼに落下。構わず進む透明の車はさらに何度かの落下を経て停止。
 正面に高い金網。見つけた、ちょうどそこにクライマーの人。突然申し訳ないが、この金網を乗り越える方法を教えてくれませんかと。

 トリートメントを片手に山盛り。量が多すぎるが、捨てるわけにもいかず、そのまま髪の毛につけた。ターコイズブルーの容器に入ったトリートメントはもう残りが少なくなってしまったようだ。

ジョイント272

 段取りを考えてみたが、うまくまとまらない。すべてがきれいに収まる組み合わせが見つからない。それはコストの問題であり、地域社会の問題であり、警戒心と常識の問題でもある。あと一歩。


2020/03/30

第二百七十三環

 ぽつりぽつりと足を片方ずつ交互に前に出して進む。無造作に渡された何枚かの書類と大きめの箱。
 高校を卒業する日、今日はその日。人よりも誰よりも優秀な成績で次の世界へ行けると思ったのに。憎たらしや、司法試験に合格した奴がひとりいるらしいとのうわさ。

 さっさとこんな学校からはおさらばしようと渡された荷物を整理。立方体の箱のふたを開けると眼鏡。粘着物がレンズ全体を覆っており、表面のコーティングと思われる透明のシートもはがれかけている。ルーズな温度管理、夏場の高温にやられたんじゃないかと、クラスメイトらしき誰かが横から槍を刺してきた。

 たった数時間の講義を受ければ取れるようなしょうもない資格を取って、そして未来について語っているH君の、話し方も顔もまるでアホっぽ。

ジョイント273

 ポケットの中身を何度も確認して、忘れ物がないか。ケータイは、財布は、そもそもカバンは。トイレの中に置き忘れてきたら、きっと次の入ってきたうんこする奴がかっさらっていくから、20回でも30回でも繰り返し確認してからドアを開けなければならない。忘れ物をしないためなら、流すのを忘れたってかまわない。


2020/03/31

第二百七十四環

 意味の分からない言葉を思い浮かべた、人生のオンラインマニュアル。

 累積し続けていた鬱憤を晴らすことができなかった記憶が作用し、だだ広い草原を駆けながら、女上司を馬鹿にし続ける行為。いなかった怪物が姿を現し、数体。一目散に逃げだして、戸を開けたのか、建物の中に入ったのか、一切を省略し、たどり着いた厨房の奥。
 暗く狭い、ガスコンロとステンレステーブルの狭間にしゃがみこんで、怪物に見つからぬよう息を殺す。姿が見えぬ、こちらからもあちらからも誰からも。もう、大丈夫だろう、それにいつまでもここでいたんじゃ、反撃ができないし。しゃがみこむのをやめて立ち上がり、辺りをうかがう。

 上手いスケーターが集う、スケートパーク。繰り広げられるトリックの数々。ずらしながら板を、コンクリートの上、段差でボードフリップ。
 プライドが許さないのか、勢いをつけ長い助走から、ハイエストなキンクレッジを通した。たちまちヒーローとなり、そしてもう誰も構ってくれない。

ジョイント274

 行きたい場所に行けなくなったり、行きたいくない場所に行かなくてよくなったり、差し引きで考えれば若干嬉しさが勝る程度のシーソーバランス。


2020/04/01

第二百七十五環

 睡眠を科学すると豪語する研究者らしき男。
 コンピューターと人間をつないで、睡眠中の体の状態を記録していく。首にケーブルのようなものを張り付けて、いくつもの関数が、眠る人のログを残していく。

 苦しそうに自転車を漕ぐレポーターは、ふらつくハンドル、ろくに前に進めやしない。いやはや大げさな人だ、そんな乗りにくい自転車があるわけなかろう、代わってみなさい。
 いざ、交代し漕いでみてわかった、この自転車は車輪が固着してちゃんと回らないし、ハンドルもめいっぱい力を込めてねじらないと動かない。

 入口、部屋の、ドアを開け。決して広くはなくむしろ狭く窮屈な部屋。安物のベッドが置いてあり、濃紺の壁紙は縦に細いグレーのストライプ。プラスチックのような傷だらけの窓ガラスの向こう、外、雪景色を雨が溶かす。スキーをしに来たのに、これでは滑る気にはならないから、遠くを眺めて過ごす。

ジョイント275

 スイッチオンして、怒涛の攻撃、眼前の濃霧はきれいさっぱり吹き飛んだ。ダイレクトな攻勢、それが功を奏し、戦果は期待以上。


2020/04/02

第二百七十六環

 嫌な予感がぞわぞわとして恐怖、良くないことが起こる気がして、全力で走り逃げる、ここからどこでもいいからどこかへと。通り抜ける、道場の中を、土足はいけないという決まりだから、宙に浮いて進めば、怒られないだろう。うまく使え、頭を駆使。

 真空のような静けさと、どこまでも続く暗闇。見えない姿の誰かが大声で叫んだ。大洪水の体積の不安が押し寄せてきて、きっと、良くないことが起きる、きっと起きると、心にへばりついて剥がせない。息が荒くなって、鼓動が速くなって。

 停車している、電車が、駅に。似つかわしくない、駅の外観は田舎風で、しかし、ここは銀座。雑踏とは無縁のプレイス。
 スクリーンに映し出されたのはドラッグをテーマにしたドキュメンタリー映画で、主人公らしき男は、薬を絶ったと宣言し、手に持っているのは何だろうか、緑の野菜。
 言うてるだけだ、結局ああいうやつはまたドラッグをやるだろう。観客同士の議論は全員一致だった。

 楽しそうに話す男と女がとなりに、なぜこの場に居合わせたのか、ぼろい旅館の二階の、ぼろいぼろいずたぼろい部屋は狭い。イチゴ色のビーズがあしらわれたセカンドバッグが壁に張り付いていて、ゆっくりと動いているので、奇妙だから凝視したら、それは虫だった。体長15センチ以上はある巨大な足の長い、背に白い筋のある、黒い虫が、セカンドバッグを背負って壁を這う恐怖の様。
 迷うことなく手を伸ばし、あっさりと虫を捕まえた女は、虫大好きなんですと言った。頼むからすぐにどこかへ捨てに行ってくれ、ここから出て行ってくれ、虫と一緒に。

 賑やかな下の階、宿泊客は全員にポラロイドカメラが支給され、一人一台。  

ジョイント276

 いい音がした。自由自在に変化する音だ。いつまででも聞いていられるし、体が自然と動き出す。


2020/04/03

第二百七十七環

 スーパーマーケットは7階建てで、7階の虫取り網売り場の奥、広まったところから外の様子を眺められる大きな窓のあるエリア。歩いている人々、その流れに逆らうように一人の女性、テレビ局のアナウンサーが街頭インタビューの収録。苦戦している、だれも足を止めてくれない、嫌う関与。ようやく一人の男性が話を聞いてくれた、かと思ったらその瞬間、突然のキス。ストップしたかのように時間が、硬直して動かないアナウンサー、何が起こったのか理解できるまでの数秒間の硬直。苦労しているのだなあと、テレビの華々しい世界の人たちも。もう飽きてきたので、窓から眺めるのはやめて、買い物に戻ろう。

 美しい姿勢と体形について。手を伸ばし、自然な立ち姿、力まずに、まっすぐ前を見て、背は曲げないまっすぐの角度。

 土偶のようなシルエットの、人か置物か分からないが、非常に巨大の。

 ノベルティグッズが当たるというので、使いもしない音楽作成ソフトを購入しそうになって、慌ててキャンセルボタンを押す。

ジョイント277

 少しではあるが、何かしら貢献できればと思い、金を払う。これまで提供してくれたエンターテインメントに対する感謝の気持ちとお礼ですから、どうぞ受け取ってくださいな。


2020/04/04

第二百七十八環

 長い階段を上りながら、この先起こることがなんとなく想像できた。多分、この建物は校舎であり、今、廊下を歩いているのは次の授業のために教室へ向かっているからだ。だが、歩けども歩けども、目的の教室にはたどり着けず、そればかりか建物の構造はどんどん複雑になっていって、永遠に迷い続けるのだろう、と。
 とても長い廊下の先、左へ曲がると渡り廊下があり、その先は下へ降りる階段と上へ上る階段が登場。うん、いつもの通りだ。大同小異、こんな感じでいつまで経っても、どこへもたどり着けずに、フェードアウト。

 ところが、たどり着いたのは見たことのない部屋。やたらと天井の高い、簡素だが厳かな木造の、まるで教会のよう。うららかな春の日差しが一面ガラス張りの五角形の壁から差し込む。向こうにいるのは誰だろう、顔を省略された存在だけの人。
 とりあえず何かしらの会話。
 割とこういう状況に遭遇するんです。進めどもどこへもたどり着けなくて、今回もきっとこれから建物がどんどん複雑になって最後には歩き疲れるんでしょう。うわ、これ見てくださいよ、さっきまで壁やったのに、今では手すりも何もない、七階ぐらいの高さの絶壁ですよ、その先。気を付けて、向こうまでジャンプせなあかんのですか、不安な。  

ジョイント278

 何を着ようかともう少し迷うかと思ったら意外とあっさり決まった。こんな時にぴったりなコーディネートが完成した。楽しみは多いほうがいい。実用と薀蓄のダブルパンチでノックアウトだ。


2020/04/05

第二百七十九環

 ダメ人間なので、課題の提出を忘れてしまい、担任らしき女に叱責される。ルーズな性格ゆえなのか、与えられた課題に価値を見いだせなかったのか。書いてノートを、それを毎週渡すだけなのに、それができない。嫌になってもくるさ、自暴自棄。教師は言う、こんなことを繰り返しているとあなたに対する評価を下げざるを得ないと。
 とっくの昔に、お前の評価なんて気にしてるか、ボケ。けけと笑い、世界は変化した。

 手繰る記憶、しかし何も分からずじまいで、何かの物語に関する秘密あるいはその構造に関する秘密について気付いたはずなのに。

 ニュース番組を見ながら朝食を食べているここは、列車の中、窓の外の景色が動く。クリーンな室内は非常に広く、キッチンとその隣に食糧庫も備える豪華さ。
 皿の上、見たこともない実が乗っていて、果物のようにも見えるが、これはいったい何だろう。
 海のそばに今立っていて、さっきの実が海岸の砂浜に生える低木に実っているではないか。形はラズベリーのようで、色と大きさはスダチに似ている実。
 見てください、向こう、沖のほうに島があります。すごいですね、島全体が、この機でおおわれていますよ。ようけ実ってますよ、あそこで収穫されたんですかね、さっきの実も。

 もうすでにその島に立っていた。高い鉄パイプの骨組みが目の前にそびえ立ち、もう木も木の実も、なくなっていた。体力自慢の人はここを登っていくんですよ、こうやって。手ほどきしているのは、面識のない男。交互に斜交いに組まれた鉄パイプを器用に登っていく。眩む目が、この高さはきっと。とてもじゃないがこんな危険なことはできない。
 入口はこちらです。すごいですね、広い空間だ。ダッシュで奥に進んでみましょう。上に行くエレベーターがありました。たちまち、誰がそのにいるのかもわからないが、そこにいる全員でツッコんだ、エレベーターあるんかい。息のそろったツッコミだ。

ジョイント279

 段取りを立てて行動しよう。今日できることは今日やろうという人もあるけど、明日してもいいようなことをあえて今日やる必要はないかもしれないぞ。段取りこそが大切だから。


2020/04/06

第二百八十環

 螺旋状に同じところを、少しずつ変化しながら周回する行為。いた場所から、狭い道を歩いて進み、さらに狭い道。中華料理屋の汚い玄関をくぐって二階へと。通れそうにない小さな穴をくぐって、そして通れて、外へ、元居た場所に。
 似たようなことをまた繰り返し、また中華料理屋にやってきて、しかし今度は、背後に人が5~6人ついてきた。高さはより低くなった天井の、腰をかがめて歩く二階にはまた小さな壁の穴。なんぼなんでもこれは通られへんやろ、と後ろの誰かが言う。後ろの誰かは、いつの間にか前にいて、率先して穴をくぐってもうどこが先頭で誰が何をしているのか、わからず。ずいぶんと息も上がってきて、くらくら。

ジョイント280

 楽観視しているのは私だけらしい。
 善良なる一般市民は、狂気こそが今持つべき精神の状態であると信じていらっしゃるから、私はうつむいて、スニーカーののつま先を眺めつつ、グーパーグーパーを繰り返した。


2020/04/07

第二百八十一環

 大切なのは余暇の過ごし方ですと語るのは、仕事終わりにかまくらを探すのが趣味という、カップルのおふたり。理想の趣味ですねとインタビュアーのコメント。都会にはいろんな人がいるのだなと驚き。

 急激に加速して、大ジャンプ、はるか上空まで、金網のフェンスを跳び越えた。立っているフェンスの上に、バランス感覚まで優れているのか。肩の筋肉がムキムキの黒人スケートボーダーが人間業とは思えないトリックを次から次へと繰り広げる。

 ルームカラーは、と聞かれても、それが何を意味しているのか分からないでいると、カーテンの紹介が勝手に始まった。頼んでもいないのに。二色、ツートン、表地と裏地。重厚なブラウンと深みのあるレッド。どちらを内側にしてもおしゃれですと、誰かの説明は続いた。

ジョイント281

 たった1日で途絶するとは、情けない奴だ。いかなる理由があろうともそんな甘えが許されると思うのか。


2020/04/08

第二百八十二環

 借りた自転車を返しに行った店は、白とオレンジのストライプが爽やかなオーニングのカフェと軽食。来る途中、新商品の炭酸飲料のサンプリングをしていて、きれいなキャンペーンガールがオレンジ色のコスチュームで笑顔を振りまいていた。た、から始まる名前の有名人も一緒にプロモーションに参加していて、あんな有名人でもこういうドサ回りの仕事をやらないと食っていけないのだろうかと気が滅入った。
 絶えず朝から降り続く雨は木枠の窓の外、白い筋が見えるほどに勢いを増して、外に出れそうにない。椅子、車の、全席に誰かが座っていて、定員乗車の状態で、どこからからここまでやって来、さらに東京へと行こうか。かなり雨が強いから、やっぱり行かないでおきませんかと誰かが言って、そして、全員はその発言に従い、じゃあどこに行こうか。

ジョイント282

 金を払い、衣類をきれいにしてくれる商売をクリーニングと言います。クリーニングを生業とする店をクリーニング店と言います。クリーニング店で、衣類をきれいにしてもらうために、幾許かの金を払ってきました。


2020/04/09

第二百八十三環

 束ねられた大量のレコードが、廃業したレコードショップの店先に積み上げられているのを横目に目的地へと急ぐ。グレーの空、段差と石畳。

 密度が高い、人人の、狭い部屋に集結し。
 シンセサイザーについて熱く語る皆は、アマチュアテクノ音楽家。角ばった外観のキーボードを自慢する人。隣にいるのは、奥行きの長い結合式のシンセサイザーを持ってきた若者。能書きを言いたくなる、この若者に対し。知らんかもしれんけど、昔、PCエンジンっていうゲームがあって、このシンセみたいに縦につなげて拡張してくやつで、世界初のCDでゲームができたんよ、CDで。
 で、だから、何。という顔をしている若者に構うものか。
 金がかかると思う、だってここはアメリカだから、日本からわざわざここまでやってくるのは相当大変だろう。海を越えて、三週間に一度のペースでこの集いに毎回参加しているなんてすごいなあ。と日本人参加者を見つけて思った。

 高い電柱。上のほうでクランク状に折れ曲がっていて、赤いレバーと、それに括り付けられた赤い紐。持ち手のところに手書きで、上げてください、と書いてあり、何のことかわからないず。
 ずいぶん、電柱が細くなったような、さっき見た時とは明らかに違う。腕、大人の、よりももはや細い、黒い、棒。

 うずたかく積み上げられた、皮のような何か。

 会員券の番号のところだけが切り取られて、穴。なくなった番号の部分は、近くにいた従業員らしきおっさんのまつ毛についていた。確かめようと近づいて、番号は1530、間違いない。
 いつまでも、このプールの会員である必要もないから、どこかに行こうと思って、タイル敷きの床を歩いた。

ジョイント283

 耐えろ、眠気に負けるな。ギリギリのところで踏ん張るんだ。ダメだと思うからダメなんだ。
 本当に寝ていなかったのか。起きていたつもりだが寝ていたことを覚えていないだけじゃないか。不安が襲ってきて、眠れそうにない。


2020/04/10

第二百八十四環

 いい感じの雰囲気の中で、何かをしている感じで、もう少しこのままいたい感じ。実際的なものがなにもなく、すべて輪郭があいまいで、色はポテトチップスのような。
 何かに追い立てられるような感じがして、しかし体が自在には動かないので、声にならない苦しみを、それでもベースに漂うのは何かいい感じの春の装い。

ジョイント284

 いいでしょう、少しぐらいの贅沢したって、こんな週末。微視も巨視もどうなるかわからなさすぎて、だからもう考えないことにして、どうすれば楽しく過ごせるかそれだけにフォーカスします。


2020/04/11

第二百八十五環

 隅々まで、世の中のありとあらゆる人に普及した、形のない何か。勝手にその複製を作ってしまえばいいのだと、主張する男。断りを入れる必要などない、複製なんてボタンを押すだけで簡単にできるし、何回でもやり直せるんだから。

 楽園のようなところ、柔らかな日差し、薄緑色の芝生、空中に浮かぶ球状の何か。

 簡単にアンケートを取る方法がありますから、それでやりませんか。

 かっこいい女性アクションヒーローについて語っていたような気もするし、よくわからないミュージシャンについての話題だったようにも思う。うすぼんやりとしていてはっきりしない。いきなり音が鳴り、どうやら外で何かが起きた様子。

ジョイント285

 隙間なく予定を詰め込んだ。やりたい事もやったほうがいい事もやるべき事も全部こなした。充実感を味わっている。それと同時に1日が24時間しかないことを嘆いてもいる。地球がもう少しゆっくり自転してくれればいいのに。


2020/04/12

第二百八十六環

 日本を西から東へと大きく移動する計画。繰り広げられる旅程はまず長崎から出発し、佐賀、福岡、大分まで行き、そこから北海道へと移動するはずだった。たった一つの用事のためにわざわざ北海道まで飛行機で移動するなんて、時間と金の無駄遣いではないかと我に返り、今、行かなくても、いづれほかの用事がまとまった時点で、北海道だけ個別に行けばいいじゃないかと、転換した考え。遠路は切り捨て、そのまま九州を一周する方向で計画を練り直すことに。

ジョイント286

 にりじ寄ってくる恐怖と闘いながら今日も普段どおりの日常を過ごした。8時に起きようとして、10時半になった。小難しい本を読んで、ギブアップした。肉を食べた。大きいサイズのテレビが欲しくなって、値段を調べた。明日の天気は雨だ。


2020/04/13

第二百八十七環

 だだっ広くまっすぐな廊下、もしくは地下道。薄暗いのは、窓がなく外から光が差し込んでこないから。乱暴な扱い、命令口調で、ここから向こうの端まで走れという、ごつい男。怖いので素直に従い、全力で走った。たった今走ったはずなのに、またさっきの場所に立っていて、そしてまた同じことを命令された。
 タイムが、つまり時間が、この空間では動いていなくて、ずっと同じ時間を、とどまった時間を生き続けている気分がして、絶望を感じ始めていたら、外にいた。

 高いビルの屋上、景色は美しく、どこまでも遠くのすべてが見えて。
 手すりにもたれかかり眺める街並み、その向こうにはサンフランシスコゴールデンゲートブリッジ。じっくりもっとしかり眺めたいから、備え付けの双眼鏡を使いましょう。ウスターソースがレンズに塗りたくられて、なんにも見えずに、やがて手すりも屋根もソースまみれで、隣にいたのは、さっきの屈強な男だ。

ジョイント287

 断言してしまえ、言ったもん勝ちだ。どうせ真剣に考えてない人たちは、全員、言われたことを真に受けて、明日からそれを信じて生きていく。


2020/04/14

第二百八十八環

 黒い煙がはるか向こうのほうに見えて、誰かが火事だと叫んだ。だんだんと火は近づいてきて、もしくは日のほうへと近づいて行って、火が大きく見えて、大きく見えるということは火事の規模が大きいと解釈した。

 たくさんの人が往来するショッピングモールのインフォメーションセンター横にあるごみ箱。怖い何かをそこに隠して、すぐにそこから離れた。たちまちパニックになる客。空転する神経、何に恐れているのか誰もわからない、そこにあるのは雰囲気。

 球体と円柱をひとつずつ組み合わせて、人のシルエットのように見せたポートレート。透明感のあるグレー、霧、雲。
 モアレが生まれては消え。延々と形を変え続け、被写体の前後にある目の細かな網のせいで。
 伝統を感じさせる、日本の古民家が立ち並ぶ通り。両端まで行ってまた戻ってきて、何度も繰り返す往復。
 暗い脇道へと入ってすぐの店、食堂。うるさい店内。いらっしゃいませの声、老婆。ばばあがほかにも数名、いたるところに。二時過ぎの中途半端な時間に来てしまったせいで、メニューは牛丼とうどんしか出せないと言われた。頼んだ、牛丼を、しかし、牛丼は出せないと言われ、じゃあ、うどんでいいからと。とりあえず腹を満たさせてくれ。
 レジにも老婆、支払いの際、看板に温泉と書いてあるけど今は入れるのと聞いてみた。大変申し訳ございません、爺が入っていますので。出るの待ちますけど。どうやら無理のようだ。
 だいぶ前に一回ここ来たことあるんですよ、というと、レジ係は大げさな驚きを見せた。
 たしかあの時は、18きっぷを使って、と説明しようと思ったが、ゴールデンウィークに18きっぷなんて使えないし、だったら、どうやってここに来たのだろうか。金のなかったあの頃にこんな遠くに、思い出せず、もうどうでもよくなってきて、いつのまにか周囲は食堂でもなんでもなくなって空白。

ジョイント288

 食ってみたら美味かったから結果オーライだ。苦労を苦労と感じなかったから、予定より長い事取り組んだ。スケジュールなんて適当に振り分けてしまえ。急に思い出したことが、決定済みの判断にかみ合った。好転する行き当たりばったり。


2020/04/15

第二百八十九環

 リピートされる、何度も、同じような場面が。画面のないコンピューター、文字は空中に表示され、もしかすると、表示されていると認識するような仕組みを駆使して。手順を踏めば、破壊された数字は、擦り傷が回復するように元の状態となり、可読。
 狂っていない時計だから、大丈夫だから。黒い正方形に白い数字、それを信じて歩き出す。進む方向はどちらでもよかった。立ち止まることがあかんのだ。
 大丈夫です、薄くなってはいますが、消えていませんので、ほら、ごらんのとおり。

ジョイント289

 リズムがよくて、集中できていて、高い意欲を維持できて、もはや何を望もうか。衝動買いでもなんでもしてしまえ。過ごしやすい室温のミッドナイト、夜空は穏やかに晴れわたり。数日前から鳴き始めた蛙の声。


2020/04/16

第二百九十環

 堰堤を歩いてめぐるダム湖畔の眺め。目新しいものなど何もなく、来たことがないここには見たことがあるものしかなく、よって、心が落ち着く。空気は春の陽気が和ませ、土手には芽吹き伸び始めた草花が茂る。

 ルール無用、モンスターが襲ってくる気がして、それに備えなければ、しかし、何も情報がない。いくつかの断片は、発生して、また消えた。たとえ数分でも貴重な時間だから、何かをしなければ、備え。

ジョイント290

 選ぶことができなくなってきているように思う。ほんの少し前なら迷うほどにあったのに、今では今日の処方箋すら手に入るかどうかわからないような状況だ。


2020/04/17

第二百九十一環

 誰かの家の二階のような部屋、本棚は低く膝の高さ、L字に壁から壁まで。伝記、図鑑、A4のお知らせまで、ありとあらゆる本と紙類が並ぶ。ブラッドオレンジの色をしたクリアファイルに書類を入れて、カバンに入れて、肩に掛けて。手すりのない階段は急で、その一段ずつ、蹴上げが高くて降りづらい。

 いきなり、玄関を省略し、どこかの公園、まずは靴をちゃんと履きたい。イライラする、靴が、足を入れようとしてもあっちへ転び、またこちらへ転ぶ。分厚い、厚底の、安定感のなさのせいだろうか。
 蚊が顔の周りを飛んでいてさらに集中力が削がれていく。
 靴をさっさと履き終わった少年と少女が話しかけてきて、こいつらは見たことがないが、なんとなく知っているような気もするが、しかし、誰だろうか。関係性の薄い親戚のような雰囲気を感じさせる想像上の産物だろうと結論付けた。
 大量に飛んでるのは蚊ではなくブトだと彼らは教えてくれた。

 高いビルの屋上、何かが起こりそうな胸騒ぎと確信めいた期待。一様に皆は夜空を眺める、これから起こるだろうハプニングのために。賑やかになってきて、それはヘリコプターの羽音。遠くから突然近くへと。
 突然バランスを崩し、羽は停止し、ビルの林の中に墜落した。たちまち上がる巨大な火柱黒煙、そして大音響。動く炎はこちらへと近づいてきて、でも、そこから先はなにもない。

 岩場の近くの小さな平屋建て。テレビ台の上にテレビはなく、そこに立っているのは父。違うのは外観が人ではなく丸太だということ。唐突に彼は言う、丸太になったのだと。
 とにかく、そこから先は理屈や常識のない世界。いくらでも口から湧いて出る罵詈雑言で丸太の父をこれでもかと叩きのめす。すが入った茶碗蒸しのようにスポンジ状に劣化していく丸太。
 たとえばもし、ここに斧があれば、この丸太を木っ端みじんに破壊できるのにと。とにかく怒りが収まらぬ。ぬるい結論など望んでいないのだ。

ジョイント291

 ダメな部分もあるが、それを上回る良い部分があるモノは総合的に見て、好印象を受ける。自分の中だけの評価でいいのだから、お前らの意見など聞かない。どうせ、ろくでもない事しか言わないのだろう、お前らなんて。


2020/04/18

第二百九十二環

 手前、ロータリーよりも、そこを左に曲がってから横断歩道を渡り少し右に行くルート。と、もうひとつは、ロータリーに入って右斜め方向に進んで、短いほうの横断歩道を渡ってから左に戻ってくるルート。
 鳥の目線で、上空から歩行者の動きを見ている。ルート選びは歩行者の自由であり、人間がコントロールすることなどできないはずであるが、念じていると徐々に人々は左に曲がるルートばかりを選ぶようになってきた。正しいのかどうかはわからない、選ぶという動詞が。我流ではなく、何らかの見えない力が人々を同じ方向に向かわせているかもしれないからだ。だとしたら、念ずることによって何が発出されているのだろうか。

 勝手に市民の動きをコントロールしてしまったせいなのだろうか、さきほどから姿の見えない、それでいて怖いこと確実の人たちに追いかけられて、必死で逃走。動きの不細工さなどこの際どうでもいいから、ただ逃げることだけに集中して、まるでドラマのような追跡ゲーム。
 無人のガード下。助かったのだろうか。影は見えず、誰もやって来そうにない。

 ずっとやってる、もう何時間立つんだ。誰も苦情を言えない雰囲気。強制ではないが実質的に強制で音楽の練習をさせられて、体のだるさ。さあ、もう一回やりましょう、Sさんがやろうとしているのに、あなた方は帰るんですか。勘弁してくれよと思ったが、周りを含めて誰も何も発せず。
 ずるいぞ、あいつら、次の仕事を理由に抜ける気だって。

ジョイント292

 丁寧な説明もなく勧められたものをあっさり買う。16個も買う。なぜなら、俺はお前を信用しているからだ。今年のチャレンジの成否はお前の商品知識にかかっている。そして俺はお前に全幅の信頼を寄せている。サムズアップ。


2020/04/19

第二百九十三環

 プライベートな人間関係を駆使して、来年公開の映画の内容をすべて知ることができた。大変なのはこの情報を漏らさずにいること。

 特異な世界。椅子、オフィスにあるようなキャスター付きの、やっすいヤツ。掴めるアームレストもないな、簡易なつくりの。乗って、乗り物ではないから、座ってが正しいかもしれないが、次第にスピードが増していく。下っているのだろう、道はわずかに、座ったまま椅子は猛スピードになって、気が付けば周囲は真っ白の、どこまでも白い世界に突入していた。ただひたすらに猛スピードで前に向かって進む。むりやりトラックが前方に割り込もうとしてくるのを必死でかわす。スピードは緩められない、原則の時につんのめってこけてしまいそうだからだ。だが、他の車はどんどん幅寄せしてきて、しかも、ヘルメットのせいで視界が狭く、何が起こっているのかまるで分らない状況。
 運転、と言っていいのかどうかすらわからないが、をどのくらい続けているのだろう。うとうとしてしまったかもしれないし途中、あるいは熟睡していたかもしれない。幾時間寝ていたのかも、何もわからない。いくら進んでも、もしかしたら、進んでいると思い込んでいるだけかもしれないが、周囲は白で、どこに今いてどこへ行くのかも、時刻も日付も、何もかもがない世界。

 勢いがなくなってきて、椅子が止まった。

 食べ物を貧しい人たちに提供する施設。着いた場所にあったのは、そして、併設されている巨大な黒くすす汚れた倉庫。焦げたような色の木の戸を引いて中に入ると、広大な空間があり、中央には深い穴。中を覗くと機関車が置かれており、メンテナンスをするのだろう、きっと。戸を再び開けて、その奥にはまるで大正時代のようなボロを着た坊主頭の少年たち。近づいてみると、食事を要求してきた。叩かれた、頭を、少年は、誰か別の男、おそらく監視している職員だろう、に。人間世界には必ず存在する貧富。

ジョイント293

 プロフェッショナルだからやってるのでしょうけど、冷静になって考えると、ちょっと普通じゃないよ。もう、そろそろ代替案を考えてみてはどうですか。


2020/04/20

第二百九十四環

 韓国へ、とあるスープ料理の秘密レシピを教わりに来た。たどり着いたのはどこかの厨房。美味い料理が作られているのかもしれないが、この汚さは生理的に無理だ。だから、もう帰ろう、レシピなんて知りたくない。

 いくら頑張っても首が回らず、横を向けないので、今となりで、運転席で、この車を運転しているのが誰なのか分からない。いないのかもしれない、誰も。
 もっていたスマホで次の予定を確認したいのに、電波はずっと圏外のまま。回る目がくるくると画面もくるくると。
 止められた、警察官に、前方の車は軽自動車で。出てきた人たちは車内からなんと7人もおり、明らかに定員オーバーの重罪。一列に並ばされ、縦に、大人も子供もみな手首を縄でくくられ、連れていかれた。

 たどり着いたのは市役所の中。紙を丸めた筒状の物をセットしてなにかを印刷する機械を操作すると、小さなモノクロの液晶パネルに、借りる予定をしていたレンタルビデオのタイトルが表示された。
 たとえばいやらしいビデオを借りたら、この画面に履歴が残ってまずいんじゃないかと思ったが、実際どうなのか、誰も周りにおらず、相談できなかったから、借りるのはやめておいた。ためらいと不便利。

 料理を店内で代行してくれるコンビニ。二種類の麺、ノーマルと、紅しょうがを練りこんだピンクの麺と。とんこつラーメンを作ってくれるようレジの店員に頼んだ。だれだろう、見たことがある人だと思ったら、君は甥か。

ジョイント294

 勝手に面白くないと決めつけて、手を出していなかった。こんな時だからとうっかり手を出したら、案の定、面白かった。手を出してしまったことを後悔などしようものか。楽しみが増えたのだから、手を出してよかったよ。


2020/04/21

第二百九十五環

 横に長く続く和室。連なりをふすまが区切って、それぞれの部屋は8畳間。まっすぐ奥へと進み、一番奥の部屋でスニーカーに履き替えようとしたら、劣化したソール、パカパカになっていて、脆く崩れてしまった。畳に散乱したごみ。
 緑が広がる広大な庭が、縁側から見えて、気が付くと、畑沿いのあぜ道をを歩いていた。たなびく葉っぱはオオムギ、穂も実り、なるほど、このあたりの土地は麦の栽培に適してるんやなとか言いながら歩いて。

 手塩にかけて育てるつもりだったトマトは、途中からほったらかしにしてしまっていて、気が付けば、身は肥大化し、表面はじゅくじゅくのべとべと。採れるものなどどれもなく、表面にかさぶたのような気持ちの悪い病気に罹らせてしまった実さえあって、反省と落胆、申し訳ない気持ちでいっぱい。

 いくらでもズームインしていける、どこまでも精密に作りこまれた都市ジオラマを仰視。白い紙だけでどうしてこんな、すごいよ。

ジョイント295

 横と斜めの動きが重要。縦の、前後というべきか、の動きはだいぶできるようになってきた。側面の力の込め具合、そこに意識してしっかりと。漠然とやっていてはいけないんです。


2020/04/22

第二百九十六環

 隅のほうに追いやられた事務所に入っていく女性。今から何が起こるのか、世界の、差し迫った危機を解決するためのミーティング。
 具体的なことは何もわからない、なぜなら傍観者は事務所の外からただ眺めるだけだから。
 ランニングマシンの目の前に置かれた、足を鍛える機器。奇妙な形、まるい大きな皿のようなものが2つあり、誰かがやってきて足を置いたら、皿は取れてしまった。立つこともできず、その人は、床に這いつくばり、横を通りかかった人はその無様を見下す。

ジョイント296

 すっきりとして、脂っこさやくどさがなく、それでいてコクと旨味に奥行がある。まるでアボカドとトマトと豆腐の和風サラダを味わっているような幸福の時間を堪能した。


2020/04/23

第二百九十七環

 立っているここは青森であるということを認識している、青森であるという設定を理解している、そのどちらか。片道の旅、青森から奈良へと向かう。運転されているバスに乗って、奈良まで行くのは遠すぎて体がしんどいから、やはり飛行機にしたほうが良策。
 靴を履いた足で歩いて空港までここから向かうのは、たとえ、この三差路を左に曲がって土産物屋の前を過ぎて、日々が目立つコンクリート外壁の雑居ビルを眺め、まだ歩いている現在であっても、いづれどこかで挫折するであろう遠い距離。
 理にかなった判断を下すならば、ここから空港行きののバスに乗って、さっさとエアポートへと。飛び立とう、大空へ、そのためにバスに乗った。

ジョイント297

 タイトルのない文章を読む。中身もほとんど理解できない。何について書いてあるのかすらよくわからない。それでも読むことをやめず、読み飛ばすこともしても、それはつまらないということではなくて。この文章を読むことで、体の内側において生成される快楽。


2020/04/24

第二百九十八環

 草むらでぼうっと、立って辺りを見回す。スカイ、空、は青く、天球の面積の二割程度の雲。
 もうちょっとしたら、学校に戻らなければならない。いつまでもここにはいられないから、そろそろ帰る準備をしたほうがいいだろう。運動能力を超えたスピードで学校まであっという間に帰れるよ。

 よくわからない。いまいち、やるべきことが見えてこず困惑。糞する場所トイレの修理をしないといけないのだが、まず何をすればよいのか、どこのトイレを修理するのか、何もない指示が。
 学校の、校舎の、姿が見えて、ここは外だろうか。勝手に想像した校舎を、目の前にあると思っているだけかもしれないから、不確かな。

 何度も草むらとトイレの前を行き来する行動。うまく分離ができない、取れを修理する行動と、その2つを、不可分の、大部分が重なり合って困り果て、淡く。

ジョイント298

 苦労して取り組んだ甲斐があった。絡まりあった毛糸の塊をあきらめずに解いていくと、それは一本の長い糸となって、今、目の前に現れた。すべてが把握できて、さて、長さをそろえて切ることも、セーターを編むこともなんだってできるのだ。


2020/04/25

第二百九十九環

 誰だかわからない人たちがいて、ここはその人たちの家らしい。意気投合、何の会話をしたか覚えていないが、友好的な雰囲気を築けて、和む場。場所は香港の中心街であり、香港がどんなところか知らないが、しかしここは香港である。

 ルートを決めないといけない。いざ帰るとなれば。

 バリエーションは3種類あり、ひとつは今日中に日本のどこかまで飛行機で行く方法。うまく便があればよいが、空港の様子がわからず。ずれていて間に合わないから、離陸時間が想定よりも早く、その場合は、今日中に中国国内まで移動しておくという案が二つ目。面倒ではあるが、明日の日本行きの便はいくつもあるだろうから確実に帰れるだろう。浮かんだもう一つの案、それはまず一旦、台湾などのほかの国に移動するというチョイス。すぐに消えた、これは、不便すぎて、そして、メリットがない。

 いざ帰る段になり、誰だか分からぬ人たちに別れの挨拶をし、着替え。襟のない服、ズボンはしわだらけ。潔癖に白いのは誰かの要請だろうか。片方の手を袖に通した途端、蜂がやってきて、服の中に入り込んだ。
 ダンス、絶叫の、脱げぬ服。苦悶、恐怖、逃げ出したくても、服はまだ着れていないし、蜂もまだインサイド。どうしたことか、さらにもう一匹の蜂がやってきて、頭上から隙をうかがって八方ふさがり。
 リズムよく、眠るという言葉の意味がアップデートされていく。くるくると回るプログラムが、なんどもループしながら、ますます眠るという言葉に新しい側面を追加して、もうこれで安心だ。

ジョイント299

 段取りよく、効率を考えて行動する。前もって準備しておいた種々を投入していく。スムースに事は進み、青空は僕を歓迎してくれている。やがて来るであろう鳥のことを考えいるとき、春の風は、白い屋根を撫でていく。


2020/04/26

第三百環

 暗く、人がほとんどいない教室に戻ってきた。たった今まで、自動作曲ソフト開発のミーティングに参加していたから、今日の授業は1時間目から3時間目まですっぽかした。ただいまおそらく3時間目のあとの休み時間だと思う。
 後ろの壁に大きなホワイトボード。どうやら誰も今週の予定に書き替えてくれていないらしい。イラっとした。頼りにならない奴らだ、書き換えておこうか、しかし、これは日直の仕事だからと思い直して、そのまま放置。  チャイムはならないし、教室に人が帰ってこない、もしかして。手元にも教室内にも今日の時間割がないので、わからないが、4時間目は体育だろうか。閑散とした教室内はさっきよりもさらに暗くなって、もはや隣の机も見えなくなってきた。

 例えばの話として、ソフトがすごくいい感じに見事完成したら、女子に持てるんだろうなと思った。例えていないなと思った。

 立っているのもやっとの状態。いきなり襲ってきた強烈な眠気と闘いながら、トイレへと向かう。うっすらとカーテン越しに見える裏庭に物干しざお。オレンジ色に光って、ああ導入したのだなと。とにかくそう思った、何を導入したのかはどうでもよくて。
 手すりを持ちながら降りた階段、1階に母がいて、何か喋っているその声、残響が減衰することなく、あっという間にデシベルはレッドゾーンに達した。

 担任という設定を与えられた男が、説教風の自慢を言ってきてうざい。1か月で40日登校したこともあるからね僕なんて、とかほざく。

ジョイント300

 苦労しないとだめなのか。何かを成し遂げている最中であっても、そこに苦しみがないと満足感を得られないのは、無駄な回路であるのか。あなたは十分頑張っているなんて言うてくれるな。


2020/04/27

第三百一環

 何人もの人が現れては、少しの間同席して、そして去っていく。繰り返す、繰り返す。すべての人は同じ目的のために、座敷席に、そう、ここは居酒屋らしき店らしき。共通の目的、それは音楽を演奏すること。特に重要視されるのは、与えられたデータを忠実に再生できるかどうか。
 輝く画面に、四角いマス目が並び、音楽に合わせて白く光る、白い光に合わせて音楽が鳴る、どちらがきっかけなのかは分からない。
 一番最初からそうだった、そもそも音楽なんて鳴っていなかった。ただ、その光の動きを音楽だと、そう思い込んでいただけだったのだ。だとしたら、音楽とはいったい何なのか。形なき音楽の正体を、顔なき人たちはなぜ再生しようと、その不思議な。

ジョイント301

 ない。どこを探してもない。フライパン売り場にもない。アウトドアグッズコーナーにもない。電化製品売り場には当然ながらない。きっとあるはずなのに。そうして彷徨っているうちに、それで誰かの頭を殴るイメージが思い浮かんだ。だめだ、よくない。それは調理器具だから。


2020/04/28

第三百二環

 ラフな格好で大丈夫です、スーツを着てくる必要はありません、わが社の場合。いきなり転職していて、今日から新しい会社に出勤していた。頼まれた仕事はいまいち理解できず、中途半端にやって、部屋を出た。

 たどりながら、記憶を、進んでいく道。直角に曲がり、細い道。小さな橋を越えて、道路はパン屋の中を貫通して、さらに先へと。
 遠回りだと思う、こちらの駅から歩くと、大きく迂回する必要があるので。出くわした小学生の集団を避けようとしたら、体が宙に浮いて、そのまま空中を飛んで進んでいくことにした。高さが高くなってきて、よく見える、周囲の様子。
 すっかり辺りは暗くなり、今こうやって進んでいるのは通勤のためであるのではないか、だとしたら、間に合わないではないか。過剰に反応する鼓動、焦る心。

 廊下に座り込んで、靴下を履こうとするが、上手く履けない。いくら引っ張ってもつま先でひっかかってしまう。薄い生地のせいで何足も破ってしまった。助けてほしい、さらに気持ちは焦り、パニックになりそうだ。

 弾丸と化したこの車は、どこまでも加速し、減速することなく交差点を右折し、山道を駆けのぼり、対向車が来ても避けることなく、ぺしゃんこにしていく。狂ってしまったハンドル操作、法面に乗り上げても気にせず土を掘りながら走り続ける、この車は、いつの間にか、路面電車に変化。

 関係ない、知ったことか、誰に指図されるものか。勝手に見ず知らずの建物に入って、階段を上っていく。黒づくめの男が、話しかけてきて、占い師のようだ。ダメな部分、これから起こる良くないことを、いかにも重々しげに言ってきたらから、ひとつずつ反論し、完全に言い負かしてやった。
 たちまち勢いを失うしょうもない占い師。勝利宣言、いつかこの日を待っていたのだ、お前のような嘘つき占い師を完膚なきまでに叩きのめす日をな、とけんか腰で。
 でも、この先にもう部屋はなく、これ以上何も進展のない、ただ壁があるだけの、ないのだ扉。

ジョイント302

 ラップトップとインターネットがあれば生きていける。会議室も、総務部も、社員食堂も必要ない。うるさいお前も然り。


2020/04/29

第三百三環

 利用しやすいように、何かをどこかへあらかじめ整理して入れておけばよいと気付いた。種のような小さくて丸いもののイメージ、それらが横からあるいは上からやってきて、細長い箱の中に一列に収まる。ルールを決めて置いて、その順で収めると、次にそれを使うときにすぐに取り出せるから便利だ。

 だがその目論見はすぐに崩れた。種のようななにかは、箱の中に収めてしまった時点で、状態を固定されるから、新たにやって来たその丸くて小さいものとは異なる状態でになってしまう。
 上手くいくと思ったのに、これでは古い状態の種を、間違って取り出してしまうことになってしまうではないか。完全に最新の状態で使用しなければならないから、このアイデアは使えない。

 一回ご破算にして、最初から考え直す必要あり。

ジョイント303

 理屈では説明のつかないことが起こる。見たいと思った昔の映画が、テレビで放送されていた。レシートの金額と同じ番号のロトくじが当たった。雷に打たれて、超人的な能力を手に入れた。嘘もあるし本当もある。それでも明日の朝は明日の朝。


2020/04/30

第三百四環

 さっきまでどこかにいて、今ここにいて、ここはトイレ。レトロな汲み取り式の、壁はすべてセメント。
 時計の話をしている、誰かと、腕時計の話。衝撃に強く、硬い素材は何か。会話の中から良いアイデアが生まれた。炭化チタンと炭化タングステンを組み合わせた新素材なら強靭かつ軽量な腕時計ができるに違いない。異素材で作られた腕時計で、TicとTacというアルファベットが頭に浮かんで、なるほどと思った。短針も長針も、すべてが黒い腕時計の黒さ。

ジョイント304

 さっと血の気が引いたかと思ったら、急に冷や汗が出てきて、鼓動が激しく打ち始めた。嘘であってほしいと願いつつ、冷静を装い、確認作業に取り掛かった。やっぱりだ。なんでこんな基本的なことに気付かずに進めてしまったのだ。もしこれが建築なら、違う番地に家を建ててしまったようなものだよ。


2020/05/01

第三百五環

 用途のわからない箱。ここに手荷物は入れておくことにしよう。
 うきうきする気持ち、それは休日のような気持ち。

 地下の食料品売り場に行こうと思い、7階からエスカレーターに乗り、いったん6階で降りた。タチの悪そうな凶悪面の男がスポーツ用品売り場の入り口横に立っていて、ちょっと邪魔なんやけどどけてくれるか。頑なにその場を動かない男を無視して、店に入ると、とび縄とトレーニング用ゴムチューブが売っており、これ欲しいなあと。

 途端に思い出した。大切なもの、財布ケイタイ腕時計など、すべて持っておらず、ズボンのポケットにも、パーカーのポケットにも、どこを探してもない。いや、そんなはずないぞ、でもないぞ。ぞっとして記憶をたどり、ここに来る前のあのスポーツジムに置き忘れたのではと気付いて、ダッシュで店に。

 にやにやと不自然な笑みを受け付けのスタッフに向けて、今が営業時間外であるのにこの客はなぜ入店しようとしているのかという疑問を霧散させるべく、そして店員は、気持ちの悪い客に関わりたくないと、見て見ぬふりをした。  たどりついたロッカールーム。筵が床に敷かれているのはなぜだ。段々と部屋はロッカールームからどこかの家のリビングに変化して、いつのまにか財布を探すこともやめてしまった。

 対面に丸坊主の小太りがいて、何を聞いているんですかと言うてきたので、スマホの画面、今流れている曲を確かめたら、曲名は伏字になっていて、アーティストも仮名に替えられていた。
 たった今まで聞いてきた曲はもう違う曲になっていて、だから指で画面を撫でてさっきの曲をどうにかして再び画面の真ん中に持ってきたいのだけれど、いくらやってもあの曲は戻ってこず。
 頭蓋骨を覆う皮膚に生えた毛を髪という。上に、乗せた、ヘッドホンはワイヤレスで、とりあえず、これ、着けてみたら音楽聞けると思うから、とだけ言って、その小太りのおっさんとのやり取りは終わり。リズムだけが聞こえ続けて、少し蒸し暑い、外は闇夜。

ジョイント305

 よくわからない取り決めがたくさんあって、皆はそれを正しいと思ってやっていて、本当に正しいかどうかは関係ない。やっているということが大切で、やっているから安心だと受け取る。意味なくないですかとかいうと、ふくろ叩きにあって、そして負った怪我には誰も関心を示さない。


2020/05/02

第三百六環

 行きたい店に行く道順とか、難しいパズルを簡単に解く方法とか。絡み合った何かをほどく。繰り返す、何度もその手順を、あるいはその話題を雑談で。
 でも、実際には何も起こらなくて、そして繰り返していたと思っていたその会話も実は一度だけで、すべてはうっすら透明。

ジョイント306

 いくら事前に計画を立てていてもことは思い通りには進まない。ざっくり計算していた長さが、ざっくり過ぎて合わないこともある。売っていると思っていた重要な商品がもう手に入らないのだと知って、じゃあ、そのピンチをどう切り抜けるかというときに、予めの計画が自分を助けてくれるのです。


2020/05/03

第三百七環

 すぐに離陸するからと言われ、急いで搭乗。後ろのほうの狭い席だと思っていたら、A1だから先頭に案内された。たちまち飛行機は助走をはじめ、滑走路終端ギリギリで周囲の草を車輪でなぎ倒しながら飛び立った。
 たまげて腰を抜かし、そして興奮して、声。映像なのか、実際の風景なのか、目の前に広がるのは180度、空のパノラマ。真っ青な空が視界を占領し、体験したことのないエクスペリエンス。すぐ前をANAのジャンボジェットが横切った、衝突寸前、奇跡の回避。
 飛行機は海の上、このまま一路アトランタへと。突然、思いついたこの旅行、1泊2日でアトランタのどこに行くかも決めておらず、ホテルも取ってないし、そもそもカバンすら持ってきてないから、着替えもない。いいや、まあ、向こうで買えば何とかなるだろう。うっすらとさえ知らない、アトランタに何があるのかも。
 もう、前方には外の景色は流れておらず、巨大なフラットモニターがはめ込まれている壁になっていた。例えば、この手持ちのパソコンをあのモニターに移して作業することができますよ、便利でしょう。後ろの客が言うので、繋いでみようとするが、Wifiが上手く設定できずに、セキュリティ上の危険度が高まるデンジャラス。

 数字、連番の、1から順に並んでいて、そこれ何か、例えばそれは飛行機の便名と出発時刻であったり、あるいは、野菜の種類であったり、それらを対にして、さらにもうもひとつ記号を組み合わせて、管理するらしい、それが何なのかがよくわからない。いくつもの組み合わせが発生し、それらはすべての浅めで粗めの長方形のかごに入れられて運ばれていく。
 来る、向こうから人が、ちょんまげの、きっと地毛ではなくてカツラだろう。太秦、ここは、時代劇の撮影中っぽい様子。

ジョイント307

 擦れてうっすらと血がにじんだ。このぐらいなら大事には至らないと思うが、心配は心配だ。


2020/05/04

第三百八環

 大問題に発展しそうだと、周りが騒いで。電話応対が続く。黒い壁の前に浮かび上がった文字の前半はぼんやりとしていて、モードだけが読み取れた。担当します、苦情を、その女性の名は全く知らない人。  特定されて来た徐々に、すなわち、牛乳とセットで販売する予定だったカマイタチが無い。

 いつもは車で通勤していますが、自転車か徒歩に替えることにしました。
 たどり着いたのは、すべてが灰色の街。賑わいとは無縁の、風化し始めたような街並み。見渡す限りに誰も人はおらず、壁もアーケードの柱も、すべてペンキで塗ったかのような中途半端な光沢をする灰色一色。
 くるくると渦巻き状になった駐輪場の入り口がどこかわからず迷っていたら、声をかけてきた老人は大柄で、強引に引っ張られ連れてかれた。他人の家に違いない、雨でぬかるむ地面をつま先立ちで過ごして、玄関の前。縁側が見えて、物干しざおに干されているのは、藍染めの浴衣。高いんやあれは、と大柄の老人は言った。
 建物の中から出てきたのは女性で、大柄の老人はこのあたりで土産物を買うなら何がいいかはこの人に聞けば何でも教えてくれると信頼しきっていた。

 高さ、あるいは深さ、どっちで言うべきか、人孔、マンホールの大きさ。

 サーヴェイ、何かの調査、結果は必ず正の整数になると誰か説明。

 いきなり駅にいて、松本へ向かう特急列車に乗り込んだ。誰も隣に座ってこなかったので、のんびりとコカ・コーラを飲みながら、旅を楽しもうと思ったのもつかの間。
 まず、そもそも、さっきの駅がどこか知らないが、あの駅から松本行の電車など出ていない。行きたければまずは普通列車で西へと向かい、どこかのターミナルで乗り換えなければならない。行き方がわかるわけもなく、突然やってきた混乱で、ダッシュして上る階段、何番ホームに来たのかもわからず。

 ズボンが脱げそうだ、そんなことはかまってられず、そしていまだにここが何番ホームかもわからず、どこへ行けばいいのか。

 霞の向こうから列車がやってきて、それは木曽行きの近鉄電車だった。たちまち人々は開いた扉から我先にと押し合い奥へ進もうとし。しかし、近鉄に木曽行きの電車なんてあったっけと。とにかくそんなことはどうでもよくて、乗客の顔に疲労の雰囲気。

 機械、小型の、を持ってやって来た女性が、洗濯ばさみ状のクリップで肌を挟んできて、これは肌の質をチェックするものです。すぐに結果を知りたいですか、1000円を払ってくださいと。とりあえず、払ってみたが、結果を聞きそびれて、女性はもう彼方だ。

ジョイント308
 弾力がない。すぐに硬直してしまう。しなやかな動きをどうすれば手に入れられるのか。


2020/05/05

第三百九環

 階段を上る、あるいは数字を組み合わせる、その二つはどちらかを選ぶような同等の存在。
 いつの間にか階段は消え去って、数字の組み合わせによる計算と牛肉の関係性について考えるようになっていた。

 たどり着くまで、便器に、とても遠い、奥に長い部屋のトイレ。連続でレバーを下げると水はどんどん溜まってきて、床に溢れ始めた。助けに行かねば、和室で誰かが寝ていたはずだ。ダッシュ、水はすねの辺りまで、廊下もすでに浸水し、そして辿り着いた和室。つながっているはずの空間、しかし、そこには水はなく、そして誰もいなかった。たった今まであった廊下も水は消え去って、幻だったのか。

ジョイント309

 勝てなかった、眠気に。だから少し横になって目を瞑ったら、記憶がなかった。そういう日もあるだろう。しかしどうだ、今日に限っては完全に寝る気で、そして寝た。端からタスクをこなす気なんてなかったんだ、私に。


2020/05/06

第三百十環

 入国手続きのために通貨の交換を行う。うまく意思が伝わらず、なかなかことが進まない。
 いくつかの抽象的な断片が現れては消えて。手袋をはく。暗がりが明るくなって、猫がうろつく。苦労しながらレタスを育てる。

 ルーズな労務管理。理想には程遠い労働時間の長さが、体を疲弊させ、目の前が徐々に黒くなって、その場に座り込む。群がる人たち。中途半端な親切さ。触るな、お前らとは関わりたくないから。楽になってきて気付いた、これは貧血ではなくて、眠いだけだと。

 とにかく、通貨の問題が解決しないとダメなんだ。断続的にカットインしてくる通貨、通貨、また通貨。換算方法が分からないから、計算ができなくて、毎回ゴールにたどり着けず、また最初からやり直しに。

ジョイント310

 人気のあった刑事ドラマの再放送。自分は手を汚さずに人にやらせる完全犯罪の話。どうやって解決したのか、最後まで見なかったから分からない。


2020/05/07

第三百十一環

 いくつもの長方形が、いくつものパーツに分解されて、それぞれが震えたり、回転したり。立体ではなく、二次元上に配置。小さいと認識できるのは、周囲に比較できるものがないのに、なぜだ。

 断念した職業について、芸人らしき男が過去のエピソードを披露。運転手、トラックの、になりたかったが、運転中に食べた弁当で食あたりを起こし、クビになったと笑いながら説明。

ジョイント311

 行かなくていいのなら行ってない。わざわざ行く必要なんてない。それでも行ったのは、行かざるを得ない理由があったからだ。
 だが、本当にそれだけか。自分の知らない、見たことのない世界を覗いてみたい誘惑に駆られたんじゃないのか。


2020/05/08

第三百十二環

 角ばった形状の、小さいピアノ。覗き込もうと、内部を、身を乗り出して。手が当たってフタが落ちそうになり慌てて離れた。立って見ていたおっさんが何か言いたげ。芸能人のようでもあり、そうでもなさそうな。

 中に、このピアノの横にある入口から、部屋の、入ると広大な広さ。さっぱり何も置いてなく、窓もなく、しかしどこからともなく陽光が差し込む。向こうのほう、遥かに、なにか小型の機械らしきものありて、今はもうその前にいて。  手ほどきも受けず、少年がその機械に乗って、立ってバランスを取る、ぐらぐらしながら。

 ラフスケッチにも満たない、具体性のないイメージのみ。見えない、ただそこに姉妹の、抽象的な、それが何かに形として現れるわけでもなく、物語を生み出すわけでもなく。雲のような、霧のような、朧げで、情報はわずか。

ジョイント312

 格好良ければばそれでいい。ほかに何がいるというのか。他人がごたごた言うのを聞く必要なんてないぜ。その格好良さを手に入れるためにどれだけの努力と知識が必要なのか考えてみればわかるだろう。


2020/05/09

第三百十三環

 うようよと人が集まってきて、藤棚のような鉄骨の骨組みに風鈴のような丸い小さい発光物をぶら下げていく。暗くなってきて辺りは、仄かに光る無数の球体。
 いよいよ朝がきて、ぶら下げてあったはずのほとんどは消えてなくなり、数人のボランティアが、残りも撤収し始めているから、何があったのですかと。問いに答えるわけではなく誰かが、宇宙人がやってくるかと独り言で。
 できればこの場からさっさと立ち去りたい、不穏な雰囲気。

 機密情報、イチゴの栽培方法について、誰にも漏らしてはならないから、どこに隠すのが良いだろうかという思案検討。

 薄い青色が混じった灰色、もう一台は白に近い黄色、自転車を押してあるく二人の男。小型でスピードは出なさそうだが、こういう駅前の混み入ったところだと逆に便利みたいなことを言ったり。
 利便性を高めるためにハンドルの前にプラスチックの大きな箱をくっつけてあり、中には何が入っているのだろうかと気になる。
 留守にしているようなので、マンションの一室、またさらに歩いてたどり着いた祭りの会場。売られているのはから揚げ。元気のない店番は明らかに不慣れで何をすればよいのかもわかってなさそう。

ジョイント313

 裏に説明が書いてありますから、事前に読んでから取り掛かってください。わざわざ書いてあるってことは重要だということですので。必要ないことは書いてません。
 ほらまたそうやって自己流で進めて、結局失敗した。何やってるんですか、何回も。


2020/05/10

第三百十四環

 盛り上がる車内に四人の男性、それを眺める不明の視点は誰の。乗り上げて斜面に、車を停めたら、ボンネットが開いた。立ち寄った土産物屋で各自が家族に何を買うか、迷う。
 動き出して再び、自動車は、それとともに降り出した雨の中、徐々に強まりたたきつける勢いとなって、道路は冠水、前も見えず。ずっと楽しそうに話していた四人もいつの間にか険悪なムードになってきて、さっさと降りてくれとか。

 カエデの苗を育てていた記憶、それは事実ではないけれど、それが蘇って。
 手続きをしていた、バイクの売却見積もりの、担当者に相談してみた。たくさんのカエデの苗はすべて腐り、ぶよぶよの感触になって、捨ててしまいました。例えばどのような原因が考えられますか。
 関係ない話をされて困る査定人の頭部はハゲで光沢。

 クリスタルのような、小さい透明の石を縫い付けた帽子が壁に掛けられ並べられて、UCLAとかFBIなどの輝く文字。自動化された機械でさらに続々と帽子に縫い付けられていく様を見ていたら、作業場のドアが開いて女性が入ってきた。  たちまち作業員は詰め寄り、関係者以外立ち入り禁止だと注意。いつまでも立ち退かない女性は誰かを探しているようで、話を聞いてやるべきなのかも。  

ジョイント314

 もはや形骸化しはじめているのだろう。外観を留めてはいるが、堅固だったあの頃とは別物の、スポンジのようなすかすかのかすかすになってきている。
 向こうで吹いた風を停めることはできず、こちらへとやってきてしまう。


2020/05/11

第三百十五環

 売り手からの情報があいまいで決断に至れない。一旦ブラウザを閉じて、また開く、すると、さっきと違う写真が現れる。ルパン三世の原画をネットオークションで落札すべきかどうか。仮に購入するとしよう、そうした場合、何枚の原画が送られてくるのだろう、それすら分からない。

 入れ物、プラスチック製の浅いボウルに、切った材料を放り込む。無意識のうちに、それをそのまま火にかけてしまう。美しいガラストップガスコンロ。ろくなことをしない、今すぐにでも発火するぞ。ぞっとして、顔を近づけたら、熱いという感覚があった。体験したことがなかったので、熱さというものがあるのだということにびっくりした。食べ物は何を作ろうとしていたのか、そんなことはもうどうでもよくなって朦朧。

ジョイント315

 うずうずしている。いい事を思いついたからだ。急いて事を仕損じてもいいから、善は急ぎたい。幾重にもハッピーが来訪する未来を描く。


2020/05/12

第三百十六環

 靴の音を鳴らしながら石の階段、弧を描き降りていくと、焼き肉屋。野球界、特に巨人阪神の裏話を饒舌に語る金村氏。
 白い光を浴びているのか、自ら発光しているのか、小人が一列になって歩く姿が眩しい。一番先頭から順に、巨人の選手、阪神の選手、と交互に並んで最後は巨人の選手で終わった。

 食べることなく焼き肉を、店を出て、そこは難波であることはわかるが、どのあたりにいるのかさっぱり分からず、適当に歩いてみるも、さらに周囲は見覚えのない建物ばかりになってしまって困惑。
 下した決断、スマホで地図を見よう、なるほど、近くに淀川があるな、西へ向かって歩けば目的地だ。

 だいぶ古そうなホテルにたどり着き、入った部屋にはすでに人が。顔面は見えず、それが誰であるかは不明。嫌な予感、その男はベッドで爆睡、白いシーツを被って、頭まで。
 デリカシーのなさに段々と苛立ちが限界へと近づいてきた。
 ターコイズブルーのクッションを手に取り、裏返すと、血まみれのかさぶたがいくつも付着していて、怒りが爆発、こんなことをする奴はほかにいない。言うてやろう、そこにちょうどおるから、父に。にじり寄り、ぼろくそに言おうと思った瞬間、こんな奴にかまっていても何の得にもならない、あほらしくなって、何も言わずに窓際へ移動した。

 高さ的に、この部屋は10階だろうと勝手に予想。薄曇りの空の下、センターラインのない田んぼのわきの道路でデモ行進する地元住民らしき人々。トップで率いるのはポニーテールの女性、アラサーぐらいだろうか。活気のないデモ行進だ。

 誰か分からぬ人たちが部屋に集まり始めて、床の間に老婆、木箱の中にテレビを入れて、何か語り始めた。大切そうに木箱を撫でて、テレビはブラウン管、映像が映るわけでもなく。朽ち始めた箱。

 この部屋にいるべき人のうちの、何人かは外に出てしまったと誰かが言った。多分、今夜は戻ってこないだろうとも誰かが言った。
 大変寒くなってきて、気がづくと反対側の窓際、吹雪になっていて、慌てて出窓の換気スリットを閉めた。耐えられなかった、閉める力に、スリットのプラスチックは粉々になり、雪はますます窓台に積もり始めて、真っ白の。

 喉の奥から発するようなよく通る声、その方向に目をやると、麻生太郎が椅子に座っていた。絶え間なくしゃべり続ける麻生。嬉しそうだが、その理由は分からない。いろんな人物評を聞かせてもらったが、その人が実在するのかどうかはよくわからない。

 一瞬にして再びさっきの焼き肉屋へと移動し、また焼き肉を食べずに、そしてまたここは難波だ。誰かに手渡されたビニル袋の中には牛の臓物。
 突き当りを左へ曲がってみたら、そこには巨大なレンガ造りの郵便局。

ジョイント316

 苦言を呈しても、本質的には何も変わらない。いかにもちゃんとやってるふうな口先だけの、その場限りの自己擁護。


2020/05/13

第三百十七環

 合理的な説明が可能な共通点は見当たらないが、金属の話を不倫の話と一緒に行う男が喋って、図で説明して、わけが分からぬ。縫い糸が同色で揃えられたレザーのソファに寝ころび、革の色は暗めの青紫。興味のない話はいつまでも続く。

 車がゆっくりと動き出したかと思ったら、車輪が6つになり、前の両輪は地面から離れていて、何の意味があるのか。か細い足回り、それが上に伸びはじめ、櫓のようになった。

 大切な何かを入れた白い円柱形のポリ容器。きっちりとフタをされ、川の底に埋めて保管されていた、そして大雨が降り、増水。勢いを増す川は大量の泥を運んできて、ポリ容器の上に堆積した厚い泥の層。
 うっすらと晴れ間差し、無我夢中で川の中に。人間が飲み込まれてしまうような、深い泥濘に捕まり、足を動かすこともできなくなって、心だけがもがく。
 黒髪の女性は、その様子を2階のベランダから楽しそうに眺めて、たまに笑う。
 後ろにも前にも、進めなくなって、でも容器のふたを開けたら、中身はきれいなままの何か。肩まで泥に飲まれて死の覚悟。

ジョイント317

 五時になって、急にトラブルに見舞われて、トラブルと言えば他人事。実際のところは、自分の至らなさが招いた要らぬ用。
 昔の自分が見ていたらどう思ったか。相変わらずの無能だと罵ったか、それとも老いたなと詰ったか。いずれにせよ、ネガティブだな。


2020/05/14

第三百十八環

 何度も同じことを繰り返しているのだろう、しかし、何をだ。男性が話しているのが聞こえてきて、筋トレのことを考えて。手前のほうからサソリがやって来た。たくましいふくらはぎ。銀色のベルが目立つ目覚まし時計を手でたたく。繰り返す、何度も、そして、また消えていく。雲のような。

ジョイント318

 何が違うのだろう、同じようにやってみたのに機能と結果が違う。鬱屈とした感情が必要なのだろうか。もっと攻めていかねばならない。握りこぶしが壁をぶち抜くまで。


2020/05/15

第三百十九環

 電子オルガンが並ぶ、音楽室。机代わりにオルガンを使って、肘を置いて、何かを誰かと会話。鷲掴みにした頭髪が皆抜けて、確かめた手のひらに大量の毛髪。つい、手を払ってしまい、床に散乱したチリ毛。原因は何だ、寄る年波か、遺伝か、ストレスか。髪の具合をを、頭頂部の様子を直に眺めて一気に心は不安な。なぜ、鏡もカメラもなく、頭頂部を見ることができのか、それはわからない。
 いくらか気が落ち着いてきて、これは夢だから、きっと夢だから、前にもこんな夢を見たことがあって、毛が抜けるとか、歯が抜けるとか、でも、目が覚めればなんにも変化していないから落ち着けと念じた。

 大量の自転車が並んでこちらに走ってくる。ルックスはどれも同じで、ネイビーメタリックのフレームに、ホイールは眩しいネオンカラーのピンク。
 くるりと一斉に曲がったかと思うと、その向かう方向に自転車と同じ色の棒が、地面から、縦横それぞれ4つの16本生えて、奇麗。一方向に伸びるはずの影はそれぞれの棒がそれぞれ個別の方向へ、あるいは縮み。
 見たことのない光景、青い細い棒と、その影が、奇妙な動きで。

ジョイント319

 できない。いつもできていることが今日はできない。昨日もできていなかった。今週は何もできない。目に見えないなにかが、私を、目に見えない糸で緩く縛っているような、緩慢さ。


2020/05/16

第三百二十環

 寂れた、色あせた場所にある、石庭。岩が左右に並び、見るたびに大きさを変化。カツカツと足音を鳴らしながら、奥へ進むと、寺のような神社のような、古い建物。覗くと中を、人が出てきて、急にテレビタレントと老婆による会話となり、それを近くで眺めている構図。
 ずいずいと奥へ案内されて、木の廊下、その先の資料室。机の上に、ガラスケースの中に、並べられた古い書物の数々。ずいぶんと古いものですね、これは貴重だわとテレビタレント。

 峠道、幅員は広く、車が4台は通れそうな、でも、2車線の道。近づいてきた向こうから対向車は、反対車線を猛スピードで走ってきて、寸前のところでかわすハンドル操作。さらに次の車、そしてすべての対向車が、反対車線を走ってきて、ここは、大阪から奈良へと抜ける道なのにどうしてだと、パニック。国について、本当にここは日本ではないのだろうか。
 片方が崖の狭い道に入った。たった今までのハイスピードによる高揚感が抜けきらず、何度もカーブを曲がり切れず落ちそうになる。ルームミラーで、後ろから誰も来てないことを確認して、車を停めた。

 垂らされた、天井から、金属の何か。輝きがあり、見るからに重そうでもあるそれは、チェーンのような。何かを栽培するのに使うようなことを誰かが言っているが、聞き取れない。
 一本の溝が、地面に彫られており、奇麗な直角を出している精度の高い加工で。電動の制御によって、天井からのチェーンは、徐々に下がってきて、きっちりとその溝に収まった。ほぼ無い誤差。

ジョイント320

 さっきまでの熱い議論は何だったのか。すっかり炎は消え去り、燃えかすだけが座椅子の上。しかし、ポジティブに考えるんだ。正しい答えに対したときに、ちゃんと受け入れ、自分の考えを相手に無理強いしなかったのだと。


2020/05/17

第三百二十一環

 特徴のない箱に、種のようなものを蒔く。暗くて周りが見えないから、ここがどこかも分からない。いったい何の種を蒔いたのか、考えても答えは見つからず、巻いたと思ってはいるものの、そこに土があるのかどうかも分からない。いったい、何をしているのだ。
 段取りは次があり、植えられたら、種を、そのプランターらしき箱は、前方へと進んでいき、巨大なプレス機でつぶされる。ルールに従った動きは延々と続く。加えられた強大な力により、先ほどまでのプランターと土は、金属の皿や鎖になった。

 縦方向に、下へと降りながら進んでいくアクションゲーム。向きを決める、矢印の、その方向へブロックが加速していき、他のブロックと衝突して爆裂。
 次に、横方向へ進むアクションゲームが始まって、キャラクターも障害物も大きさが変化して、大になり小になり、左から来たお助けキャラは、敵にぶつかり、ともに死んだ。
 ダブルで、この二つのゲームが、交互に映像として現れ、最初はプレイしたような気もするが、今はただ傍観しているだけ。結果はいつも途中でゲームオーバー、ほら、またダメか。

 感傷的な気分になる曲が聞こえて、それが流れ続けて、次第に、視覚は役に立たず、何も見えなくなり、4小節のフレーズだけが延々と繰り返されて、ずっと。

ジョイント321

 とりあえず行ってみたかっただけ。結果なんてどうでもよかった。そもそも期待してなんかなかった。そして、期待してないという期待通り、何も得られなかったし、出会えなかった。今日はそれでもよかった、少なくとも今日は、それで。


2020/05/18

第三百二十二環

 で、何が起こっていたのだろう、ついさっきまでの間。だいぶ時間はあったはず、しかし思い出せない、もはやごく一部の輪郭だけが、色も失って、半透明の。

 覗き込むような位置からの視線、男が赤子を抱いていて、向こうにいる女になにか話しかけているような仕草。三人ともが上半身裸。カメラのアングルと考えればいいのか、そこにいる4人目の目線であるのか、あるいは赤子の見ている風景、そのどれだろう。

 上方向に、箱のふたが持ち上がり、左から箱の中に爆弾が入れられて、再びフタがされる一連の動き。奇妙なのはそれらが勝手に行われ、そして空中に矢印が浮かび上がり、箱と爆弾の動きと一致。
 ちょっと前に、矢印を見たことを思い出して、それはどこでだ。段々とよみがえる記憶、さっきの赤子の視線にも矢印があって、緩やかな弧を描いた矢印は奥にいた女に向かって進んでいた。頼ろうとしている、赤子は、母を、その一心で。

ジョイント322

 でっかいカバンに本を詰めて、人生仕切り直しだ、再出発だ。日常を15分巻き戻せば、そこは非日常だ。しょうもないこと言うてくる奴は蹴っ飛ばして、土ぼこりを上げて、加速していこう。


2020/05/19

第三百二十三環

 うずくまり、部屋の隅のほうで、タンスを眺めながら、日が暮れるのを待つ。費やされた時間がどれだけかもわからず。ずっと眺めていたはずのタンスにはさっきまでなかった巨大な落書き。キャッチャーとアンパイアがすべての引き出しを覆う。
 上から、天使のような風貌の人たちが4人ほどゆっくり降下してきた。助けてくるような雰囲気。きらきらとしたセロファンみたいな白い服を着て、髪の毛とインナーは黄緑のアクセント。
 突然、ブタがやってきて、それは天使のような人たちが連れてきたものだとわかり、天使はナイフを手渡してきて、これでブタを捌けと、言わずとも態度で。

 でかいごみ袋、その横を歩いて通り過ぎる、どこかの公園の、S字の道。直滑降してきたカラスに襲われた。多分これからずっと襲われるんだろう。

 嬉しそうに話しかけてくる丸顔で小太りのスーツ姿の男は、プライベートなことを聞いてきて、デリカシーのなさにむかつく。黒いペンでホワイトボードに地図を描き、あなたの家はここでしょう、ここになんとかさんが住んでますよねと。
 問われれも返事をしないで布団の山を見つめていたら、スーツの男は消え去って、ジャージを着た猿のような男がやって来た。巧みな話術で笑いを取ろうとしてくるが、こいつの話す内容は何一つ面白くないから、帰れとだけ伝えた。倒れてきた布団の山。

 膜が張り、さらに濁ってそこが見えない、浴槽の湯。湯舟は岩を組み合わせた立派な露天風呂。老朽化しているところはあるが、泉質は間違いないから、その濁りを見てくださいよと、誰かがどこからか言う。
 動きながらちょうどよい湯音の場所を探していると、手に持っていた財布が濡れてしまった。大切なレザーにしみがついてしまうのではと心配になって、風呂タイムは終了。

ジョイント323

 上手くいかないときは、何かに逃げ込みたくなる。物語の中へ、誰かの言葉の力を借りて。


2020/05/20

第三百二十四環

 適当にやればなんとかなる、みたいなことを言った。立ち替わりまた誰か別の人がきて、何かを伝えた。多分そういうやり取りが何度かあって、全体としては和やかな雰囲気で、田んぼ沿いの道を歩く。
 車のように、4つの車輪が付いた岩。割と大きめで、先端がとがっていて、底面はフラット。遠くから見るとまるで岩、近くから見ると張りぼてだろうと高をくくって、近づいてみたら、偽物っぽい、でも本物の岩だった。
 試しに押してみる、力を込めて。てのひらに伝わる岩のざらつきと硬さ。さほど苦労なく岩は動き出した。頼りになる、車輪の仕立て。

ジョイント324

 店員がいなくても成り立つからといっていなくてもいいというわけではない。今から言うことをメモっておいてください。店員はレジを打つだけの存在ではないと。


2020/05/21

第三百二十五環

 途切れて全体像がつかめない会話。忘れてしまった、さっき誰かが言ってきたことを、もうすでに。逃げられない、追い詰められていく、まだ余裕はあるが、今後どうなるのか見えない。いい事もある、見えないから、不安はまだ生まれてこない。
 生き物、かごに入って、かごよりも頑丈な檻の向こうにいて、どちらであるかわからないで。デッドスペースにスピーカー、アイボリーの長方形の箱がぽつんと。

ジョイント325

 とても疲れる。普通の人にとっては普通のことをしているだけなのに。ぐったりしてしまう。叫びだしたくなるし、腕を振り回して走りたくなる。車の中で大声を出して、なんとか添え木をして、保ったバランス。


2020/05/22

第三百二十六環

 少しばかりのいざこざがあり、口論になったかどうかははっきりとしない。居間だったか寝室だったか、相手はにやついてこちらを見ていたようにも思うし。しかし、一方的に罵倒したような気もする。

 ルートはパーティションの裏を通る道。力を加えれば壁沿いの、一番端のパーティションは、ずらすことができるので、そこから身を滑り込ませれば。バックステージへと、体育館よりも大きな、インテックス大阪よりは狭い会場。裏に回っても、聞こえてくる来場者の声。
 ええ感じに事が進んで、予定よりも半時間ほど前倒して進んだから、休憩を取るなら今です。

ジョイント326

 すっとした。胸のつかえが取れて、大きなため息、それは前向きな気持ちへの切り替えのため。存在しえない理想を追いかけて、今日も続く未知への旅路。


2020/05/23

第三百二十七環

 スノーボードとスキーの大会が開催され、その様子をテレビで見ていたら、いつの間にか。会場にいてゴール地点、選手と監督の悲喜こもごもを間近で。出てきたのはメーカーの社長、トップタイムを出した選手が使用している道具のスポンサーのようで、選手の活躍に大いに喜んでいた。

 単純化された図、それが、大きな世界をすべて表すことができるということに気付いてしまった。立った三つの要素、図の最も上にあるのは雷のマークで、そこから下へと降り注がれる小さなひし形の雨。目印のようなアルファベットのような二つのアイコンはその煌めく雨を吸収し、自身の力へと変えていく。
 繰り広げられているのはいつもこれと同じことだ。大部分においては毎回変わることは無く、表面上の少しの違いによって、印象が変化す。

ジョイント327

 少し気を抜いたら、案の定、悪い結果となった。明日はちゃんとしよう。今日のことは今日の事として。


2020/05/24

第三百二十八環

 定員オーバーのような気がする、この車には何人乗っているのだ、男と女。何時間、こうやって走り続けているのだろう、まっすぐな道、両脇には田んぼ、何も植えられておらず、寒々しい。
 いくらかの時間がさらに経過して、朝食を摂りましょうよと、車内のマイクで皆に提案した。たどたどしい言い方だったかもしれない。いつもなら絶対にしない、チャラい感じで言おうとしたからだ。だれも、ノーとは言わなかった、うなずくだけだった。単純なモーニングでいいかなと思うんですけど、どうですか、コンビニっていうのは味気ないと思うんで。できればファミレス、ガストとかでいいんですけど。
 どうやら、提案は受け入れられて、車は止められた。多分どこかの街の中。

 囲まれている、周囲を、工事用の足場で、最上階まで全部、このビルは12階建て。抵抗感なく、入り口から、真っ暗な奥へと進む。

 無彩色の部屋は広く、天井も高く、部屋の中央に膝の深さまで掘られた正方形のくぼみ。見立てでは10メーター四方ほど。
 どこからやって来たのか、女性が4人いつのまにか立っていて、うち3人はくぼみの上に浮いている、どうやって、とは疑問に思わなかった。ただ、そこにいることだけを認識した。
 たちまち彼女たちは踊り始めて、羽織っていた白い布を脱ぎ捨て、胸をあらわにした。太鼓のリズムが聞こえているような聞こえていないような。
 何のために踊っているのか、なぜ裸なのか、何ひとつ分からない。言えるのは、彼女たちは背が高いということだけ。

 煙のような、きらきらと輝く細かいかけらを使って政治を行う。生み出される政策はすべて素晴らしいものになると説明する外国人らしき男。粉を振りかける映像を何度も繰り返して。  

ジョイント328

 天気が良い。暑くなく、涼しすぎず。カーテンを揺らす外からの風が心地よい。行かなくていいところには行かないで過ごした。死んでほしい人は誰だろうと考えた。


2020/05/25

第三百二十九環

 多分そんなのはないだろうに、ドラマ版スーサイドスクワッドを見た時の記憶がよみがえる感覚を味わう。うまく人に説明ができない、それぞれの場面を、どのようであったかについて。

 テーブルの上に並べられた色鮮やかな水筒やカゴなど。どうやらここは社長室であり、窓から見える園と景色は、だだっ広い土のグラウンド。
 同級生のような男が隣りにいて、テーブルを挟んだ向かいには老齢の男。この爺さんがどうやらアウトドア業界で働く社長らしいとにらんで、プレゼンテーションの攻勢開始。しゃべり続ける、今まで密かに暖めてきたアウトドアグッズのアイデアの数々。ずっと黙って聞いていた社長らしき男が、アウトドアグッズは儲からないからやめといたほうがいいよと言って、この場は終わり。

 立派な壁、あるいは堤防のような、コンクリート製の高く分厚く、どこまでも続く構造物。作ったのは俺だと主張するよぼよぼのじじいが近づいてきて、壁の前にある屋台でコロッケを買わされそうになったから、振り切って、走って逃げた。たちまち壁も屋台も周囲の人も消えた。

 建てられたのは相当昔だろう、そして、この巨大マンションは一度も改修されていないのだろうと、ヒビだらけのコンクリートの壁を見て思う。
 薄汚いドアが並ぶ廊下、住み込みの自室、550号室を探すが見当たらないので、昼の休憩が取れない。一階上にあがったり、中間の階に下がったり、マンションの廊下はどんどん複雑化していく。
 くらっとして、目の前の風景が揺れ始めたと思ったら、廊下に人が溢れ出し、悲鳴を上げながら、すべての階段を人が満たし、皆が走って降りていく、これは地震だ。大地震が起きたに違いない。

 今、地震は起きた、フランスで。
 泥溶岩が固まってできた巨大な岩をくり抜いて作った城が山の上。遠距離からは無事に見えるが、きっとこの地震であの城も壊滅的被害を受けているのだろうと想像した。

ジョイント329

 たっぷりと時間をかけよう。焦ることは無い。最終的に良い結果となることだけを考えて、行動するのだ。


2020/05/26

第三百三十環

 大事そうに保管されている巨大な機械が気になって、被さっている布をめくってみたら、それはタイムマシンだった。タイムマシンだったということよりも、布にグリスが付いてしまったことが気になって、そこから先はもうどうでもよくなった。

 タイトな空間、シャワールーム。ムカデが出そうな黒カビの巣窟。つま先歩きで進んでいく床にはマットも敷かれず、不快さに叫びそうになる。ルーム奥から入り口を眺めると、外には昭和時代中ごろの景色が広がり、アスファルトの舗装もされていない地道に人がたむろ。
 ロングなシャワーの配管を引っ張り出して地面まで持っていき、シャワーヘッドを分解し始めた、誰か分からぬ男が。がばがばと分解すればするほどシャワーヘッドは巨大化していって、分解が終わったころにはパイナップルほどに。  入念に洗い始めたシャワーヘッド内部からは、これでもかと汚れが噴出し続け、嫌な臭いを放ち始めて、周囲の人は皆、何度も嗚咽を繰り返す。すさまじい悪臭はこちらにも漂ってきて、もうだめだ。

ジョイント330

 ダメージが大きいうえに、自分で自分に攻撃をし続けるから、勝てるはずもない。逃げるよりほかに手段はないと思い込み始めている。そうなるともう手立てはない。らせん階段を下りていくのを見守るだけ。


2020/05/27

第三百三十一環

 景色に見覚えはなく、今までに来たことのないどこかの駅のロータリーでBMXを漕ぎだす。すいすいと坂を上り、坂はスロープへと変わり、屋上駐車場にたどり着いた。高さが怖い。意気地を振り絞り、柵から身を乗り出し、下を覗く。くらっと眩暈がして、すぐにその場を離れた。
 楽しいなあ、自転車に乗るのは、風を切り、前に進む感覚。
 黒縁メガネの男が前方に、自転車に乗っている、のかと思ったら、一輪車だ。台の大人が、街中で一輪車に乗って移動しているのを見たのは初めてだ。大口径のホイール、背もたれ付きのサドル、そんな一輪車に乗っているあの男は、きっと普通の人ではないのだろうと思い、警戒して、距離を置いた。

 大量に積まれた電子部品や基板のようなものの数々。ずいぶん前からここに積まれて放置されている気がするが、しかし、ここがどこなのかは分からない。いや、ここはどこでもなくて、場所ですらないのだろう。うっすらとベージュ色した基板がやたらと目立つ。

 つい焦って、早めに家を出てしまったせいで、もう試験会場に着いた。たっぷりと待ち時間が発生。今、9時だが、試験は10時だ。だいぶ余裕がある、どうやって時間をつぶすか。考えてみている、この辺になんか店とかあったっけ。

ジョイント331

 決定せずに今日に伸ばしておいて正解だった。予想と全然違う返答だった。でもそれでいいんですか、全然、フルパワー出せてないですけど、こんなことで本当に世界と喧嘩できるんですか。


2020/05/28

第三百三十二環

 駆け抜けていく、部屋の中、そして壁を突き抜けて、隣の部屋へと。隣の部屋からさらに隣の部屋へと一直線に。二輪車オートバイにまたがって、恐怖心を払い去って、猛スピードで走り続けると、目の前の壁はすべて眼前で透明になり、部屋部屋部屋、そして出入口。

 ちょうど雨の止み間、バイクで買えるなら今がチャンスですよ、ぬれずに帰れますよと、不明の男。小脇に抱えていた書類を折り曲げてウエストポーチにねじ込もうとするが、大きすぎて入らない。
 行こうとする方向には駐車場を横切って、その途中、高級SUVがバックで近づいてきた。高い車に乗っているんだなあ、それに比べてぼろいバイク、この差はどういうことだ。ダメな気持ちになってきて、ひどい劣等感が湧いてきた。楽しくもなんともない、人生なんて。
 テールライトを光らせながら、SUVはバックで方向を切り返そうと、その瞬間、停めてあった誰かの原付バイクにリアバンパーがぶつかった。

 たちまちにまた雨は降りだして、もう濡れて帰るしかないやんか。

ジョイント332

 過酷なトレーニングは明日の自分のために。汗を流し、声を荒げ、肉体を痛めつけろ。超回復によって別人へと生まれ変わるのだ。
 低い体勢のタックルで全員を吹っ飛ばしたれ。


2020/05/29

第三百三十三環

 連続したいくつかの部屋はそれぞれ1か所ずつの出入り口を持ち、最初の入り口から、最後の部屋まで行ってそして戻ってくる動き。きらめく照明、床には柔らかな人工芝。バリエーション豊かな演出でそれぞれの部屋に個性。
 行こうとすると、その進路を阻むのはサッカー選手たち。近くに遠くに、フォーメーションを組み、華麗なドリブル、置いたコーンを左右に切り抜け。蹴って球を、しかし目的は分からない。
 いたかと思ったらもういなくて、また別の場所から現れて、彼らはホログラムによる幻なのか。

 角ばった車体は巨大で、濃紺のボディカラーが周囲に威圧感を与える。ルーフに隙間なく重ね済みされているのは液晶画面で、数えきれないぐらいの画面が一斉に同じ映像を流す。スイッチであったり、稲光であったり、コンセントであったり、アルファベットのGであったり。

 理由も分からぬまま、見ず知らずのおばはんに説教され、おばはんの軽に乗せられた。立っていられる不思議な空間の車内は、全面がサンリオのキャラクターで埋め尽くされていて、からし色の壁紙と相まって目が痛い。椅子は、助手席側にはなく、さっきからずっと正座で、おばはんの説教を聞かされ続け、でも、話の内容はなにも分からない。いつまで続くのだろうか、これ。

ジョイント333

 冷静に、現状をしっかりと観察することが肝要である。ぱっと見は大惨事に思えても、部分を観察してみれば、十分にコントロール可能な事案である場合も多い。


2020/05/30

第三百三十四環

 椅子に座っていた。たまに誰かがやってきて、肯定的なことを言って去っていった。例えば、大丈夫だとか、まだ時間的に急がなくてもよいとか。
 家具や、風景は、ほとんどの間何もなく、その概念もない場所で、いつしか、椅子に座っているのか、立っているのかすらあいまいになって。手は見えたが、それが体の一部かどうかはわからない。意識の中で考え事している部分があって、考え事の中で、考えている人を想像して、その考えを見つめているような、だから、形になりづらい。

ジョイント334

 いらないです、助けがなくてもやっていけます。自分の力を駆使すれば何とかなりますし、そうすることで力を伸ばしていけるから、横からちょっかい出さないでください。拡張し続ける作品として捉えてください。


2020/05/31

第三百三十五環

 いきなりサイレンの大音量が聞こえて、眠っていたところを反射的に外へと駆け出す。すっきりとした真夜中に人は誰もおらず、もうサイレンは聞こえない。いったい何事。盗り人、火の事、想像を巡らすが、誰も何もヒントはない。  いつまでも心臓はバクバクと脈打ち、この出来事のすべてが、別のこれから起こる出来事の象徴なのではないかと、別の心配をしだす。

 すかすかの庭に、数本の細長い植物。束にされたオクラなどがほとんど栄養もなさそうな砂地に植えられて、寂しい。
 異常に細いメロンの苗が、上に上に、徒長し続けた結果、ブロック塀を乗り越えて先端がどうなっているかもはや確認できない状況。
 植えられた植物たちの姿を眺めている姿を、そばを通りかかった小学生の集団に見つめられて恥ずかしかった。
 頼りない金属のフックが軒先の裏の木材にねじで留められていて、長年の風雨にさらされて、そして、錆びた。多少の力で引っ張ったらもげた。頼りない、劣化したねじはもう使えない。

 今さっきまで眺めていた軒先の裏は、天井に変わり、ここは一つの部屋に三つのシーリングライトのある、奇妙な部屋です。
 スイッチを押してもライトはどれも点灯せず、交換することになって、天井から降りてきた小さなゴンドラに乗り、上昇していく。くだらないテレビ番組がやっているのが見えた。
 体勢が不安定で背中を甥に支えてもらいながらやっと天井に手が届くところまで来たと思ったら、いきなりライトが点灯して、点灯したなら交換する必要がないという冷静な判断はできず、ブレーカー切っとけいうたやん、と怒鳴った。  大変に思いライトは両手で抱えて慎重に床に降ろした。多層構造になったふたを外すことさえろくにできず、こんな調子で三つのライトを交換できるんだろうかとあきらめムード。

 どこからか女性の声が聞こえてきて、その人曰く、三種類のLED照明が乱立する状況はまるで、ゴーラン、ミロ、パンジィみたいやなあと。問いたかった、それが何か。影も形もないその人にどうやって聞いていいのか分からないまま。部屋ごと消えた。

 立ち上がる意識、蕁麻疹のように現れては消えて。手首からひじの辺りに何度も繰り返すぶつぶつのような不快さ。さりとて薬があるわけでもなく、なぜなら心の内部のイメージとしての蕁麻疹であるのだから。ラストになってくれと願い。

ジョイント335

 いきなり物は壊れる。原因は必ずあるが、事後であれ事前であれ、分かったからといって手の施しようがあるとは限らない。起こってしまったことはどうしようもない、忘れることだ。


2020/06/01

第三百三十六環

 大団円へと向かう、その少し手前で、見ず知らずのじじいが、お前は昔歌手だったと言ってきた。確かな記憶、不確かな記憶、どこを探してもそんな経験を思い出せないから、爺のたわごとを無視。

 小規模な団体旅行の最終日、朝食の後、旅館の外にある喫茶店で今日の予定の決定を話す。好きなところに行くというのはとても良い事だから、どこに行きたいか。
 夏季ではなく、まだ肌寒い初春であるから、バナナ農園は甘く実っていない。一同全員が、うなずいたので、バナナ農園に行くのはやめにした。

 田畑に囲まれた砂利の更地と小庭。割と最近まで、ここには旅館が建ってたと思うんやけど、おうてるよな。何となく自分に聞かれているのだと察した、近くの女性が無言でうなずく。
 黒土の畑に植えられた白ネギ。仰山植えたあるなあ、そういえば昔ここでシイタケ栽培してたよなあ、と農作業にいそしむバイトに聞いたら、最近来たので知りませんと言われた。

 たゆまず流れ続ける川の水は透き通っていて、水深1メーターの川底がありありと小石の一つ一つまで。でかいカーペットのようなロール状のものを川底に敷きだして、これは何かと聞いたら、水質をコントロールするカーペットだと教えられた。
 ただひたすらにきれいすぎる水では魚が繁殖しないから、これを敷いて泥を増やすと魚も増えるらしい。

 意味不明な数字がいくつも現れて、対になっていて、4つと2つ。対は他にもあって、4人と2人、きっとほかにも数字はあったはずだ。
 脱獄するために、あるいは脱獄したから、数字が表れたらしい。

 いかがわしいわけではないが、普通ではない、全面ピンク色の廊下のホテルを歩いて部屋へと向かう。ウェディングドレスのような、レースだらけのベッドは、ダブルベッドのように見えてツインだったから、男二人で泊まるのでほっとした。
 大量の荷物を一旦この部屋に置いて、別のホテルの部屋へと移動することになっているから、急いで身支度。暗い廊下を進めば、そこはもう別のホテルだった。

 立ち尽くして、何をするわけでもなく、二組の漫才師が、ぼうっとしている。ルミネ座吉本に出てる人たちですね、そうです。
 少しの会話、気が付けば、古いドラマのスタッフロールが流れ始めて、現実と映像がまたごっちゃになってきていることに気付き、ぐったり。

 料理を売る屋台、店員はうさん臭そうな男で、男も店も、牛耳っている会社も、全部信用できそうにないから、何も注文しなかった。他の人たちは何かをどうやら頼んだ。

ジョイント336

 大事なのはサイズです。そこに最もこだわりを持ってますので、一切妥協はしないつもりです。


2020/06/02

第三百三十七環

 数字とアルファベット小文字の組み合わせによる、型式のような文字列が十数個並んでいて、それらが何を表すのか最初分からなかった。縦方向に、上から下へ文字列が動き出し、大きな円運動の一部を切り取ったように見えた時、これらの文字列が朝食を表しているのではないかと気付いた。
 たとえ、それが正しかったとして、じゃあ詳細はとなると、なにも具体的なことへと発展せず。

 ずんずんと車は道を進んでいく。車は5人の男女を乗せて、荒っぽい運転手の出しすぎるスピード。時折、カーブを曲がり切れずガードレールに接触。
 暗い森の道、路駐している対向車のせいで先へ進めない。怒りを沸騰させた右隣の運転手は相手ドライバーに暴言を立て続けに。にやにやしながら、相手ドライバーは車を移動させ始めた。大変申し訳なさそうな、相手ドライバーの助手席の女性。幾度も頭を下げている、妻だろうか。加速し始めた対向車はバックするはずが前進し、正面衝突。追突した方もされた方も、フロントガラスが粉々に。

 二車線だった道路は狭くなり、いまや人ひとりがやっと歩ける程度の土の道。直角に、ヘアピンに、つづら折りに、道は険しさと勾配を増していく。車が通れるような道ではないのに、なぜかこの車は山の奥へと進んでいく。
 車に乗っている感覚と、車を外から眺めている視界と、和室で薀蓄を聞かされている状況と、それらがランダムに切り替わりながら、時を過ごす。

ジョイント337

 すっきりするのはその一瞬だけで、ちょっと時間が経てば、またしんどさがぶり返してくる。時が解決してくれるのを待つしかなさそう。


2020/06/03

第三百三十八環

 うとうとしていると、近くで誰かが悪口を言っているのが聞こえてきた。玉ねぎを育てるとか言うてますけど、北海道まで飛行機で行って畑耕すんですかね。燃料費考えたら、明らかに赤字ですけどね。
 念願だった野菜作りにぴったりの土地に出会えたのが北海道だった。黒く栄養豊富そうな土で作るのは玉ねぎがいいのではと考えているのを、誰か知らんが、誰かがけなしているのだ。
 誰にも迷惑かけてないだろう、やりたいことやって何が悪いのだ。

 大胆にデフォルメされたイラストが、どうやって描かれたのか、そのプロセスについて。手順は、本来の製作工程と別のプロセスがあるのだという。うっすらと、柳さんという人のことを考えているが、それが誰なのか、皆目つかぬ見当。

ジョイント338

 動かずじっとしているその姿。手を差し伸べてみようかと思ったが、そっとしてやるのが愛情だと思い、我慢した。鈍りきった人間と、野生の爬虫類の間に、一瞬生まれた関係。どこを見つめていたのか。


2020/06/04

第三百三十九環

 カレンダーのような、格子状の物体。勢いよく、その四角がひとつずつ、順に白く光っていく。くじの箱、破いて中のおもちゃを取り出す、駄菓子屋の、を想像したりもした。単方向に、カレンダーであれば、未来へと進む方向に白い光は進み、また左上へと戻るを繰り返す。スイッチが切り替わったかのように、突然、過去へと進み始めて、カウントダウン、カウントアップ、という言葉が脳裏に浮かんだ。

 誰もいなかった、いたかもしれないが、いたかどうかはっきりとしない。岩と土の、赤茶けた世界に立つ。続きがあったのだろうか。勝手に誰かがしゃべっていたようでもあり、ただ、オートバイが横にあっただけなのだろうか。

ジョイント339
 かつての記憶がよみがえる。ああ、こういう感じだったなと思わずこぼす。楽しかったが、戻りたいとは思わない。戻りたい過去などどこにもない。戻れなくて、本当に良かったと思う。


2020/06/05

第三百四十環

 うじゃうじゃと人がおり、皆は同じ方向に向かって歩く。暗くて広くない入口の先に奥行きのある集会場のような建物へと入っていく、全員が。ガサツな男はブーツを脱いで放りっぱなしだ。誰かが脱ぎ捨てたロングブーツは途中で萎えて、隣のサンダルを圧している。
 ルームの床はフローリングで、明るい基調。
 うるさいから、外へ出ようとしたら、履いてきた靴がなくなっていた。

 縦に長い行列をバスターミナルで作る人たちの、先頭が、案内係に文句を言い始めた。タイムテーブルがちゃんと考えられていないから、帰りのバスに間に合わなかった、どうするのかと。途中の話をカットすれば、間に合ったはずなのにと。

 とても狭い部屋。野郎ばかり6人ほどいて、窓の外を気にす。すでに季節は冬であることが、鈍く低い空から読み取れた。
 体育が一時間目の授業だと主張する人が半数、残りのやつらは授業がないのではと言う。裏付けのない意見ばかりで、結局のところ、どうなのか誰もわからないでいると、若い体育教師が部屋に入ってきた。
 体操服を持ってきていないことを、伝えたら、教師は何と言ったか。カットされたのかそもそも存在しないのか、何と言ったのか分からない。

 一定のリズムを刻み続けるノイズがどこからともなく鳴っていて、手元をみるとサンプラーがあった。大量のツマミを操作することで、ノイズはサンプリングされ、増幅され、重ね合わされ、それによって、元々持っていたリズムが強調されていった。
 体育の事はもうどうでもくなって、もし授業があったとしても、出なくていいやと、ビートの波に沈みながら思う。

ジョイント340

 うるさく何度も、金を払うと言っているのに、請求してこないような出来事だ。損をするのは向こうなのに、なぜかこちらが不安になってくる。誰かが何かに気付いてないんだ、でもどうしたら。


2020/06/06

第三百四十一環

 ラフな格好、半袖半ズボンで、峠道を一山超えようと歩き始めて、最初はアスファルト。時折、地面は砂地のようになり、あるいは、周囲からは雑草が伸びてきて、足がもつれる、苦しみ。
 店の体を成してない、建物はおろか、テントすらない、青天井の、古着屋が道に服を並べて、店員もおらず。ずらりと白いシャツがハンガーラックに並んでおり、掘り出し物はないかと端から順にみていると、横に誰か来たので、古着の薀蓄を披露して見せたが、人はすぐにいなくなった。
 畳んで道に直接置かれているのはTシャツで、音楽関係がプリントされたるを気になりて、値札を観たら¥12,800-で再び地面に戻した。高いのは、特にクラシック音楽関係のようだ。

 誰でも無料で笑わせてあげます。素晴らしいでしょう、でも、毎日数百万円は払ってください、と誰かが自らを積極的に売り込んでいて、言ってることが理解できなかった。

 タイムトラベル、数秒だけ戻った、もしくは時が止まったような気がしたら。

ジョイント341

 ラッキーなことだし、良い傾向であると思う。乱雑に扱ってしまったことが気がかりだ、今は深く反省している。無事であることを祈るばかりだ。


2020/06/07

第三百四十二環

 大都市から遠く離れた海辺の駅。来そうにない列車を待つ多くの人たち。中途半端な気持ちであるのは、この人たちに伝えたいことを、それが何であるかははっきりしないが、ちゃんと伝えられていないからかもしれない。  石垣で隔てられた駅と道路。ローカル線の、この駅には待合室もなく、駅員もおらず、改札らしきものも見当たらず、列車は来ないかもしれない。

 一時ごろ、午後の。伸び放題の草むら、その奥には立派な杉林。静かな山道はなだらかに下って。敵兵を捉えた軍人が、麓に向かって歩いていて、きっとこれは映画のワンシーンなのだろう。うつ向いたまま歩く敵兵。
 いきなり、後ろから馬に乗った武士が駆け寄ってきて追い抜いて、軍人たちの一団を制止した。たたずまいはまさに武士であるが、顔に現代の製品と思われるゴーグルをつけていて、そして、そのゴーグルは上下が逆さまだ。
 誰かが、そのことを指摘すると、武士は急に演技することをやめ、そのゴーグルについての説明を始めた。たちまち映画の中の設定は崩れ、雑談が始まってしまった。

 高くそびえるダムの壁。勉強の成果が表れて、その壁のシミュレーションができるようになった。たった2つの引数を与えるだけで、その関数は機能するとわかったのだ。

 だだっ広い畳の部屋で胡坐。ライトが眩しい、畳も壁も真っ白に見えて、本当の広さも分からないほど。どこからか人がやってきては、うろうろして、また去っていく、消えていく。
 苦言を呈しに来たのだろうか、昔の上司らしき男が、なにか説教じみたことを言ってきたので、理路整然と反論したら、あっさり消えた。太刀打ちできなかったのだ、情けない奴だ。
 誰かまた来て、それは映画監督のようで、自身の作品と、人生の最後について語り始めた。たちまちつまらなくなってきて、適当に相槌を打っていたら、部屋の明かりもそろそろ適正だ。

ジョイント342

 段取りを適宜組み替えながら、完璧な任務遂行であった。パーカーのチャックで首の皮を挟んだ。北口と南口を間違えた。財布に金があるかどうか確認してなかった。そんなことは些細で楽しいノイズ。


2020/06/08

第三百四十三環

 ずっと電話が通話状態になったままで、つまり、切り忘れていて。手続き上、そういうのは勝手にデータ通信モードになるらしく、知らないおっさんから電話がかかってきた。
 単刀直入、おっさんは、ずっとデータ通信を行い続けたので、通信料が1億円になっているんですよ、これはもうどうすることもできないんで、支払う必要がありますよ、と。
 唐突にそんなことを、あっさりと、いきなり逃げ道塞がれて、破産するしかないか。金そんな無いし、貯金全部降ろしても無理やし。しかし、その直後に、どうせ夢なんだから、うふふ、この死亡宣告をもうちょっと楽しもうと、味わい続けることにした。

 大量の写真が箱の中から出てきて、それらはすべて中学時代のスナップで。でも、どの写真にも何の記憶もなく、当然思い出もなく。クローン人間の別の人生を見ているような、この人はいったい誰なのだろう。
 うち1枚は、ヘリー・ハンセンのジャンパーを手に持っていて、でも、そのジャンパーは確か25歳ぐらいの時に買ったはず。ずっと前の中学時代の写真になぜ写っているのか、急に怖くなってきた。
 多分、何かの見間違いだ、同じ黄色の別のジャンパーに違いない。今一度、確かめてみればきっとわかるさ。さて、さっきの写真は、と繰ってみるが、あの写真は見つからず。

ジョイント343

 ずるずると奥深いところに落ちて行ってなかなか這いあがってくることができなかった。やっと空が見えるぐらいまで穴を登ってこれたが、外に出るにはもう少しかかりそうだ。目的なんて今は考えないでおく。


2020/06/09

第三百四十四環

 空気のない川の底で、老人がどうやって呼吸を維持しているのかが不思議で仕方ない。いつまでも水面に上がってこず、それどころか、底の砂について説明し始めた。堆積した砂は、地層のように縞模様を作り、硬いところ柔らかいところが重なり合っているのだと老人は言う。美味そうなスイーツみたいな見た目だと思った。例えばティラミスみたいな。

 何色もの球体がテーブルの上に並べられて、色の意味や効果について、もっと知るべきだと女が力を込めて言う。うるさい奴だと思い、その場を離れようとしたら、女はカラーコーディネーターの資格を取った方がいい、と連呼し始めた。
 たちまち、球体はそれぞれが支払い方法に変化し、でも、結局、Suicaがあればどんな改札でも抜けれますやん、他のいらんし、と言ったら、周りの人は全員消えた。
 単調な機械音を繰り返す自動改札機だけが、目の前にあり、通ることを誘う。美しくステンレスが輝く。

ジョイント344

 工夫次第でしんどさは忘れることができるということが分かった。内側から湧きだすエネルギーとパッションで自分の体をコントロール不能の手前まで持っていけ。


2020/06/10

第三百四十五環

 喧騒。薄着の人たちに囲まれ、床に座り、じっと耐えているのか待っているのか、それは何に対して。天井は低く、出入口はここから遠く、立ち上がりどこかに行くことも難しい状況。
 うるさい、人のような塊を両手で押しのけて、左前方の女に声をかけたのは、それが知り合いのような気がしたからだ。黙って振り向いた女は面影こそあれど、顔中にニキビだらけで、まるでモンスター化した老婆だった。大切そうに抱えているのは赤子、ゴボウ色した肌はしわだらけの猿の子。昏々と、老婆の背中におぶられて眠るもう一人の赤子は、ふくふくとした頬、白い肌、神の子のようだった。

 タクシーを使えばいいのにと提案したが、母は歩いて駅まで行くと言って、会場を脱出。通夜か法事らしきことをしているであろう雰囲気が漂うこの建物から、駅までは相当あるから、心配になり、車で後を追った。辿っていく同じ道、中間あたりで追いついて、結局駅まで車で送った。

 たくさんのドアが並ぶ、大型ホテルの廊下。完璧に掃除され、室内も、見るまでもなく、きれいであることが想像できる。ルームナンバーは4桁の数字。
 じゃんけんやくじではなく、ティーバッグの中身のブレンドによって使用する部屋を決めることになって困惑。黒い茶葉、摺りつぶされていない粒のままのスパイス、砂のようなざらつく物質。つまみ上げた、このティーバッグをまじまじと眺め、今日泊まる部屋へと目線を向け。

ジョイント345

 結局、いつも同じだ。余裕ぶっこくとその直後にバッドニュースがやってくる。それは俺のせいなのか。沈黙は金を信じ続ければ何も起こらなかったのか。必然でも偶然で、それをどこから眺めるかが問題だ。


2020/06/11

第三百四十六環

 段々と姿を現してきて、それは鳴き声から想像したであろう、カモメのような鳥。両方の翼の先に茶色いワンポイント。途絶えることなく、チーチーとキューキューと鳴きづづける、カモメのような鳥がであるか、声だけが存在するか。

 片田舎に、雑居ビル、簡素な玄関ドア。開けて中に入ればおにぎり状に二辺から登れる階段があり、二階は個人経営のトレーニングジム。
 無造作に置かれた器具、どれも高そうで本格的。興味がなく、すぐに降りてきて下足箱。このジムには有名人が来ているのだなと、ロッカーの名札を見て気付く。靴が、同じものがいくつも並んでいて、どれを履いて帰ればよいか分からなくなり、悩み、立ち尽くす。
 すると、無料体験にやってきて女性客が二人。利用者には芸能人もいるようですと教えてやろうかと思ったが、ミーハーすぎるので沈黙。

 クルマが、どれも派手で、ごみ収集車までが派手で。電飾や、フリンジや、本革レザーシートを装備だ。

ジョイント346

 誰もそんなことをしろと言っていない。なんで勝手にやってしまうのか。おかしいと思わなかったのか。出るのはため息ばかり。


2020/06/12

第三百四十七環

 料理のフルコースを食べながら、筋肉について意識。今日はフランス料理。両肩から大胸筋にかけて力を込めるように。

 荷台に立て看板を乗せれるだけ乗せて、小型トラックは田んぼの中のまっすぐな道を進み、各ポイントを巡回していく。組み立てて使うような感じの立て看板、それは何かの目印にもなっているのだろうか。
 傍らに道の、設置していくのが基本の手順なのに、この場所だけは水田の中に置けと言う。ウエストまでの長靴を履いて、田んぼの中に入っていくと思っていた以上に深くて、あっという間に首まで水につかってしまった。助けを求める、誰も来ない。一様に皆笑うばかりで。
 電気も家具もない、大きめの洞穴の中で、男数人がおにぎりを食べ始めた。食べるだけでは物足りず、男たちはおにぎりの具当てクイズを始めて。的中したら盛り上がり、外れてもまた馬鹿笑いし。
 しばらして、洞穴から出て、大学生が多く歩く道に出た。タンクトップでジョギングする人。とても背の高い男。怖かったのは、膝から上が顔の黒人男性。いきなり何か話しかけてこられて、何もできなかった、恐怖のあまり。

ジョイント347

 理解してくれる必要なんてなくて、ただ僕が自分自身が天才だということを再確認出来たらそれでもう満足です。体長も悪いし、それゆえやる気も出ないし、とりあえず今日は、もうこれ以上はやめときましょう。むなしくなるだけだから。


2020/06/13

第三百四十八環

 埒が明かない、いつまでたっても順番が来ないから、もう帰ろうと決めた。食べ物を提供する店、理髪店、もしくは相談をする場所、あるいはそれらが混然となった部屋。屋根は透明の波板、外でも内でもない金属の長い階段を下りていき、さらに急な下り坂を進む。
 無機質な灰色の壁の工場と、今歩いている道の間に金属の道があり、後ろから来たモトクロスバイクが猛スピードで追い抜いて行った。高く飛び上がり、それはジャンプ台の絶妙な傾斜とライダーの心技体によって成功された。高くまた別のバイクが飛び上がり、それは何台も。
 持っていた布団をロール状に丸めて、スクーターのメットインに入れて帰ろうとするが、どれだけ力を込めて押し込んでもシートは閉まらない。イライラしつつも奮闘していると、さっきの店の関係者らしき男がやってきて、どうですもう一回来ませんかと。とてもじゃないが、あんなところには二度と行くかと強い口調で追い返して、押し込む作業を再開す。

 透き通って、もはやそこにあるのかどうかすら見えないほどの、ふたつのフレーズ。
 ずっと大事にしてきたこのフレーズを使えば、口座を作れますよと、銀行員が説明してくれたが、理解できず、何のことやら。

ジョイント348

 楽天的に考えていて、敵などやってこないだろうと無防備でいてしまった。壊滅的被害を受けた隣近所とうちは違うのだと甘い算用。ところがどうだ、あらゆるものに天敵はおるのだ。そいつらの糞をせめてもの肥やしに俺は生きていく。


2020/06/14

第三百四十九環

 崩れていく山肌。大規模に、音を立てて、あちらでもこちらでも次々と。
 途方に暮れる、ここがどこなのか分からないから。ラインのない道路がまっすぐ伸びて、向こうのほうで45度の分岐を伴い、その先は日本の道が並走。後ろに母の気配。居眠りをしているようだ。
 誰もいない。家もない、街灯も、標識も、ガードレールも。文様を描くように、山肌には直線と角を組み合わさった幾何学図形がびっしりと埋め尽くす。すさまじい恐怖。震え、鳥肌が立つ。掴まるところもなく、ここからどうすれば逃れられるのかまるで分らない。

 家の外に出ると、地平線が見えた。平らで真っすぐで、真っ白の景色が見渡す限りどこまでも続く。くすんだ部分など全くなく、今立っている場所から向こうは、すべて塩原だ。
 大々的に、この景色を世に知らしめたほうがいいと思うと誰かが言ったのか誰かに言ったのか、まさにその通りだと周囲の人の反応。美しさがまだ誰にも知られていないことの興奮と焦り。
 立派な仏塔が見えた。たった今できたのか、さっきまではなかった。建物はいくつも並び、すべて塩の塊を削り出して作ったようだ。誰が作ったのだろう、古代の人だろうか。
 カメラでこの景色を撮影しようと試みるが、何度やっても操作がうまくいかない。幾度もチャレンジを繰り返し、時間が過ぎていく。苦労と集中の結果、学校へ行くことをすっかり忘れてしまって、慌てて身支度。

 黒いズボンに白いカッターシャツ、学校の制服を着てみて、違和感が。愕然とする、鏡に映っているのは、女性のような大きな胸。眠ったときに見る夢を起きている今見ているのか。考えられない事態を受け入れられない。いったいなぜ。  全然、雨は止みそうになく、今日の体育の授業は体育館で縄跳びをしたらいいだろうと思った。発つことはなく、再び眠った。経った時間が。学校はもう終わっているだろう、15時になっていた。

 旅、出張、目的ははっきりとしない。行き先は東京。後ろから乗った電車の先頭まで歩いて、さらに一番前の席まで案内され、ビューはパノラマ、ガラス張り。立派なシートに荷物を置いていたら、途中の駅で客が乗ってきて、仕方なく席から降ろす。すぐに男はどこかに行き、別の女がやってきて、しかしまた消えた
。  楽しそうに遠浅の海で遊ぶ親子の姿が車窓から見えて、終着駅が近いことを知る。

 ルートが確定しない、この先どうやって東京に行くのか誰も知らない。一旦、解散し、各々が好きなことをして時間をつぶす。水族館と駅が合体した建物を歩いていると、フードコートに中華料理屋。やけに汚く、店の周りにはごみが散乱し、客は誰もおらない。
 今来た道を再び改札まで戻ろうとして迷う。うっすら気付きはじめた、この移動は東京までたどり着かないだろう。

 うわ言のような、誰が誰に何のために言っているのかも分からぬ声。エンドレスに同じ内容を何度も繰り返す。
 スーパーヒーローは甘いにおいがするから、それを使って敵と区別できないか。

 駆け抜けていった、トカゲが素早く。

ジョイント349

 食うたら元気出ました。やっぱり食わんとあかんですね、もりもり食うとええですわ。


2020/06/15

第三百五十環

 輪になって、10人ほどの人が椅子に座り、順にアピールしていく。繰り広げられるのは眠りについて。手早く準備し眠ることができます。スムーズに寝入り、深くまで眠れます。
 すらすらと皆が、いかに健康的でしっかりとした眠りを取っているかを競う合うように語り、眠りの質は段々と具体的な像となって現出。つるりとした陶器の曲面のようであり、霧を集めた灰色の気体であり、人さまざまの眠り。良質の眠りを求めて、組み合わせの、ベストの調和。

ジョイント350

 ワンダフルな出来事が続いている。アニマルの世界は不思議に満ちている。
 縁起がいいぜと解釈して、前向きに行こう。動物パワーで押しきれ。


2020/06/16

第三百五十一環

 歴史的価値の高いであろう、市庁舎に駆け足で入っていく。空間が圧倒される大きさで広がり、天井の高さと相まって、思わず歓声。いくつかの扉を越えた先が収蔵庫になっていて、この街の、国の、ありとあらゆる文化的資料が、目の前の頑丈な扉の向こうに保管されているのだという。

 上野駅とその周辺がここからだとよく見えるのだなと、雑居ビルの屋上から眺める街並み。見えているのは上野駅でも、それが本当に上野駅であるかどうかは定かではない。意味を与えられた建築物に、たまたま上野駅と言う固有名詞をあてがわれただけで、真意は他にあるように思えて仕方ない。

 一週間ほどしか経っていない、この仕事に就いて。手伝う程度の事しかできないから、まだ、後ろの方で落ち葉を集めたり、他の人についていって、テレビを破壊するぐらいだ。
 だから、いきなり、電気工事をやれと言われても、できるわけがなく、この先輩は何を考えているのだろう。うるさい、何度も同じことを命令してきて、その度に断らなければならない面倒さ。
 さっきから、周囲の様子がおかしい。いつもと違って、皆がそわそわしているのはどういうわけか。影、犯罪の匂い、何か大きな事件に巻き込まれるのではないかという胸騒ぎ。ぎしぎししてきた人間関係。
 今もしこの場で何かが起こっても、それが映画の一場面であれと願う。動き出して、ついていかざるを得ない、もう退路は絶たれ。

ジョイント351

 冷静に判断して高速道路を下りて、国道を走った。それが本当に最善だったのか。そのまま高速を使い続けた場合と比べてどちらが速かったか。調べる術はない。もう一人の自分がいたとしても、あいつは寄り道しかねないから。


2020/06/17

第三百五十二環

 ライトで照らされて、その周辺だけがうっすら明るくなったり、かと思えば何も見えなくなったり。両腕の筋肉と大胸筋についてのイメージが浮かび上がり、また消えて。手と茶色の野菜が組み合わさって、野菜は枯れているから茶色だったり、土の色でもあって、一定でない。今さっきまでのんびりしていたのに、数字が消えるといって周囲が騒ぎ出す。スイッチを別の部屋、部屋と言うよりビニルハウスのような、からタイミング良く押さねばならないのだそうで。出番を前に緊張が高まり、本来リラックスしていれば思い出せる手順も、思い出せず、手を握りこぶしにする力。

ジョイント352

 乱雑に物が置かれた机の上。インプットもアウトプットもごちゃまぜで、発酵が終わるのを私は待っている。ノートのほうをじっと見つめるパンダの置物。


2020/06/18

第三百五十三環

 農業をぎゅっと縮小して、ビルの屋上に配置した光景。入り組んだ歩行路は背の高い野菜やパーティションのような簡易壁によって、遠くを見通せず移動しづらい。入口に最も近い場所に植えた野菜は土を稲わらで覆っており、ふと地面の様子が気になったから、手でつかみ、藁を、持ち上げてみた。大量の虫、それは小さくて丸型で灰色の。濃度高く密集し、悲鳴を上げた。たちまちパニックに陥り、マダニやマダニやと叫ぶ。
 ぶっ壊したくなって、この農場のすべてを、密集の虫のせいで。できれば、できなくてもまずは、この場を脱したい。違和感が左腕の肘から先辺りに発生し、目をやれば、そこにはゴマ粒のようなものがうごめく。黒い小さな点々は、前腕の皮膚の下におり、蟻であることを直感的に認識。気が狂いそうだ。だめだ、もうだめだ、奇声を上げ、そして泣いた。

 たなびくカーテンの向こう側から柔らかな光が差し込み、室温など存在しないちょうどよい快適さ。触り心地のよいレース、きらめく外の世界を見たくなって、開けたら、歌声が聞こえてきた。多分誰かがどこかでコンサートでも催しているのだろう。うららかな午後の、ひとときの。  

ジョイント353

 ノーガード戦法でどんどん前に出ていくスタイル。打たれても気にせず、相手をコーナーへと追い詰めていく。


2020/06/19

第三百五十四環

 黒い髪に、赤いタイトなノースリーブのドレスを着た女性がヨーヨーの糸をだらんとぶら下げた写真のポスターを見て、気付いた。たるんだ部分と、ぴんと張った部分、地面を這って真横に進む部分、これらはこの映画のストーリー展開を表しているのだと。とてつもない発見のような気がしてきて、辺りをぐるぐると歩き回って、時々ジャンプ。

 プレイしてみたいゲーム。難しいのだろうか、他人を着せ替えるという内容。

 動いている特急のドアが開いたままで、誰かがキャリーバッグを畑の方に向かって投げた。大して驚きもせず、その様子を眺め、笑いながら何かを話しかける男。この二人はどうやら落語家の師匠と弟子のようだ。
 大丈夫です、取りに行ってきます。スピードをさらに増していくこの列車からどうやって、もうはるか向こうのほうに取り残されたバッグ。

 グリーンの背の高い植物はトウモロコシで、根元を見ると二本ずつ植えられており、なるほどなどと思う。植えられた数えきれないトウモロコシの森のどこかにバッグがあって、あの男は今どうしているのだろう。

 薄汚いコンビニらしき建物は近づいてみると、やはり当然のようにもう廃業しており、もぬけの殻。ラックに商品はなく、イートインスペースだけがやけに目立つ。
 ついて来いという風な仕草で男が店の裏側へと誘う。薄汚いコンビニの裏側もやはり薄汚い。
 入口だと思って開けたドアの先はひどく汚いトイレだった。立って用を足すのが精いっぱいの狭さ。さっさとこんなところから出たいと思って振り向いた瞬間、何かが床に落ちた気がして、茶色く変色した床を見やると、ワイヤレスイヤホンの片方が、真っ二つに割れていた。高いものなのだろうか。かわいそうにとつぶやく。

ジョイント354

 苦言を呈したつもりだったが、まるで効果がなかった。お前はどうしてそうやって思い込みで適当に発言するのだ。ちょっとは立ち止まって考えろよ。世界はお前の知っていることだけでできているわけじゃないことぐらいわかるだろ。


2020/06/20

第三百五十五環

 ロッカーが並ぶこの部屋は何階ぐらいだろうという疑問が頭に浮かぶ。分館の上のほうであることは、窓の外、他のビルを見て想像ができた。たまにこの分館には来ることがあって、本館から地上に降りて、外に出て、また分館を登っていかなければならない面倒さにはいつも馬鹿らしさを感じていたなあと思い出す。
 座らされているのは安っい小っさいビニール張りのキャスター椅子。すごく貧乏で改築もできずにいる町役場ぐらいにしかないようなぼろぼろの。
 能書きを延々と聞かされて、いい加減腹が立ってきた。
 立ち上がり、こんなとこ今すぐ辞めたらあと目の前の男に宣言した。たった今この場でや、金輪際、この仕事はやらんからなと。戸惑って感情が追い付かないのか、もともと感情を持っていないのか、目の前の男はほとんど何も表情を見せなかった。
 多分、この男は、前の上司とずっと前の同僚と、そのほか想像上の嫌な奴を混ぜ合わせて作り上げられた、存在しない攻撃対象なのだろうと、思っているうちに、本館も分館も男も消えてなくなった。

 たくさんの特技を持つ男が、箇条書きで自分のできることをアピールして、頭の上の吹き出しが文字でいっぱいだ。誰かが、特技はすべて魔法という言葉に置き換えますと言ったとたん、男の頭の上の吹き出しは魔法と言う言葉でいっぱいになり、チカチカしだした。絶えず明滅する白と黒。

ジョイント355

 労すれど楽しかったからしんどさはない。気分転換にはもってこいだった。その場所にたどり着いて何をするかよりも、何を手に入れたかよりも、そこに至る或いはそこから帰る過程にこそ目的があるから、精神を充足した。


2020/06/21

第三百五十六環

 太陽が昇るまでまだ数時間ある夜の真ん中あたりで。電話による通信教育を受講。個人と個人のマンツーマン教育。砕けた会話がいくらか続き、その後テキストを見ながら、授業がやっと始まった。
 たくさんの俳句がテキストには掲載されており、その中でどれか気になるものを選んでくださいと言われたので、いくつか選んで読み上げた。
 たちまち講師の喋り方が真面目になり、本格的に勉強したいようなので、こちらもしっかりと教える体制を作っていきたいと思いますと。と言われても、どういうことなのか分からない。

 東北地方北部のグルメ、海の幸。
 近くから見ると旅館のような、遠くから見ると木造船のような建物。覗き込んでみると、薄くて古びた窓ガラスから中を、畳敷きの大広間。
 窓から中を覗いていたはずなのに、いつの間にやら、建物の中にて、分かりにくい間取り。利便性の悪い廊下の設計によって、トイレにたどり着けず、窓からは海。
 味覚を満喫できると期待していたのに、いつまで経っても料理は運ばれて来ず。

 図で説明されている、メッセージのやり取りについて。定期的に、たとえば一日一回、メッセージが届いて、受信したら、行動を開始するような仕組み。
 見事な流れですねと褒めた。  

ジョイント356

 溜めて出す。濃度が大事。薄い情報など誰も必要としていない。速度や手数よりも、濃さと重さを求めている。そのための準備であり、時間をかけるのは当然だ。


2020/06/22

第三百五十七環

 ダークグレーメタリックのミニバンで長野駅までやってきて、降りない。

 家の前の道が経験したことがないような大渋滞に。にっちもさっちもいかない状態、何とかすり抜けようとする車のせいでさらに悪化。果敢にねじ込んできた一台のセダンが、ハンドル操作を誤り、見事、門柱に激突。
 つきましては、家屋の修理費用を払っていただきたいのですが。がっくり来ている運転手は言葉少なく、財布から三万円を取り出し、支払おうとしたので、いや、ちょっと待ってと。とりあえずまずは見積もりを建築業者からもらいますから、その金額を確認して払ってください。いくら何でもそんな安いわけないやろ、あほか。カッとなって出た言葉。
 場は、玄関先から古めかしいどこかの事務所に変わっていた。

 体勢、姿勢について。手足を伸ばすのがオープンスタンスで、この姿勢で眠ることの利点を語る誰か。開放的な気分になるとか、そういうメンタルの話。白いシーツがベッドに敷かれて、陰影を作り出す襞。

ジョイント357

 誰もそんなことを考えたりしないから、規則として存在しないような事。そして、存在しないという事が受け入れられない人。


2020/06/23

第三百五十八環

 東京で活躍するコンビの芸人が、いろんな場所に行くロケ。軽妙な話術で街の人から面白エピソードを引き出していく。
 クラシックなビデオゲームを展示する博物館にきた。棚に、ガラスケースに、並べられた古いゲーム機を見て、昔話に花を咲かす。隅の方でそのロケの様子を眺めていたはずなのに、いつのまにかロケに参加してしまっていて。
 低姿勢、恐縮気味に、二人の後をついていく。
 暗い階段を登っていくと、その先はマンションになっており、迷わず、ある部屋に入った。太陽が空に明るい時刻なのに、部屋のカーテンは閉め切られていて、そして、蒸し暑い。
 いたのは6人の家族。くっつきあい、狭い部屋で、全員がパジャマを着て、とても奇妙な家族に見えた。楽しそうに会話し始める芸人とこの家族。詳しく聞いていくと、この家は先輩芸人の実家。

 傾いた檻、伸び放題の草。寂しげに、閑散として、そこに生き物がいない写真が何枚も。もう今となっては忘れ去られてきているのです、男が言う。埋もれさせてはならないから、こうやって写真をいろんな人に見せています。すべてこれらの写真は阪神大震災の時の動物園なんですと。

ジョイント358
 とろけてなくなってしまうような感覚。気を付けないとすべてが固体から液体になって、元には戻らなくなって、つまり、ダメになる。だから、純粋なる固体に期待を抱く。


2020/06/24

第三百五十九環

 茎の長さが2mほどはあるトウモロコシを根元から切って、束にして、小脇に抱えて男がやって来た。他人ではない雰囲気があり、二度見した結果、それは甥だった。足りない日光のせいでトウモロコシの出来が気になっていたが、大きさも形も素晴らしかったので、安堵。どんどん運ばれてくるトウモロコシ。小休止もなく、往復、甥は運び続けた。

 楽しい気分で歩いているこの街のことを何も知らない。

 一堂に介した映画のポスターはどれも劇場で観たことがある名作ばかりで、記憶を辿りながら、往時を懐かしむ。無性に、内面に潜む暴力性を発揮したくなって、端から順にポスターへ赤いペンキでチェックマークを入れていく。繰り返す同じ動作、右へ移動しまた動作。最後のポスターまでペンキを塗り終えて満足を得た。

 畳んでない服。クローゼットの中にも大量の服。
 暗い気持ちで、目の前にあった漫画を手に取り、何気なく読み始めたら。ラストの巻ではなく、まだ続きがあるようで。でもこの部屋にはもう漫画の本などないから、ドラゴンボールの続きが気になって、読まなければよかったと嘆く。

ジョイント359

 苦労をしている。しなくていい苦労をだ。さっさと結果を出したいのに、余計なお節介のせいで事を前に進められない。邪魔をするなと言いたい。言ったところで何も解決しないが。


2020/06/25

第三百六十環

 がすっと手で掴み、数えきれないほどのブレスレットをポケットに詰め込んで、その場を立ち去ろうとする。ルートが決まっており、まず、エスカレーターに乗って、ひとつ下の階に下り、いったん外に出て、正面玄関から中に入る。ルールを守って、玄関のドアを開けた頃には、ブレスレットは消えてなくなり、料理の乗った盆を両手で持っていた。
 食べ終わった後の支払いはキャッシュレス。

 すっぽりと人間が中に納まってしまうほどの、ベルと言うよりは寺の鐘のような楽器。鏡面仕上げで光り輝くそのベルは、使用者がプログラムを組み込むことで自由自在に鳴らすことができるらしい。

 いろんな方向から人がやってくるのは、どこかで何かが終わって集合し始めているから。ランニングで、歩いて、空から、あるいは自家用車で。音楽もスタッフロールもナレーションもないが、この場に漂う、エンディングの雰囲気。
 強烈な風圧と音圧が突然襲う。上を見上げるとジャンボジェットが地面すれすれを飛んできて、去っていた。
 多分、さっさと帰りたい人はあの飛行機で帰ったんだろうと想像した。

 たどり着くべき場所が分からぬまま、人通りの多い繁華街を進む。無理なタイミングで横断歩道に入り、ドライバーが怒声。
 一本道になり、のんびりと歩いていたら、誰かが後ろから足の速い動物を放した。たちまち追うものと追われるものの関係が出来上がり、血相を変えて、ただひたすら前に向かって走る、道は徐々に狭まっていく。
 繰り返してみることで、人間の走る能力を向上させることができるかどうか。確認するための実験だと誰かが言う。

 内風呂も、各部屋のプライベート露天風呂も、天然温泉が引かれており、宿泊客からとても好評の温泉旅館に泊まれることになった。建物は立派で美しく、発せられるのは、歴史を感じさせる風雅。

ジョイント360

 合点のいかぬ事ばかり起こる日だ。なぜそうなるのかわからない事がおこり、別の場所ではどうすればいいのかわからない事が起きた。昼からはどうやったらそうなるのか理解できない事があり、その後、なぜうまくいかないのか原因がつかめない事があった。今はなぜか腹が痛いし。


2020/06/26

第三百六十一環

 知らない人ばかりが周囲に大量にいて、ほぼ等間隔に円状の広がり。リアルに見えているのはほんのわずかで、それ以外は遠くにいよるようでもあるし、いるということを認識しているだけでどこか別の場所にいるのかもしれない。いや、本当はこの人たちはどこにもいてなくて、いると錯覚していることもありうるのだろうか。
 甲高い、金属音が、何かをきっかけにして、鳴り響き、この、周囲にいるであろう人たちに合図を与えるという仕組み。みんなが同じSNSを使っているから、そういうことができるのだと、誰かが教えてくれた。たった一つの種類のSNS、それはアマゾンが運営しているのだとも教えてくれた、お前は誰だ。
 出してみると、合図を、人々ははっとして、何かに気付いた。確かにそれは機能している証。

ジョイント361

 仕方なく言われたとおりにする。みすみすチャンスを逃したに等しいが、お前らがそういうのなら、それに従う。責任はお前らがとればいい。俺はいつも何が正しいか知っている。今は誰も正しいと思ってくれないだろうが、いつだって、結局俺が正しいのだ。


2020/06/27

第三百六十二環

 大事で貴重な材料はどれも最高品質。使うことが可能な最も良質の材料たち。調達し、徹底的に考えつくして作られた柿の種。値段など付けられないし、売るつもりもない。一番おいしくてプレミアムな、この柿の種のレシピは、クラウド上に保存した。

 宅配便のドライバーが、ひしゃげた小さい段ボール箱を配達してきた。立て続けにドライバーは何か話しかけてきたが、ぼそぼそとしゃべるので、聞き取れなかった。頼んだ、もう一回と、やはり聞き取れず、もういいですと、ドライバーには帰ってもらった。大したことは言ってないんだろう、おそらく。
 黒いテープを剥がし、中身を取り出すと、それはガラスのボトルに入ったブレスレットだった。多分、これはちょっと前にメルカリで購入した、ような気がする、ちがうかもしれない。
 一気飲み。みるみるうちにボトルは空となり、液体は体内に収まった。たちまち襲ってきた後悔。いつ入れたのかも、何が入っていたのかもわからない液体を飲むなんてこと、なんでしたのか。感じとしてはコーラっぽかったから、大丈夫だとは思うが、怖いな、食中毒がさ。
 サンゴでできたそのブレスレットをボトルから取り出し、腕に。似合っているのか否かの微妙な当落線上。うっすらと透明感が出てきて、石に。乳白系のピンクだったものが、オレンジ色に変化。
 金具の部分、留め具のこと。取れてしまって、すこすこ状態。いくら差し込んでも、壊れているのだから、かっちり嵌るわけもなく。組み合わせて部品を、修理しないといけないから、とても面倒だ。

ジョイント362

 大事なことは直接会って、説明を受けないといけない。昔のようになあなあで進めてくれることはなくなってしまった。なによりもコンプライアンスが大事。そのためなら、お客様のご足労も致し方なし。


2020/06/28

第三百六十三環

 新明解国語辞典と表紙に書かれた辞書の、半ばよりもう少し後ろのページを開く。くっきりとした明朝体で解説というタイトルのつけられた文章があり、しかしそれは解説ではなかった。例えるならば、この辞書自体を擬人化して、半ば自虐的に扱った紹介文のようなもの。
 のめりこんでいく、読んでいると。所々、もじがぼやけて何が書いてあるのか分からないが、そこに書いてあることが、今この読んでいる現実世界において本当のことになりはじめてきて、慌てて、辞書を閉じた。

 単刀直入に、お前の周りちょっと太ってるヤツ多いな、と誰にかわからんが、言われて、で、それがどうしたのか、分からず。

 ずっと前、ここには家があったはずで、その家があったはずの隣近所にも家があったはずで、しかし、今、なにもなく。草も生えておらず、ぬかるんだ土。

 蓄積し続けた風雨による影響で、和菓子屋の巨大な看板は絵のペンキがはがれてきている。ルーズになった接着力のせいでビニルもはがれかけて、地の色が露出。
 痛烈なメッセージ性を持ったグラフィティアートのような見た目になってしまっていて、これは素晴らしいと思い、写真に残そうとしたら、カメラが動かない。今一度、電源を入れなおし、看板に目を向けたらもうそこに看板はなく、取り壊された後だった。

 楽しい世界になるのなら、それでもいいけど、きっとそううまくはいかないだろうから、今起こりつつあること、つまり、侵食。食い止めなければならない、その浸食を、この辺で。でなければ、ドラえもんの世界が、この世界に混じり始めて、いったん混ざってしまえばもう分離することはできない、無理なのさ、取り返し。

ジョイント363

 少々入りづらさはある。見た目の問題、入ったとしても、感じる取っつきづらさ。何がなんだかさっぱりの分からなさ。


2020/06/29

第三百六十四環

 さっき日が変わったばかり、寝入りばなの時刻。暗い外へと父が出て行ったので、嫌な予感がし、後を追う。うなりを上げるキャリアカー、こちらへと突進してきて、運転しているのは父。調子乗んなボケコラと怒り心頭に達し、出せるだけの大声を上げた。
 たちまち隣近所の住民が飛び出してきて、キャリアカーを見て異常を察す。すぐに、運転席から引きずり出して、しかし父は細い道へと走って逃げた。田んぼの横の砂利道を這いずり進む。無暗にそこらにあるものを投げてくる情けない姿。
 他方、近くに目をやると兄が地面に座り込んで何もできず。ずいぶんとみすぼらしい様に、かける言葉もない。
 行ったり来たり、走り回っているのは、兄の元妻だ。抱きかかえているのは小学生ぐらいの子供。もう、そんな小さい子はいないはずなのにいったい誰なのか。
 顔を押さえつけられ、怒鳴られ、取り押さえられた父。力づくでも構わない、皆の衆ありがとう。うっかり逃してしまったら、このまま2泊3日の旅行詐欺に遭うところだったから。

 落石が多く放置された狭い山道を歩いて抜けると、その先に広がっていたのは白線の一切ない、しかし4車線はあるであろう広いアスファルト路だった。ただ、何かがおかしい。一か所、地面から木の先端が露出。つまり、この道は、木の高さ分だけ土で埋めて、その上に舗装した道路なのだ。だとしたら、だれが何のために。賑わいもなく、車も走っていないこの空間の目的はなに。

 ニンジャやカンフーが跋扈する、外国語映画の中に入り込んでしまい、成り行き上、棒術の達人と闘うことになった。達人は華麗に棒を回し、足を上げ、ポーズを決める。ルールとして同じ動きを真似なければならないから、適当にやってみたら、達人よりうまくできて、達人は薄くなって霧消。
 内側からトイレの窓を棒で突き破って、外へ出てみたら、達人の弟子たちが、一糸乱れぬ動きで練習中。後ろからそれを眺めていたら、我慢できずに笑ってしまった、すぐに口を閉じた、咄嗟。  

ジョイント364

 サイズや色よりも、素材と見た目が大切。そこにこだわってしまうせいで、いつまで経っても理想の品に出会えないでいる。こんなことならギャングにでもなった方がマシかもしれぬ。


2020/06/30

第三百六十五環

 ぬかるんでいるわけでもないのに歩きづらい地面の上で行うキャンプ。プランも立てず、ただアウトドアに興味があるだけでやってきてしまったのが根本的な問題。
 いきなり画面に、画面と言ってもアウトドアの自然豊かの真っただ中に画面などなく、画面と言う概念に。日本語で表示されたエラーメッセージ。じっくり読めば、アウトドア20000が見つかりませんでした、と書いてあり、まずはコピペした。

 タキシードを豪華にしたような衣装を着た二人組の歌手が、ラッパーとして歌っている映像。上手いやん、なんでもできるなこの人たちは、と思った。畳みかける言葉が伝えるのはドローンについて。低空飛行するドローンがプロモーションビデオの中に、印象的に登場する演出。

 積もった雪の上に描かれた無数のシュプールは山の端からは時まですべてを覆いつくす。すごく寒いはずなのに軽装でやって来た二人組。妙に興奮しながら片方の男が、何か持論を捲し立てていて、聞いてみたかったが、近づくことができなかった。

 たった一人だけ、大浴場の中に女性がいて、しかしまるで気にする様子もなく湯に浸かり、寛ぎの表情。うるさいほどに人が多くいて、奥の浴槽へと逃げてみたが、湯が汚く、中に入る気にはなれなかった。  タオルで隠すこともなく男が大浴場に入ってきて、顔や体つきは男なのに胸だけが大きく不気味な雰囲気。

 座ったまま、ソファーに、5人ほどの若手芸人が、オーディションに参加。
 過度の緊張から、ネタをすっかり忘れ、ぐだぐだの展開。生き残れるはずもなく、さっそく帰らされた。

 高そうな顕微鏡を使いこなす男。こだわりを持って拡大写真を撮っているのだと言う。嬉しそうに風呂敷ほどの大きさの写真を見せてきて、この真ん中の部分の写り方が、この顕微鏡じゃないと無理なんや、と何度も人差し指で写真の真ん中をたたく。黒っぽい茶色の、とげとげした感じの、しかしそれが何かは分からぬ。

ジョイント365

 濡れたって気にしない。そんなことより歩いて前へ進もう。服なんて時間が経てば、勝手に乾いていく。


2020/07/01

第三百六十六環

 暗がりの向こう、机の下の奥、緑色の何かがこちらを覗く。くるくるととぐろを巻いたグリーンボアが、なぜ机の下に。にらみ合いは続く、向こうから攻撃はしてこないが、手を出してかまれたくはないので、能動的なアプローチはできず、膠着。
 首元がわさわさして、Tシャツの中に何かが入り込んだ感覚が走る。ルーズな袖口から取り出そうと必死で振るが、違和感は収まらず。ズボンのほうへと向かい、ちらと見えたのはイグアナだった。助けてくれ、イグアナを服の中から外へ出してくれ。

 歴史的に古そうな西洋の正装を着た3人の男が、エレベーターに乗ろうと無言で立つ。
 つかみ合いの喧嘩が始まった。他愛もないもめごと、だれが最初に乗るかという、譲らなさ。
 さすがに味噌汁ぐらいは、インスタントでいいから、欲しいよな。

 なぜかバナナチップスを食べると、着ている服の設定が変更されて、体形に合わなくなってしまう。美味いからといってバナナチップスを、この服を着ているときは食べてはならない。

 いつの間に出来たのか、全く知らなかった。建物も立派な温泉施設が、家から歩いていけるような距離にオープンしていたのか。感激し、さっそく向かう、歩いていく。車が横を追い抜いていく。車とバイクが赤信号を無視して交差点を横切っていく。
 靴をいつの間にか履いていなかったし、服を着ているのかどうかもはっきりしない。一心不乱に歩いているけど、この先に温泉施設があるかどうか誰かに聞いたわけでもない。行けども行けども建物は見えてこず。ずっとこんな感じなのだろうか、しばらく。

ジョイント366

 苦しさはなく、楽しさもなく、使命感や情熱に突き動かされたわけでもない。朝になったら目が覚めるように、当たり前のこととして最初からあった。だからこそ環は繋がったのだ。